待望の(?)ハロハピ全員登場
※なお、作者の力が尽きたのでいつもよりやや短め(千~二千文字ほど少なめ)でお送りいたします。
「あら。友希那じゃない!何をしているのかしら?」
「え?……あのどちらさまで?」
バイトが終わり、帰ろうとしていたら、知らない金髪の少女に声をかけられた――って、なんでそんな他人事のような言葉が頭に浮かんだのだろう?って、それより今はこの子の事!
全く知らない人だから、こちらとしてはどう反応していいものか……。それ以前に姉さんの事は知っているみたいだから、下手な行動できないなあと思いつつ、困惑した表情を私は浮かべていたのだろう。目の前の少女が首を傾げながら
「?あなた、友希那よね?」
「いえ、私は「こころ~ん!どうしたの~?」
と、否定しようとした私の声を遮るように活発そうな少女が現れた。ちょっと待って!これ以上増えないで!?というか、今絶好の否定するタイミングだったのに、どうして増えるの!?ねえ、どうして!?と、内心動揺していたら、その少女の後ろからまた一人、息を切らせた保護者的立場に見える人が現れた。
「こ、こころにはぐみ……き、急に走らないで」
あ、ダメだこれ。失礼かもしれないけれど、この人、間違いなくこの二人に振り回されている立場の人だ。って、事はこの状況から私が解放される可能性は、かなり低いって事だよね!?ってか、この人達どちらさまで!?
困惑している私を放っておいて、元気いっぱいの二人はなんか違う話で盛り上がっていて、私の事は放置。えっと……コッソリ帰っていいのかな?なんて思っていると、
「?……もしかしてリサさんが言ってた、湊さんの妹さん?」
と、被っていた帽子を右手に持って、左手で汗を
「あ……そうです。湊友希那の妹の湊華那です。姉と混合してしまうので、私の事、華那と呼んで頂ければ……えっと……」
「あー……ごめん。あたしの名前は奥沢美咲。こっちで自由奔放に喋ってる二人は、髪が長い方が弦巻こころで、ショートヘアの方が北沢はぐみ」
と、私がなんて呼べばいいか戸惑っていると、自己紹介をしてくれた奥沢さん。でも、どこか気怠そうな感じなのは、そういう口調なのかな?二人を紹介している時に、二人の様子を見て呆れているというか、『またか』と言いたげな表情を浮かべていた。本当、大変そうなのが、少し話しただけでも分かってしまった。
それはともかく、ご丁寧にありがとうございます。それで姉の友希那とはどんな関係で?
「あー……あたし達、ハロー、ハッピーワールド!っていうバンドやってるんだ。それのメンバー三人。あと二人いるんだけど、またどこかで花音さんが迷子になってるみたいなんだけど……そのバンド関係で知り合った感じ……かな」
「そうなんですね……って、松原さん。また迷子ですか……」
と、説明してくれた奥沢さん。今までハロー、ハッピーワールド!の皆さんには会った事なかったけれど、松原さんからバンド名は聞いていたので、驚きはなかったけれど、また迷子ですか……。あの人、本当にナビあっても迷子になる特殊能力持ってるからなぁ……。あ、特殊能力じゃない?本当に?
「あれ?花音さんの事、知ってるんだ?」
と、不思議そうに首を傾げながら奥沢さんが聞いてきたので、私は頷きながら一緒にお茶へ行った事もありますよ?と答えると
「なんで疑問形なの……」
と、苦笑いを浮かべる奥沢さんだったけれど、そう言えば――と、松原さんが私の事について話していたという事を教えてくれた。いや、松原さん。いったいどんな話したんですか!?
「大丈夫だよ。『華那ちゃんはね、お人形さんのように可愛い女の子で、よく迷子になってると助けてくれるんだよ』って言っていただけだから」
「それ、私の話しっていうより、迷子の所にツッコミ入れたくなるやつじゃないですか!?」
「ねえねえ、二人して何話してるの~?」
「そうよ!二人で楽しそうな事を話しているんでしょ!あたし達も中に入れてちょうだい!」
「わひゃっ!?」
突然、話しに入ってくるのはいいけど、二人とも近い近い近い!!なんで額と額くっつけるぐらい近づく必要あるの!?
