読者の皆さん「つまり……?」
シリアスさん「本編には関係ありません (・ω<) 」
読者の皆さん「(#^ω^)イラッ☆」
一度削除する前に書いた友希那ちゃん誕生日会です。
削除前と全く変えておりません。ご了承ください。
「「「「友希那(さん)誕生日おめでとう!!」」」」
みんなの声と同時にクラッカーの音が部屋に響く。驚いたわ。今日はこの時間から練習と聞いていたのだけれど、まさか誕生日を祝ってもらえるだなんて思ってもいなかったわ。
「友希那、ごめんごめん。本当の練習時間より早めに来てもらったんだ」
「ご、ご迷惑だった……でしょうか?」
と、申し訳なさそうに聞いてくる燐子。大丈夫よ燐子。迷惑じゃないわ。思ってもいなかったサプライズに驚いただけよ。みんな、ありがとう。そう伝えると、紗夜が少し疲れたような表情を浮かべて
「『友希那さんの誕生日会をしよう!』と言い出したのは宇田川さんと今井さんですよ」
そうなのね。私の為にここまでしてくれるなんて思ってもいなかったわ。準備大変だったでしょ?
「そんなことないですよ!友希那さんの誕生日ですよ!?私達Roseliaで祝わなかったら誰が祝うんですか!」
「それこそ、ご家族の方がいるじゃない。ですよね、友希那さん?」
と、はしゃぐあこに冷静に言葉を返した紗夜に振られて私は内心動揺する。本当なら
「ええ……そうね。でもRoseliaのみんなから祝ってもらえて本当にうれしいのよ?」
「ですよね!ですよね!!よかったー!リサ姉企画して大正解だったね!!」
「そうだねー☆じゃ、誕生会やろっか」
と、ハイタッチするあことリサの二人。それを見て私は小さく笑う。相変わらずこの二人は仲が良いわね。
「その前に……友希那さん……誕生日プレゼント……です」
と、燐子が私に渡してくれたのは猫のぬいぐるみだった。もしかして……手作り?
「そう……です。頑張って……つくりました」
「ありがとう。大切にするわね」
できる限りの笑みを浮かべてみんなに改めて伝える。それを見たあこがテーブルに突っ伏して満足気に
「あこ、友希那さんの誕生日祝えただけで、今日はもう満足です」
「そうですか……なら、宇田川さんの今日の練習は、いつもの五倍ぐらい厳しくやってもいいですね?やる気が出てくるまで厳しく指導するので、そのつもりでいるように」
「そ、そんな紗夜さん!?」
「ガーン」と効果音がつきそうな絶望した表情のあこ。それを見てあこ以外のみんなが笑う。本当に、良いメンバーになった。色々な事を経験してきて、本当の意味でお互いを信頼し合えるようになるにはまだ時間は必要だけれど、こうやって一つ一つが積み重なってバンドとして成長していくのだろう。だから、速く追いついて頂戴。私は……いいえ、私達は待たないわよ――華那。
私の誕生日会も終わり、今日の練習をやっていく。みんな集中力が高く、いつも以上にいい練習ができたと思う。もちろん直す点は指摘しあっていく。私が気付いたことがあればそれを指摘し、今度はあこ達から「ここをこうしたい」という意見が出てくる。
一度やってみて、想像と違ったら戻す。そういう練習方法を最近取り入れてみたのだけれど、思っていた以上に成果が上がってきていた。
これは華那が私に提案してくれたやりかた。とある人たちのレコーディング風景をやっていたテレビの再放送を見て、「姉さん達もこういうやり方、取り入れたら?」と言ってくれたのが最初だった。本当に、華那は私達の事を考えてくれている。でも、
「時間ね。今さっき指摘した個所は全員把握して、次回の練習でまた合わせるわよ」
「はーい!……つ、疲れたぁ」
「あこちゃん、誕生日会から……はしゃいで、そのまま……ドラムだもんね。はいお水」
「宇田川さん、節度というものを学びなさい。節度というのを。今日は誕生日会も重要ですが、私達にとっては練習が――」
と、燐子は床に座り込むあこに笑みを浮かべて飲み物を渡していると、その横で腕を組んであこを叱るというより、呆れた表情で注意する紗夜。前までなら紗夜は本気で怒っていただろうけれど変わったわね。
「ゆーきな!」
と、突然後ろからリサに抱き着かれた。華那なら「むきゅ!?」とか言ってつぶれているかもしれないけれど、私はそう簡単に倒れないわよ?それでリサ、急にどうしたの?
「いやーちょっと、友希那の表情が暗いように見えてさー」
「……そうかしら?」
内心ドキリとする。リサはよく人を見ているなと感心することが多くあるけれど、今はあまり聞いてほしくなかったわね。だから私は嘘をついた。ごめんなさい、リサ。心の中で謝るも、リサはニコニコと笑いながら
「嘘だよね~?華那となにかあった?」
「……な、なんで華那が出てくるのよ」
しまった。どもってしまった。これじゃあ何かあったと言っているようなものじゃない。リサは笑顔だったのが一瞬にして真剣な表情に変わり
「友希那。本当になにかあったの?」
「……友希那さん。華那さんと喧嘩でもしたのですか?」
と、さっきまであこを注意していた紗夜まで話に入ってきた。はあ……こうなったら仕方ないわね。話すしかないわ。覚悟を決めなさい私。ただ、紗夜。喧嘩はしていないわよ。だからそんな意外そうな表情を浮かべないでくれるかしら?
