吹奏楽部の皆さんとの演奏会が無事に終わってからの最初の登校日。いつも通り、姉さんとリサ姉さんと一緒に登校したはいいのだけれど、なぜか視線を感じた私。姉さんとリサ姉さんは気付いていないようだけれど、すっごい見られているんだけどなんでだろう。
疑問に思いつつ、生徒玄関で姉さん達と別れてクラスへ向かう。その際も、見られている感覚があって、なんか心地が悪い。なんでこんなに注目されているのか疑問に思いつつ、クラスの扉を開ける。おはよう。と、言った瞬間だった。
「華那ちゃん!!この前の演奏会、すっごいよかったよ!」
「華那ちゃん、あのギターカッコ良かったよ!!あの青いギター!!」
「華那ちゃん!これにサインして!!」
「わきゃにゃん!?」
と、あっという間に既に来ていたクラスメイトに囲まれる私。なんで私こんなに囲まれるんですか!?しかもサインって何!あの、ちょっと……荷物だけでも置かせてぇー!!お目目ぐるぐるにしながら、皆に囲まれた状態で何とか抜け出そうとするけど、どんどん人が増えていて抜け出せない!?
「華那、なにやってるの……」
そんな窮地に陥っている私に、
「ほら、皆。華那が怖がってるでしょ。少し考えてあげなよ」
「はーい……」
「うら……けしか……羨ましい」
「サイン……」
「蘭ちゃん、そこどいて!
「そいつ呼ばわりするんじゃないわよ!!叩くわよ!」
「既に叩いてるんですが……それは……」
と、何故か殺気立っているみんな。怖くて蘭ちゃんの背中に隠れる。それを見た皆が何か声を上げていたけれど、私は蘭ちゃんの後ろに隠れていたので表情とか分からなかったけれど。
「本人怖がらせちゃ意味ないでしょ……ほらほら、解散解散」
「はーい……」
「(´・ω・`)」
「返事じゃなくて顔文字!?」
「ほら、山ちゃん。私達の席に行くよ」
「あ、こら!首根っこ引っ張らないで!!私は猫じゃ……にゃー!!??」
「猫じゃねぇか……」
と、相変わらずカオスな状況。なんでこうなった……。そう頭を抱えた私は悪くない。悪くないよね?よね?
「いや、そこで不安にならなくても……」
呆れ顔の蘭ちゃん。いや、だって……何故かわからないけど、急に皆に囲まれるし、登校中も視線は感じるし……。ストーカーでもいるのかなって不安になっちゃって。そんな話しをしたら、またみんなが集まった。なんで!?
「ストーカーですって奥様!!」
「これは由々しき事態ね。華那ちゃん見守り隊は何をしていたの!?」
「隊長!!通学路には、特に異常はありませんでした!!」
「校内でも異常は見られません!」
「(`・ω・´)シャキーン(きちんと警備してましたという表情)」
「だから喋りなさいって!!」
「あんた達、学校内でなにやってるの!?」
蘭ちゃんが大きな声で言いたくなる気持ちも分かる。というか、通学路から視線感じたのはみんなのせいだったの?そう問うと、違うみたい。なら、誰が――と、皆で話し合っていると、原因が一つ浮かび上がってきた。
その原因というのが、この間の演奏会。なんでも、チケットが取れなった人の為にと、体育館でパブリックビューイングが行われていたそうで……。いや、その話し私知らないんですけど!?後で植松先輩達に聞いてみよう……。
でも、そこまでやるほど吹奏楽部の演奏ってすごいんだなぁと、小さく呟いたら蘭ちゃんが凄い勢いで私の両肩に手を置いて
「華那。吹奏楽部の演奏以上に、華那の演奏に惹かれた人多いって自覚して」
「ほえ?」
蘭ちゃんの言葉に私は首を傾げるしかなかった。私の演奏に惹かれる人がいた?ないない。絶対ないよ。笑いながら私がそう言ったら、皆が凄い勢いで私の言葉を否定し始めた
「いやいやいや!?華那ちゃん自分に自信もって!!あれだけ凄い演奏したんだよ!?」
「ちょっと、誰か華那ちゃんも凄いって事、キチンと説明してあげて!!」
「これはちょっと重症すぎやしませんか……」
「(ヾノ・∀・`)(それは)ナイナイ」
「だから、あんたはきちんと喋りなさい!!めんどくさがってるんじゃないわよ!!」
「これは、友希那お姉様に説教してもらった方が速いのでは?」
「それだ!!至急呼んできて!!」
「おい、バカ止めろ!!もうすぐ先生く――逝っちゃった……」
「山ちゃん、漢字が違いすぎませんか!?」
と、まあ……すっごくカオスな状況に陥った我がクラス。私のせいじゃないし――なんて現実逃避をしていたら先生がやってきた。これにて、騒動は鎮圧(言い間違えに非ず)される事となった。
