Sisterhood(version51)   作:弱い男

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#40

「暑いー~……」

 

「おー…華那ちんが、暑さで溶けてる~」

 

「モカ、華那は溶けないから……」

 

 夏休み。暑さの中、羽沢珈琲店まで歩いてきたのですけど、汗ビッショリで到着する事になるとは……。テーブルに突っ伏した私は、つぐみちゃんに頼んだアイスコーヒーを待っていたのだけれど、相席となった蘭ちゃんとモカちゃんに呆れた表情で見られていた。

 あ、呆れた様子なのは蘭ちゃんだけか。でも、そんな表情されたって、暑かったものは暑かったのだもの……仕方ないじゃない。人間だし。

 

「華那、それ以上はいけない」

 

「アッ、ハイ」

 

 本気(がち)トーンの蘭ちゃんに、私は背筋をピンと伸ばして返事をするしかなかった。それにしても、ここは涼しくて生き返るね。

 

「外が暑いの分かっているのに、よくうちに来ようと思ったね?」

 

 と、つぐみちゃんが頼んでいたアイスコーヒーと、私用にとタオルを持ってきてくれた。あー……それがね、本当なら家にいてもよかったのだけれど、姉さん達が合宿に行っちゃってて、課題も終わっているから暇だったの。

 

「え……華那ちゃん、もう課題終わったの?」

 

「え、華那、マジ?」

 

 私の発言に驚くつぐみちゃんと蘭ちゃん。失敬な。私が嘘つくと思う?ねえ、もかちゃ……何でもないよモカちゃん。だから、山吹ベーカリーのパン食べていていいよ。うん。

 でも、実際問題、終わっているのだから仕方ない。もちろん予習復習はしているけれど、やっぱり夏は遊びたい!でも暑い!

 

「で、買い物に行こうと出かけたはいいけれど、買い物に行く場所に辿り着く前につぐみちゃんの家(ここ)でダウンしてるって訳なのです」

 

「華那ちゃん。脱水症と熱中症には注意だよ!今、塩水用意するね!」

 

「つぐみちゃん、そう思ったから休んでいるんだよ!?それと塩水!?」

 

「モカ……なんか、つぐみがつぐりそうだけど?」

 

「これは既につぐってますなぁ」

 

 なんか、唐突につぐみちゃんが暴走始めたんだけど!?つぐみちゃんも暑さでやられたみたいだと思いたかったのだけれど、蘭ちゃんとモカちゃんが何か不穏な事を話しているのが聞こえてきた。やめて!もう私のツッコミライフはゼロよ!?

 なんてやっていたら、私のスマホが着信を知らせてきた。おわふっ!?こんなタイミングで誰!?慌てながらスマホの画面を見て、私はまた巻き込まれるのかな――と、諦めにも似た感情を抱いたのは悪くない……はず。

 

「もしもし、香澄ちゃんどったのー?」

 

『華那!!海行こう!!』

 

「みゃうん!?」

 

 そう。電話をかけてきたのは香澄ちゃんだった。なんか、香澄ちゃんから電話来る度に、私変な声を上げているような気がする。うん。気のせいじゃないはず。で、なんで急に海!?

 

『もしもし、華那?実は――』

 

 香澄ちゃんのスマホなのに、沙綾が説明するために代わったみたいで、私に詳細を話してくれた。なんでも課題に行き詰ったらしく、気分転換に一日遊びに行こうという話しになったらしい。

 そこで、どこに行くか――という話しになった時に沙綾が海に行きたいと提案。有咲以外――「私は拒否してねぇ!!」――との事らしいけれど、今日は行けないから、明日行くのだけれど、一緒にどう?という事らしい。明日か……ちょっと待ってと沙綾に言ってから、スケジュール帳を取り出して、バイトのシフトを確認する。あら、今日から三日間は休みだ。

 

「明日、明後日ならスケジュール開いているから、だいじょぶだよ」

 

『本当!?良かったー。みんな、華那も連れて行きたいって言っていたから』

 

 それはどういう事でしょうか、沙綾さん。前々から薄っすらと思っていたのだけれど……。私の周りの人達って、過保護する人かマスコット的な扱いするような人しかいないと思うのだけれど、私の勘違いかな?

 

『…………多分、勘違いだと思うよ?』

 

「今の間は何かなぁ!?沙綾!?」

 

 電話の向こうで目を逸らしている沙綾の姿を思い浮かべてしまった私は悪くないよね!?ねえ、蘭ちゃ……裏切り者はここにもいたのか!?蘭ちゃん(ブルータス)あなた(お前)もか!?

