Sisterhood(version51)   作:弱い男

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作者「前書きのネタ無くなった……」

シリアスさん「ウッソだろ……」

と言うわけで、本編ドゾー


#57

 入院してから初めての週末の土曜日の午前。今のところ体調は良好で、私は病院の中庭でギターを弾いていた。ギター持ってきてほしいと頼んだ翌日、姉さんとリサ姉さんが両方持ってきたのには驚いた。

 本当はその日のうちに――と思っていたらしいのだけれど、流石に家に帰ってから冷静になり、面会時間を考えて断念したそうだ。ただし、どっちも持って行くという判断を二人がしたので、病室(個室)に高額ギターが置かれる事になった。それはいいのだけれど、当たり前の話しではあると思うけど、看護師さん達がギターの価値を理解している人がいる訳がなく

 

「青いギターカッコいいわね。華那ちゃんにピッタリじゃない」

 

「あら、華那ちゃんって、ギター弾けるのね」

 

「どんな曲弾けるの?今度聴かせてね!」

 

 で、会話終了。その……このギターの価値を知ったら、皆さんどんな反応されるのでしょうか?そう思いつつ、私はベンチに腰掛けて、ギブソンレスポールのDCアクアブルーを膝で固定するように置いて、#1090を演奏する。個室でやると、隣の病室の方々に迷惑になるから、こうやって天気のいい日は中庭でやるようにしている。

 ただ……今後、練習できなくなるだろうなって覚悟はしている。抗がん剤による治療は副作用があるという説明を受けた。強い抗がん剤だと髪の毛が抜けたり、体調を崩したり、最悪の場合、食べた物を戻したりする事もあるとの事。

 そんな状態になってしまったら、歩く事もままならないと思う。横になっているだけでも辛いはず。……だから、今日か明日が私のギターを弾ける最後の日になってしまうかもしれない。

 

「……」

 

 演奏を止めて、空を見上げる。十月になったばかりなのに、まだ暑さが残っていて、こうやってベンチに座っているだけでも、額にうっすらと汗が滲み出てきた。小さく息を吐いた。最悪の事を考えるのは止めよう。『(やまい)も気から』っていう言葉がある。まだ治療が始まっていないのに、弱気になっていたら、治るものも治らなくなってしまう。

 ギターだって、治ってからまた一から練習すればいいんだ。今まで積み重ねてきたもの全部忘れるわけじゃない……じゃないよね?だから、治療、頑張ろう。

 

「華那!ここにいたんだね」

 

「え……あ、沙綾!」

 

 突然、声をかけられた私が左側を見れば、そこには私服姿の沙綾と香澄ちゃん。そして呆れた表情の有咲と、それを宥めているりみちゃん。キョロキョロと視線があっちこっちに行っているおたえちゃん。あら、ポピパのみんな大集合。

 

「何やっているんだよ、華那……」

 

 私の前に立って、怒った表情というより呆れた表情の有咲。えと、ギター弾いていました?と、答えたら、両手で頭を抱えて沙綾に助けを求めるように視線を送っていた。沙綾は苦笑いを浮かべつつ

 

「外出て、大丈夫なの?」

 

「そうそう!入院しているのは病気の治療の為でしょ!?」

 

「お願いだから華那ちゃん、無茶な事せえへんで……」

 

「華那。ここにウサギいた?」

 

 あー……一気に話されてもどれから答えればいいか私分からないよ。苦笑いを浮かべつつ、一つ一つ答えていく事にしよう。えとね――

 

「本格的な治療は、来週からなんだ。それで、先生から体動かせるなら外に出た方がいいって言われたんだ。だから無茶な事はしてないから安心して。ね、りみちゃん。あ、あと、ウサギは流石に病院内にはいなかったよ」

 

 私の右隣に座った、りみちゃんの背中を優しく撫でながら説明する。左隣には沙綾が座って、その様子を見守っていてくれていた。で、皆、お見舞いに来てくれたんでしょ?ありがとうね。

 

「ああ……正直、お前が倒れたって聞いた瞬間、驚いたぞ。香澄と沙綾なんてすぐ病院行こうとしてさ……」

 

「あー!そういう有咲だって一緒に行こうとしてたじゃん!」

 

「ば、バ香澄!言わなくていいんだよ!」

 

 と、夫婦漫才が目の前で行われている私達は、一瞬呆けてしまったけれど、すぐに笑い合う。相変わらずなやり取りに私は内心でホッとした。私のせいで、みんなが暗い表情になるのは嫌だ。正直、入院してから、姉さんやお父さん、お母さんの表情が暗いのは気付いていた。

 

 家族だからと言われればそれまでだけれど、できれば私の事を忘れて――って訳じゃないけれど、暗い表情は無しで生活してほしいな。これは私の我が儘なんだけどね……。そう簡単に割り切れる訳ないのは分かっているよ。でも、家族の……姉さんの暗い表情は見たくないんだ。

