Sisterhood(version51)   作:弱い男

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予定変更して、先に最後のストック分を上げさせていただきます。




#42

「ねっねっねっ華那!今日行くところってどんなところ?」

 

「バ香澄!声でけぇんだよ!」

 

 電車に揺られる私の隣に座る香澄ちゃんが、いてもたってもいられないといった様子で私に聞いてくる。それを小さな声で諫める有咲。それを見た私の反対側に座っている沙綾が苦笑いを浮かべていた。

 今日の私は、ポピパの皆と一緒に隣の県にある、おばあちゃん――こと窪浦ヒカルさんが運営しているライブハウスへ向かっていた。本当は夏休み入ってから行こうと思っていたのだけれども、そうもいかない理由ができたの。その理由というのが――

 

「由紀ちゃん達のライブ楽しみだねぇ」

 

 と、私が香澄ちゃんに今日行く場所がどんな所か説明を終えると、それを見計らったように沙綾が私に笑みを浮かべて言ってきた。そうなんです。今日は姉さん達Roseliaが参加したFWFの予選会(コンテスト)で、出会った由紀ちゃん、香織ちゃんと若菜ちゃん達のグループのライブが行われるというので、お誘いを受けてポピパのメンバーも行くという事になったのだ。

 その誘いを受けたというのが、ちょうどポピパの皆に誘われて、有咲の家でお泊り会をしていた夜という事もあって、その文章を横で見ていた香澄ちゃんが駄々をこね始めたのが主な原因だ。

 

『行きたい行きたい行きたい行きたい!!私もライブ見に行きたい!!』

 

『だぁぁぁぁぁ!!うるせぇ!バ香澄!!!!』

 

『アハハ……』

 

『あ、有咲ちゃん。有咲ちゃんの声の方が大きいよ?』

 

『ん?何かあったの、有咲?』

 

 と、早口でまくし立てる香澄ちゃん、有咲ちゃん、苦笑する沙綾。オロオロするりみちゃん。そしてギターを構っていて、話しの輪に入っていなかったおたえちゃん。何このカオス。私にはどうする事も……できるわ。とにかく、香澄ちゃんには悪いけど、隣の県まで行く余裕も都合もつかないでしょ?と、気楽に考えつつ予定着くのかと聞いてみる。

 

『ちなみにいつ?』

 

『隣で勝手に文章読んでいたんじゃないの!?』

 

 驚きのあまり大きな声を出してしまい、香澄ちゃんと一緒に有咲から説教を受ける事になってしまった。なんでよ……と思いつつも、きちんと説教を受けたのだった。

 で、友人五人連れてってもいい?と、由紀ちゃん達に確認すると、すぐ返信が届いて「いいよ!」との事だったので、私とポピパのメンバー全員で行く事になったのだった。

 ってか、全員の日程合わせるって、ポピパの団結力(あなど)っていた。こういう時、女の子の連帯感って怖いよね。先生?え?違う。そうですか……。

 

 で、今回は私()()()()()()()()()()()()()のでギターを持ってきている。なぜか香澄ちゃんとおたえちゃん、りみちゃんも各自の楽器を持ってきているのだけれど……なんでさ?

 

「あ、私もドラムスティック持ってきてるよ」

 

「あたしも、楽曲のデータはUSBで一応持ってきているぞ、華那」

 

「二人とも用意いいね!?あと、人の心読むの止めてくれないカナ!?」

 

 と、口調がどこかの誰か(教授)っぽくなってしまったけれど、是非も無い事だと割り切ります!……いやだって、割り切らないと私の精神が持たない。間違いなく持たない。というか、私……心読まれすぎ!?

