学校のクラスメイトのイメージ崩壊につきましては責任を負いかねます(ぉ
では本編どうぞ
「ねえ、蘭ちゃん。恋ってどんな感じなのかな?」
「ぶっ!?」
華那の突然の問いかけにあたしは、飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。それと同時に、華那の発言にクラス全員の動きが止まった。それもそうだ。失礼だけど、恋愛とはすっごく遠い所にいるであろう華那が突然そんな事を言い出せば――
「「「「「「か、か、華那ちゃんに春が来たぁぁぁぁぁ!!??」」」」」」
「誰!?誰なの!?華那ちゃんの心を盗んだ奴は!?」
「そ、そんな……華那ちゃんは絶対、
「(相手を)殺さなきゃ……殺さなきゃ……」
「待て、まだ慌てるような時間じゃじゃじゃじゃじゃっじゃ!!??」
「あんたが一番慌ててるじゃない!?」
「ウソウソウソウソウソウソウソウソウソ……カナチャンハ、ワタシノモノナノニ……」
「華那が恋愛しないと言ったな……あれは嘘だ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「キ、キマシ?キマシ?」
「まだ
「こ、これは、禁断の姉妹愛!?」
「ステイ、ステイ。まだだっ。まだっ、まだだだがだがだがだが」
「あんたが一番ステイしてなさい!」
「あー!?誰か保健の先生呼んで!!椿ちゃんの意識がないの!!」
「まったく……たかが華那の恋愛ぐらいで騒ぐでない。あ、沖の字。お茶お代わり」
「ノッブはちょっとは動揺しましょうね!?はい、温かいお茶どうぞ」
「温かいお茶ドーモじゃ」
と、まあ
「えっと……ちょっと気になっちゃって。私はした事ないけど、他の人がどんな感じなのかなって」
恥ずかしそうに聞く華那だけれど、その仕草は間違いなく誤解を招くと思う。というか、質問した時点で既に誤解を与えている訳だけれど……いや、実際問題誰が好きなの、華那?
「ほへ?……!い、いや。そ、そういう訳じゃないよ!?」
「その言い方が誤解与えるって!!」
あたしは机を叩いて立ち上がる。そうでなくても
頬は少し赤くなっていて、恥ずかしいというのが伝わってくる。やっぱり男?なら誰?身近に男と言うと――
「CiRCLEの正社員のあの人?」
「ほへ?」
あたしが呟いた言葉に、純粋な眼差しの華那は首を傾げた。なんで今その人の名前が出てきたのと言いたげだったから、これは違うって事。なら誰がいる?もしかして、あたしや湊さん(姉)ら、皆が知らない所で会っている人とか?そう判断したあたしは、スマホを取り出してある人物に連絡を取ろうとする。
「あの……蘭ちゃん?」
「え……あ、ごめん。それで、恋についてだっけ?」
不安そうな眼差しであたしの名前を呼んだ華那に、反応が遅れてしまった。どうして華那がそんな事を聞いてきたのかが理解できない。華那から見えないように、机の下でスマホを操作しながら確認のために華那に聞いた。
「うん。ちょっと……気になっちゃって」
「……泳ぐんじゃない?」
「そっちの鯉じゃないよ!?」
とりあえずお約束的にボケてみるけれど、やっぱり違ったみたいだ。うん……これは放課後、CiRCLEのラウンジに集合して緊急ミーティングを開いた方がいいかもしれない。華那に
「それで……蘭ちゃんはそういう恋のようなものした事あるかなって……」
「あたし、した事ないし、余裕ないし」
そう。実際問題、美竹家の場合、華道を継ぐ事も視野に小さい頃から厳しい指導を受けてきたから、
「そっか……」
極端に落ち込んでいるように見える華那。あたしはそれを見て罪悪感にも似た感情を覚えてしまう。ちょっとは言い方を考えればよかったかなと思っていたら、
「そういえば、蘭ちゃんの家って名家なんだよね?なんで
「はぁ……華那?」
純粋な質問なのだろうけれど、なんであたしにメイドみたいな人間つかれなきゃいけないの。そんなのいたら、バンド活動も出来ないし、スケジュールやプライベートを束縛されるから、いない方がいいし。そう言ったのだけれど、華那は不思議そうに首を傾げながら
「だって、よくよく考えたら、蘭ちゃんって美竹家の長女って事は、跡取りでしょ?」
「あー……うん、一応」
「だから、蘭ちゃんのお父さんならやりかねないかなぁって……」
「人の父親にどんなイメージ持ってるの……いや、確かにやりかねないけど……」
「ね?同い年ぐらいの女の子をメイドにしそうじゃない?」
頭痛と眩暈を覚えつつも、
「でも、蘭ちゃんにお付きのメイドさんいたら、
「ちょっと、華那。それはどういう意味」
「ふにゃん!?」
ニヘラと笑う華那の両頬をつまみ上げて、上下左右に引っ張る。あ、沙綾が言っていた通り、スベスベしてるし、モチモチしてて気持ちいい。
「
「まったく……で、なんでメイドさんが苦労する事になるの?」
十分堪能してから、あたしは華那の頬から手を離して右手で頬杖をつきながら問う。そもそも、あたしがメイドさんにそこまで迷惑かける訳が――
「だって、蘭ちゃんの場合、アフグロの皆とバンドするからとか、遊び行くからとか言って、予定全部ひっくり返しちゃいそうじゃない?」
「くっ……否定できない」
両頬をさすりながら、話す華那の言葉に否定できなかった。家に縛られるって言うか、勝手にスケジュール組まれた挙句、自分の意見を言えないだなんてアタシは嫌だ。……そう考えると華那の言ってる事は正しい……?そんな考えがよぎったあたしは頭を左右に振って
「実際いないから
「え?昼休みの話しのネタ?」
「なんで疑問形!?」
再び机を叩いて立ち上がるあたしは悪くない!それより……気にしないようにしていたけれど、クラス内が地獄絵図と化してるのだけれど……。うん、野戦病院と言った方が正しいかもしれない。
とりあえず、あたしはパックの牛乳を飲んでいる華那に改めて問いかける。今日、なんでこんな話しばっかなの?誰か好きな人でもいるの?その人の家にメイドいるとか?
