【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃   作:混沌の魔法使い

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メニュー28 餃子

メニュー28 餃子

 

 

基本的に俺の店って言うのは隊士や、柱、そして隠の都合で朝早くから、夜遅くまでだ。俺自身は維持する指輪【リング・オブ・サステナンス】を装備しているので基本的に不眠不休だし、食事を取らなくても平気だ。事実、槇寿朗が柱の時代はぽっと出の俺が気に食わないって言うんで、朝早くから深夜までひっきり無しにやってくる隊士とか柱もいた。だが俺があんまり平気そうなんで、それこそ毎日になったが、維持する指輪【リング・オブ・サステナンス】がある俺と普通の人間では、どっちに軍配が上がるのなんか明らかだし、更に言えば槇寿朗や、左近次によって情けない真似をするなと言う一喝もあり、そんな子供染みた嫌がらせも無くなっていた。そして次の世代――つまり行冥達の時代となると、今度は俺を労わる人間も出てきて、休憩時間なんて物も設けられたし、早朝すぎるのと、深夜になる場合は事前の連絡が必要と色々と俺の都合も考えた決まりも自然と増えてきた。それだけ鬼殺隊に馴染んだのかなとか思いながら、立ち上がり店の扉を開ける。

 

「「「あ……、こ、こんにちわ」」」

 

「おう、カナヲにえーっと……きよ、すみ、なほだったよな? どうかしたか?」

 

店の外で話し声がするからどうかしたかと思いながら扉を開けると蝶屋敷3人娘としのぶの継子のカナヲがいた。あわあわしている4人にとりあえず、中に入れよと声を掛け店の中に招き入れた。

 

「ほい、麦茶」

 

「す、すいません」

 

「その休憩中だったのに……」

 

「ごめんなさい……」

 

俺が休憩中だったと知っていたのか申し訳なさそうにしているきよ達に気にする事はないさと笑い、俺も麦茶を口にした。

 

「それで何か用か? お弁当とかそういうのか?」

 

蝶屋敷にお弁当や、バランスの取れた食事を運ぶのは実際に良くあるし、今回もその口だと思っているとコインを弾いたカナヲがそれを空中で掴み、表か裏を確認した後ににっこりと笑った。

 

「師範に、少しでもお肉を食べて貰える料理を作りたい」

 

「そ、そうなんです! しのぶ様があんまり食事を食べてくれなくてですね!」

 

「か、カワサキさんの所だとちゃんと食べてくれるんですけど」

 

「蝶屋敷だと本当に少しで……心配で心配で、それでお肉なら少量でも力になるってあったので!」

 

「「「「だから料理を教えてください」」」」

 

声を揃えて言う4人に一瞬驚いたタイミングで店の扉が開いた。

 

「す、すいません! 遅れました!」

 

「話は聞いたよ。アオイもまずは水を飲んで落ち着きな」

 

「す、すみません……」

 

アオイも飛び込んできたが、その内容はわかっている。つまりカナエがいないと不摂生をするし、食事も少量のしのぶを心配して、少量でもエネルギーになる料理を教わりに来たとそう言う事の様だ。

 

「よし、判った。良い料理を知っているから、今日の夕食の献立はこれで固定だ。悪いけど、教えてやるけど作るのも手伝ってもらうぞ」

 

俺含めて5人もいるんだ。普段は面倒だから、やらないけど頭数を利用して大量生産しようと思いカナヲ達にそう声を掛けるのだった。

 

 

 

 

しのぶ様の事が心配になって、カワサキさんの所に押しかけてしまったけど、正直カワサキさんの都合とかを全然考えていなかったことに今更ながらに気付いて申し訳無い気持ちで一杯になったのだが、カワサキさんは笑顔で私達を迎え入れてくれた。

 

「エプロン、手洗い、三角巾はOKだな。じゃあ、早速始めるか」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

蝶屋敷で働いているので、私達は当然料理の前に必要な準備や手を洗うことの大事さを知っている。カワサキさんは一応私達の恰好を確認してからOKっと笑い。アオイさんとカナヲさんと比べて背の低い私達の為に踏み台を用意してから調理を始めてくれた。

 

