娘が可愛いすぎて成す術がない   作:naonakki

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第3話 ことり親離れ作戦1

 ことりとお風呂に入った後、私は自室の一人用のソファに座り、悩んでいた。

 

 ・・・ふむ、どうすれば、ことりを親離れさせることができるだろうか?

 ことりもいつかは小鳥から親鳥になって羽ばたいてもらわなくてはいけないからね、なんちゃってね。

 

 ・・・・・。

 

 ふむ、で、どうすればよいだろうか。

 頼みの綱の高坂さんからは何のアドバイスも得られなかったのは、本当に予想外だった。

 しかし、高坂さんとの会話の中にヒントは隠されていたように思える。

 

 高坂さんは、何をして子供に反抗されるようになったと言っていたか・・・。

 それさえ思い出すことができれば、私もそれを真似すれば良いのだ。

 

 確か一つ目は加齢臭と言っていたか。

 しかし、先ほどことりにむしろ私の臭いは好きだと言われてしまった為、却下だな。

 そもそも、体臭なんて真似できるものでもない。

 まったく、高坂さんは何をするまでもなく、臭いで娘を遠ざけてしまうのだから凄いものだよ。

 だが不思議だ、あまり羨ましいとは思わないな・・・。

 

 まあいい、次だ。

 

 他は何と言っていたか・・・。

 そうだ、恋愛関連の話をしたらえらく不機嫌になったと言っていたな。

 特に、「彼氏なんて作るな」と言ったら、三日ほど無視されたと言っていたな。

 無視されるのは辛いが、ことりを親離れさせるためには仕方がないだろう。

 よし、そうと決まれば早速ことりの部屋に行くか。

 まだ夜の9時だし起きているだろう。

 そう思って、腰を上げようとした時

 

 コンコン

 

 慎ましい、控えめなノック音が部屋に響いた。

 このノックは、ことりに違いない。

 ママはもっと力強いノックだからね。

 

 「・・・パパ? 今ちょっといい?」

 

 ガチャリとドアを少し開け、予想通り、ことりが顔を覗かせ探るようにそう問いかけてくる。

 当然、こちらからことりの部屋に向かおうとしていた私は快く承諾。

 それを聞いたことりは、ぱあっと顔を輝かせ、私のもとに嬉しそうに駆け寄ってきて、迷いなく私の膝上に、背中を私に預ける形で座ってきた。

 体重を感じさせない小柄な体が私の膝上にポスッと収まり、ことりは自身の頭を私の胸板にもたれかけてきた。

 ちなみに私の部屋には、もう一つ一人用のソファがあるのだが、ことりは私の膝上に座るのがお気に入りのようで、よくこうして座ってくるのだ。

 

 「えへへ♡ やっぱりパパの膝上は落ち着くね♪」

 「ははは、もういっそのこと、もう一つのソファは捨てちゃおうか。」

 「・・・でもそれだとお母さんが来た時困るでしょう?」

 「うむ、確かにママを膝上に乗せるのは厳しいな、主に体重が原因で。」

 「でしょ? だからもう一つのソファはお母さんの為に残してあげて?」

 「よし、じゃあパパの膝上はことりの特等席だな。」

 「うん♪」

 

 ことりが、一瞬、妖しく笑ったような気がしたが、気のせいだろう。

 先ほどまで飲んでいた酒が残っているのかもしれない、ことりはいつだって無邪気に笑うのだ。

 それにしても、ママのことも気にかけられるなんて、実はことりとママは仲が良いのではないだろうか?

 

 まあいい、今は別のことに取り組まなくては。

 よし、早速仕掛けるぞ。

 

 「・・・ことりは、彼氏とかいるのかい?」

 「ん~? もう~、パパったら、そんなのいるわけないじゃん?」

 「いるわけないのかい?」

 「あたり前だよ~、だってことりは、パパ一筋だから//」

 

 ・・・おかしいぞ、恋愛関連の話をしたら不機嫌になるのではなかったのか?

 全然、いつも通りなのだが・・・。

 はっ、そうか、あのセリフを言えばいいのだ。

 

 「ことり・・・。」

 「ん? どうしたのパパ?」

 「ことり、彼氏なんて作るんじゃないんだぞ?」

 「・・・え? そ、それって//」

 

 後ろからだから良く見えないが、ことりはどうして顔を赤くしているのだ?

 私がそう考えていると、ことりは私の膝上から降りてしまった。

 このまま無視して去っていくのだろうか?

