【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃   作:混沌の魔法使い

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メニュー40 カツ丼 煉獄盛り

メニュー40 カツ丼 煉獄盛り

 

カツ丼煉獄盛り――大盛りとか特盛りを超越したデカ盛りメニューと言っても良い。丼ではなく、すり鉢を使い。米はたっぷりと7合を使い、その上に鶏・牛・豚と3種類のカツと半熟卵をたっぷりと掛けたカワサキ特製のカツ丼だ。煉獄盛りと呼ばれるのは槇寿朗、杏寿朗の2人が10杯近くカツ丼をお代わりするから、最初から10杯分で作ったほうが早いという事で作られ、最初はその2人だけが注文していたのだが、後に蜜璃や天元も頼むようになった特別メニューだ。事前にカワサキに連絡しておく必要があるが、連絡さえしておけば到着と同時に提供される。しかも味噌汁と漬物はお代わり自由だ。煉獄盛りを注文する際は出発前か、鎹鴉で要予約というメニューだ。

 

「……無理じゃない? これ人間が食べられる量なの?」

 

「おお、美味そうじゃねえか!」

 

「凄い……ッ」

 

初めて煉獄盛りを目の当たりにした炭治郎達は驚きを隠し切れないでいたが、杏寿朗からすれば定期的に頼んでいる品に過ぎず。いただきますと大きな声をあげ、美味い美味いと叫びながら食べ始めるのを見て、炭治郎達はしゃもじとお玉を使い、取り分けてからカツ丼煉獄盛りに挑み始めるのだった……。

 

 

 

 

カツ丼は勝つで鬼殺隊にとってはとても縁起の良い物だ。出立前にカツ丼を頼む者も多い、かくいう俺も初陣の時はカツ丼を食べて出立したので俺自身もかなり思い入れの強い料理だ。しかし、しかしだ……普通の丼では全く足りないッ!!! これは父上も同じ意見で色々と試した結果俺と父上しか頼まないと言う理由で「煉獄盛り」と言う品が追加された。すり鉢に米を盛り、3種類の肉を使ったカツをこれでもかと使い、半熟卵がたっぷりと掛けられたそれは出立前ではなくとも食べたくなるほどの逸品だ。ただ、作るのに時間が掛かるので、最低でも一刻前に連絡しないと随分と待たされる事になる。

 

「いただきますッ!!!」

 

厨房のカワサキ殿に聞こえるように叫んで箸を手に取る。

 

(さて……どこから攻めるか……)

 

使っているのは3種類の肉、しかし作り方は複数の工夫が施されており、中に大葉やちーずを挟んだ物もある……つまり何が言いたいかと言うと、どこを食べても美味いと言う事だッ! 

 

「美味いッ! うむうむッ!!」

 

最初に手に取ったカツは牛カツだった。歯を跳ね返す強い弾力と、噛み締めると口の中に溢れる肉汁ッ! そして甘辛いタレと卵が絡まっている牛カツは絶品だ。カツを持ち上げた事で見えた米を掬い口に運ぶ。

 

「美味いッ! 美味いッ!!!」

 

炊き立てほやほやの銀シャリは甘みもあって実に美味い! この卵とタレに絡まった米と一緒に食べるのは実に美味い。すり鉢を持ち上げて掻き込みたいという欲求が生まれるが、今持ち上げるとカツが崩れ落ちてしまうので、最初はぐっとそれを我慢してカツを楽しんで食べる。

 

(いやはや、カワサキ殿に叱られたからな)

 

最初は煉獄盛りでもすり鉢を持ち上げて食べていたら俺も父上も叱られた、量が多いから喉に詰まりやすいし、余り一気に食べると良くないとこんこんと説教され、ある程度減るまで持ち上げて食べる事が出来ないように盛り付けられるようになったのだ。

 

「やはりカツ丼は豚肉だな!」

 

脂身と肉の部分の兼ね合いが良い、この食欲を誘う味は本当に最高だ。匙に持ち替えれば米も食べやすくなるが、それではカツが食べにくい。ままならないものだが、これもまた面白い。

 

「うんうん!!」

 

今度は鶏肉だ。皮が取り除かれさっぱりと食べれるチキンカツは牛と豚で重くなった口を1度休ませるのに丁度良い。味噌汁と漬物を追加で口に運び、米を口に運ぶ。どこを食べても美味い、何時まででも食べ続けられる味だ。

 

(さて竈門少年達は食べられるかな?)