「今回作るのは餃子って言う中国の料理だ。ボウルに強力粉、薄力粉を200gずつ、そこに小さじ4分の2の塩を入れて菜箸で混ぜ合わせる」

 

カワサキさんの教えてくれた分量を計り、私達の前に1つずつおかれたボウルに強力粉、薄力粉、塩を加えて言われた通り混ぜ合わせる。

 

「これで何人前くらいなんですか?」

 

「料理自体は1人前は大体6個だ。それで今の分量で1人頭大体50個くらい作れるから、単純計算で250個くらいだから、41人前くらいだな」

 

「……全然足りない?」

 

「そうだ。全然足りない。だからたくさん作るぞ」

 

41人前なんて量では隊士の皆にも、柱にも、隠の皆の分にも届かない、判っていた事だけど、カワサキさんが普段全員分の料理を注文を受けてから作っていることの凄さが判る。

 

「良く混ぜ合わせたら、少しずつボウルの中に熱湯を入れて混ぜる。一気に入れるなよ? こういう風に少しずつ加えるんだ」

 

カワサキさんのボウルを見ると、ぽろぽろの玉の形になっていた。同じ様になるように少しずつ、少しずつボウルの中にお湯を加えて、ゆっくりゆっくり混ぜ合わせる。

 

「こ、こんな感じかな?」

 

「もう少し少しで良いんじゃないかな?」

 

「にこにこ」

 

「良し、出来た」

 

皆でわいわいしながら生地を練り上げているとカワサキさんからストップの声が掛かった。

 

「ある程度だまになったら、こうやって捏ねて一纏めにする。ボウルの中の粉を全部取ったら、台の上でこうやって滑らかになるまでこねる」

 

ぐっぐっと力を入れているカワサキさんの真似をして、生地を練り上げる。

 

「こんな感じですか?」

 

「もう少し滑らかになるまで、アオイの奴くらいになるまでだな」

 

アオイさんのが上手に出来ていると言われ、それを見本にして生地を練り上げる。

 

「よし、そんな感じだな。そしたら今度は半分にして、細長く丸める。んで、トレイの中にいれて濡れ布巾をかぶせて四半刻生地を休ませる」

 

綺麗に丸くしてから、半分に切って細長く丸める。そしてその上で生地を休ませる――1個の料理でこれだけの手間が掛かっているんだと驚いた。

 

「寝かせている間に種を準備するぞ。キャベツとニラを粗みじん切りにする、あんまり細かくすると食感が悪くなるから本当に荒く、こんな感じでいいぞ」

 

生地を作り終えたらすぐに次の工程に入る。カワサキさんが貸してくれた包丁を受け取り、山のような材料を切り始める。

 

「いつもこんなに?」

 

「今日はそんなにじゃないぞ? カレーとかを作る時は大鍋で3つくらいだからもっと沢山だし、食材も多い。今日はキャベツとニラだから少ない方だな」

 

「これで?」

 

「これで。まぁ、鬼殺隊の食事を全部任されている訳だからな。下拵えだけでも大変さ」

 

そう笑うカワサキさんだが、その顔に嫌そうな雰囲気はまるで無く、むしろ楽しんでいるような雰囲気さえあった。

 

(カワサキさんって凄い……)

 

何時どんな時も笑顔で迎え入れてくれて、食べたい料理を作ってくれる。カワサキさんの凄さと言うのが一緒に料理していると本当に良く判る。

 

「刻み終わったら、豚挽き肉をボウルの中に入れて塩・胡椒を入れて、醤油、みりん、調理酒、おろしにんにくとしょうがを入れて捏ねる。まだへばるなよー種を作れば、後は少し落ち着くからな」

 

「「「「「……はい」」」」」

 

私達に最初の元気は無く、疲れ始めているがカワサキさんは平気そうに料理を続ける。カワサキさんの説明と手元を見ながら、必死についていく。

 

「粘りってこんな感じですか?」

 

「そうそう、粘りが出てきたらここに刻んだキャベツとニラを加えて良く混ぜる」

 

挽肉の冷たい感触が少し気持ち悪いと思いながらこねて、粘りが出てきたらさきほど一生懸命刻んだ野菜を加えて混ぜ合わせる。

 

