【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃   作:混沌の魔法使い

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メニュー14 甘露寺IN煉獄家 その1

メニュー14 甘露寺IN煉獄家 その1

 

え?カワサキさんの事を知りたいの?

 

キャーッ!良いわよ、私の知ってることなら何でも教えてあげるわ。

 

えっとねえ、カワサキさんは優しくてね。そう、お兄さん!お兄さんみたいな感じなのよ。

 

前にお父さんって誰かに言われて俺そんな歳?って落ち込んでいたけど、その時のしょんぼりした感じが可愛くてキュンってしちゃったわ!

 

それとね、カワサキさんといると伊黒さんも柔らかい顔をしてるわ。

 

だからきっとカワサキさんは皆のお兄さんなのね!

 

それと料理も上手だわ!

 

ああッ!やだ、お館様の料理人なんだから料理が上手なのは当たり前よねッ!?

 

洋食も作ってくれるし、カツ丼の煉獄盛りも美味しいわぁ。

 

それとね、前にパンケーキを作ってくれたんだけど、あれも甘くて美味しかったわ!

 

それにそれに……そう!お弁当も用意してくれるし、非番の時や任務の帰りにカワサキさんのご飯を食べるのが楽しみなの!

 

カワサキさんも美味しそうに沢山食べてくれるのは嬉しいって言って色々作ってくれるから私も嬉しいわ!

 

前に食べたカツカレー美味しかったなあ……。

 

あ、その前のか、かるぼ?かるぼ……なんとかって言うのも美味しかった……。

 

ぐぐう……

 

や、やだ、お腹鳴っちゃった。

 

ちょっと早いけど、カワサキさんの所に行こうかなあ……。

 

あ、そうだ!貴方も一緒に行きましょう!

 

あ、あれ!?いない!?

 

お腹空いてなかったのかなあ……まぁ良いや、カワサキさんの所に行こうっと♪

 

 

 

 

「こ、ここで良いのよね」

 

「かあーカーそうだぁ、ここが炎柱の屋敷ぃッ!!」

 

鎹鴉の案内でやってきたけど……本当に大きな屋敷だわ。

 

「ここで今日から暮らすのかあ……頑張ろうッ!」

 

継子にならないかと声を掛けられなりますと言ったけど……いざここに来ると緊張するわ。でも頑張ろうと自分に気合を入れて門を叩こうとしたその時。

 

「あ、甘露寺様でしょうか?」

 

「ふあいッ!?」

 

気合を入れていると背後から声を掛けられ変な声が出てしまった……は、恥ずかしい。

 

「えっと……師範?」

 

「あ、いえいえ、私は違います。私は煉獄千寿郎と申します、杏寿郎の弟です。兄上と父上から話は聞いております。どうぞこちらへ」

 

「ありがとうございます」

 

1人で入るより案内して貰ったほうが安心出来る。千寿郎君に案内して貰いながら屋敷の中を歩く。

 

「兄上、甘露寺様がお見えになられました」

 

「そうかそうか! 入って貰ってくれ」

 

部屋の中から師範の声がする。千寿郎君は私に向かって振り返り、にこりと笑った。

 

「ではどうぞ。私はお茶の用意でもしてきます」

 

厨に向かっていく千寿郎君を見送り部屋の中に足を踏み入れる。

 

「うむ、良く来てくれたな! 甘露寺」

 

「なるほど、杏寿郎が継子にすると言っていたが……素質はありそうだな」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「杏寿郎も槇寿郎様もそんなに女子を不躾に見るものではないですよ。さ、甘露寺さんも座ってください」

 

着流し姿の師範と大師範の姿に緊張しながらも、奥様に促されたので座布団に座る。それから千寿郎君が持って来てくれたお茶を飲みながら、この屋敷で住む上での注意などの話を聞くことになった。

 

「今日からこの屋敷で住み込みで修行をしてもらうが、まず大前提だ。カワサキさんに何か言われた場合は基本的にその指示には従ってもらいたい」

 

「……カワサキさんですか? えっと、最終選別の時の?」

 

最終選別の時に料理を振舞ってくれた人が確かカワサキさんだったと思う。

 