 そうなると、作戦は成功だが、どうにも寂しいものだ。

 しかし、ことりがそこから去ることはなく、こちらを振り向き、赤らめた顔をこちらに近づけてきて

 

 「い、今のって// その、そういうことだよね??」

 

 ・・・どういうことなんだ? 

 「彼氏を作るな」と言えば、無視されるのではなかったのか?

 こんな顔を赤くして、乙女で可愛いことりが見られるなんて聞いてないぞ?

 それに、「そいうことなんだよね?」と言われても何のことか分からないぞ。

 しかし、この期待に満ちたことりを裏切ることなんてどうしてできようか、いや、できるわけがない。

 

 「そうだね、ことり。そういうことだよ。」

 「―――――っ!」

 

 私の言葉を聞いたことりは、手を口に当て嘘でしょうと言わんばかりに感極まっている。

 嬉しさかからか悲しさからかは分からないが、目尻には雫が光に反射してその存在を主張している。

 そして

 

 「~~~パパ大好きっ!!」

 

 と、普段以上の勢いと感情を込めて抱き着いてきた。

 ・・・これはまずいことをした可能性があるぞ。

 いつもなら、「ははは、パパも大好きさ~」なんて言って、抱き返していただろう。

 しかし、ことりがここまで喜ぶことなんてそうそうない。

 私の先ほどの発言には、ことりにとって何か重要な意味があったのだ。

 つまり、そんな重要なことに私は適当に返事をしてしまったということになる。

 それは、だめだ。

 愛することりにそんな中途半端なことは許されない。

 

 「・・・すまない、ことり。先ほどの発言だが、やはりもう少し待ってもらえないだろうか?」

 「・・・え? そっか、そうだよね。親子での結婚となれば障害もおおいもんね!」

 

 ん? 親子での結婚?

 ・・・・・。

 さっぱり分からない。

 一体どういう流れでそうなったのだ?

 しかも、何だか私がことりにプロポーズしたみたいにな流れになっていないか?

 

 「うん、そうだよね。パパも色々あるだろうし、いったんはさっきのこと保留ってことで

♪」

 「・・・あ、ああ。」

 

 これは、後で分析をして内容を整理して改めて考える必要があるな。

 しかし、一つだけはっきりしたことがある。

 

 作戦は失敗したということだ。

 

 作戦では、今の私は既にことりに無視をされ、後3日は無視をされるという拷問にも等しい現実が待っていたはずなのだ。

 しかし、結果はことりに抱き着かれて益々なつかれてしまった。

 私個人的には、万々歳な結果なわけだが、当初の目的からすると大失敗だ。

 ・・・難しいものだ、教育というのは。

 

 その日は、もう部屋に戻って勉強をして寝るということでことりは私の部屋から去ってしまった。

 だが、諦めないぞ。

 また作戦を実行して必ずことりを親離れさせるのだ。

 

 「あなた、どうしたの?? 難しい顔しているわよ?」

 「ああ、ちょっとね。」

 

 ちなみにことりが去った後、ママも私の部屋に来て、さっきは怒ってごめんねと謝りにきたのだ。

 あまりの愛らしさに思わず抱き着いてしまったよ。

 ママとの喧嘩の件は、これにて一件落着であり、今は仲良く酒を汲み合っている。

 

 「あなた~、もう少し私に構ってよね? 寂しくて泣きそうになっちゃんだからね?」

 「すまないね? 君を泣かす大罪人にならないためにも、もっとママのためにも時間をとるようにするよ。」

 

 ちなみに、ママは普段も可愛いが、酔うとその可愛さは数倍以上になる。

 ツンデレでいう、ツンの部分が完全排除されてデレのみの可愛い生き物になってしまうのだ。

 まったく、ことりにママにこんな可愛い二人に囲まれいてる私は幸せだとつくづく実感させられるよ・・・。

 だからこそ、こう強く思うのだ。

 ママとことりにももっと仲良くなってもらい、三人でより幸せな家庭を築くのだと。

 

 しかし

 

 「最近、ことりが私を無視するのよ・・・。」

 「まさかそんなこと・・・。」

 

 道は険しそうだ・・・。

 それにしてもこのママの姿、どこかで見覚えが・・・。

 あ、高坂さんだ。

 

 つづく

 




第3話読んで頂いてありがとうございます!

気付けば3話まで書いていました(笑)

そろそろ他のメンバーもちょくちょく出していこうかなと思っています。
誰をどう出すかは思案中ですが・・・。

では、また次話でお会いしましょう!
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