 

食べて身体を作るのは新米隊士の基本。特に竈門少年と嘴平少年は柱の食事会に初めて参加して食べきった事もある、食べて力を蓄えて鍛錬を行うことで筋肉を付ける。正直煉獄盛りは3人で食べるのも厳しいが、食べきれるかな? と観察しながらトンカツを頬張り美味い! と叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

カツ丼が鬼殺隊の中で人気の品って言うのは知ってたよ。うん、俺も食べたいって思っていたけど……。

 

「いや無理」

 

「食べる前に諦めるな善逸! 大丈夫! 美味しいから食べられるぞ!」

 

「うっめええええッ! おい、炭治郎。お代わりだ!」

 

「判った!」

 

なんで炭治郎と伊之助はこんなに前向きなの? 俺この山盛りの米とカツを見るだけでお腹一杯だよ。食べ切れなかったらカワサキさん怒るかなあと不安を抱きながらカツを持ち上げる。

 

(もっとこう適量……なら)

 

カツレツ、コロッケ、カレーと言えば3大洋食でどれも食べてみたいなあと思っていたけどさ……量がやばいんだって、俺お代わり出来ないで終わるよ……ごめんね、炭治郎、伊之助。心の中でそう呟いて半熟卵とタレが絡んだカツレツを頬張った。

 

「うっまぁぁいッ!」

 

「五月蝿いぞ! 屑ッ!!」

 

「ごめんなさいねえッ!!!」

 

獪岳から即座にお叱りの言葉が飛んだが、いや、何これッ!? 本当に美味いんだけどッ!

 

「ほわあ……なにこれ、めちゃくちゃ美味しいんだけど」

 

カツレツの衣にタレが染みこんでいて噛み締めると肉汁と共に口の中に溢れる。この甘辛い味と肉の味だけでいくらでも食べられそうだ。

 

(鶏肉だぁ)

 

柔らかく、そして肉汁がたっぷりある鶏肉は本当に美味しい。

 

「鶏肉だけじゃねえぞ、善逸。牛も豚もある」

 

「え、嘘!? どれ?」

 

「知らん! 適当に食え!」

 

このカツ丼の中に3種類もお肉が入っているなんて、なんて贅沢なんだ。

 

「善逸、はい、しゃもじ」

 

「あ、ありがと、炭治郎」

 

手にしている丼は何時の間にか空で、炭治郎から受け取ったしゃもじですり鉢の中からご飯を丼に移して、カツをその上に乗せて食べる。

 

「あれ!? これ違う奴だ!」

 

「だからもっと静かに飯を食え!」

 

獪岳の怒声にごめんねえと謝り、半分だけかじったカツレツに視線を向けた。

 

(うわあ、凄いよこれ)

 

薄いバラ肉を積み重ねて揚げてある、作るだけでも手間だというのが良く判る。しかもこれ、中に大葉が挟んである。

 

(食べやすい!)

 

バラ肉なので脂が多いのだが、大葉などの薬味が挟んであるので見た目よりもさっぱりと食べれる。それにこれは大葉だけじゃない、ほかの物も挟まれていた。

 

(チーズだぁ……)

 

チーズなんて高級品とカツレツの組み合わせなんて美味しいに決まっている。噛み締めるととろとろに溶けたチーズが口の中に広がる。

 

「美味しいなぁ……」

 

こんなに美味しかったら、全然食べられる! 最初の食べきれないで残すかもしれない。残して怒られるかもしれないという不安は何時の間にか消えて、俺も伊之助と競い合うようにカツ丼を食べ始めるのだった……。

 

 

 

 

俺の好きな衣のついてる奴とは違うが、このカツ丼って奴も美味いな! 汁が染みこんでるから衣が柔らかくてうめぇッ!