「野菜がたくさんなんですね」

 

「粗みじん切りにすることで食感と焼いた時に水が出るから、肉汁が多くなったように感じられて美味い。それとあんまり肉料理って感じがしなくて食べやすいんだよ」

 

食べてしまえば一瞬で無くなってしまう料理にも凄い工夫があるんだなと思い、私は一生懸命種を混ぜ合わせるのだった。

 

 

 

 

か、かなり大変な作業でしたね……でもこうやって1回作った分だけでは当然足りないので、カワサキさんの凄さと言うのを改めて感じる。

 

「生地をこれくらいの大きさで切って、麺棒で伸ばす」

 

「「「「「え?」」」」」

 

小さい生地が一瞬で皮になって私達が驚いているとカワサキさんは悪い悪いと笑った。

 

「悪い、いつもの癖でな。こうやって、まず縦に伸ばす。今度は生地を回転させてまた伸ばす、するとこうやって綺麗な丸になる」

 

なるほど……ああいう風にすると綺麗に丸に出来るんですね。カワサキさんの真似をして、小さな麺棒で生地を丸く伸ばす。

 

「伸ばし終わったら打ち粉をする。そうすればくっつかなくなるからな」

 

「「「「「はーい」」」」」

 

カワサキさんの言葉に返事を返し、麺棒で生地をどんどん伸ばして皮にする。打ち粉をして、くっつかないようにして台の上に並べる。

 

「まだ生地は残ってるけど、次の工程を説明しよう。生地をこうやって手の上に乗せて、匙でさっき作った種を乗せる、少し少なめにするのがコツだ」

 

生地をある程度作ったところでカワサキさんが生地を作る作業を1度止め、私達の目の前で生地を手の上に乗せて、匙で少しだけ種を乗せる。

 

「そんな少しで良いんですか?」

 

「多いと破けてしまうから少し少ないくらいの方が作りやすいんだ」

 

「そうなんですか」

 

「面白いですねー」

 

たくさん作った種だけど、使う量はあんまり多くないんだと思いながら匙でカワサキさんの真似をして、少しだけ生地の上に種を乗せる。

 

「種を乗せたら、指先に水を付けて、生地の縁を濡らす。生地を半分に折ったら、こうやってひだを作る」

 

カワサキさんの大きな手がその大きさからは信じられないほど繊細な動きをして形を作った。

 

「……」

 

「凄い……」

 

「あれ? あれ?」

 

「う、うーん?」

 

カワサキさんの作り方を見ていたはずなのに、上手く作ることが出来ず、きよ達と一緒に唸っているとじっと見つめていたカナヲだけが、カワサキさんと遜色ない餃子を作って見せてくれた。

 

「すごい! カナヲさん、1回で出来たんですね!」

 

「よーし、私も頑張るぞー!」

 

「頑張ります!」

 

カナヲが出来たんだから、私達も出来ると気合を入れて皆でわいわいと試行錯誤しながら餃子作りを続ける。

 

「……あの? まだですか?」

 

「まだまだ」

 

「た、大変なんですねえ」

 

「つ、疲れました」

 

昼少し過ぎに来たんだけど、夕暮れ時になってもまだ終わらない。山のような餃子を見て、そろそろ終わりかなあ? と思い始める。こういう時無言でもくもくと作り続けるカナヲが凄いなあと思いながら餃子を作る。そしてそれから半刻後、カワサキさんから終わりの声が掛かった。

 

「よし、じゃあ、最後に焼き方を教えるな? 鉄鍋にごま油を入れて、その中に餃子をこうやって丸になるように並べる。これを強火で焼く」

 

「「「「「うんうん」」」」」

 

ごま油の香りでお腹が空くなあと思いながらもカワサキさんの手先に視線を集中させる。

 

「焼き色がついたら、水を入れて蓋をして蒸し焼きにする。水気が無くなってきたら、皿を鉄鍋に被せて引っくり返す!」

 

「「「「「おおーーッ!!」」」」」

 

こんがり焼き色のついた餃子に思わず歓声が上がった。カワサキさんはそんな私達を見て、柔らかく笑った。

 