 

「馬鹿やってないでいいから、なんで華那はギター持ってきたんだ?あたしは、どうせバ香澄が『私達も演奏したい!!』って言い出すだろうと読んだから用意したんだけどさ」

 

「さすが、ありしゃー!!わかってるぅー!!」

 

「だぁぁぁ!!列車の中でひっつくんじゃねぇぇぇ!!」

 

 と、会話が聞こえていたのか、有咲に抱き着く香澄ちゃん。

 

「あ、アハハは……はぁ。沙綾……」

 

「無理」

 

 苦笑いを浮かべて沙綾にこの状況をどうにかしてほしいと助けを求めるも、沙綾は即答で首を左右に振った。諦め早いよ!?って、りみちゃん!チョココロネまた食べてるの!?それで列車に乗ってから三つ目だよね!?って、おたえちゃん!列車の中でギター出して引こうとしないで!!他の人の迷惑になるから!!

 

「あ、有咲……たすけ「あたしの方は香澄(コイツ)の相手でいっぱいだ!!」……デスヨネー」

 

 もうカオスすぎてツッコミも追いつかない。取り敢えず、周りの人と車掌さんに怒られないように注意しながら、おたえちゃんを落ち着かせる。この車両には、運の良い事に私達以外誰もいないけど、マナー違反だと言って何とかギターをしまわせる。

 それだけで三十分かかるとは思わなかった。ま、まあ。おかげさまで時間つぶしになったと思えば……うん。そう思う事にしよう。と、列車から降りて、騒動を振り返って疲れ果てた私が少し遠い目をしていたら沙綾が、私の頬に冷たいペットボトルを当ててきた。

 

「ふにゅ!?」

 

「アハハ!華那驚きすぎだって!」

 

 と、悪戯が成功した事に笑う沙綾。もう怒る気力もない私はそのペットボトルを受け取る。中身は濃いお茶。沙綾にいいのと確認すると、笑みを浮かべて「華那の分だから飲んだ、飲んだ!」って言われたので、素直に受け取って飲んでおく。

 

 目的のライブハウスは、駅からかなり近い所にあって、立地条件良すぎだけどだいじょぶなのっておばあちゃんに聞いたら

 

『子供はそんな心配するんじゃないよ。まあ、プロもここでライブするぐらいだから、そうそう潰れたりはしないから安心しなさい』

 

 と、怒られた記憶がある。そういえば、去年だったかに、私の尊敬しているギタリストのグループが全国のライブハウスで未発表のライブ音源流すイベントやったとか何とかで、それにおばあちゃんの運営しているライブハウスも参加していたとの事らしいから、だいじょぶみたいかな。

 そんなことを思いつつ、皆と話しながら大通りを歩いてライブハウスへ向かう。徒歩で十分ほど駅から直進した場所という、とってもわかりやすい場所にあるライブハウスにたどり着いた私達を待っていたのは、なんとおばあちゃんだった。私はおばあちゃんの姿を見るなり、すぐさま走っておばあちゃんの元へ急いだ。

 

「おばあちゃん!」

 

「おお、華那!聞いていた通り来てくれたんだね」

 

「うん!」

 

 と、私を抱きしめて撫でてくれるおばあちゃん。予選会の会場では、やっぱり役員って事もあったから、そうそう話す事が出来なかった。でも、こういう時は優しい笑みを浮かべて私を撫でてくれるから、おばあちゃんの事は好きだ。

 

「な、なあ、沙綾。本当にあの二人、血の繋がりが全くない、赤の他人なんだよな?あれ、本当の孫とお祖母ちゃんにしか見えねぇぞ?」

 

「そうだよ。まあ……華那はさ、人懐っこい所あるから、そう見えるんじゃないかなぁ?」

 

「あー……まあ、香澄(こいつ)よりマシだけどな」

 

「えー、有咲酷い!」

 

「えっと……香澄ちゃんどんまい?」

 

「華那はウサギか犬だよね。華那自身は猫好きだけど」

 

「何の話しだ!?おたえ!?」

 

 なんか、おばあちゃんと話しているだけなのに、ポピパメンバーがいつも通り過ぎてそのまま無視しようかと思ったけれど、おばあちゃんに私の友人達で、バンド組んでいるんだよと説明すると、おばあちゃんの目つきが変わった。あ、これ、オーナーモード入りましたー。

