また、誤字脱字報告していいただいた方ありがとうございます!
「どういうことなん!?」
ことりが泣きじゃくる中、先ほどまでのしおらしい東條さんとは一変、憤慨したように(理由は不明だが)私へと詰め寄ってきた。
「すまない東條さん。ことりが泣いてしまっているという緊急事態なんだ。」
「こっちも緊急事態や!!」
大きな声で、そう叫ぶ東條さんの様子から察するに、ただ事ではなさそうだが、こちらもことりが泣いてしまうという大事件の真っただ中なのだ。
東條さんに悪いと思いつつも、ことりの方を優先せざるを得ない。
―悲しむ娘を放っておけるはずがない
それに先ほどことりが言っていたことが気になる。
確か、昨日私を傷つけたと言っていたような。
・・・心当たりがない。
ことりから幸せをもらうことは多々あるが、傷つけられたことなど一度たりともないはずだ。
それに捨てないでなんて言っていたが、それこそあり得ない。
ことりを、いや、最愛の娘を捨てる親などどこにいようか?
なぜ、ことりはあんなことを言ったのだろうか・・・。
「ことり? 心配しなくてもことりのことを捨ててなどいないよ、私にとってかけがえのない大切な存在なのだから。」
疑問は残るがひとまずは、ことりに勘違いだと伝える。
「・・・本当?」
ウルウルと涙で溢れている目でこちらを見ながらそう不安そうに尋ねてくることりに「当然じゃないか」と答える。
それで、少し安心したのか、表情を少し柔らかくし再度涙を流しながら抱き着いてきた。
本当によかったといわんばかりに。
しかし
「ことりちゃんっ! 今はちょっとその人から離れてっ!」
「やだぁああ!! 絶対離さないっ!」
東條さんがしびれを切らしたのか、なぜかことりを私から引きはがそうとしていた。しかし、ことりはその言葉の通り絶対離されまいと、私に凄い力でしがみついてきている。
ちょっと痛いね・・・。
「と、東條さん。何があったか分からないが、ことりも嫌がっているし別に無理に引き離さなくても・・・。」
「はぁっ!?」
「ど、どうしたんだい? 何か気に障らないことでもあったのかな?」
「ありありマックスやわ!!」
どうやら気付かないうちに東條さんを怒らせてしまったようだ。
だが理由が分からない、何かしてしまっただろうか?
こちらを睨み、喋り方も違和感のある関西弁に変わってしまう位怒っているのだ、きっと何かあったのだろうが・・・。
「あぁ、もうっ!」
ことりを私から引き離そうと躍起になっていた東條さんだが、死んでも引き離されまいという執念すら感じさせることりの抵抗により、遂に諦めたようだ。
東條さんは、ぜーぜーと荒い息を吐きながら、改めてこちらをキッと睨みながら
「あなたとことりちゃんの関係って何なん!!?? ことりちゃんのこと呼び捨てやし、それにさっきは、ことりちゃんにパパとか呼ばれてたけど!? イケナイ関係でも持ってるん!?」
・・・え、娘であることりにパパと呼ばれることは、イケナイことなのか?
ん?・・・そういえば東條さんに私がことりの父親だと言っただろうか??
言っていないね・・・、だとしたら東條さんの言うことももっともだ。
いい年をした男と女子高生のことりが抱き着いていたら、不審に思うだろう。
今はパパ活なんていうものもあると聞くしそれと勘違いしているのかもしれない。
この誤解は早く解かなくては、私とことりは親子だから何も問題はない、と。
「希ちゃん・・・私達の関係は、希ちゃんが決して到達できないほど深いものなの。」
しかし、私が口を開くよりも先に、ことりが私に抱き着いたままそんなことを東條さんに言い放っていた。
ことりは、私と親子関係であることを指してそう言ったのだろうが、ちょっと言い方が分かりにくくないだろうか?
「ほんまなんっ!? 今のは??」
その言葉に食いつくように、怒りでなのか顔を真っ赤にし、私へとぐいっと迫ってくる。
「・・・ま、まあ間違ってはいない、かな?」
東條さんの迫力に、たじろぎながらもそう答える。
その言葉を聞いた東條さんは、ショックを受けたようにヨロヨロと、数歩後ずさり立ち尽くしてしまう。
「・・・何なん、既に恋人以上の関係とでも言うん?」
「うん! そ「私とことりは親子だよ。」・・・ちゅんっ。」
ことりが何か言いかけていたが、それを遮るように答えてしまう。
それより、今ことりの方から舌打ちっぽいのが聞こえたような・・・
いや、気のせいだろう・・・きっと疲れいているだろう。
ことりが、舌打ちなんてするわけないじゃないか・・・でも前にママから聞いたことりの舌打ちの特徴と合致していたような・・・。
「・・・・・は? 親子??」
東條さんは、ぽかんとした表情を浮かべ、理解が追いつかないといった様子だ。
・・・そんなに私とことりが親子だということが意外だったのだろうか?