「はいはい。こころもはぐみも落ち着こうか。湊華那さん怯えちゃってるから」
と、私を二人から離して、私を護る様に前に立ってくれる奥沢さん。奥沢さぁん。もうこの二人と話すには奥沢さんの助けが必要なんです。助けてください。
「ほらほら、泣かない泣かない。って、いうかさ……こころもはぐみも自己紹介してないんだから、しっかりしときなよ……」
と、私の頭を撫でながら二人に自己紹介をするように促してくれた。こっちとしては見ず知らずの人とはいえ、あそこまで勢いよく――というより距離感が近い人(ナンパ師さん除く)は初めてだったから、恐怖に近いものがあった。
本当、人との距離感というか、
「そうだったわね!あたしは弦巻こころよ!貴女は?」
と、両手を合わせて手を叩いたかと思ったら、満面の笑みを浮かべて自己紹介をしてくる弦巻さん。元気があるのはいい事だけれど、ちょっと苦手なタイプかもしれないなぁ。悪い子じゃないのは何となく伝わってくるのだけどね……。
「わた「はぐみはねー!はぐみだよ-!よろしくね!」あ、うん。よろしく……?」
まさかの自己紹介ぶった切りに、私と奥沢さんは苦笑いを浮かべるしかなかった。
「でも、不思議なものね!貴女、友希那にソックリなのだもの!」
と、私をマジマジと見ながら首を傾げて言う弦巻さん。あー……もうこういう状況になったら自己紹介いるかな?いる?あ、そうですか……。
「湊友希那は私、湊華那の姉なので、似ているのは当然って言うとおかしいけど、どこかしら似ていても不思議じゃないと思いますよ?」
「そうなのね!妹なら納得ね!姉妹だけど、性格は全く違うのね!」
「ちょ、こころ!失礼だよ!」
弦巻さんの言葉に慌てる奥沢さんに、私は笑いながらよく言われているからだいじょぶと伝える。
「ん~……カーナは何年生なの?」
北沢さん、カーナってもしかしなくても私の事?あ、そう……。これはモカちゃんみたいな名付けセンスと考えたほうがいいかもしれないね。って、質問に答えないとね。高校一年だけど……それがどうかしたの?
と、私が高校一年である事を言った瞬間、三人の動きが止まった。いや、なんでさ……。と困惑していたら、奥沢さんが私の両肩に手を置きながら真剣な眼差しで
「華那……悪い事は言わないから、本当の事、お姉さんに言ってごらん。今なら冗談ですむから。ね?」
「奥沢さん!?冗談じゃないよ!?」
と、言うもんだから声を荒げた私は悪くない!悪くないよね?
「華那の冗談は素敵ね!どう見ても華那、あたしより年下に見えるもの!」
「はぐみより小さいから、年下だよね?」
と、両手を広げて大袈裟に……いや、本人にとっては大袈裟じゃないのかもしれない。それはともかく、笑いながら冗談だと断言する弦巻さん。そして慎重で判断する北沢さん。いや、お願いだから身長で判断するのやめてくれないかな!?
三人の言いたい事はよぉく分かったているよ!確かに身長だと、弦巻さんや北沢さんに比べたら5cmほど小さいけど!小さいけども!!これでも立派に高校一年になっているんですよ!?という訳で――って、どういう訳かは分からないけれども――カバンに入れていた生徒手帳を取り出して三人に見せる。
「あら、本当ね!」
「偽装……「じゃないよ!」ですよねー……」
「はぐみより小さいのに、同い年なんだ……」
「驚くとこかな、そこ!?」
と、三人の反応に軽いショックを受ける私。確かに身長低いから、何度か迷子や家出少女と間違えられそうになった事もあるけれども、ここまで否定されるような事はなかったよ!?ってか、偽装ってなに、偽装って!?犯罪だよね!?
