「やっと、終わったぁ~!!」
「穂乃果は、仕事を溜めすぎなんですよっ!!」
「あ~あ~、聞こえな~い~。」
「穂乃果っ!!」
生徒会の仕事が終わり、これから下校という時、
穂乃果ちゃんと海未ちゃんがいつものように言い争いをしているのを横でほっこり見守りつつ、
はぁ・・・早く帰ってパパに会いたいなぁ~。
でも仕事があるからまだ帰ってないかも・・・。
昨日はパパを傷つけちゃったから、今日はうんとパパを癒せるように頑張らなくちゃね!
なにがいいかなぁ~、マッサージでもしてあげようかなぁ~♪
そんなことを、心の中で思っていた時だった。
「あっ、いた!!」
突然前方から大きな声が聞こえてきた。
何事かと思い、視線を前に向けるとそこには、絵里ちゃんがいた。
よほど慌てて走り回っていたのか、はぁはぁと荒い息遣いに加え、大量の汗をかいており、金色に輝く髪が乱れ、顔や首に張り付いている。普通なら暑苦しく思いそうなその姿だが、色白で抜群のプロポーションを誇る絵里ちゃんの場合は、逆に何とも言えない色気を醸し出しているから、美人は何をしても画になると思い知らされる。
ことりも汗をかいた状態でパパに抱き着いたりしたらドキドキしてくれないかな・・・
そんな絵里ちゃんだったが、色気とは程遠い、慌てふためいたような表情を浮かべながら、ズカズカと早足でこちらに歩み寄ってきた。
何事か分からない私達はぽかんとしていると、あっという間に絵里ちゃんが目の前にやってきた。
「大変なのよっ!!??」
「な、なにが・・・?」
ライトブルーの目を見開き、ぐいっと来る絵里ちゃんに対し、少し引いたように穂乃果ちゃんがそう答える。
「希が・・・希が男の人と一緒に帰って行ったのよ!! それもモデルみたいな格好いい、いかにも怪しそうな人と!!」
「「「えっ!!??」」
流石にこれには、私達全員驚いてしまう。
希ちゃんが、男の人と??
モデルみたいな人と??
・・・面白そう♪
「えっえっ、絵里ちゃん! 詳しく!」
「格好いい人ってどんな感じの人と??」
恋愛関連に繋がりそうな話に目がない穂乃果ちゃんと私は、絵里ちゃんに、もっと話してと言わんばかりに、目をキラキラさせながら質問をする。
ちなみに海未ちゃんは「は、破廉恥です//」と顔を赤くし、俯いている。
「・・・どうしてそんな楽しそうなのよ? 私達の希がどこの馬の骨かも分からない男に奪われそうになってるのよ!?」
穂乃果ちゃんと私の態度を訝し気に見ながらそんなことを言ってくる。
・・・薄々感じてたけど、絵里ちゃんって希ちゃんのこと大好きだよね。
「まあまあ絵里ちゃん? 細かいことは置いておいて、早く説明してよ~。」
「・・・むー、まあいいわ。」
渋々と言った感じで絵里ちゃんは、順を追って説明をしてくれた。
「――でね? あろうことか、その男は希のおでこと自分のおでこをくっつけたのよ!?それで、「熱はないね」なんて、わざとらしいこと言って!! きっと可愛い希とおでこをくっつけただけだったのよ、その男は!!」
「「きゃー///」」
「・・・な、なんて破廉恥な///」
絵里ちゃんから聞く、その謎の男の人と希ちゃんのやり取りを想像し、穂乃果ちゃんと私は大盛り上がり。
海未ちゃんは相変わらずの反応だけど・・・。
絵里ちゃんは、そんな光景を見てしまい、その緊急事態に対し、ミューズの誰かに相談したかったらしくそこら中を走り回っていたみたい。
スマホで連絡すればいいのにという穂乃果ちゃんのツッコミに、「・・・確かに」という絵里ちゃんはよほど慌てていたみたい。
・・・でもでもいいなぁ~、そういえば私も最近パパにおでこをくっつけて、熱測ってもらうのやってもらってないなぁ~、今度しんどいふりして、やってもらおうかな?