 

「あぐっ! 美味い! 美味いッ!!」

 

肉も色々使われていて、食感が違ってどれもこれも美味い。ただなんか薄いのが沢山重なっている奴あれはあんまり美味くねえ、柔らかすぎて俺は好きじゃない。

 

「あー! 馬鹿馬鹿、齧った奴を戻すな!」

 

「あんまり好きじゃねえんだよ!」

 

「それでも戻すな! 食べたら最後まで食べる! カワサキさんに怒られるぞ!」

 

カワサキに怒られるぞと善逸に言われ、柔らかくてあんまり食べたくない肉が重ねられた奴も我慢して食べる。

 

(……むう)

 

不味いと言う訳ではないのだ。ただ柔らかすぎて、食べている気がしない。もっとこう固くて、ガッツリしているのが良い。

 

「伊之助、固いのが良いならこれはどうだろうか?」

 

炭治郎がそう言ってしゃもじでカツを持ち上げると、そこにはタレも卵も絡んでいないカツが並んでいた。

 

「良いじゃねえかッ!」

 

汁がしみこんでいるのも美味いけど、少し物足りなさを感じていた。この汁が掛かってないカツを自分の丼に入れて齧り付いた。

 

「美味いッ!」

 

ザクリと言う音が耳に響く、それに歯応えもあるッ! 汁が染みこんでる奴よりも美味いッ!!

 

「ええ、カツは汁が染みこんでる方が美味しくない?」

 

「うるせえぞ! 紋逸! 俺はこのざくざくの方が好きなんだ!」

 

半熟のとろとろした卵が絡んでいる米を掻きこみ、歯応えの強い衣のカツを齧る。

 

「おお、これなら重なってるほうもうめえ!」

 

さっきは柔らかすぎて美味くないと感じたが、衣がざくざくとしていれば重なっているカツもめちゃくちゃ美味い。

 

「駄目だぞ、伊之助。野菜もちゃんと食べないと」

 

「そだな! カワサキに怒られちまうぜ!」

 

カワサキが作ってくれる料理は食べるだけでほわほわして、とても幸せな気持ちになる。だけど栄養? ばらんす? とかよく判らないが、野菜もちゃんと食べないと怒られるので汁を吸って色が変わっている玉葱だけで飯を食う。

 

「おお、これだけでも美味いぞ!」

 

「いやいや、カツ温存しなくて良いから! もっとカツ食べて!?」

 

善逸がカツを食えと言うが、汁が染みこんでいる玉葱が美味い。卵が絡んでいる米と口に運び、味噌汁と漬物を食い、カツを少し齧る。

 

「がはははッ! 美味い! 美味いぞッ!!!」

 

肉だけを食べているのとは違う、野菜で口の中がさっぱりしてどんどん食べられる。米を自分の丼の中に移し、カツを齧り米を食う。俺の手は止まることを知らず、カツ丼を食べ続けるのだった……。

 

 

 

 

3種類の肉と衣が柔らかくなるまで煮られていたカツ、さくさくのカツ、肉を重ねたカツと更に3種類――それは飽きさせない工夫というのは俺にも判った。だけど、飽きさせないと言う事と腹具合は全くの別問題だった。

 

「うぷ、ごめん。たんじろー、俺もう食えない」

 

「げふ……俺様もだ」

 

「ふ、2人とも……ありがとう。後は俺が頑張るよ!」

 

後ほんの少し――大盛りのカツ丼の1人前くらいが残ってるだけだ。後は俺が頑張って食べるしかないだろう。

 