尚、姉さんを呼びに行った子は、無事に風紀委員顧問の丸田先生に捕まって、反省文千五百文字書く事となったと休み時間に嘆いていた。時間考えて行動しようね……。
「で、やってきました!!文化祭の出し物について考えるよー!!」
「待ってました!!」
「これはみんなで考えるしかないね!」
「華那ちゃんを前面に出して収益を……グヘヘ……」
「憲兵!!そいつを捕まえて牢屋に閉じ込めておけ!!」
「いや、憲兵っていつの時代だよ!?」
「いや、某艦隊娘ゲームじゃ?」
「(どうでもいいから早く帰らせてくれないかな……つぐの家に行くんだけど……)」
と、放課後のホ-ムルームで盛り上がっている議題。それは間もなく迎える文化祭のクラスの出し物についてだった。というか既に朝同様、カオスになっている気がするのは私だけでしょうか。蘭ちゃんに至っては帰りたいオーラ全開だし。いや、私も帰りたいよ……。こんなところにいられるか!私は家に帰る!!……え?帰らせない?そんな……帰らせてー。
「で、まずは案を出していこう!!」
と、司会進行役のクラス委員長の新井さんが教卓を叩きながら進行していた。というかノリノリだね……。私、とりあえず地味なやつがいいなぁ……。なんて考えていたら、皆挙手し始めて、一気に案を出し始めた。
「もんじゃ焼き!」
「もんじゃがなんじゃ!お好み焼きは広島焼きじゃ!!」
「はい!メイド喫茶!!」
「幽霊屋敷!」
「どっかの大学の人が出しているネタをパクって、脱出ゲームなんてどう?」
「水〇どうでしょうバリにスクーターで旅に出るとか!」
「免許どうすんのよ!?」
「そこは捏造するんだよ!!」
「アカン!!捏造はアカン!!」
「演劇なんてどう?うちのクラス、演劇部の子もいるしさ」
「ダーツとか輪投げとかで、商品あげる系!」
「華那ちゃんと蘭ちゃんによる演奏会!!え?あとの子?……遊ぶ?」
「なにもしない!!」
「華那ちゃんのサイン会!!一枚五百円から!」
「ならこっちは『華那ちゃんの、華那ちゃんによる、華那ちゃんファンの為の、華那ちゃん握手会』を提案するわ。一回千円から!!」
「ちょっと、最後の三つ!?」
両手で机を叩いてツッコミを入れた私は悪くない。というか、握手会で一回千円とかボッタくりじゃない!?え?どっかのアイドルグループはCDに握手券付けて販売している?……それはそれ。これはこれ。
でも、私の握手会とか、絶対に、実行委員会と先生の許可下りないと思うよ。だって、有名人でも何でもないんだから。そう言うと、黒板に既に書いていた新井さんが静かにその案を削除してくれた。うんうん。それがいいと思う。後で、全員怒られるよりはいいと思う。
「あー!!せっかくの労働しないで、簡単収益化がぁー!!」
「働けニート!!」
「(まだ)ニートじゃないもん!!」
と、提案した子が消された瞬間悲鳴にも似た声を上げる。すぐさま横にいる子が働けと注意しているけれど……もうグダグダじゃなこれ。ねえ、ノッブちゃん?
「そこでわしに振るか華那の字。まあ……沖の字がおれば、新選組の演劇を提案したじゃろうがな」
私の後ろにいるノッブちゃんこと、尾田
「そういうノッブちゃんだって、さりげなく
「ほう、よく幸若舞を知っておるな華那の字よ!そうよ!!さりげなく提案する。それがわしの真骨頂よ!」
小さく笑いながら威張るノッブちゃん。いや、威張れるような事じゃないような……まあ、本人が満足しているならそれでいっか。間違いなく選ばれないし。それは声に出さないでおいて、私は愛想笑いを浮かべるしかなかった。
で、かなり熱い議論が巻き起こっている。本当、皆イベント事好きだよね。私も好きだけど、そこまで熱くなれないからなぁ……。え?もっと熱くなれよ?それは、気温を操れる有名人に任せておきますねー。
結局、この日は時間が足りずに明日に持ち越しとなった。尚、ノッブちゃんの出した敦盛は速攻で除外されたのでした。ノッブちゃんが悲しそうな表情を浮かべていたけれど、仕方ないよね。うん。
「と、いう訳なんだけど、そっちのクラスは何か決まった?」
「私達も今日話し合ったんだけど、なかなか決まらなくて……」
と、私は蘭ちゃん達と一緒に、つぐみちゃんの家でお茶会をしていた。今日はバイトも無いし、姉さんは練習。となると、家に帰ってもギターの練習と勉強をするぐらいしかない。いや、ゲームもありなんだけど、あこちゃんと燐子さんいないとNFOやる気にならなくて……。
「モカちゃんは、お昼寝コーナーとかいいと思うんだよねぇ~」