「す、すみません。あの『友希那さん大好きっ
「確かに……そうですね……華那ちゃん。友希那さんの事……本当に大好きですもんね」
「うんうん。華那さん。いっつも友希那さんの話ばっかりしてるよ!」
いつの間にか全員会話に入ってきている。馴れ合いはいらないと言っていたのが懐かしく思えてくるわね。
「それで……何があったの友希那?」
と、場所を移して現実を逃避していた私に聞いてくるリサ。CiRCLEに隣接されているカフェ。全員飲み物と軽くつまめるものを頼んだ。私はカフェオレを頼んだわ。華那が美味しいから飲んでみて!って言っていたのを思い出したのよ。それを一口飲んでから私は口を開く。
「……リサは知っていると思うのだけれど、華那は毎年私の誕生日には誰よりも早く『姉さん、誕生日おめでとう!』って言ってくれるのよ」
「……本当に友希那さんの事好きなんですね。華那さん」
「です……ね。羨ましい……です」
呆れた表情の紗夜に、目を輝かせながら羨ましがる燐子。その話を聞いてリサが右手の人差し指を顎に当てながら
「ん?今この話と華那と友希那の間に何かあったかというのが関係してるの?」
「あ、そうだよリサ姉!華那さん、毎年誰よりも早く友希那さんに『おめでとう!』って言ってるなら問題ないはずだよ!」
あこ。いいところに気付くわね。練習でも……いいえ今はやめておきましょう。今は私の事を心配してくれているのだから、こちらに集中しないといけないわ。
「友希那さん。という事は……今年はそれが」
「無かったのよ……」
紗夜の問いに私は自然と俯く。正直、あの子が忘れるような性格な子じゃないのは私が一番わかっている。それに昨日まで普通に話していたのに、今日は朝から一度も姿を見ないまま。いったいどうしたのだろうかと不安になる。
気づかないうちに私が華那を怒らせるようなことをしてしまったのか、そんな不安が脳裏をよぎる。
「華那さんが友希那さんに対して、怒るというのが想像できませんね……」
「確かに。いっつも『姉さん、姉さん』って子猫のようについて行く姿しか想像できないよ」
「うんうん!」
「そう……ですね。華那ちゃん……友希那さんの事……大好きですから」
みんな華那の事をよくわかっているようで、私は少しホッとした。でも、だからこそ今年の華那の行動は謎なのよね。紗夜。どう思うかしら?
「たまたまという訳ではないでしょうし……今井さん。何か聞いてませんか?」
「アタシなにも聞いてないなぁ……Roseliaで誕生日会するって話しもしなかったぐらいだし……」
「うーん……きっとタイミングが合わなかっただけですよ!帰ったら言ってくれますよ!友希那さん!」
「私も……あこちゃんの意見と……同じです。タイミング……だと思います……」
「そう……よね。ごめんなさいね。こんな話に付き合ってもらって」
みんなに謝る。これは私と華那の問題。Roseliaで話し合うような会話じゃないのは確かだ。頂点、そして夢舞台を目指すには音楽の話しをしていくのが本来の姿なのに……。
「大丈夫だよ友希那!こういう話しもバンドじゃなくて、幼馴染や友達として重要なんだよ?友希那が話してくれたことがアタシは嬉しいよ」
「ふふっ……リサはいつも大袈裟ね」
「えー。アタシはいっつも真面目に答えてるよ」
「こういう会話ができるのもバンドとして成長していくのに必要なのだと私は思います。なので、友希那さんも、一人で抱えないでください。私が言えた義理じゃありませんが……」
リサが頬を膨らませて抗議の声を上げた後、紗夜が最後は暗い表情を浮かべて言った。日菜とのことを思い出してしまったのだろうけれど、今は以前より話せているようなのだから前を向いてほしいものね。紗夜本人には伝えないけれどね。
結局、全員で話し合っても結論は出なかったけれど、「華那なら絶対言ってくれるよ」と背中を押されて、私達は各々の自宅へと帰宅したのだった。
自宅に帰ってきたのは十八時を過ぎてしまっていた。もうこの季節になれば周囲は暗くなってしまっている。思った以上にみんなと話をしていたのだと思いながら家に入る。今日は母さんと父さんは仕事でいない。何でも手の離せない仕事が入ってしまったそう。なので今日は華那と二人っきりだ。
というのにリビングの電気はついていなかった。家の鍵もかかったままだったし、どうやら華那はまだ帰ってきていないみたいね。スマホを確認するも連絡は来ていない。どうしたのかしら?そう思いながら自室へ行く。小さく息を吐いて扉を開けて明かりをつけると――
「姉さん誕生日おめでとう!!!!」
と、クラッカーを鳴らす華那の姿があった。突然の事に呆然とする私。いや、だって考えて頂戴。妹が知らないうちに私の部屋に侵入していて、誕生日の飾りつけをして暗闇の中待っていただなんて想像できる?できないわよね?