・・・でも、パパに心配はかけたくないなぁ。
私が、そんな葛藤を繰り返していると、
「わ~// いいなぁ、穂乃果も男の人にそんなことされてみたいなぁ//」
「さっきから思ってるんだけれど、どうしてそんなに盛り上がっているのよ・・・。」
「ねえねえ、それよりその男の人ってどんな人だったの??」
「話を聞きなさいよ。」
絵里ちゃんは、これを大事件だと思ってるみたい。
でも・・・絵里ちゃんには可哀想だけれど、希ちゃんは、包容力があって、スタイルもいいし、可愛いし、彼氏さんがいても不思議ではないよね。
話を聞く限りちょっと天然さんぽいけど、私もどんな人なのか気になるのが本心です♪
「はぁ・・・もういいわ。でね? 私しっかりその男の写真を撮っておいたのよ。変質者が現れたっていつでも証拠を出せるようにね。」
聞く耳を持たない穂乃果ちゃんのことは諦めたのか、話を先に進めることにしたらしい絵里ちゃんは、スマホを掲げながら、そんなことを言ってくる。
「えっ、えっ、見せて見せてっ!!」
これには、穂乃果ちゃんが今日一に食いつき、スマホを覗き込もうと絵里ちゃんに掴みかかるようにがっつく。
「ちょ、ちょっと落ち着きなさい。ほら、これよ!この男よ!」
絵里ちゃんは、まとわりつくようにせがんでくる穂乃果ちゃんに投げやり気味にスマホの画面を見せる。
「・・・・・あ」
その瞬間、期待に満ちた穂乃果ちゃんの顔がそのままピシッと固まってしまう。
・・・まるで、とんでもなくまずいものを見てしまったかのように。
そして
汗がダラダラと顔を滴り始める。
スッ
「これは、まずい」と言わんばかりの険しい表情へとシフトチェンジした穂乃果ちゃんは絵里ちゃんから少し距離を置き・・・なぜか私と絵里ちゃんの間に入り込むように場所取りをすると
「・・・あー、あははー、今日はもう遅いし、帰ろっか?」
と、私の顔をまっすぐに見ながらそんなことを言ってきた。
「「??」」
先ほどまでとは打って変わった穂乃果ちゃんの態度に私はもちろん、他の2人も不思議に思わないわけもなく、
「どうしたのですか、穂乃果? 写真に何かあったんですか?」
今まで、絵里ちゃんの話に恥ずかしがっていた海未ちゃんが、流石に好奇心が勝ったのか、絵里ちゃんのスマホの画面をのぞき込む。
ちなみに私は穂乃果ちゃんに通せんぼされて絵里ちゃんのもとに行けません。
「・・・・・っ!? こ、これは・・・。」
海未ちゃんも穂乃果ちゃんと同様に酷く驚き、冷や汗をたらりと滴せている。
そして私のことをちらりと見ると
「そ、そうですね、穂乃果の言う通り、今日はもう帰りましょうか?」
と、無理やり笑みを浮かべながら、何かを誤魔化すようにそう穂乃果ちゃんの提案に乗ってくる。
・・・・・。
流石にここまで反応があからさまだと、何となく分かってきちゃった
かっこいい男の人
モデルみたいな人
おでこをくっつけた
穂乃果ちゃんと海未ちゃんが、その男の人を見てなぜか、ひどく驚いている
そして、穂乃果ちゃんは私がその写真を見ないようにしてくる
小さい頃から穂乃果ちゃんと海未ちゃんとは幼馴染として、接してきた
だから、二人の反応からなんとなく、何を考えているのか、何を隠しているのかが分かるようになってきた
もちろん逆に穂乃果ちゃんと海未ちゃんも私のことを色々知っているよね
そう、例えば
『私が、パパのことを世界で、いや宇宙で一番、愛しているということを』
「・・・絵里ちゃん」
自分でも
びっくりするくらい
冷たく
底から這いあがってきたような声で
呼びかける
「・・・え、は、はい。」
私の変わりように、怯えたように反応するが、それを申し訳なく思う余裕は、ない。
穂乃果ちゃんと海未ちゃんも、止めようとする気持ちはあるようだけど、何かに体を掴まれているかのように、動けないみたい。
「写真・・・見せて?」
「は・・・はい。」
絵里ちゃんは、とうとう目尻に涙を見せながら、プルプルと震えながら私にスマホの画面を見せてくる。
そこには
パパがいた
希ちゃんとイチャついているようにしか見えない姿で
つづく
というわけで第7話読んで頂いてありがとうございます!
はい、というわけで今回はことりちゃん主観のお話でした。
というわけで、どんどん更新していきますので引き続き読んで頂ければ嬉しいです!
では、次話でもお会いできることを楽しみにしています!