3人のガーディアンーガーリー・エアフォース異聞ー   作:h.hokura

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相変わらず自分の趣味丸出しの作品ですね。
男性主人公が女性主人公(ヒロイン)になる話が好きな人間なので。



ALT01:接触

その船団は上空から迫り来る何物かに襲われていた、白く輝くガラスのような半透明の飛行物体に・・・

「船長、ザイが追って来ます、振り切れません。』

操舵室に船員の声が響き、船長は顔の表情を強張らせるて呟く。

「くそ!こんな所で・・・」

上海から日本へ向かった脱出船団は上海沖でザイの攻撃を受けてしまったのだ。

「護衛艦隊が攻撃を開始します。」

脱出船団を護衛する為に随伴していた4隻のフリゲート艦がVLSから次々とミサイルを発射する。

だがそのミサイルをザイは軽々と回避すると爆弾を分離しフリゲート艦を次々と攻撃して行く。

「船長空軍機が。」

船員が指した空に2機の空軍機が現れザイの後方に着くと空対空ミサイルを発射したのだったが。

ミサイルは命中寸前に迷走し始め目標に命中する事無く爆発してしまう。

そしてザイは飛行方向を変えぬまま姿勢をその場で変えると砲を空軍機に向け発射、1機は離脱したがもう1機は逃げ遅れ撃墜される。

「船長ザイが1機こちらへ来ます!」

空軍機を撃墜したザイが護衛艦を失った船団に迫って来ると再び爆弾を分離して1隻の貨客船を攻撃する。

爆弾は正確に貨客船中央部に命中し火災が発生、大きく傾くと積んであったコンテナが甲板上を滑りながら人々を巻き込んで海上に落下して行く。

「このままじゃ皆沈んじまう。」

沈み始めた船を隣の船の甲板上で見ていた一人の少年が呟く。

その直後、今度は少年の乗って居た船も爆撃を受け火災が発生する。

「何しているの慧、逃げなきゃ駄目じゃない。」

慧と呼ばれる少年の元に同じ年頃の黒髪をポニーテールにした少女がやって来る。

「うんそうだね明華、この船はもう・・・」

火災は船全体を覆い傾斜も酷くなっている、沈没は免れない事は慧にも分かる。

「大丈夫慧には私が付いて居るからね。」

自身も青ざめながら明華は慧を力付け様とぎゅっと手を握って来る。

「・・・ああ。」

その手が震えている事に慧は気付かないふりをして頷きつつ明華の言葉に答える。

そして二人は船尾に有る救命艇へ向かう、その間もザイの攻撃は続き今度は隣の船が攻撃され火を噴く。

慧の言葉通り船団は全船沈没から逃れられない状況になりつつあった。

 

日本・某所。

「室長!グリペンのシステムが勝手に起動しています。」

モニターを見ていた口元にひげを生やした男が振り向いて叫ぶ。

「何だと!?一体何が起こっていやがるんだ。」

室長と呼ばれたこちらは無精髭を生やし男がモニターに駆け寄り覗き込みながらぼやく。

「エンジン始動します、火器管制システムも作動開始・・・機関砲が発射体制に!」

轟音が辺りを包み激しい気流が様々な物を吹き飛ばし始める。

「ちぃ!格納庫の扉をさっさと開けるんだ。」

「し、しかしそれは不味いんじゃ・・・」

室長の指示にモニターを見ていた男はがそう答えるが。

「馬鹿野郎、開かなきゃグリペンは扉を機関砲で強引にこじ開けて出て行くぞ、そっちの方が不味いだろうが。」

「わ、分かりました、格納庫の扉を開けるんだ急げ!」

そう室長が叫ぶと男は慌てそう指示を飛ばす。

扉が開き外からの光が格納庫の中を照らし出す中そこにあったのは、 機体をクリムゾンに塗られたサーブJAS-39Dグリペンだった。

グリペンは扉が開き切ると滑走して格納庫を出て滑走路に向かった行く、それを見ながら扉を開ける様指示した男は壁にある電話機に取り付く。

「八代通だ、基地の発着を全て停止、今出て来たグリペンの離陸を優先しろ!何ぃ緊急事態なんだよさっさとやれ!」

電話機を乱暴に戻すと八代通は格納庫の外に飛び出し、離陸を開始するグリペンを見る。

「室長何が起こったというのですか?」

「お父様、あれってグリペンだよね?」

そんな八代通の元に2人の女性、いや少女が現れる。

黒のおかっぱ髪の少女とイエローのウェーブロングヘアの後頭部に白地に青のラインの入った大きなリボンを結んだ少女の2人だった。

「・・・まったく訳が分からん、だがグリペンが突然目覚めたのは確かだ、何かが起ころうとしている。」

大空に舞い上がったグリペンを見上げながら八代通は呟く。

「グリペンが・・・」

同様に見上げるおかっぱ髪の少女の表情は複雑な思いに満ちていた。

 