「そうだ。お館様の料理番にして、育手にも様々な指導をしている。それに俺がまだ現役でいられるのもカワサキのお陰と言っても良いだろう。必ずやカワサキは君の助けになってくれるはずだ」

 

「は、はい! 判りましたッ!」

 

親子2代の炎柱。今は師範に炎柱の称号を譲ったそうだが、大師範はまだ鬼殺隊最強と言われる人物だ。その人の支援をしてくれている人ならその指導に間違いは無いと大きく返事を返す。

 

「良い返事だな! 良い事だッ! では母上。甘露寺の事をお願い出来ますか?」

 

「ええ、構いませんよ。甘露寺さん、どうぞ、こちらです」

 

「は、はいッ!」

 

奥方様に案内され屋敷の奥へと足を向ける。広い屋敷の中を歩いているだけで緊張してくるのがわかる。

 

「あ、あの態々ありがとうございます」

 

「いえ、構いませんよ。継子とは言え、女子は女子同士の方が気が楽でしょう。さ、この部屋ですよ」

 

内弟子とは言え、こんなに良い部屋を使っていいと言われると本当に萎縮してしまう。

 

「今日からここで暮らすのですから、そんなに緊張しなくても良いですよ。さ、荷物を置いたら着替えてくださいね」

 

「早速修行ですね!」

 

「いえ、違いますけど?」

 

「違うんですか?」

 

修行じゃなければ何に着替えれば良いのかと首を傾げていると奥方様はにこにこと笑われる。

 

「修行は2日に1度にするようにとカワサキさんが言っているので修行自体の頻度はそんなに多くありません。その代り、1回の訓練の密度が強くなります」

 

2日に1度……そんな頻度なんだ。もっとこう、きつい訓練が毎日あると思ってた。

 

「とりあえず今日は移動して来た疲れもあるでしょうから、身体を休めて明日からの訓練に備えてください。まずは昼食からですね」

 

昼食と聞いて顔を上げたが、大丈夫かなと不安になった。

 

「そ、その私は……」

 

「聞いていますので大丈夫ですよ。杏寿郎も槇寿郎様も良くお食べになるので、貴方もお腹一杯食べてくださいね」

 

着替え終わったらさっきの部屋で待ってますのでと言われて、持ってきた荷物から着物を出して、それに着替えながらも、私の頭の中はお昼ご飯って何かなあっと先ほどまで感じていた不安はどこかへと消えてしまっているのだった……。

 

 

 

 

槇寿郎が新しく大工に作らせた特注の部屋で俺は料理の準備をしていた。と言ってもそう凝った料理をするわけではない。

 

「よいしょ、よいしょ」

 

「ゆっくりで良いぞ、焦らなくてな」

 

「は、はい!」

 

千寿郎が釜からお櫃に米を移し変えているのを見ながら、俺も野菜を切り分けたり、肉や、調味料の準備を行う。

 

(しかし本当にやるかね)

 

鉄板で肉を焼くこともあるといったら鉄板を注文して、食事の為だけに1室作るとか……あのやさぐれていた時の槇寿郎からは想像も出来ないが、今はこうして元気でやってくれているようなので安心した。

 

「後はどうすれば良いですか?」

 

「後は、千寿郎も食べる準備をしてくれれば良い。後は俺がやるよ」

 

「カワサキさん……大丈夫ですか?」

 

「全然大丈夫だよ。手伝ってくれただけで十分だ」

 

これだけ手伝ってもらえば後は1人でも大丈夫と笑う。すると千寿郎は槇寿郎達を呼んでくるといって部屋を出て行く、その背中を見送り準備した食材の確認と味噌汁や漬物も量が足りているのかを確認する。

 

「うし、これなら大丈夫だろう」

 

甘露寺蜜璃と言う少女が継子になると聞いていたが、最終選別での食べっぷりを覚えているので少し多めに準備しているから全然大丈夫だろう。

 

(しかし……髪染めてるのかな……)

 

頭の頭頂部から肩口まではピンク色、そしてそこから先は黄緑色と奇抜すぎる髪色だが……この時代にはそんな髪染めもないだろうし……ハーフ……って言うのでもない。

 

(人類の神秘?)