 

「華那の友達って事だけれど、どれだけ技量があるか見てみたいものだねぇ」

 

「それってつまり、ライブできるって事ですか!?」

 

「ちょ、香澄!?」

 

「か、香澄ちゃん。突然大きな声出したら、迷惑だよ」

 

「アハハ……香澄らしいね」

 

「演奏していいなら準備しないとね」

 

 と、勢いよくおばあちゃんに駆け寄って大きな声で反応する香澄ちゃん。それを見て、各々(おのおの)違った反応を見せるポピパメンバー。いつもの事だという感じで笑う沙綾と、その場でギターをカバーから取り出して準備し始めるおたえちゃんに言いたい。そんなに演奏したいのか!?って。

 

「もし、今日の出演者達がトラブルで演奏できなくなった場合は、みんなに演奏してもらうかもしれないから、そのつもりでいるんだよ」

 

「はーい!!」

 

 と、孫を見守るような笑みを浮かべながら、おばあちゃんは香澄ちゃん達を見ながら言うのだった。それに元気な声で返事をする満面の笑みの香澄ちゃん。あ、これ。間違いなく演奏できるって思っているパターンだ。それでできなくて、猫耳型の髪(本人曰く星らしいけど)が某黄色のネズミっぽい電撃キャラみたいにションボリして歩いている未来が見えた。

 

 

 

「あ、華那ちゃん!!」

 

「おー華那ちゃんだー」

 

「華那!来てくれたのね!」

 

 と、由紀、香織と若菜達がいる控室に入るなり三人に抱きしめられた華那。それを見た私は心がモヤモヤする感覚が生まれていた。今日、華那がギターを持ってきた理由を私は知っている。と言っても、華那から相談されたからなのだけれど。

 

「さーや。怖い顔してる」

 

「え?おたえ、本当?」

 

 おたえに指摘されて、私は慌てて確認するように両手を頬にあてる。まったく自覚してなかった。うーん。さっきのモヤモヤする感覚のせいかな。なんて思いつつ華那を見ると、三人に囲まれながら談笑している華那。

 

「ねえ、華那ちゃん。このまま私達のグループに入ってギターやらない?」

 

「そうそう。華那なら、私達大歓迎よ」

 

「華那ちゃんならーわたしもーあんしんかなー」

 

「い、いやあの……ちょっと話しが急すぎない!?」

 

 と、話しがどうしてか華那を勧誘する方向になったようで、華那が困惑の声を上げていた。流石にその話しを私は黙って聞いていられなくなって、華那達の輪の方へ歩く。

 

「沙綾……どうし……沙綾?」

 

 有咲が声をかけてきたような気がしたけれど、今は華那の事。華那の左腕を掴み、華那を三人の輪から引き抜いて抱きしめる。不満そうな表情をしていたって、あとで香澄達に言われたけれど、この時はそんな事考えてもいなかった。

 

「ごめん。華那は()()()()()()()だから」

 

「さ、沙綾?」

 

 私は笑みを浮かべてそう三人に伝える。華那が戸惑った声を上げながら私の名を呼んでいたけれど、頭を撫でるだけでその声に返事をする事はしなかった。

 

「……ごめんね沙綾ちゃん。ちょっと、私達はしゃぎすぎちゃったみたい。ね、若菜」

 

「だねー。若菜達反省反省ー」

 

「ちょっと、若菜。反省してないでしょ!?」

 

 と、由紀が最初に謝ってきて、若菜も反省した様子を見せていたけれど、なんだかふざけているように見えたのか、香織が注意していた。それを見てみんなして笑いあう。まあ、本気じゃなかったんだろうけれど、華那が困っていたからね。私の行動は間違ってない。うん。

 

 その後、お互いに自己紹介をした後に、談笑をしていた私達。そろそろ由紀達の出番が近づいてきたようで、準備を始める三人と華那。それを見て香澄とりみが首を傾げながら

 