慧と明華が救命艇に辿り付いた頃、上空では残った1機の空軍機がザイのミサイルをフレアを使って回避し後方に着き攻撃を掛けようとしていた。

だがパイロットが機関砲の照準を合わせようとした瞬間ザイの姿がブレてその姿を見失ってしまう。

ザイは自分を見失った空軍機の後方に一瞬にして着くと砲を発射し撃墜してしまう。

既に護衛のフリゲート艦も全艦戦闘不能になっており、これで船団は完全に無防備状態になった。

「慧、何しているの早く乗って。」

その状況に茫然としてしまった慧を既に乗り込んで居た明華が呼ぶ。

「あ、ああ。」

慧が慌てて乗り込むと乗員が扉を閉め、救命艇は船外に繰り出されてロックが解除、海面に叩きつけられる様に着水する。

その衝撃に乗って居た人々が悲鳴を上げる中、明華は慧の手をしっかりと握って来る。

そして慧達の救命艇が船から離れ進み始めると、気付いたらしいザイの1機が攻撃を掛けようと急速に接近して来た。

「ああっ!」

慧はザイの攻撃に気付き絶望の声を上げる、最早誰も助けてくれないと分かっているからだ。

迫りくるザイの姿に慧は目を瞑り覚悟を決める、だが次の瞬間迫って来たザイに何かが命中し爆発するとバラバラに吹き飛んでしまう。

「えっ・・・?」

破片が救命艇に当たる音に目を開けた慧は目の前を轟音と衝撃を伴なって通り過ぎて行く赤のカラーを纏った戦闘機を見る。

その戦闘機は急上昇し残った2機を追尾しようとしたが突然様子がおかしくなる、速度が落ち失速し始めたのだ。

危うく墜落しそうになった戦闘機はフラフラになりがも慧の乗って居る救命艇の傍に着水して来る。

一方救命艇はそれに構わずその場から離れようとする。

「ちょっと待ってくれ、あの戦闘機のパイロットを助けないのか!?」

慧がそう叫ぶが周りの者は茫然としてて誰も反応を示さず救命艇も停止する気配も無かった。

「それなら・・・」

ベルトを外し慧は立ち上がるとハッチに向かう、自分が助けなければならないと思って。

「ちょっと慧、何をする積もりなの?」

明華が慌てて止めようとするが、慧は構わず救命艇の扉を開けて海に飛び込み戦闘機に向かって泳いで行く。

そうして戦闘機に辿り着いて機体によじ登った慧は普通なら透明なキャノピーが装甲らしき物で覆われ中が見えない事に気付く。

これでパイロットはどうやって操縦しているのだろうかと慧は不思議に思ったが、兎も角助けようとしてキャノピーを叩く。

「おい大丈夫か?早く出て来るんだ、救命艇がいっちまう。」

だが反応は無く慧は「くそぉ・・・」と呟いて更に強く何度も叩き続けていると突然空気の抜ける音と共に白い気体が噴出しキャノピーが開き始める。

慧は一瞬驚きで固まるが直ぐに気を取り直し、開いたコクピットの中に身をいれパイロットを助けようしたのだが。

「おい大丈夫か・・・ってこれは?」

そこには誰も乗って居なかった、慧は困惑する、これって無人機だったのかと。

「おわぁ!」

次の瞬間戦闘機が波で揺れたのか慧はコクピットに落ち込んでしまう。

「ってくそう俺は何をやって、痛てえ。」

姿勢を直そうとして両手を左右に有る透明な板の上に置いた慧は突然痛みを感じて驚く。

「何なんだこれ・・・」

痛みを感じた両手を見た慧はその肌に幾つかの傷と血を見つける、何かが刺さった後に見えるなと思った瞬間。

「あああ!!!」

全身に激しい激痛が走った慧は再び両手を左右の透明な板の上に置いてしまう。