 

不思議な人間がいるってくらいの認識で良いのかなと思いながら鉄板を温めていると槇寿郎達がやってくる。俺はその姿を見て、腕に巻いていたバンダナを解いて、頭に巻き腕まくりをして、気合を入れて料理の準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

私達の後ろにはお櫃がそれぞれ2つずつ。それにお茶碗ではなく、丼が用意されていた。大きな鉄板が部屋の真ん中に置かれていて、その鉄板を中心に扇状に座っているけど、これからどんな料理が出てくるのか楽しみだ。

 

「甘露寺、今からカワサキさんが用意してくれる。それまでは漬物と味噌汁で飯を食べてもかまわんぞ!」

 

お櫃を開けて山盛りにご飯を盛りながら、漬物と味噌汁でご飯をかきこみながら師範がそう言う。

 

「そう焦る事は無い。すぐにカワサキが一品目を用意してくれる」

 

「一品目と言うと沢山作ってくれるんですか?」

 

「ん?そうだなあ、4つくらいは作るぞ! だから程ほどに食べないとメインが食えないかもな!」

 

大師範とカワサキさんがかっかっかと楽しそうに笑う。4品も……お櫃のご飯を軽く丼によそい、お腹は空いているけど味噌汁と漬物で食べるのを我慢する。

 

(この味噌汁だけでも美味しそう……)

 

具沢山の豚汁……豚肉と豆腐と大根。最終選別の時にも出された味噌汁だ……あれ美味しかったんだよなあ。

 

「さてと、じゃあ早速始めるぜ」

 

カワサキさんはそういうと分厚い豚肉を4枚と薄い豚肉が鉄板の上に置かれた。肉の焼ける音と香りが部屋の中に広がる。

 

「おお……」

 

「なんでもな、料理を作る所からご馳走にする手法があるらしいぞ?」

 

「ああ……でもこれは美味しそうです……」

 

見ているだけでも美味しいって判る。口の中に唾が沸いてきて、少し恥ずかしい気持ちになる。

 

「焼き色が付いたら、こうだ」

 

醤油の入った入れ物の中に両面が香ばしく焼かれた豚肉を両面しっかりと浸して、再び鉄板の上に戻す。

 

「ふおおお……」

 

「うむ! 今日もまた美味そうだなあ!!」

 

はしたないと判っていても思わず腰を浮かせてしまった。この香ばしい香りと目の前で料理をされていると言うことがここまで食欲を誘うなんて私は今まで知りもしなかった。

 

「はい、お待ちどう。豚肉のしょうが焼きだ! まずはこれで軽く行くか」

 

お皿の上に千切りキャベツを盛り付け、その上に切り分けられたしょうが焼きが乗せられた。それを受け取って今すぐにも食べたいと思うのを我慢して、手を合わせていただきますと頭を下げてから丼を持ってしょうが焼きを1枚頬張る。

 

「んんーーー美味しいッ♪」

 

「はは、喜んで貰えて何よりだ」

 

食べ応えのある分厚い豚肉には甘辛いタレがたっぷりと染みこんでいる。その甘辛いタレだけでもご馳走だと思う。

 

「うん、やはりこれだな。しょうが焼き、これは体力が付く」

 

「美味い美味いッ!!!んぐうッ!?」

 

「もう兄上ったら、お水をどうぞ」

 

「んぐんぐうッ! はっはははッ!! いかんいかん、慌ててかっ込みすぎた!!」

 

「杏寿朗、誰も取る事は無いのですからゆっくりお食べなさい」

 

「判っております! 判っておりますが! 箸が止まりませぬッ!!!」

 

師範の言う通りだ。目の前で焼かれるのを見ているだけでも唾が止まらなかったのに、実際に食べてしまったら更に手が止まらなくなってしまうのは当然だ。

 

「あむあむ。んぐ、カワサキさん凄く美味しいです!」

 

「良かった良かった。しょうが焼きは飯に良く合うからなあ」

 

豚肉が厚くて食べ応えはあるし、それになによりもしょうがのピリリとした辛味と甘辛いタレが本当に良く合う。

 

「あ……お肉のおかわりってありますか?」

 

「別に食べたいなら焼いてやるが……次があるぞ?」

 