 

「う、裏切ってないし!ブルータスじゃないし!!」

 

「なら、私の顔見て言ってよ!」

 

「それは……その……」

 

「ほらほら、蘭~?華那ちん怒ってるよ~?」

 

「モカちゃんもだよ!!目を逸らして言っても説得力ないよ!!」

 

 というか、オボン持ったまま目を逸らすつぐみちゃんも同罪だからね!?ってか、みんな私の事、そういう風に思っていたんだね!?ショックだよ!?はあ……ツッコミというかちょっと大きな声出し過ぎて疲れちゃったよ……。

 その後、詳しい日程については後でメールないし、通話アプリの方に送るという話しになった。全く……今度、みんなに説教しなきゃいけないね。よし……千聖さんに説教の仕方教わっておこう。そうしよう。

 

「そういえば、華那。水着持ってるの?」

 

 電話が終わってから、蘭ちゃんが唐突に聞いてきた。私は右手を顎に当てて、しばし考えこむ。言われてみればきちんとした水着なるものを私は持っていない。あっ!そうだ。スクール水着なら持って――

 

「買い行くよ、華那」

 

 有無を言わさずに立ち上がる蘭ちゃん。なんで!?と、声を上げる前にモカちゃんとつぐみちゃんに捕まえられた。ほわっ!?何時の間に!?

 

「さすがのモカちゃんでも、海でスク水はないですなー」

 

「そうだよ、華那ちゃん!華那ちゃんのスタイルで、海でスク水とか危険だよ!」

 

 えと、どう危険なのでしょうかつぐみちゃんさん。そう聞こうにも、ズルズルと引きずられていく私の声は三人には届かないのでした。って、店出る前に、アイスコーヒー全部飲ませて!あとお代だけ払わせてぇ!!

 え?つぐみちゃんは家の手伝いあるから、店の外まで?あと、お代は後でいい?そうはいかないでしょ!?払って行くよ!?なんて、ひと騒動あってから、私は蘭ちゃんとモカちゃんに連行されるように店を出たのでした。

 

 

 

……

………

…………

 

 

 

 そういう訳で――どういう訳か分からないし、分かりたくもないけれど――やってきましたのは、よく利用しているショッピングモール。来る途中、沙綾にも連絡していた蘭ちゃん。ここで合流する事になっているようなのだけれども……いた。

 

「あ、いたいた」

 

「沙綾、ごめん。急に呼び出して」

 

「さーや、到着早いねぇ」

 

 蘭ちゃんとモカちゃんに引きずられた状態の私をなるべく見ないようにしながら、沙綾は笑顔を浮かべながら話していた。って、沙綾だけなんだね。

 

「うん。香澄達は香澄達で準備あるみたいだから。と言っても、有咲が香澄の課題が終わるまでは買い物行くの禁止って言って、手伝ってあげているんだけどね」

 

「有咲らしいね……」

 

 こんな時に有咲がいれば、間違いなく連行されるような形の私を見てツッコミを入れて助けてくれるはずなのに……有咲恨むよ。なんて、筋違いな事を思っている私に沙綾は

 

「華那……スク水で海行こうって考えていたって本当?」

 

「わきゅん!?」

 

 二人から解放されて、やっと自分の足で歩けると思ったら、沙綾に両頬を引っ張られてしまった。沙綾の表情、笑っているのに怒っている!?

 

「そんな子はちょっとお仕置きが必要だよね」

 

いひゃいいひゃい(痛い痛い)!!さはあやいたい(沙綾痛い)!!」

 

 そう言いながら、私の頬を上下左右に引っ張る沙綾。なんか、前もこれやられたんだけど!?って、痛いんだけど!五分ぐらい引っ張られた私だったけれど、何とか解放された。うう、痛い。両頬をさすりながら、皆と一緒に水着コーナーへと向かった。

 

「それで……華那が似合いそうな水着ってどれだと思う?」

 

「ちょっとフリルついてた方がいいって蘭が前、言ってましたー」

 

「ちょっ!?モカ!?」

 

 はいはい。追いかけっこ追いかけっこ。と、相変わらずの二人に呆れながら、沙綾に私は意見出しちゃダメなのかを確認すると

 

「スク水で行こうとした華那が、発言できると思う?」

 

「その節は、誠に申し訳ございませんでした」

 

 そう言われてしまっては、私は頭を全力で下げるしかなかった。でも、海とかプールとかはプライベートでは行った事無いもん。去年は、バンドメンバー集めであっちこっちのライブハウス行っていたから。

 

