【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃   作:混沌の魔法使い

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メニュー23 柱合会議の後 飲み会 その1

メニュー23 柱合会議の後 飲み会 その1

 

 

鬼殺隊の最高位の位である「柱」が集まる柱合同会議の後は、鬼殺隊にとっての重要役職にいる者達が楽しみにしているカワサキの手料理による飲み会が開催される。20歳を越えなければそれに参加できないという鉄の掟があったのだが、その前に殉職するかもしれないと言う言葉にカワサキが折れて18歳から参加出来るようになり、しのぶが初めてで蜜璃が2回目の参加となった。

 

「わあああ……どれもこれも美味しそう」

 

「うむッ! カワサキ殿が夜の為に朝から仕込んでくれているからな!! どれもこれも絶品だッ!」

 

2回目の参加だが、前回は初めて飲む酒に目を回し速攻でダウンした蜜璃は今日はお酒を飲まないで料理を食べると意気込んでいる。

 

「しのぶは初めてだからお酒は控えめにね?」

 

「姉さん、私は元々飲むつもりは無いわ」

 

「あらそうなの?」

 

「……酔い潰れた姉さんを連れて帰るのに、自分が酔い潰れる訳にはいかないわ」

 

最愛の妹からのカウンターパンチにあちゃーっと言う顔をするカナエだが、事実何度も迎えに来ている訳でカナエは何とも言えない顔をする。

 

「じゃ、僕はこれで。兄さんが待ってるから」

 

「おう、気をつけて帰れよ。時透」

 

「ん、じゃ、また」

 

14歳の無一郎は当然参加は出来ないので、カワサキの手作りの5段重ねの特製弁当を抱えるんるん気分で帰宅していく。

 

「なんだ、まだ始めてなかったのか」

 

「はい、父上が来るのをお待ちしておりました」

 

「そんな事を気にしなくても良いんだがな」

 

柱の地位は引退し、甲階級に戻った槇寿朗だが、その発言力は柱の時と変わらず、むしろ修錬担当を始めた事もあり前よりも遥かに発言力は増している。

 

「余り飲みすぎるなよ。義勇、お前は酔うと皆に迷惑をかける」

 

「……気をつける」

 

「鱗滝、迷惑をかけるのは冨岡だけではないから気にするな、俺達は飲み会の後の悪夢には慣れている」

 

「……すまねぇ」

 

泣き上戸の実弥と絡み酒の義勇。飲み会の最中に起きる地獄もある意味1つの名物であり、いつも後始末に借り出されている小芭内の言葉に実弥は頬をかきながらすまねえと謝罪する、これもいつものやり取りなので気にするものはいないが、いつも殺伐とした時を過ごしているだけにこうして僅かな時間でも気を緩めることが出来る時間と言うのは貴重だ。

 

「それじゃあ皆揃ったみたいだし、始めようか」

 

産屋敷耀哉の合図で柱達による飲み会が今日も始まるのだった……。

 

 

 

 

 

産屋敷の屋敷を2部屋使った宴会場は机が3つくっつけられていて大量の料理が置かれている。

 

「あーこれ癖になるんだよなあ……」

 

「判る。これは日本酒に合うんだよなあ」

 

「すげえ地味なのになッ!!」

 

料理は大きく分けて2種類、酒の摘みになるものとガッツリと腹に溜まる料理だ。その中でも俺と鱗滝が口にしている塩もみキャベツは取り分け地味なもんだが、これがまた酒に合う。キャベツを口にして、その塩味を楽しみ甘めの日本酒で口の中を洗い流すって言うのはまた乙なもんだ。

 

「かーっうめえッ! しかし、本当に塩だけなのになんでこんなに美味いのかねえ」

 

「何かコツがあるんだろう、俺も何度か試したが、この味にはならなかった」

 

「そうなんだよなあ……これマジでどうなってるんだろうな」

 

まきを達に何度か頼んでみたんだが、酒のつまみとしては悪くないんだが、どうしてもカワサキの味には程遠い。

 

「うむ、美味い」

 

悲鳴嶼さんは刺身を口にして日本酒を口にしているのを見て、俺も刺身に視線を向ける。

 