「ただ、モカが寝たいだけじゃん……」
「もう、モカ!真面目に考えてよね!」
「……ラーメンはダメって言われちまったしなぁ……」
と、各々案は出したみたいだけれど、なかなかうまくいかなかった模様。まあ、ラーメンは難しいよね。麺はどこから作るのか。出汁だって鶏がらに豚、魚類などなど色々とあるみたいだもんね。どっかのタレントグループさんが一杯二千円越えるラーメンを一から(麺作る為に小麦から)作ったのを見た事があるけど、本当ラーメンは奥が深い。
「だろ!?華那、今から食べに――」
「丁重にお断りさせて頂きます」
ウッキウキの巴ちゃんのお誘いをお断りさせて頂いた。そうでなくても、最近食欲ないんだから、脂っこい物を食べる元気ないよ……。
「え、華那ちゃん大丈夫なの!?」
「華那ちゃん、ダイエット中なの?なら私と一緒だね!」
「ひまり……真面目な話しっぽいから冗談は無し」
「華那ちん大丈夫?」
「おいおい、食欲ないって重症だぞ?」
私が食欲ないと言った瞬間、みんなが心配そうな表情を浮かべて聴いてきたので一つ一つ答えていく。だいじょぶだから、そんなに心配しないで。多分、この間の演奏会終わるまでずっと緊張した状態だったから、それが影響していると思うんだ。今日はまだ食欲あるから。ただ、最近だと食べ物が飲み込みにくかったりするんだよね。きちんと噛んでいるんだけどね。あと、ここ最近体重減ってきている。きちんと食べているのになんでだろ?
「華那、それ本当大丈夫なの?」
「緊張がストレスになっていたのかもしれないから、そんなに不安視しなくていいと思うよ、蘭ちゃん」
演奏会までは練習していても、家に帰ってもずっと緊張状態だったから、それが影響していると思う。だって、胸も硬くなったり、腋が痛かったりしたから。昨日はその痛みも消えたし、問題ない問題ない。
「華那ちゃんがそう言うならいいんだけど……」
「本当、無理すんなよ華那。お前、すぐ無理するからな」
「そんなお疲れな華那ちんに、山吹ベーカリーのパンを進呈しよう~」
「いつの間に買って来たの!?」
どこか腑に落ちないというか、納得できない様子のつぐみちゃんだったけれど、渋々といった感じで引き下がってくれた。巴ちゃんは両手で抱えきれないほどのパンをテーブルに置くモカちゃん。つぐみちゃんの家に来るまでみんな一緒だったし、入って話している間もモカちゃんはいたから、本当いつ買ったの!?
「ふっふっふ……このモカちゃんを侮らないで欲しいのですよ~。本気になればいつでも買いに行けるのです~」
と、ドヤ顔で言うモカちゃん。いや、流石にそれはないでしょ。ライブ中に食べたくなったから、買いに行くとか言い出したら流石の私でも呆れるよ?
「で、本当は?」
「今朝買ったやつ~」
ジト目で蘭ちゃんがモカちゃんに問うと、あっけらかんとした様子で答えるモカちゃん。やっぱりそうだよね。いや、皆で話していたのにいつの間に抜け出したのかと本気で考えちゃったよ。
その後、私が純粋な事を心配するひまりちゃんに、同意するつぐみちゃん達の話しから、何故か説教に発展してしまった。しかも、今朝話題になった私の演奏に多くの人が惹かれたという話題を否定した事を蘭ちゃんが言い出したら、さらに説教が長くなってしまった。なんでさ……と私が小さく呟いたのは悪くないはず。
そろそろお開きにしようかとした時に姉さん達がやってきて、何故か喧嘩腰の口調の蘭ちゃんと、困った様子の姉さんのやりとりから、トラブルに発展して、私が仲裁するという事件が発生したけれど、いつもの事なので割愛させてもらう。
本当、姉さんも蘭ちゃんももう少し言葉を考えて伝えなさい!二人とも言葉足らずすぎるよ!本当、フォローする人間の身にもなりなさいという事を伝えて今日は解散となった。本当、姉さんと蘭ちゃんって似た者同士だから、すぐ喧嘩するんだよね……。頭痛い。
ただ、そんな日常が好きな自分がいる。姉さんも最近だと、色々な人と関わり持っていて、それをどう音楽に生かそうかって試行錯誤しているからいい傾向だと思う。前までは、他人なんて知らない――ってぐらいの雰囲気だったからね。
本当こういう日常がいつまでも続いて欲しいな……なんてね。でも、本当、いつまでもみんなと一緒って訳じゃないけど、絆って言うか、友達として繋がっていられる日が続けばいいな――
作者「次回、最終章、どシリアス展開はっじまるよー(愉悦顔)」
読者の皆さん「おい、作者。やめろ、ばか」
作者「お断りします(だって、#2から暖めていたネタなんよ……)」