「そっか、なら尚更、誘ってよかった。少しは気分転換も必要だからね」

 

 私の言葉に笑みを浮かべる沙綾。沙綾と談笑しつつ、蘭ちゃんとモカちゃんが落ち着くまで待つ。

 

「はあ……はあ……モカ……後で覚えて……て……」

 

「モカちゃん、もう忘れたー」

 

 追いかけっこしていたけれど、落ち着いたのか、肩で息をしている蘭ちゃんと、涼しい顔のモカちゃん。これ、落ち着いたというよりは蘭ちゃん諦めたパターンだよね!?なんて心の中で思いつつも、蘭ちゃんの背中をさする。沙綾は蘭ちゃん達の様子を見て飲料を買いに行って戻ってきた。

 ペットボトルのスポーツドリンクを受け取った蘭ちゃんは、半分ぐらいを一気飲みして、盛大に息を吐いていた。本当、二人とも仲いいね。流石は幼馴染ってやつかな?

 

「それで……華那に似合いそうな水着だっけ?」

 

「そうだよー。蘭~?本題忘れてたの~?」

 

「モカのせいでしょ!?」

 

「はいはい。二人ともストップストップ。本題行けなくなるから」

 

 と、二人の間に入って仲裁する沙綾。流石、山吹家長女。姉妹喧嘩の仲裁はお手の物だね。……それ言ったら、絶対に場が収まらなくなりそうだから黙っておくけど。さてと……今なら逃げても――

 

「ほら、華那。水着を選びに行くよ」

 

「ふみゅ!?」

 

 と、沙綾に首根っこを捕まえられた私は、来るとき同様に引きずられるようにして、水着売り場へと連行されるのでした。解せぬ。

 

「これなんてどうかな?」

 

「沙綾。それはちょっと地味じゃない?華那なら明るい色合いそう」

 

「モカちゃん的には、これなんてどうかなって思うんだけどー?」

 

「そ、それは華那っぽくないから、却下で」

 

 と、三人で私の水着はどれが似合うか盛り上がっているのだけれど、私の意見は全く聞こうとしないのね……。いや、流石にここまで来て、スクール水着で行くなんて言わないよ。本当だよ?だから、せめて色ぐらいは……あ、それもダメ?もういじけとこ……。

 

「赤……って感じじゃないね」

 

「あたしも同意見」

 

「うーん……赤系より青とか白系な感じー?あ、黒も似合いそうだとモカちゃんは思うのですよ」

 

 と、商品を取っては戻す三人。結局三人でそれぞれ一つ選んで、私が着てみる事になったのだった。時間にして、三人が話し合いを始めてから、三十分ぐらいしてからの事でした。発言権の無い私はそれを黙って聞いていたのですけど、後で沙綾が言うには目が死んでいたとの事らしいです。いや、だってねぇ……。

 

 そんな状態だったけれど、三人とも最終的に真面目に考えてくれたので、その中から選ぶ事になったのだけれど、私が試着する事になってしまった。あ、でも、私が使うのだから試着するのが当たり前か。

 で、モカちゃんが用意した黒色の水着は即座に却下となりました。理由?ちょっと刺激的すぎるとの事らしいです。で、次に着たのは、蘭ちゃんが持ってきた、赤と白が交互に入ったやつ。持ってきた時に思った。あれ?赤は似合わないって言ってなかったっけ?――と。

 で、結局それも却下。理由は無理して大人ぶってる感じがするとの事らしいです。訳が分からないよ!?で、最終的に残ったのは沙綾が持ってきた濃い青色の水着でした。試着してみたら、これが案外いい感じだったのですよ。

 

「うん。青、似合ってるよ、華那」

 

「青……合うじゃん」

 

「ほぉー、華那ちん、いつも私服だと黒系と白系着てたけど、青も似合いますなぁ」

 

 と、三人とも納得した様子。私も、これならだいじょぶかなと思い、これにする事を伝えて、着替え直してカウンターへ支払いをしに向かったのだった。

 その後は、四人でお昼を食べに行って、課題の状況や夏休み何やっているかの話しをした後、モールで少し買い物していこうという事になり、みんなで本屋や小物売っているお店に行って楽しんだ。でも、結局最後は楽器屋に行った事に、皆で笑ったのでした。

 帰る途中で、香澄ちゃんから連絡がきて、無事に課題終わったとの事らしく、明日にでも海行こうという話しになったのだった。

 その時の私は、姉さん達Roseliaと海で会う事になって、ビーチバレーで対決する事になるだなんて知らなかった――

 




※海回には続かないです。一期のOVA編と同じなので
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