「お、鮪があるじゃねえか、貰っとくか!」

 

普段は鮭や烏賊、蛸と言う品揃えだが今日は鮪がある。これは早めに確保しておかないと食いそびれると取り皿に鮪の刺身を確保する。

 

「お館様もどうぞ」

 

「やあ、悪いね、天元」

 

カワサキが1ヶ月に1回作る黄金の汁――ド派手でそして具材もないのに美味いそれを口にしているお館様は歳を重ねるごとに健康になっているように思う、カワサキの料理には不思議な効果があるのは知っているが、ここまで変わるのを見ていると正直驚きが隠せない。

 

「師範、大師範、ご飯大盛りでいいですか?」

 

「「ああ、それで頼む!!」」

 

「はいッ!!」

 

……煉獄親子はいつも通りだが、甘露寺の奴はあれは盛りすぎじゃないか? 寿司飯を山盛り盛り付けて、醤油につけて刺身をどんどん盛り付けている3人……普段は2人なんだが、3人になるとまた見た目が凄いな。

 

「ふっふっ、うん。美味い」

 

「なんだ、なんだ、伊黒。そんな地味な物を食ってないで、もっと美味い物を食えよ」

 

「地味だと? 宇髄貴様は馬鹿か? カワサキさんが自分で釣って来た最高級の鰹に北海道の昆布で作った出汁の湯豆腐は絶品なんだぞ。これを作るのにどれだけの手間が掛かっているのかお前は判っていない」

 

「ああ、悪かった悪かった。俺がぜーんぶ悪いッ! だから酒呑みの場で説教はやめてくれ」

 

カワサキを馬鹿にするとムキになる伊黒に悪かったと謝っていると胡蝶姉妹が口元に手を当ててくすくすと笑う。

 

「天元君が悪いわよ、これすっごく美味しいんだから。地味って言ってないで食べてみたら?」

 

「ポン酢で食べると美味しいですよ」

 

胡蝶姉妹に進められ、普段は口にしないが湯豆腐を初めて口に運んだ。

 

「うお、うめえッ! 地味なのに美味いな」

 

カワサキの料理が美味いのは判っているが、こんな地味な料理でも他の店とは一線を画している。本当にカワサキは素晴らしい料理人だと思う、だが俺達はカワサキの事を知らないのでは? と逆に思う。今日は酒の場だから酔った振りをしてカワサキの話を聞いて見たいと思う。鬼殺隊に来るまでにカワサキがどんな日々を過ごしていたのか、それを聞き出すことを想像し、俺は小さく微笑むのだった。

 

 

 

 

柱合会議の後の飲み会に俺は何度も呼ばれていたが、水柱は義勇なので断り続けていたが前々回から参加するようになった。それは義勇は酒癖が悪く、酔い潰れるとめんどくさいから止めに入るようにと言われたからだ。

 

「義勇、鮭ばかりを食うな」

 

「……ん、判っている」

 

表情はいつものように無表情だが、俺には判る。皆でわいわいと食事をするのを楽しんでいると……こういう時ほど羽目を外しかねないので、良く見ておかなければならない。

 

「おい、冨岡。檸檬くれ」

 

「……ああ」

 

檸檬を受け取り唐揚げに……そこまで見たところで俺は不死川の腕を掴んでいた。

 

「んだよ、鱗滝」

 

「唐揚げ全てにレモンの絞り汁をかけるな」

 

「ああ? 檸檬の汁をかけりゃあさっぱりと食えるだろうが」

 

「……余計なお世話だ。自分の食べる分だけにしろ」

 

「てめえ、俺の気遣いを無碍にするのか?」

 

「それは気遣いでは無い、迷惑だ」

 

唐揚げの醤油とにんにくの強い味に檸檬の絞り汁をかけるのは愚の骨頂! もしも檸檬を掛けたいのならば自分だけにしろと不死川の腕を掴みながら言う。

 

「不死川よ、人それぞれ好みは違う。そう、私が塩で食べるように」

 

「「塩ッ!?」」

 

