【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃 作:混沌の魔法使い
メニュー29 鬼特攻秘密兵器作成計画
おーし、今回の任務に参加する隠は全員揃ったな。今から黍団子と煎り豆を配るぞー
あん? おやつ? 違うわボケえッ!! これはな、俺達隠の生存率を飛躍的に高めてくれるお守りだ。
聞いたことあるだろ? カワサキさんが西洋の呪いに長けているって。それで、俺達の脚力とかを高めてくれる呪いをかけてくれたのがこれだ。
呪いの料理を食べて大丈夫かって? ……んなもんは知らん。呪われようが、鬼に殺されるか、喰われるよりかはましだよな、皆。
おおおーーッ!
つう訳だ。それに、俺達はこれを何回も食べているが、これと言った……んん? おい、お前隠じゃねえなッ! お前隊士だろ! 隠の服を着て何やってるッ!? 馬鹿かッ!?
あ? 隠の出立時に配られる料理を知りたかった? 馬鹿か!? いや、馬鹿だな! てめッ! 帰れー! これは人数分しかないんだよッ!
ああッじゃねえッ! これはな、鬼に食わせれば毒として効果があるんだ。文字通り俺達隠の生命線なんだよ! 判ったかッ!!
隊士だからってなぁ! 我侭が…こら!逃げんなあッ! 後で絶対炎柱様に報告するからなぁッ!
覚えてろッ! このクソアマーーーーッ!!!
お館様に提出した書類――それがめくられる音を聞きながら、私は正座しお館様の返答を待ち続けた。カワサキさんが作ってくれる料理には不思議な効果がある。これを上手く使えればと思っての嘆願書――お館様の了承さえ得られればと思い、お館様の返事を待つ。
「しのぶ…これは多分無理だね」
「……何故でしょうか?」
「カワサキの料理に関する矜持は凄く強い。毒入りの料理を作って欲しいなんて言うと、前みたいなことになってしまう」
「前とは?」
「うん、以前カワサキの料理に毒物を混入しようとした隊士がいてね。カワサキが激怒したんだ……柱を何人投入しても止めれなくてね。本当に大変だったんだ。
だから毒の料理というのは許可できない。だけど、隠に不思議な効果のある料理を作って貰うように頼むのは良いと思うよ。そっちに関しては許可をしよう」
本命である毒の料理は駄目だったけど、隠に食べさせる料理についての許可を頂けた事に頭を下げ、私はお館様の屋敷を後にし、カワサキさんの店に足を向けるのだった。
「黍団子と煎り豆に足が速くなるとかの効果を?」
「出来ますか?」
「そりゃまあ、出来ない事はないぜ? でも良いのか? 俺が鬼だ、血鬼術を使っていると言う話を再発させる事になると思うけど…」
カワサキさんの料理によって齎された不思議な効果を鬼だ、血鬼術だと言ってカワサキさんを排除しようとした柱や隊士、育手の件は非常に有名だ。だけど、呼吸を十全に使えない隊士や隠にとって、カワサキさんの料理は救いとなる。
「今はそんなことを言う人はいませんし、槇寿朗様や、煉獄さん、伊黒さん、それに行冥様もいらっしゃいますから」
「まぁ……そうだわな。ん、判った。黍団子と煎り豆だな、今度色々と作っておくよ」
「すいません、ご迷惑をおかけします」
童謡で出てくる黍団子と煎り豆――これならばもしかすると毒として作ろうとしなくても、鬼にとっては猛毒…いや、致命的な弱点になるかもしれない。そう思いカワサキさんに黍団子と煎り豆で隠の為の料理を頼み、その日は帰る事になった。カワサキさんから試作品が出来たと言うのは私が頼んでから5日後の事で、任務の後にカワサキさんの店に立ち寄って驚いた。
「こんなに用意してくれたんですか?」
「いやさ…黍団子があんまり美味くなくてなあ…色々試してみたんだ。味見してくれると助かる」