すると今まで静かだったコクピット内に何かの作動音がし始め前方のパネルに文字が表示され始める。

慧が今まで見た事の無い文字だったが、何故かその意味を理解出来た。

『ガーディアンシステム起動開始。』

『該当者の各パラメータ登録を完了・・・第1次の適正化処理に問題無し。』

『エンジン及び火器管制システム再起動完了。」

それらの表示が流れると機体が振動し始める、どうやらエンジンが起動した様で、更にキャノピーが閉じられて行く。

閉じた瞬間コクピット内は真っ暗になるが直ぐに周りのキャノピーに外の風景が映し出される。

何が起こっているのか慧は訳が分からず周囲を見渡しているとコクピット内にアラーム音らしき物が響き、先程文字が表示されいたパネルにレーダー画面が浮かび上がって来る。

そう慧は始めて見るそれが何かを理解出来た、そして表示されるものの意味もだ。

ザイがこちらに接近して来る、目標は自分、攻撃を受ければ周りの救命艇も危険だと理解出来たのだ。

直ぐにここを離れねばならない、そう慧が思った瞬間、乗せていた両側のパネルに奇妙な模様が浮かび上がり、戦闘機は水上を滑走し飛び上がって行く。

 

明華はその光景に茫然と見ているしかなかった・・・

慧が救命艇を飛び出し戦闘機に取り付き、開いた機内に消えたと思ったら、突然動き出し空へ舞い上がって行くのを。

 

舞い上がった戦闘機は急上昇すると接近して来たザイの後方に食らい付いて行く。

ザイはそれに気付くと激しい機動で逃れ様としたが、慧はそれを許さず後方にぴったりと付いて行きながら照準をロックすると、翼下のパイロンから空対空ミサイルを発射する。

この一連の動作を慧は難なくこなして行く、今日初めて戦闘機を操縦したにも関わらず・・・

発射されたミサイルは不思議な事に先程の空軍機の物とは違って進路を狂わさせられることも無く正確にザイを追尾する。

ザイは更に激しい機動でかわそうとするがミサイルはそれを許さず、遂に命中しバラバラに吹き飛ばされる。

2機の仲間を撃墜されたザイは高度を上げ空域から離脱して行く。

「終わったのか?」

逃げて行くザイを見ながら慧は呟く、未だに一連の出来事が理解できないままに・・・

「これからどうすれば、ぐぅぁぁ!」

慧は突然身体中に激痛を感じ悲鳴を上げてしまう。

「な、何が・・・・あああ・・・!!」

激痛の余り慧は遂に気を失ってしまうが、戦闘機は何もなかった様に飛び続ける。

『第2次の適正化処理開始。』

新たな表示が前方のパネルに表示されるが気を失ってしまった慧は当然気付く事は無かった。

そんな状態の慧を乗せたまま戦闘機は脱出船団の居る海域から離れて行く。

「慧!?」

明華の悲痛な悲鳴を残して。

 

「室長!グリペンが戻って来たそうです。」

グリペンが出て行った格納庫に掛かって来た電話を取った口髭の男が振り向いて叫ぶ。

2人の少女と格納庫の真ん中で話していた八代通がうんざりした様子で答える。

「やっと帰って来たか、一体何処で何をやらかして来たんだか・・・舟戸変われ。」

電話を舟戸と変わった八代通が話始める。

「グリペンの着陸に一切干渉するな、着地後滑走路は別命あるまで閉鎖だ、あと基地警備部隊の1個小隊を実弾装備で第7格納庫まで寄こせ、何?権限があるのかだって?この件に関しては俺には有るんだよ、良いからさっさとやれ。」

