【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃   作:混沌の魔法使い

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メニュー22 探せ、富岡義勇の好物

メニュー22 探せ、富岡義勇の好物

 

 

嵐のような昼食時の混雑と任務に出る隊士の弁当を渡し終え、一息いれているカワサキ。沙代とカナエに先に昼飯を食べるように言って座敷の奥に強引に行かせ、時間が遅れた隊士がやってくるかもしれないと自分だけが残り、緑茶を啜っていると店の扉が音を立てて開いた。

 

「いら……なんだ、錆兎と真菰か、どうした?」

 

真っ先に昼食に来ていた2人が訪ねてきた。昼飯を食いそびれたわけでは無い、弁当もちゃんと渡している。そんな2人が訪ねて来た事にカワサキは首を傾げる。

 

「実はカワサキさんにお願いがあって来たの」

 

「ああ、かなり深刻な問題でな」

 

神妙な顔をしている2人にカワサキは飲んでいた湯呑みを机の上に置いた。

 

「まぁ出来る限りなら話を聞くけど、どうした?」

 

「義勇が、鮭大根しか食べないんだ……」

 

「栄養が偏ると危ないんだよね? カワサキさん」

 

「……もしかして全然改善されてない?」

 

カワサキの問いかけにこっくりと頷く錆兎と真菰にカワサキは深く溜め息を吐いた。冨岡義勇は鮭大根が好物で、来るたびに鮭大根を注文していた。それだと栄養が偏ると味噌汁や漬物、そして鶏肉の塩焼きなど色々とカワサキは栄養バランスに気をつけていたのだが、カワサキの店に来ない時は鮭大根と白米しか食べてないと聞いてカワサキは深く溜め息を吐いた。

 

「義勇ってほかに好物とか……ああ、そうか、ないのか。察した」

 

好物がないのかと尋ねて2人が渋い顔をしているので付き合いの長い2人でさえも、義勇の鮭大根以外の好物を知らないほどに義勇は偏食に偏っていた。

 

「まぁ魚の偏食だから、そうは気にはならないんだが……」

 

これがリアルで言う菓子や、大して栄養にもならない物ならばカワサキも憤怒するが鮭はDHAも豊富で、そこまで身体に悪いわけでは無い。

 

「三食ずっと鮭大根は見ていてこっちも来る物がある」

 

「悪意無く薦めてくるから困るの」

 

「OK、OKOK、なんか色々試してみるよ。弁当って形でいいよな?」

 

酷くげんなりした表情の2人を見てカワサキはまずは弁当って言う形で義勇の他の好物を探す事を約束すると2人はよろしくお願いしますと頭を下げて店を出て行った。

 

「……まぁ色々試してみるかねえ」

 

他の柱が好む弁当から様子を見てみるかと呟き、カワサキは席を立ち弁当の仕込みを始めるのだった……。

 

 

 

 

day 1 不死川兄弟+α

 

 

鬼殺隊は無惨を倒すという1つの目的の為に協力し合う組織ではある。だが、やはり人間……どうしても馬の合わない人間と言うものはいる。

 

「……不死川達では時間が掛かったな」

 

「てめぇ冨岡ぁッ! 俺達が足を引っ張ってるって言いてぇのかッ!? てめぇこらあ! 無視すんなあ!!」

 

「兄ちゃん、落ち着いて!」

 

「落ち着け実弥、冨岡は口足らずって聞いてるじゃないか」

 

怒り狂う実弥と義勇の相性は最悪で、十二鬼月の目撃情報で柱2人が動いたが、不幸な事に空振り。そしてその上雑魚鬼に囲まれて今討伐が終わった所だが、案の定口足らずの義勇の言葉で怒り狂う実弥を玄弥と匡近の2人掛かりで止めに入ってやっと止めれた。

 

「……別に足手纏いと言ったわけじゃない」

 

「んじゃあ時間が掛かったってなんだぁッ!」

 

「……俺ではなく錆兎ならばもっと早く鬼を倒せただろう、俺と組んでしまって不死川達には迷惑を掛けた。やはり俺では時間が掛かったなと……」

 

「全然伝わってねえよッ! この呆けぇッ!!!」

 

言葉足らずと言うレベルじゃないと言う実弥の怒鳴り声に玄弥と匡近は額に手を当てて、天を仰ぐのだった。

 

「まぁまぁ落ち着けよ実弥。とりあえず鬼の気配もない、夜食にしよう。カワサキさんが弁当を用意してくれただろ?」

 

「……おう」

 

「じゃあ俺は火を起こすよ」

 

とりあえず飯を食わせて、落ち着かせれば良いだろうと匡近が声を掛け、てきぱきと玄弥が薪を集め火を起こして薬缶でお湯を沸かす。その間に実弥達は川でタオルを絞り、返り血などを拭い怪我の応急処置を済ませるのだが……。

 

「わぷッ!? な、何ですか?」

 

「……濡れてる」

 