「あれ?なんで華那まで準備してるの?」

 

「そうだよね。華那ちゃんは見に来ただけだよね?」

 

「あ、言ってなかったっけ?今回、私来たのはサポートギターで参加するためなんだ」

 

 と、二人の様子に気付いた華那が服を着替えながら答える。今、華那が着ようとしている衣装は、この間の予選会で着ていた、Roseliaの皆さんとお揃いの衣装。最初は作ってもらうの遠慮していたようだけれど、本人も着るのが楽しみのようだね。でも、華那がその衣装着ると、ゴスロリ服にしか見えなくなるのは不思議だね。

 

「え?ズルいズルいズルい!!!!華那ちゃんだけ演奏できるだなんてズルい!!」

 

「いや、サポートギターだからね!?私がソロで弾くわけじゃないからね!?」

 

「香澄……お前……本気で演奏したかったのかよ……」

 

 と、華那の発言を聞いた香澄が駄々をこねだした。着替え終えてからギターの調整していた華那が慌ててソロじゃない事を伝えていた。頭を抱えながら有咲が、何とか喉から声を絞り出していた。見慣れた光景に私は安心しつつ華那に、三人と合わせてないけど大丈夫なのかを聞く。

 

「だいじょぶだよ!ギター以外はパソコンで再生するらしいから。それに、演奏する楽曲はしっかり練習してきたから」

 

 と、ギターの調整が終わって、指の運動をする華那。ただ、笑顔で話す華那の指は小さく震えているようにも見えた。サポートとはいえ、失敗は許されないわけだから緊張はするはず。だから私は華那の背中をちょっと強めに一回だけ叩いて

 

「しっかり演奏してきてね!楽しみにしてるから!」

 

「ったー……沙綾もうちょっと手加減してよ!!」

 

「ごめんごめん」

 

 と、涙目で怒る華那に両手を合わせて謝る私。プンプンと擬音がつきそうな感じで怒っていた華那だけど、出番が来たようで由紀達に呼ばれたので「あとでね!」と華那は私に言ってステージへと向かっていった。じゃあ、私達も見に行こっか。

 

「さんせーい!華那の演奏早くみたい!!ね、有咲?」

 

「ま、まあな。あいつがミスんねぇか心配だしな……」

 

「そう言いながら、楽しみで仕方ない有咲なのです」

 

「おーたーえー!!楽しみじゃねぇぇぇぇ!!!!」

 

 両手をあげておたえを追いかけまわす有咲。どこに行ってもこのメンバーは本当に退屈にならないなあ!と、私が思っていたら華那のおばあちゃんこと、窪浦さんが私達を呼び止めた。どうしたんだろうかと、皆で顔を見合わせるも、私達は窪浦さんのお願いを承諾するのだった。

 

 

 

 

「皆さんこんにちは!Kolor’s(カラーズ)です!」

 

 ステージに立つ香織ちゃんが挨拶をしている。私はギターを持ってそれを聞いていた。グループ名の由来は、三人共通の大好きだったコーラスグループのKと、Colorの単語のCを入れ替えて、無理やりカラーって読ませたそうな。発案者は若菜ちゃん。何となくだけど、そうだろうなあと思っていた節はある。

 

「今日は特別にギターを、私たちの友人が隣の県から来てくれたので、紹介させてもらいます!」

 

 歓声二割、どよめき八割ってところかな。というか、会場が満員だなんて誰が思うでしょうか。私と姉さんが一緒に歌っていた時ですら七割ぐらいだったよ!?