黍団子だけで何種類もあり、忙しい最中にこんなにも色々用意してくれたカワサキさんに申し訳無いと思い、試食なら幾らでも協力しますと告げて椅子に腰を下ろすのだった。
黍団子の作成を頼まれた俺はすぐにレシピや黍団子に付いて調べた。童謡等では聞いたことがあるが、黍団子なんて作った事が無かったのだ。そして調べた結果判ったのが、黍団子の原材料は餅黍と言う雑穀で黄色いのが特徴であると言うこと、アワやヒエより少し大きめだが、もち米よりは少し小さいという種類の雑穀らしい。そして黍団子のレシピも色々あり、それらを全て試してみる事にしたのだ。
「うーん……同じ原材料でも大分変わるな」
黍団子の作り方としては大きく分けて3種類あることが判った。スタートは水洗いし、水を十分に吸わせるというのはもち米と共通だが、そこから作り方が分岐していくのだ。
1つは黍粉を作り、良く乾燥させてから上新粉と混ぜ合わせる方法。
1つは黍粉を作るのは一緒だが、水挽きして適度な水分を残した物に砂糖を加えながら練り上げる方法。
1つは餅黍を炊いて、粘りが出るまで潰し、上新粉で作った蒸した団子の周りにコーティングする方法だ。
三者三様の作り方で、ぱっと調べた段階でもかなり味や食感に変化が出ると思われる。
「隠が食べるとなると、やっぱり食べやすいほうがいいのかねえ」
任務の中で食べるとなると、一般的な方法であるきな粉を塗すという方法は余り適していない。粉物なので喉に張り付くし、下手をすれば咳き込む可能性がある。黍自体に味を付けるか、中に少量の小豆を包み込む方法が食べやすい筈だ。
「さてと。まずは……うん、良い具合に乾いてるな」
昨日の夜に挽いて乾かしておいた黍粉を手に取り、上新粉と混ぜ合わせる。ここで砂糖と、隠し味程度の少量の塩を加え、水を少しずつ加えながらヘラで練り合わせる。
「餡子を入れて蒸してみるのと、茹でて見るのと、電子レンジを使うか」
この時間帯なら誰も店に来ないので、アイテムボックスから電子レンジを取り出して、水を多めにした物をその中に入れて加熱する。
「ん、んー…こんなもんか」
何回か加熱して混ぜ合わせるを繰り返し、打ち粉をした作業台の上に出して、細長く形を丸め、餡子を入れて蒸す物と、電子レンジで加熱し、餡子を中に包んだ物の3種類をまず作ってみる。
「……ん、んんー…食べる分には――うん、問題はないか」
蒸した方が若干ぱさついているが、蒸し団子と考えれば十分な物だ。一口で食べる分には食べやすい、少しばかり喉が渇くが…まぁ、これは十分に妥協範囲だろう。
「こっちは駄目だなあ……味はいいんだけどなぁ」
電子レンジで作ったほうはモチモチとしていて、餅として十分に美味い。だがモチモチしている分喉に絡みやすく、若干の食べにくさがある。
「……味気ねえ……」
そして中に餡子をいれずに砂糖と餡子の代わりに水飴を混ぜ込んだ方はやや固く、餡子も入ってないので味も素っ気も無い。こう、良いも悪いも非常食という感じの味だ。
「1回しのぶに味見して貰うとして……黍粉と上新粉を混ぜた方は蒸した方が良いかもな」
とりあえず保存を掛けておいて、出来たての状態で保存する。そして次に混ぜ物無しの黍粉だけの物を作ってみる。
「んんッ! こんなもんだな」
水挽きした餅引きをさらしで包んで水気を絞る。ここで完全に絞りきると固まらないそうなので、水気をほどほどに残して砂糖を加えた物と砂糖と水飴を加えた物の2種類を作る。
「えっと…これは円盤状にするのか」
10円玉の大きさくらい細長く丸めたら切り分けて沸騰したお湯の中に入れて茹でる。浮き上がってくるまでの間に氷水を用意して、浮かび上がってきた物を掬い氷水の中で〆て水気を切る。