電話を乱暴に戻すと八代通は少女達を伴なって格納庫の外に出る。

基地上空に戦闘機、グリペンが現れると滑走路に脚を出し着陸、直立させたカナードをエアブレーキ代わりにして減速、誘導路を通って格納庫へ向かって来る。

「舟戸、グリペンが格納庫に戻ったら扉を閉じて必要人員以外追い出せ。」

「了解です。」

格納庫に戻ると八代通は舟戸にそう指示を出す。

轟音を響かせグリペンが格納庫に入って来ると八代通と少女達の前で停止しエンジンを切る。

その後ろで格納庫の扉が閉じられて行く。

「海水で濡れていますね、グリペンは海上に着水した様ですね。」

機体から漂う塩の匂いにおかっぱ頭の少女が呟く。

「ねえファントム、グリペンの奴何をしにいったのかな?」

ロングヘアの少女の問いにファントムと呼ばれた少女は「さあ。」と言って肩を竦める。

扉が閉じられると同時に高機動車が数台到着し89式小銃を持った陸自隊員達が降車し次々と格納庫の中に入って行く。

入って来た隊員達は照明に照らし出されたグリペンの周りを囲むと一斉に小銃を向ける。

「舟戸、グリペンの状況は?」

グリペンにモニターシステムを接続し機体の状況を確認し始めた舟戸に八代通が聞いて来る。

「グリペンのシステムに問題無しです室長。」

画面を操作しながら舟戸が答える。

「室長、グリペンは一戦を交えた様ですね、ミサイルが2基ありません。」

ファントムがグリペンの翼下のパイロンを見て言って来る。

「そうらしな・・・」

八代通が眉を顰めて答える。

「無人のくせによく落とされなかったねこいつ。」

ロングヘアの少女は小馬鹿にした様に言う。

「その辺はどうなんだ?」

八代通の問いに舟戸は画面を切り替えながら答える。

「間違いないですね、記録によれば自動迎撃システムが作動・・・ただ途中で不具合を起こして・・・えっ?」

舟戸が驚いた声を上げる。

「何があったんだ?」

「それが・・・その後自動迎撃システムから手動に切り替わってます、つまりグリペンを誰かが操縦して戦った様です。」

舟戸の答えに八代通と二人の少女はグリペンを見る。

「えっ、それって今グリペンに乗って居る奴がいるって事だよねファントム。」

「そう言う事になりますねイーグル。」

イーグルと呼ばれた少女の問いにファントムは答える。

「コクピットを開ければ分かるだろうさ、舟戸さっさとやれ。」

八代通の指示に舟戸が操作するが。

「駄目です室長、グリペンが操作を受け付けません。」

「何だと?一体どうして・・・」

舟戸の報告に八代通は目をむいてグリペンを睨みつける。

「室長、皆を一旦離れさせて下さい、多分グリペンは警戒しているんです。」

ファントムの言葉に八代通が一瞬考え込むが、直ぐに周りに居る隊員達に指示する。

「おいお前達グリペンから離れろ、あと銃を降ろせ。」

「しかし室長・・・」

「早くしろ!」

躊躇する隊員達を一喝して下がらせる八代通、渋々彼らは銃を降ろしグリペンから距離を取る。

すると再び空気の抜ける音と共に白い気体をまき散らしキャノピーが開く。

「室長、後は私に任せて頂けますか?」

「分かったファントム、慎重にな。」

「はい。」

ファントムは八代通の言葉に頷くとグリペンに近寄って行く。

「私も一緒に行くよファントム。」

「勝手にしなさいイーグル。」

鼻歌を歌い腕を頭の後で組みながらイーグルが付いて行く。

途中隊員達の傍を通る際に視線、恐怖の籠ったものを向けられるがファントムもイーグルも気にした様子は無かった。

そしてグリペンに近づいたファントムは一動作で機体に上る、もちろんイーグルもそれに続き、二人はコクピットを覗き込む。

「・・・ねえファントム、この娘ってやっぱり?」

「ほぼ間違いないでしょうね。」

コクピットの中に居た小柄な体格でペールピンクのストレートロングヘアをした少女を見ながら2人は話す。

「でもこの娘、何でサイズの合わない男物の服なんか着ているんだろうね。」

確かにその少女はずぶ濡れの男物の服、シャツとジャケットにジーパン姿だった、イーグルの言った通りサイズがまったく合っていない。

「思った以上に厄介な状態の様ですね・・・」

ファントムはそう言って深い溜息を付くと八代通の方を振り向いて言う。

「室長、やはりガーディアンですね・・・但し私達とは少々違ったところがある様ですが。」

意味深なファントムの言葉に八代通は眉を顰めると頭を振って舟戸に指示を出す。

「舟戸、医療班を呼べ・・・新たな適格者が現れたと伝えるのを忘れずにな。」

「りょ、了解。」

その言葉の意味に舟戸は重々しい表情で頷くと電話機に向かう。

「お前たちは格納庫の周りの人払いをしろ、例え基地司令だろうが大臣だろうが、絶対誰も通すな。」

「は、はい、行くぞ。」

八代通の指示を受け格納庫の外へ向かう隊員達、電話で医療班を要請す舟戸、コクピット内の者を介抱するファントムとイーグル。

その光景を見ながら八代通は呟く。

「新たな適格者の出現か・・・喜ぶべきかそれとも厄介事が増えたと嘆くべきか、微妙なところだな。」

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