 

「ギター華那ー!!」

 

 香織ちゃんが私の名前をコールしたので、それと同時に意を決してステージへと向かう。それと同時に歓声が上がった。なんで!?って、内心動揺しつつも観客席に向かってお辞儀をする。

 

「今日はギターだけではありますけど、スペシャルなギター演奏と、私達のコーラスワークを楽しんでいってください!……では華那!」

 

 香織ちゃんが私を見て小さく頷いてきたので、私も小さく頷いてギターをかき鳴らす。途中、スタッフさんが私の演奏に合わせて再生してくれた他の楽器の音が流れる。一曲目は「destination unknown」って曲。由紀ちゃん達がメインでカバーしているグループのアルバムに収録されているロック曲。由紀ちゃんの歌声で三人のコーラスワークが始まる。

 

 高音を香織ちゃん。中音を由紀ちゃん。そして若菜ちゃんが低音というパート分けされている。勿論、全員メインパートを務められるだけの実力を持っている。三人のコーラスワークを聴きながら、演奏に集中する。ギターソロに入った瞬間、スポットライトが私に向けられる。緊張するけれど私なりに全力の演奏をする。

 ワウも使うギターソロで、最後の方は伸ばして終わるのだけれど、ここは私なりにアレンジしてブレイクに入って、由紀ちゃんの歌声の途中から再びギターの音を入れる。これは三人と連絡しながらライブ用にアレンジを考えている時に、こうして欲しいという事で取り入れたアレンジ。

 そして一曲目が終わった時点で、凄い歓声が上がって私はびっくりした。結構こういう所だと反応ない場合が多いから、それだけ三人の歌唱力が凄いんだと思いながら次の楽曲へ意識を向ける。

 

 次はアニメ映画用に作られた楽曲である「sprinter」。こちらもアップテンポの楽曲で、三人のコーラスワークが重要な曲。ギターソロはないけれど、歌声にギターの音をハモらせる場面もあるので、三人と息を合わせるように私はギターを奏でる。

 その後も、バラードありのポップありの、バラエティに富んだ楽曲が続いて行って、会場のボルテージがどんどん上がっていくのが演奏していて分かった。本当、歌だけでここまで盛り上げられる三人のハーモニーが凄い。

 最後はピアノの旋律から始まり、三人のハモリが入る「to the beginning」。本当はバイオリンの旋律が流れる部分をギターアレンジで奏でていく。そしてKolor’sのコーラスがすべて終わった瞬間、盛大な拍手が会場を包み込んだ。

 

「改めて、今日……私たちのお願いを聞いて、隣の県からやってきてくれたギタリスト華那に盛大な拍手を!!」

 

 と、私に振る由紀ちゃん。ち、ちょっと!?私。今日はただのサポートだよ!?と言う前に、拍手が巻き起こった。どうして――と困惑する前に三人に背中を押されながらステージの真ん中に立たされる。え、え??ちょっと!?

 

「ほら華那ちゃん。拍手に応えなきゃ!」

 

「そーだよー。ほらほらー」

 

 香織ちゃんと若菜ちゃんが私に聞こえる声で急かしてくる。あーもうこうなりゃやけだ!って感じで右手を上げてからお辞儀をする。そしたら一段と拍手が大きくなったのでびっくりだよ!?

 

「本当にありがとうございました!Kolor’sとギタリスト華那でした!」

 

「ありがとー」

 

「ありがとうございました!」

 

 先に私がステージから去って行って、三人がそれぞれ挨拶をしてから舞台裏へやってきた。私はギターを置いて三人に今日はお疲れ様って伝えると

 

「華那ちゃん、今日は本当にありがとう!今までここまで反応してもらった事ないよ!!」

 

「そうそうー。やっぱりギターの音が生音だと迫力も違うんだねぇー」

 

「華那ちゃん。短時間でここまでやってくれるなんて……本当ありがとう」

 

 と、三人にお礼を言われた。え?嘘でしょ?私演奏しながらだったけど、三人のコーラスワーク凄く綺麗だったよ。だからそれが拍手に繋がったんだと思うよと伝えると同時に、なんかスタッフの人達が慌ただしく動いているのに気付いた。どうしたんだろう?