「え・・・ちょっと待って・・・ほんまに親子・・・??」
「ああ、本当だよ。すまないね、もう少し早く言っておけばよかったね。」
「いやいやいや、え、何歳・・・ですか?」
「37歳だよ」
「う・・・そ・・・やろ。」
絞り出すようにそう呟いた東條さんは、膝から崩れ落ちてしまった。
その顔は、蒼くなっており、信じられないと言いたげだ。
「・・・大丈夫かい、東條さん?」
東條さんのただならぬ様子に、そう声をかけるが、
ギロリと、東條さんに小動物なら仕留めれるのではないかというくらいの目力で睨まれ、そのまま、立ち上がりこちらに詰め寄ってきた・・・。
「全然大丈夫ちゃうし! 勘違いさせるようなことばっかして!!」
「か、勘違い・・・? 一体何を勘違いさせてしまったのかな?」
「う・・・// それくらい分かってくださいよっ!!//」
「す、すまないね・・・。」
「とにかく、責任はとってください!//」
「・・・希ちゃん?」
・・・責任か。
何を勘違いさせていたのか分からないのでそれを聞きたいが今聞きなおせる雰囲気でもないね・・・。
だが、私のせいで不快な思いをさせたのならその償いはするべきだろう。
「分かった、私にできることならなんでもしよう。」
「じゃあ、今度ご飯でも奢って下さい・・・それで許します。//」
「ふむ、それくらいならお安い御用だ。」
「・・・約束ですからね」
「ああ、約束しよう。」
東條さんを見ると、相変わらずムスーとしながらこちらを見ているが、先ほどまでの怒りはなく、ひとまずは許してくれたようだ。
しかし
「それ、ことりも行く。」
「・・・別にことりちゃんは来なくてもいいんやで?」
「行きたいから行くの、いいでしょ?」
「いやいや・・・ていうかいつまで抱き着いてんの?? 親子でそんなべったりするとか普通じゃないで?」
「いいもん! ことりは特別だから!」
そう言いながら、ことりは東條さんを挑発するように私の胸に顔を預けるようにしながらそんなことを言う。それを見て東條さんがピシッと額に血管を浮かび上がらせ、ことりに詰め寄るという言い争いが始まってしまった。
状況は、分からないが何とかしなければ・・・。
この二人が喧嘩をしていいわけがないのだ。
「・・・はっ! ご、ごめんねパパ? ちょっとことり熱くなっちゃってた。希ちゃんも、ね?」
「・・・??」
しかし、私が何かをする前にことりが何かを思い出したかのようにそう言って、喧嘩を一方的に諌めにかかりだした。
東條さんも、ことりの急な変化に違和感を覚えているようだが、自分だけが食い掛るのも馬鹿らしいと思ったのか、言い争いはそれにて終着となった。
「ふぅ・・・やっと希ちゃんの匂いが消えたね・・・。」
ことりは、聞き取れない小さな声で何かを呟いたのち、フローラルに汗の匂いが混じった、何ともいえない鼻孔をくすぐる香りを残し、私から離れていく。
さきほどまで泣いていたため、目は赤くなっているが、そこにいるのは、いつもの可愛らしいことりだった。
最初、ここに来た時のことりはなんだったのだろうか・・・。
「じゃあ、パパ? 私と希ちゃんは二人で帰ってるから、ごめんだけど先に行くね?」
そう言うとことりは、「え、ちょ」と慌てる東條さんの手を引いて公園の出口に向かって行ってしまった。
突然のことだったので、挨拶もできなかった。
しかし、やはり同じ年ごろの友達同士で帰りたいという気持ちも理解できるので、特に止める理由もなかった。
さて、私も帰ろうかな・・・。
その時だった。
「見つけたわよっ!!?? この変質者!!」
声のしたほうに目を向けると、そこには
美しい金色の髪、透き通るような白い肌、そしてライトブルーの瞳が特徴的な、確か・・・絢瀬絵里さんがそこにいた。
・・・それにしても変質者だって??
つづく
第9話読んで頂いてありがとうございます!
引き続き、どんどん更新していきますので、読んで頂ければ嬉しいです!
次話では、絵里ちゃん回になります。
では、次話でもお会いできるのを楽しみにしております。