「あれ?ね、姉さん大丈夫?」
「華那!」
「わぷっ!?」
あまりの事に私は華那を抱きしめていた。だって、毎年誰よりも早く誕生日を祝ってくれる妹が一番最後に祝ってくれたのだ。これが嬉しくない姉がいるなら教えてほしいぐらいよ。でも、どうして今年は遅かったのかしら?
「あはは……ごめんね、姉さん。ちょっと誕生日プレゼントが今日できるってなっちゃって、誰よりも早くお祝いしたかったんだけど……」
申し訳なさそうに私の腕の中で話す華那。抱きしめたまま私は構わないと伝え
「華那に嫌われたのかと思ったわ。でも、こうして祝ってくれたことが嬉しくて」
「本当にごめんね。で、プレゼント渡したいんだけどいい?」
「ええ」と私は華那から離れる。華那の温もりが感じられなくなるのは寂しいけれど、華那からプレゼントがあるというのが嬉しい。毎年、何かしらプレゼントを用意してくれる華那。私も華那の誕生日にはあげているわよ。
「今年はこれ!」
と言って華那が取り出したのは、銀色のロザリオネックレスだった。これ結構高い物じゃないかしら?いいの?もらって?
「逆に、もらってくれなきゃヤダ。姉さん用にオーダーメイドしたやつなんだからね!ほら、ロザリオの裏側に『Y.MINATO』って入ってるんだから」
と頬を膨らませながらロザリオの裏側を見せる華那。確かに名前が入っているわね。話しを聞けば、アクセサリーショップのオーナーさんに事情を話したら、「姉想いのいい子じゃないか!!」と言い出したそうだ。で、名前を入れるのは本当ならかなり金額がかかるそうなのだけれど、無料にしてくれたとの事らしい。
でも、悪いからとオーナーの奥さんにきちんと満額渡してきたそうだ。本当なら先週出来上がる予定が、諸事情により今日になってしまったらしく、朝一でお祝いできなかった理由の一つらしい。そういう理由なら納得ね。それで華那。お願いがあるのだけれど……。
「なに?」
「つけてもらえるかしら?」
ネックレスを華那に渡してつけてもらえるように頼む。華那は驚いた表情を浮かべて
「え、私が!?」
「ええ。最初は華那につけてもらいたいのよ。駄目かしら?」
「ね、姉さんがそれでいいなら……」
私に後ろ向いてと言ってから繋がっているチェーンを外し、ネックレスをつけてくれる華那。その手が小さく震えていたのは見なかったことにしておきましょう。正直、私も心臓バクバク言ってるのよね。血のつながった妹なのに、どうしてこんなに緊張するのかしらね?
「……はい!つけたよ!」
「どう……かしら?」
「大丈夫似合ってるよ、姉さん」
と、満面の笑みで答えてくれる華那。胸元で輝くロザリオをそっと右手で大切に持ち上げて、大切にすることを誓う。その後、華那が私の誕生日祝いで用意した料理を食べたのだけれど、最後に私の顔のケーキが出てくるとは思わなかったわ。
「つぐみちゃんのお父さんにお願いしたら、作り方指導してくれたんだ。今度お礼言わなきゃ」
と華那。つまり、このケーキは手作りだという事だ。ここまでしてくれる妹がいる私は幸せ者ね。
「華那……本当にありがとう。私のためにここまでしてくれて」
「姉さんの喜ぶ顔見たかったから、ここまでした甲斐あったよ」
と、一緒に後片付けをしながら話す。Roseliaのメンバーにも祝われた事。実はリサと紗夜の二人が、華那が誰よりも早く誕生日を祝わなかった理由を知っていた事。華那がケーキを作っている最中に美竹さんと青葉さんが様子見に来た事。いろんな話しをした。そしてもう寝なきゃいけない時間になり、私は最後に我が儘を華那に言う。
「華那。最後に我が儘言ってもいいかしら?」
「できる事ならいいよ」
でも、姉さんが我が儘って珍しいね?と呟く華那に一緒に寝ましょうと伝える。
「え……」
「き、今日ぐらい私が甘えてもいいじゃない」
は、恥ずかしい。妹に一緒に寝てという姉はどうなのかしら?そう思ったけれど、もう言ってしまったのだから後悔しても遅い。でも華那はそんな事を気にした素振りも見せずに満面の笑みを浮かべ
「うん!」
と言ってくれたのだった。Roseliaのみんなから誕生日を祝われ、最愛の妹からも祝われた。こんな最高の日はないわね。ベッドの中で華那の手を握りながら華那の名を呼ぶ。
「なに?」
「今日は本当にありがとう。大好きよ」
「!……私も好きだよ、姉さん」
と、こつんと二人して額を合わせて笑いあう。ああ、本当に今日は最高の日ね。華那の誕生日は盛大にしてあげよう。そう心に決めながら、私は華那と眠るまでベッドの中で話をするのだった。