「……ん、こっちは思ったより食べやすいな。甘さも十分っと」
思ったよりモチモチしているのと餅黍本来の甘さが砂糖で際立っている。それに薄く丸めているから持ち運びもしやすいし、1口サイズのも良いだろう。
「あまぁ……失敗だなあ」
砂糖と水飴の組み合わせは甘すぎだ。強烈に喉が渇いたので水をがぶ飲みして失敗の文字を書いた紙を貼り付けておいた。
「好きな奴は好きかもしれんが、俺には駄目だな」
甘党には喜ばれる可能性はあるが、とりあえず俺の口には合わないので失敗扱いとする。
「最後だな」
最後に餅黍を炊いていた物を取り出してすりこぎ棒で潰す、粘りが出てきたら潰すのをやめて、上新粉に少しずつお湯を加えて練り上げる。
「良し、こんなもんだな」
ある程度纏まった所で1口大に千切って、蒸し器の中に入れて蒸し上げる。
「あちちち」
蒸し上がったら熱いまま餅黍の中に入れてすりこぎ棒で突きながら混ぜ合わせ、餅黍と上新粉の団子を1つに纏めたら1口サイズに千切って中に餡子を入れて丸める。
「よし、こんなもんだな」
1口サイズの食べやすい団子を幾つも作り、生地が無くなった所で1つ摘んで頬張る。
「……俺的にはこれだな」
弾力、餅黍の甘さと食感。食べる上と持ち運ぶ上でこれが1番食べやすいと思うが、現場の人間に食べて貰わない事には判らないのでしのぶに任務の後に尋ねてくれるように手紙を届けてくれと鎹鴉に頼んで、大きく背伸びをする。
「カワサキさーん! カツ丼、煉獄盛りでお願いしまーす!」
「カワサキ殿! カツ丼、煉獄盛り!」
「あいよー、今準備するぜー」
杏寿朗と蜜璃の声にそう返事を返し、黍団子を作る前に準備していた牛・豚・鶏のカツを揚げる準備を始めるのだった……。
カワサキさんが用意してくれた大量の黍団子。それを1つずつ口にして素直な感想を口にする。
「これはちょっと厳しいですね」
「やっぱりか?」
「ええ、美味しいんですけど……んんっ、喉に絡みます」
最初に食べた黍団子はモチモチとしていて美味しかったけど、まるでつき立てのお餅の様に弾力と粘りがあって、任務中や緊急時に食べるとなると、残念ながら不適格と言わざるを得ない。緑茶を啜って、ふうっと小さく息を吐いた。
「お店の品としては凄く良いと思いますけどね」
「じゃあ、メニューに追加するかあ。出発前の縁起物って事で」
任務に出て戻らない事は多々ある。故に出発前に縁起物の料理を頼む人は非常に多い、煉獄さん達は鬼に勝つでカツ丼を好み、冨岡さん達は無事に帰ってくるという事で「鮭」の料理など、縁起や験担ぎの品を頼む人は非常に多い。
「ん、んんー? あんまり味がしませんね、これ」
「おう、すげえ味気ないよな。非常食として良いと思うんだけど、どうだ?」
「まぁ、それで考えれば美味しいかもしれないですけど……ちょっとこれは微妙です」
餡子が入っていないのと蒸しているので随分とぱさぱさとした味なのが凄く気になる。
「汁とかの中に入れたら美味しいかもしれないですね」
「砂糖を減らして、塩を入れてみるか? そうすれば野営中の食事にいいかもしれない」
携帯食としておにぎりや干し肉はありますけど、この味気ない黍団子はそういう携帯食には丁度いいかもしれないです。
「うん、これは美味しいですね。硬さも食べやすさも丁度いいです」
餡子を入れて蒸してある黍団子は若干ぱさついていますが、それでも十分に食べやすく粉や手もべたつかないと非常に食べやすい。
「餅黍と上新粉を混ぜた奴だと、それが1番美味い。次は餅黍だけのやつだ」
今度差し出されたのは小さいお煎餅のような1口サイズの黍団子だった。
「これは?」
「水挽きして、水気を切った黍粉に砂糖を加えた奴と、砂糖と水飴を加えた奴。言っとくけど、こっちはめちゃくちゃ甘いからな」