タオルを顔に投げつけられ困惑する玄弥と、義勇の余りに失礼な態度に額に青筋を浮かべている実弥……呼吸同士の相性は良いのだが、実弥と義勇の相性は最悪を通り越して、最低だった。実際玄弥達がいなければ、間違いなく喧嘩になっていただろう。

 

「わぁ、今日は兄ちゃんの好きな牛時雨弁当だよ」

 

「おう、そいつは良いなッ!」

 

玄弥のアシストで話をすり替え、沸かしたお湯を味噌玉の入った椀の中にいれ、焚き火の回りに腰掛け夜食にしようと言う所でまた空気の読めない男義勇が爆弾を投下する。

 

「……お前はこんな物が好きなのか?」

 

「あぁッ!? こんな物だとぉッ! カワサキさんに失礼だろうが、冨岡ぁッ!!!」

 

「「どうどうどうどうッ!!」」

 

実弥の地雷は非常に多い、1つは藤の家で働いている家族に触れられる事を嫌う、2つ、呼吸が使えない隊士ではあるが、そしてカワサキと行冥に鍛えられ、呼吸を使えないというハンデを超えて戦っている玄弥の事を指摘する。3つ、恩人であるカワサキへの悪口である。

 

「……こんなに味が濃いのが好きで大丈夫なのかと聞いたつもりなのだが?」

 

「よし、冨岡。お前は少し黙ろうか、な? 食事時に喧嘩はしたくないだろ?」

 

匡近が静止に入り何とか収まったが本当に爆発寸前だった。

 

「「「いただきます」」」

 

「……いただきます」

 

焚き火の周りに座り牛時雨弁当を口にする実弥達。

 

「うめえッ! この甘辛い味付けが本当にうめえなッ!」

 

牛細切れ肉といり卵が飯の上にたっぷりと盛り付けられたそれは実弥の大好物である。家族の誕生日にだけ、実弥は家族に会うのだが、その時は当然カワサキの店で食事を取る。その時の牛鍋が好物であり、それと似た味の牛時雨煮は特別な日以外で牛鍋を食べようとしない、実弥への弁当としてカワサキが良く選ぶメニューなのだ。

 

「このしょうがの香りが食欲を誘うんだよなあ」

 

「本当ですよね。これ弁当で食べても美味しいんですけど、出来立てもまた美味しいんですよね」

 

醤油と酒とみりん、そして醤油と砂糖と言う甘辛いタレで牛肉を汁気が無くなるまで煮詰めたそれは非常に味が濃く、動き回る隊士にとっては人気の弁当の1つである。強い塩気と好物と言う事で一気に機嫌を直し牛時雨弁当をかき込む実弥に玄弥達がほっとした表情を浮かべたのも束の間。

 

「……普通、味が濃いな。俺は苦手だな……よくこんな物が食べれる」

 

「冨岡ぁッ!!!!!!」

 

自分の大好物である牛時雨弁当、そしてカワサキの料理を馬鹿にしたと実弥が判断し、凄まじい怒鳴り声が山の中に響き渡るのだった……。

 

 

 

 

 

day 2 蛇柱と隠

 

 

……誰か助けてください。それがきっと今この場にいる全員が思っていたことだと思う……。鎹鴉が運んできた稲荷寿司の弁当、その甘さが疲れた身体に染み渡り、隠や下級隊士達が満面の笑みを浮かべる中。それが一気に殺伐とした空気になったのは水柱冨岡義勇のせいだった。

 

「……これは不味い」

 

「冨岡お前……カワサキさんの料理を不味いと言ったか、そうかそうか……殺すぞ」

 

蛇柱伊黒小芭内と水柱冨岡義勇の合同任務――それは鬼が群れていると言う今までに無い情報を得ての行動だったが、ご存知の通り小芭内と義勇の相性もまた最悪を通り越して最低だった。任務中は私情を挟む事は無いが、それが終わり下級隊士と隠による後始末が始まった段階で義勇がぽつりと呟いたのだ。

 

「これの何処が不味い、甘辛く炊かれた油揚げと酸味の効いた寿司飯、そして白ゴマの香りが食欲を誘う。完璧な稲荷寿司の何処が不味いのか俺に説明しろ、ああ、良い。貴様は殺す」

 

「……不味い物は不味いんだ」

 

小芭内が目を見開き、額に青筋が浮かぶのを見て隠達と下級隊士は顔を青褪めさせた。

 

炎柱 煉獄杏寿郎

 

蛇柱 伊黒小芭内

 

の両名はカワサキが計画した特別な訓練を受けたカワサキの弟子とも言うべき柱だ。特に杏寿郎と小芭内は幼い時からカワサキの元で食事をし、そして丁寧に西洋の鍛錬術を学び、困った事があればカワサキに相談に行く。

 

「カワサキ殿か! あの人は俺にとっては兄に等しいなッ!」

 

「……カワサキさんは俺にとっては兄と言っても過言では無い」

 