悲鳴嶼さんが唐揚げに塩をつけて食べているのを見て、俺達は思わず悲鳴嶼さんを見てしまった。確かに、し、塩をつけている。た、確かに人それぞれ好みは違う。

 

「杏寿郎、しょうがを取ってくれ」

 

「よもや!? 父上、海鮮丼にしょうがを使うのですか!?」

 

「合うぞ。京都の藤の家で頂いたのだが、このように厚切りの刺身にはしょうが醤油も良く合う」

 

「よもやよもや……」

 

「……ちょっと試してみようかしら……」

 

食に対してうるさい煉獄様が仰るのならばしょうが醤油もきっと刺身に合うのだろう。

 

「え、しのぶ……それ大丈夫なのかしら?」

 

「凄く美味しいわよ、姉さん。姉さんも食べる?」

 

「わ、私は、え、遠慮しておこうかなあ……」

 

胡蝶妹が赤い汁に肉をつけて食べているが、あれは赤茄子とかそういうものじゃない。カワサキさんが好んで作るが、誰も食べることの無かった辛い汁ッ!? ま、まさかあれを食べる人間が居るとは……。

 

「錆兎、不死川……」

 

「冨岡……いや、悪いな。ありがとよ」

 

「すまん」

 

かつて些細な事で不死川ともめた時に食べた赤いうどんの事を思い出し、喉を押さえていると義勇が酒を入れて差し出してきた。それを受け取り甘めの日本酒を口にすることであの時の痛みを忘れる事ができた。

 

「すまん、言い過ぎた」

 

「いや、俺の余計な気遣いだった」

 

不死川と謝罪しあっているとカワサキさんが大皿を手に広間の中に入ってきた。外から漂っていた香ばしい香りと焼ける匂い……これを来るのを全員が待っていたのだ。

 

「やぁ、カワサキ。今日は随分と時間が掛かったね」

 

「人数が人数だからな。お待たせ、焼き鳥だぞー」

 

あのお館様ですらそわそわと待っていたのだ。焼き鳥を皆がどれだけ楽しみに待っていたのかが良く判る。

 

「おお、待ってたぜカワサキさんッ! やっぱり飲み会の時はそれだよなあッ!!」

 

「うむ、酒は飲まなくてもそれを食べなければ柱合同会議が終わったと言う気にならないのだッ!!」

 

「わぁッ! 前は全然食べれなかったから楽しみにしてたのー」

 

「本当ですね。飲み会に出る前はこれの丼が楽しみだったんですよね。甘露寺さん」

 

「俺も酒を飲める歳になる前はこれが楽しみだったんだ」

 

高級な若鶏をたっぷりと使った焼き鳥を前に流石に皆も興奮した面持ちだ。

 

「ああ、これを待っていた甲斐がある」

 

「酒は焼き鳥と共にするのが一番だ!」

 

悲鳴嶼さんと煉獄様が食べていた皿を片付け、自分達で持ち込んだ日本酒を机の上に置くのを見れば、この為だけに高級な酒を用意したのが良く判る。

 

「鱗滝、手伝え。置き場所を作るぞ」

 

「刺身に唐揚げ、鍋も美味かったが、やっぱり焼き鳥だよな」

 

「おい、冨岡、いつまでも食ってるんじゃねえ。少し整理するぞ」

 

「……ごくん、判った」

 

机の上で皆で片付けながら焼き鳥を置く準備を始めるのを見て、俺もそれの手伝いを始める。

 

(唐揚げも水炊きも美味かったが……やっぱりこれだな)

 

飲み会の時に出てくる甘辛いタレの焼き鳥……それを待っていたとあちこちから歓声が上がるのだった……だが俺達は何も知らなかったのだ、宇髄がこの飲み会でカワサキさんがどんな風に過ごしていたのかを尋ね、その中にとんでもない地雷が潜んでいると言う事を俺達は知らなかったのだった……。

 

 

 

メニュー24 柱合会議の後 飲み会 その2へ続く

 

 




今回は食事回と言うよりも会話回なのでやや短めの話になりましたが、次回はカワサキさんも含めてもっと話のボリュームを増やして行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

カワサキさんがオラリオにいるのは……

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