次……そうだわ、これで終わりじゃないんだ。ならお肉のおかわりは我慢して、次のを待つのが良いのかもしれない。

 

「キャベツなら一杯あるぞ」

 

「あ、それだけ貰います」

 

キャベツのおかわりを貰う、このしゃきしゃきとした食感と甘辛いタレが本当に良く合う。

 

「甘露寺よ、このようにして食べるのだ」

 

大師範がキャベツをタレに絡めて、ご飯の上へと乗せる。そしてその上に豚肉のしょうが焼きを乗せて丼にする。豚肉を齧り、キャベツとご飯を凄い勢いで頬張り、時々味噌汁と漬物を啜る。

 

「カワサキさん! タレ! タレはありますか!?」

 

「あるよ、ほら」

 

「ありがとうございます!」

 

師範がタレを受け取り、ご飯の上に掛けるが肉が無いのでキャベツだけでもごもごと食べているが、それだけでも十分美味しいと言うことなのだろう。私はまだ肉が2きれ残っているので大師範の真似をしてご飯の上にキャベツと豚肉を乗せて、その上にタレを掛ける。

 

「んんー美味しいッ!!」

 

ご飯にしっかりとタレが絡んでいて、豚肉の甘さとしょうがのピリリとした辛味。そしてキャベツのしゃきしゃきとした食感が1つになっていて本当に美味しい。

 

「さーてそろそろ次の品だ。蜜璃はホルモンとか大丈夫か?」

 

「ほるもんって何ですか?」

 

聞いたことの無いを聞き返すとカワサキさんはあーっと頷き、わからないかと笑った。

 

「簡単に言うと内臓系だ。少し癖はあるが、身体には良いし、スタミナ食にもなる」

 

「な、内臓ですか……」

 

嫌いな物は無いと思うけど、内臓系と聞くと少し怖いと思ってしまう。

 

「大丈夫よ。甘露寺さん、あんまり臭くないし、食べやすいわ。私も良く食べてるから大丈夫よ」

 

「カワサキさんの料理だから大丈夫だ、それにもし食べてみて駄目なら俺が食べるから心配ない!」

 

「私も少し苦手でしたが、食べてみるとすっごく美味しいですよ」

 

煉獄家の皆さんに大丈夫だよ。美味しいよと言われ、私は食べてみますと返事を返した。

 

「了解了解、俺の特製タレは美味しいから心配ないさ」

 

茶色の味噌のような物が絡んでいるちょっと不気味な肉が鉄板の上に置かれて、香ばしい匂いを放つ。

 

「ふふふ、内臓と聞くと怖いと思うかも知れんが、味は格段に良いのだぞ」

 

「まぁ癖があるのは判るし、女の子だからな。でも本当に身体に良いんだぜ?」

 

キャベツと玉葱を加えて、味噌と絡めながら手早く焼かれた内臓が皿に移される。

 

「ほい、どうぞ」

 

「い、いただきます」

 

少し怖いと思いながらホルモンを口に運んだ。そして驚いた、まずは臭くない。それに味噌の焦げた香ばしい香りと甘辛い味が口一杯に広がる。

 

「美味しいです!」

 

「だろ? 身体にも良いからしっかり食べてくれよ?」

 

「はいッ!」

 

くにゅくにゅとした独特の食感は確かに癖があるが、凄く美味しい。そこにしゃきしゃきとしたキャベツと玉葱の甘さ。

 

「私えっと、このほるもんですか? 好きになりそうです!」

 

「それは良かった。内臓料理は癖が強いから出しにくい、だけど栄養がたっぷりだから食べると身体に良いんだ」

 

「ああ、確かに内臓料理を食べる前と比べると全集中の呼吸の精度が上がった気がする」

 

「俺もです!」

 

そんな効果まであるんだ。それなら沢山食べないとッ! 美味しいから幾らでも食べられそうな気がするけど、鬼と戦うのに必要な全集中の呼吸まで強くなるなら頑張って食べないとと思い、私はホルモン野菜炒めに箸を伸ばすのだった……。

 

 

 

メニュー15 甘露寺IN煉獄家 その2へ続く

 

 




今回は少し料理描写はあっさり目、次回は更に食が進む2つの肉料理を出して行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

カワサキさんがオラリオにいるのは……

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