 

「おい、まだ次のバンド来てないのか!?」

 

「なんかボーカルが季節外れのインフルで病院行ってるとかで、演奏無理って連絡あったそうです!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!?連絡こっちまで来てないッスよ、先輩!?」

 

 と、いう怒号にも似たやり取りが行われていて、切羽詰まった状況である事を瞬時に理解した。仕方ないか。もう一戦行って――

 

「あんたたち落ち着くんだよ!」

 

「あ、オーナー!」

 

 私が直談判しに行こうとしたおばあちゃん登場に、スタッフが静まり返る。あれ?なんでおばあちゃんの後ろにポピパの皆が――

 

「空いた枠ならこの子らが埋めてくれる。急いで準備すんだよ!」

 

「「「は、はい!!」」」

 

 と、指示を出されて動き出すスタッフの皆さん。相変わらず指示出す時の威厳ある感じは健在なんですね……。そう思いつつ沙綾達と合流して

 

「準備、だいじょぶなの?」

 

「大丈夫だよ。セトリも決めてあるし、後は精一杯演奏してくるから、華那はちゃんと見ててよね?」

 

 と、ウインクして見せる沙綾。他のメンバーも大丈夫だよって言ってくれたので、私は頑張ってとしか言えなかった。まあ、ポピパの皆も演奏したくてウズウズしていたみたいだから、良かったと言えば良かったのかな?

 

「Poppin'Party。あんた達の音楽しっかり聴かせてもらおうじゃないかい」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

 おばあちゃんがポピパの皆に檄を飛ばす。それにこたえるように息を揃えて返事をする皆。その後、輪を作っていつもの掛け声しようとしている時。香澄ちゃんが私を手招きして

 

「華那も入って!!」

 

「……はぁ!?」

 

 と、私が驚きの声を上げたのは悪くない!と思っている間にりみちゃんとおたえちゃんに背中を押されて、輪の中に入る。私の左側には沙綾がいて、右には有咲がいる。えっと?

 

「諦めろ、華那。一度言い出したら意地でも貫き通すやつだぞ?」

 

「華那も、今日はポピパのメンバーって事で」

 

 と、呆れた様子の有咲と嬉しそうな様子の沙綾が交互に言ってきたので、私は小さく息を吐いてから円陣を組む。

 

「じゃあいっくよー!ポピパ!」

 

「「「「「ピポパ!ポピパパ!ピポパー!」」」」」

 

 香澄ちゃんの声の後に全員で合わせるように掛け声をかけて全員でハイタッチをする。私もそれをしてから手を振って

 

「行ってらっしゃい」

 

 と見送る。皆それぞれの反応を見せてステージへと向かっていった。観客席から困惑した声が上がる中、香澄ちゃんが元気よく挨拶をして、本来するバンドが急病で来れなくなったという事情と自分達ポピパの事を話して、ギターを構えて

 

「じゃあさっそく一曲目行きます!聴いてください『STAR BEAT! ~ホシノコドウ~』」

 

 そう言うと同時に照明が暗転し、淡い青い色の光がついてポピパの演奏が始まった。いつも通りの明るくて、元気で、それでいて繊細な演奏。一曲目の途中からアウェーであるにも関わらず、会場全体を完全にホームと化したポピパの演奏は最後まで盛り上がり、見事に代役を果たしたのだった。

 

 で、終わってから香澄ちゃんがなぜか私に突撃してきて、その勢いに私が圧し潰され、それを見た有咲と沙綾に香澄ちゃんが説教受けていた。それを微笑ましそうに見守っていたおばあちゃんから代役のお礼って事で、ポピパの皆がお駄賃を貰っていた。最初は断る方向で話していたけれど、おばあちゃんの話術に見事に言いくるめられて、ポピパの皆はお駄賃を受け取っていた。

 で、話し合いの結果、そのお駄賃で由紀ちゃん達と交友を深めようってなり、みんなで食事をしに行く事になったのだけれど、それはまたの機会にでも――

 




一応Twitterやっておりまして、もしTwitterで読了ツイートして頂けたら、作者がいいねしに行くかもしれません……。
気付いたらですけど……。

あ、後。次回は作者(ネタ的で)暴走回(予定)です。
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