俺は駄目だと眉を顰めるカワサキさんに苦笑し、砂糖だけを加えた奴を摘んで頬張る。混ぜた物と比べるとやや固いという食感ですけど、固さが丁度良く口の中の水分もあんまり取られないので食べやすい。
「あれ? しのぶ? カワサキさんと何を食べてるの? 私も貰っていい?」
「「あ」」
止める間もなく姉さんがカワサキさんがめちゃくちゃ甘いと言っていた黍団子を口にする。
「ん、んー♪ これ甘くて美味しいわねえ。新しいお料理の味見ですか?」
「いや、そういうわけじゃなくて…隠の生存率を上げるお呪い付きの黍団子かな?」
「ああ、桃太郎ですね。験を担ぐのに丁度良いんじゃないでしょうか?」
姉さんとカワサキさんが話をしているのを見ながら、私も甘いと言われていた黍団子を口にする。口いっぱいに広がる濃厚な甘み――下手な甘味屋の料理よりも美味しいだろう。
「だけど、これは駄目ですね」
「んー、食べる分には美味しいんだけどねえ」
これも任務中に食べるには些か甘すぎる。凄く喉が渇いてしまうので、これはカワサキさんには悪いが持ち運ぶには適していないと言わざるを得ないだろう。
「だよなあ、俺もそう思ってる」
「じゃあなんで出したんですか?」
「味見してもらおうかと」
……本当ぶれない人ですね……まぁ、美味しかったんですけどね。持ち運ぶには適していないってだけで不味い訳ではなかった。
「俺としては、これが1番自信作なんだ」
差し出されたのは小さく丸められた団子だった。今まで見た中では1番小さいかもしれない、でもカワサキさんの自信作というのだからきっと間違いではなく1番美味しいだろうと思い姉さんと一緒に口にする。
「「美味しいッ!」」
「あ、やっぱり?」
1番もっちりしているし、黍の味も楽しめる。これが1番美味しいし、それに甘さも丁度良かった。
「これで隠の皆に作ってくれますか?」
「了解。任せておいてくれよ」
にっこりと笑うカワサキさんによろしくお願いしますと頭を下げるのだった。そして1週間後から隠にお守りとして黍団子、そして煎り豆の携帯が義務付けられた、
「え? 鬼が食べたら苦しんで動かなくなった?」
「らしい」
なんでも隠が団子を食べて動きが良くなるのを見て、鬼がそれを取り上げて口にしたら泡を吹いて痙攣して動かなくなったとの事。
「毒じゃないですよね?」
「んなもん入れるか…だが動かなくなったのは確かでな。謎過ぎる……というか、俺としては返却された黍団子をどうするかで頭の中が一杯だよ」
普通に作っただけの黍団子なのだが、鬼が食べて動かなくなった事から人間が食べても大丈夫か? という疑惑が出てきて、返却された黍団子にカワサキさんが頭を抱えていたが、お館様の鬼退治には黍団子、鬼には有毒でも人間には無毒の鶴の一声で再び黍団子が持って行かれ、山積みの黍団子が消えてカワサキさんが心底安堵した表情をしていたのがやけに面白くて、私は声を出して笑ってしまうのだった。
メニュー30 焼肉の日 その1へ続く
鬼殺隊の秘密兵器「黍団子」と「煎り豆」の登場で鬼退治の成功率、隠の帰還率が大幅にアップ! カワサキさん効果の凄まじさですね。次回は焼肉の日と言う事で、「kurogane様」のリクエストの話になります。かまぼこ隊や柱もオールメンバーでわいわいと書いて行きたいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
カワサキさんがオラリオにいるのは……
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間違っている
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