「カワサキ殿! カツ丼の大盛りを1つ! それと味噌汁と漬物もお願いします!」

 

「あいよー。すぐ作るからな」

 

煉獄さんが凄すぎる。煉獄盛りを食べた後で追加でカツ丼を頼んでいるとか、俺から見たら凄まじいの一言に尽きる。

 

「ふーふー」

 

すり鉢を持ち上げて、息を吹きかけてご飯を冷ましてカツを頬張る。

 

(美味しい、凄くおいしいんだけど……きつい)

 

満腹寸前で脂が乗っているトンカツと豚バラを重ねたカツは重過ぎる。

 

「カナエさん。お漬物をください」

 

「はいはーい、すぐ持って来るわねえ」

 

漬物と味噌汁が無かったら俺も食えなくなる。カナエさんに漬物をお願いして、味噌汁を口にして口の中をさっぱりさせてからカツを頬張り、勢いで米を口の中に運ぶ。

 

「うっ」

 

まだ少しはいりそうなんだけど、口を止めると辛い。

 

「竈門少年。口は少しずつでもいい、動かし続けろ。動きを止めると食えなくなるぞ」

 

「れ、煉獄さん。はい」

 

カツ丼が来るまで暇なのか煉獄さんがこうやって食べると良いと助言をしてくれる。

 

「それとだ、一気に掻き込むと空気まで口の中に入り余計に苦しくなる。それを気をつけると良い」

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

「杏寿朗、カツ丼出来たぞー?」

 

「今行きます!」

 

カワサキさんに返事を返して、カツ丼を抱えている煉獄さんを見ると確かに大きく口を開けているけど……静かに食べているように見える。

 

(こうかな?)

 

米を口に運んで、小さく息を吹いて噛み締めて飲み込む。するとさっきまでの圧迫感が少し楽になった……気がする。

 

「はい、炭治郎君。お漬物」

 

「ありがとうございます!」

 

大根の漬物を口にして、カツを齧ってすり鉢に口をつけて米を頬張る。食べる勢いは確かに少し弱くなったけど、すり鉢に残った米はカツで綺麗に集めて、最後の牛カツを口に運んでゆっくりと噛み締める。

 

(うっぷ)

 

吐きそうになるのを必死に堪えて、口を押さえて最後までしっかり噛み締めて飲み込んだ。

 

「ご馳走様でした!!」

 

空になったすり鉢を見ながらそう口にし、俺はそのまま仰向けに横になった。

 

「駄目だ。動けない」

 

「んがあああ、んごおおお……」

 

「ふああ……すー」

 

満腹で眠ってしまっている伊之助と善逸を見ていると、俺も眠くなってきた。

 

「少し眠ればいい。カワサキ殿に許可を取っている」

 

「す、すみません」

 

「なに気にするな、ああ、それと竈門少年」

 

「な、なんですか?」

 

満腹で会話するのも苦しいし、今にも眠ってしまいそうなんだけど……。

 

「今度父上が君に話を聞きたいと言っていた。時間を見て俺の家に招待するので覚えておいてくれ」

 

「あ、はい。判りました」

 

「ではおやすみ! よく食い、よく鍛錬する事が強くなる第一歩だからな!」

 

快活に笑っているだろう煉獄さんの事を考えながら、俺は満腹によって押し寄せてきた睡魔に勝てず、その場で眠りに落ちてしまうのだった……。

 

 

メニュー41 カワサキブートキャンプ(玄弥編) その1へ続く

 

 




次回はカワサキブートキャンプその2で、玄弥編です。本作では鬼喰いをしなくても実弥達と鬼狩りをしている玄弥ですが、当然カワサキさんのてこ入れがあります。そこを書いて行こうと思います、トレーニングと食事ですね。どんな料理が出てくるかは今回は秘密で次回そこを書いて見たいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

カワサキさんがオラリオにいるのは……

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