「え?私が好きな人?いないよ。付き合っても無いし、メイドは本当にただの話しのネタだよ」
「だよね」
その言葉を引き出したあたしは褒められていいと思う。だって、クラスの地獄絵図化&野戦病院化の悪化を防いだのだから。クラスの皆の様子をチラリと見ると
「はーい。みんな解散、解散ー」
「なんだ、ビックリしたー……」
「まだ華那ちゃんが
「椿ちゃん目覚ましてー!誤報だったよー!」
「私の生涯に……一片の悔い……ある……」
「あるの!?」
「ツマリ、カナチャンハワタシノモノ?」
「どうやったら合法的に華那ちゃんをメイドさんにできるかな?」
「その考えをする時点でアウトだと気付いて、山ちゃん」
「なんじゃ、つまらぬ」
「絶対遊ぶ気満々でしたね、ノッブ?」
なんかまだ一部が地獄絵図化しているような気がするけれど、気にしない気にしない。で、なんで
「えとね、流行の曲の歌詞とかで結構恋愛の事を書いてある楽曲多いじゃない?」
「あー……確かに」
「だから、どんな感じなんだろうって思ったのが理由だよ」
華那の言いたい事は分かった。確かに、流行の楽曲や有名曲は恋愛の歌詞が多い。それを書こうとしたら、確かに恋愛した事が無ければ、感覚で書くしかない。となると現実とのギャップが大きくなってしまう。だから、歌詞を書くあたしに聞いてみたのだろう。納得納得。
実際、華那が練習している曲にも失恋した曲や、元カノを偶然街で見かけて、今の彼氏と腕組んで街の中を歩いてたって曲もあるらしい。それで、どんな気持ちなのだろうと思ったから、あたしに聞いたという事らしい。
ただ、一つ問題があるとすれば――あたしが既に
放課後。CiRCLE内にある、ラウンジにてあたしと沙綾。そして湊さんが集まって話しをしていた。
「それで美竹さん……昼間のあれについては何かわかったかしら?」
「はい……先に結論から言えば、華那に彼氏はいませんでした」
「そう……」
一安心と息を吐き出す湊さん。沙綾もホッとした表情を浮かべていたけれど、どこかぎこちないのは気のせいと思いたい。というか、ビックリしましたよ。昼休みに前置きも無く恋について聞いてきたんですよ?
「ごめんなさいね……美竹さん」
「蘭。その惨状ってどんな状況?」
興味本位なのだろうけれど、沙綾がその時の状況について聞いてきた。頭痛と眩暈がしたあの光景を思い出しながら説明をする。そういえば、あの二人組後で見たら、ちゃっかり授業受けてたから、あたしが覚えてなかっただけみたいだ。
「す、すごい状況だったんだね」
顔が引き攣った状況の沙綾が、何とか絞り出した言葉はそれだけだった。湊さんも呆れた表情を浮かべてて、盛大に溜息を吐いていた。帰ったら華那に変な発言するなと注意しておくと言って、今日は解散することになった。尚、今日の会話の最中。ずっと湊さんの膝の上には、ついこの前、華那が保護したという黒猫のクロが眠っていた。
「でも、いつか、華那が恋愛するってなった時。大変な事になりそうだね」
「確かに……今日の話しのネタだけだったのに大騒ぎだった訳だけど、本当に告白したとか、付き合ったとかの話しが出てきたら、今日以上の地獄が繰り広げられるって訳だよね……」
沙綾が苦笑しながら話しかけてきたので、あたしも同意しつつ、あれ以上の地獄は見たくないと思ったのは悪くないはず。というか、まず付き合う時点で湊さんの同意を得られるかどうかだと思うのだけど
「あら、華那が本当に好きであるなら、私は認めるわよ」
「え゛」
小さく呟いた私の言葉を拾った湊さんが、意外な事に認める発言をしたもんだから、あたしが変な声を出したのは悪くない。悪くないって言ったら悪くない!
「それこそ、華那の身が危なくなるような男なら、どんな手を使ってでも別れさせるわ。でも……華那の事を大切にしてくれる人なら、私は認めるわ。それが姉としての務めじゃないかしら?」
「湊さん……」
「友希那先輩……」
湊さんが今まで見せた事の無い、柔らかな笑みを浮かべて言うものだから、あたしと沙綾は何も言えなくなってしまった。いや、そこまで考えているのなら問題ないと思いますけど、それって結婚前提なんじゃ――と、いうツッコミをあたしは入れる事が出来ずに、今日は解散となるのだった。
あれ?今回、被害者ってクラスメイトもそうだけど、一番はあたしじゃない?そうあたしが気付くのは、寝る直前の事だった――
その夜――とある二人の電話でのやりとり――
「華那……私の貸した本の影響受けすぎじゃない?」
『ほへ?……あー蘭ちゃんから聞いたの?』
「うん。確かに蘭の家は名家だけど、あの漫画本に出てくるヒロインのようなポンコツじゃないでしょ」
『確かに……でも、メイドとかいてもおかしくないと思ったんだもん!』
「まあ……あんな子みたいなメイドさんいたら、仲良くしたいよねぇ」
『でしょでしょ!?』
「それはそれとして、今後は注意するように。分かった、華那?」
『はーい……』
ネタに走りすぎた結果がこれだよ!
色々とすみません……