「味見してみるか?」

 

「い、良いんですか?」

 

「良いさ、頑張って作ったんだからな。ちょっと待てよ、すぐ酢醤油を用意するから」

 

言うが早く用意された5人分の小皿に酢醤油と焼きたての餃子を見て、思わずごくりと唾を飲み込んだ。

 

「「「「「い、いただきます」」」」」

 

「はい、召し上がれ」

 

箸を手にして、自分達で作った餃子を口に運んだ。ぱりっと言う香ばしい食感と生地の中から溢れだす肉汁――。

 

「「「「「美味しいです!」」」」」

 

「それは良かった。後でしのぶとカナエに作ってやれよ」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

焼いてない餃子を7人前風呂敷に包んでもらい、私達は早足で蝶屋敷へと引き返して行くのだった。

 

「たまにはこういうのも悪くねえなあ」

 

そして残されたカワサキはアオイ達とわいわいと楽しく料理をしたのも悪くないと笑い、手早く中華スープと中華サラダの準備をする。

 

「カワサキ殿! 今帰りました! 夕食を!」

 

「おかえり、杏寿朗。今日は餃子と中華スープだ、ご飯は炒飯か白米だ」

 

「山盛りの炒飯でお願いします!!」

 

元気の良い杏寿朗の声に返事を返し、カワサキは炒飯の準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

カナヲたちの姿がないなあと思っていたら、まさかカワサキさんの所に料理を教わりに行っているなんて夢にも思っていなかった。

 

「これだけ皆に心配をかけてるのよ? もう少しちゃんと食事をするのよ?」

 

「は、はい。姉さん……それに皆、ごめんなさい」

 

私が食欲が無いのに気付いて、行動に出たアオイ達にありがたいと思うのと同じくらい申し訳無い気持ちで一杯になった。

 

「ちゃんとご飯を食べてくださいねー」

 

「無理をしないでくださいね」

 

「頑張って作りました」

 

「私達も食べましたけど、美味しかったですよ」

 

「にこにこ」

 

こんがりと焼かれた餃子と吸い物と漬物が並んだ御前を前に皆で手を合わせていただきますと言って、箸を手にする。

 

「ん、美味しい。皆頑張ったのね」

 

「カワサキさんが色々教えてくれたんですよ」

 

「凄く美味しいです!」

 

見た目も綺麗だし、食欲をそそる黄金色。姉さんが美味しいと言っているのを見ながら私も餃子を口に運んだ。焼きたてなので熱いが、その熱さが心地よく、噛み締めるとパキッと言う香ばしい音が響いた。

 

「美味しい。皆頑張ってくれたんですね」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

野菜のしゃきしゃきとした食感と挽肉の脂。それが口の中で一杯になるが、決して脂っぽい訳ではなく、肉料理と言うよりかは野菜を使った料理と言う感じがする。酢醤油の酸味と醤油の味が丁度良く、肉の脂をさっぱりと食べさせてくれる、そして米が自然と食べたくなり、口の中が重くなったら、漬物で口の中をさっぱりとさせる。

 

「美味しいですか?」

 

「頑張ったんです、しのぶ様が美味しく食べれるようにって」

 

「大変だったけど、しのぶ様に喜んでもらえるように頑張ったんですよ」

 

美味しいですか? と口々に尋ねてくるきよ達に私は心からの笑みを浮かべた。

 

「うん。凄く美味しいです、本当に皆ありがとうございます」

 

皆が作ってくれたという事にお腹だけではなく、心まで満たされる。本当に幸せな楽しい食事の時間を過ごす事が出来た事もあり、普段よりも少し多めに食事を口にしてしまったが……こんなにも楽しくて幸せな食事ならば、私も皆と同じ量が食べれそうだとおもうのだった……。

 

 

メニュー29 鬼特攻秘密兵器作成計画 へ続く

 

 




蝶屋敷組みの少女達のきゃっきゃうふふを目標にしましたが、こんな感じでいいんですかね? ちょっと不安ですが、かなり頑張ってみました。次回は少しギャグテイストの飯を食えを書こうと思いますので、どんな話になるのか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

カワサキさんがオラリオにいるのは……

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