そして本人達もカワサキを兄と公言しているのは鬼殺隊でも有名で、カワサキを陥れようとすればそいつは2度と日の目を浴びる事は無いと言われるのも有名な話だ。

 

「……忘れていた」

 

「それが遺言か、ならば「……兄姉弟子の墓参りを忘れていたこれは不味い……」……は?」

 

義勇は顔を青褪めさせて立ち上がるとおろおろしだした。

 

「あ、あの水柱様。不味いというのは稲荷寿司の事では無いのですか?」

 

「……カワサキさんの料理が不味い訳無いだろう? お前は何を言ってる?」

 

何を言っているはお前だと全員が思った。言葉足らず、天然で人を挑発すると聞いていたが余りにも酷い、下級隊士も隠も心からそう思った。

 

「伊黒すまない。俺は墓参りに向かう、報告書と現地の指揮を頼む。戻ったら食事をおごる、だから頼んだ」

 

「待て」

 

「……すまない、時間がない」

 

小芭内の返事も聞かず姿を消した義勇。残された小芭内は抜いていた日輪刀を鞘に納め、不機嫌そうに岩に腰掛ける。

 

「何を見ている、俺を見ている暇があったら作業をしろ、お前達は周囲の警戒を怠るな。良いな、半刻で撤収できるように動け、良いな?

 異論は認めない、急げ」

 

「「「「は、はいいいいい――ッ!!」」」」

 

ギロリと睨まれ、この作戦に参加した隊士と隠は2度と蛇柱と水柱の合同任務に配属されたくないと心から祈るのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

義勇の好物を探すと言う目的で柱同士の合同任務で色々食べさせると言う事を計画したのだが……結果は凄まじく酷かった。

 

「鮭大根しかいわねえ」

 

「カワサキさんの料理を食べているときに不味いとか言い出した」

 

「あのカワサキさん、あの馬鹿殴ってもいいですかね?」

 

 

 

 

義勇のコミュ能力のあまりの低さに俺は泣いた。特に沸点の低い、実弥、小芭内、しのぶの怒りように俺は泣いた。

 

「肉団子を美味そうに食ってたぜ? ありゃあああいうの好きだな、俺様の見立てでは」

 

「揚げ物、唐揚げとかエビフライを美味しそうに食べてましたよ」

 

「……卵が好きと言っていたな」

 

「量は少なくてもいいから、色々おかずを食べたいと言っていたので、俺が米を貰い、おかずを色々と渡しましたよ!」

 

そして寛容さが高い、蜜璃、行冥、天元、杏寿郎に感謝で泣いた。無一郎? 無一郎は……。

 

「兄さんと鍋が食べたい」

 

「……水柱を完全無視でした、すいません」

 

……うん、これはしょうがない、成長期だからな。他人を観察するよりも自分の食事となるのは当然だ。俺は杏寿郎達が集めた情報を元にある一品の料理を作った。

 

「はい、お待たせ。お子様定食だよ」

 

「……キラキラ」

 

……マジかよ、お子様ランチで目を輝かせてるとかマジかよ……。

 

「……これはとても美味しそうだ。ありがとう」

 

「喜んでくれるなら俺としても嬉しいよ」

 

オムライス、ハンバーグ、エビフライ、唐揚げ、ナポリタンと「鬼殺」と書いた旗を冗談でオムライスの上に差したんだが、それすらも気に入っている様子に俺は驚愕した。

 

「……赤茄子は好きなんだ、それに肉って言う感じの肉は少し苦手なんだが、このはんばーぐ? というのは食べやすくていい」

 

「そうか、義勇よ」

 

「……むぐむぐ」

 

「飲み込んでからでいいぞ?」

 

喋るか食べるか悩んでいる様子の義勇を見て、子供かと思った。

 

「……なんだ?」

 

「もう少し言いたい事は喋る方が良いんじゃないかな? 今日みたいな感じで喋ってくれれば、俺も色々作りやすいし、錆兎達にも心配をかけないで済むぞ?」

 

「……判った。今度からそうする……エビフライがもう少し欲しい」

 

「……ああ、うん。判った、すぐ準備するよ」

 

とりあえず、義勇に対して怒っている面子には20歳を過ぎていると思わないで、子供と思って対処するべきだと助言しよう。

 

「……もぐもぐ」

 

スプーンを口にくわえてもごもご口を動かしている義勇の姿に幼児の姿を俺は見た。きっと義勇と付き合うには、母親並の寛容さが無ければ駄目なんだと俺は理解するのだった……。

 

 

 

メニュー23 柱合会議の後 飲み会 その1

 

 




冨岡・幼女・義勇はお子様舌。お子様ランチみたいに色々食べれると目を輝かせます、後割りとカワサキさん相手だと喋りますし、言う事を聞きます。次回は飲み会と言う事で、カワサキさんと柱全員を絡めて行こうと思います。

カワサキさんがオラリオにいるのは……

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