「アハハ……湊さんと性格全く違うんだね」
と、私のツッコミに苦笑を浮かべながら、奥沢さんが姉さんと私の性格に違いに驚いていた。それもよく言われます。双子でも全く違う性格になるのですから、一年違ったら性格違うのは当たり前じゃないですか。まったく一緒だったら逆に怖いですよ?そもそも、姉さんとは一歳違うんですから。
「確かに……あれ?華那って一月生まれなんだ?」
「え?……ああ、そうですよ。一月二十一日の早生まれなんですよ」
私の学生手帳を見て、気付いた奥沢さんの問いに私は頷いて答えた。姉さんは十月二十六日だから、学年も一つ下ですんでいるわけだけど、家庭の経済的負担は大きいだろうなと子供ながら思う今日この頃です。はい。というか、お父さんがどんな仕事をしているか、イマイチ理解できていないのですよ……。音楽辞める前はミュージシャンって分類で会っていると思うんだけどね……。
と、私の事で盛り上がりつつ、奥沢さんに「『奥沢さん』じゃなくて美咲でいいよ。あたしと華那、同い年だし」と言われ、連絡先を交換する事になった。弦巻さんと北沢さんは何も言ってこなかったけれど、美咲さん曰く、私と同い年らしい。……
「マジマジ」
「ごめん、美咲さん。正直に言って、私達より年下――」
「言わないであげて華那。言いたい事はよぉぉぉく分かるから」
と、私の言いたい事を察してくれた美咲さんが、首を横に振りながら私の発言を遮った。た、確かに。本人たちの前で言うべき事じゃないよね。ごめんね、美咲さん。
なんてやりとりをしていたら、迷子になっていたという松原さんと、それを迎えに行っていたという「やあやあ子猫ちゃん」って、人の事を猫扱いする演劇部の先輩こと、瀬田先輩がやってきた。
相変わらず演技がかった口調の瀬田先輩。あ、そう言えば
「松原さん、
「あ、華那ちゃんこんにちは。今日はもうバイト終わり?」
「か……かおち……か、華那ちゃん?だ、誰から、そ、その呼び方教えてもらったか、き、聞いてもい、いいかい?」
と、狼狽えた様子で震えた声で問いかけてくるかおちゃん先輩。それを見て笑うのを堪えている美咲さんと松原さん。弦巻さんと北沢さんは何が起きたか理解できていない様子で、二人して首を傾げていた。
「千聖さんからです」
「やっぱり、千聖かぁ……」
と言って、両手で頭を抱えてしゃがみ込む、かおちゃん先輩。あの、だいじょぶですか、かおちゃん先輩。と、私が声をかけると、かおちゃん先輩は立ち上がり
「頼む……頼むからそう呼ばないでくれ、華那」
「え、でもちさ「千聖には私から言っておくから、頼むから普通に呼んでおくれ」……アッハイ」
と、先ほどの美咲さんのように、私の両肩に手を置いて、鬼気迫る表情で説得してきたか……瀬田先輩の勢いに、私は何度も頷くしかなかった。でも、あそこまで狼狽えた瀬田先輩見た事無かったから、新鮮と言うか、意外だった。
冷静に「そんな名で呼ばないでもらえないかな、子猫ちゃん?」って返してくると思っていた。確かに面白いというか、意外な一面が見られましたよ、千聖さん。後でメッセージ送っておこう。
その後、ハロハピの皆さんはCiRCLEのスタジオで練習するとの事らしく、なぜか私も連行されかけた。いや、待って。私なんで行かなきゃいけないんですか!?と聞いたら
「だってその方が楽しいじゃない!」
「(わけがわからないよ)」
と、某白い使い魔的なマスコットキャラも首を傾げたくなるような弦巻さんの発言だったので、美咲さんと松原さんに助けを求めて難を逃れた。もし助けられなかったら「バイトした後だから家に帰してぇぇぇぇ」って、叫ぶことになる所だった。危なかった……。
で、解放された後に帰ろうと思った私なのですが……
「華那、良い所にいたわね。今から練習なのだけれど、たまには、Roseliaの演奏を見てくれないかしら?」
「華ー那っ!来てくれるよね?」
と、姉さんとリサ姉さんに捕まってしまい、断るに断れず両手を二人に捕まれてズルズルと引きずられるようにしてCiRCLEのスタジオへと連行されるのでした。
尚、スタジオについた途端、紗夜さんが私を引きずるようにして連行してきた姉さんとリサ姉さんを見て、呆れた様子で注意しはじめた。
「あ、あの紗夜さん……二人も悪気あった訳じゃないんで……」
「ですが、華那さんの意見もまともに聞かずに連れてくるのは、姉とはいえやりすぎです。ですので、ここで注意しておかないと、友希那さんと今井さんの為になりません」
「ソ、ソウデスネー」
と、練習開始まで紗夜さんに叱られる姉さんとリサ姉さんなのであった。