 

「それで今日は、練習は午後から?」

 

 出来る限り明るい声で皆に聞くと、香澄ちゃんが午後から有咲の家で練習と新曲づくりとげ、元気よく答えてくれた。ん?新曲?いきなりどうしたの?と、聞くと

 

「実は、商店街に流れる曲を作るって話しになって」

 

「その作詞と作曲のイメージ作りをする予定なんだけど……香澄ちゃんイメージ何かある?」

 

「私も、りみりんに楽曲のイメージ聞こうと思っていた所なんだ……ほら、歌詞あっても、メロディに合わない時もあるから」

 

 作詞作曲の難しさを目の前で話されるってのは、結構新鮮かもしれない。前は、できた楽曲のアレンジについてアドバイス欲しいって言われて、泊まったっけ。……また、皆と泊まって色々話したいな……。

 

「そっか……りみちゃんも香澄ちゃんも、程よく休憩とるんだよ?無理してもいい曲は作れないから」

 

「はーい……」

 

「うん、気を付けるね、華那ちゃん」

 

 少し元気なさそうに返事をする香澄ちゃんに、真剣に何度も頷くりみちゃん。本当大丈夫かな。不安になるけど、私じゃどうにもできない事だから、こう言っておこう。

 

「楽曲、楽しみにしているね」

 

 笑みを浮かべてそう伝える。それを伝えてすぐにおたえちゃんが

 

「そうだ。商店街で流れる事になったら、華那を連れて行けばいいんだ」

 

「ちょっと、おたえ!?」

 

「おたえナイスアイディア!!」

 

「おいおい……誰か止めてくれ……」

 

「アハハ……おたえちゃんらしい発想だね」

 

 突然の提案に驚く沙綾に、おたえちゃんのアイディアに乗る香澄ちゃん。そしてもう止める事を諦めた有咲に、苦笑いを浮かべるりみちゃん。何このカオス。だれかー灰色狼さん連れてきてー。え?アメリカに行っているって?そんなー……。

 でも、楽曲ができて、商店街に流れる頃には退院したいなぁ。じゃないともう一年、一年生をやり直しになるかもしれないし。いや、現状なら出席日数足りているのだけれど、四か月も休んだら、留年は確定でしょ?

 

 そんな事を思い浮かべながら、皆と他愛のない話しを続ける。ただ、気になったのは沙綾の口数の少なさと、表情の暗さ。いつもの皆を見守る母親のような、そんな明るい表情ではなかった。ただ、他の皆は気付いていない。だって、沙綾。上手く誤魔化しているのだもの。

 

「じゃあ、華那、また来るね!」

 

「ああ、また来るから無理すんなよ」

 

「華那ちゃん、無理しちゃダメだよ?」

 

「今度お見舞い来る時、おっちゃん連れてくるね」

 

「いや、おたえ……おっちゃん連れてくるのはダメだからね?」

 

 おたえちゃんの発言に、腕を組んであきれた表情を浮かべる沙綾。うん。流石に私もそれはどうかと思うんだ。だって、病院に連れてくるのは衛生面で問題が色々とあるからね本当なら、CiRCLEで保護してもらっている子猫のクロちゃん連れて来て欲しいぐらいなんだから。

 で、ポピパのみんなが帰る前に沙綾だけ残ってもらう為に、ちょっとだけ沙綾と話させてと皆にお願いすると、快く承諾してくれた。沙綾だけ不満というか不安そうな表情を浮かべていた。でも、残ってくれるのは、沙綾のいい所(優しさ)

 

「なに、華那?」

 

 私と沙綾だけになって、しばらく二人とも黙っていたけれど、沙綾の方から口を開いた。私は沙綾の頭を抱きしめて

 

「私はだいじょぶだから。必ず、元気になって戻るから、そんな暗い表情しないで」

 

「……あはは……気付かれちゃったか……これでも、うまく誤魔化せてると思ったんだけどなぁ」

 

 私の腕の中でそう呟く沙綾の声は震えているように聞こえた。もう。私と沙綾の付き合いは、ポピパのメンバーより長いんだから、気付くに決まってるじゃない。ごめんね、沙綾を不安にさせるような事になっちゃったから……。

 

「ううん……。華那が悪い訳じゃない……私が……」

 

「こーら。沙綾の悪い癖出てるよ。『自分が』って思いこんじゃう所。私の事を思ってくれるのは嬉しいよ。でもね……沙綾には沙綾で、ポピパの皆がいるんだよ?だからね、ポピパの皆の事も大切にしなきゃ。私の事だけ考えるのは無しだよ」

 

「っ…………華那の……バカぁ……バカなんだから……」

 

 私の腕の中で泣く沙綾。私はごめんねと言いながら、沙綾の頭を撫でる。本当、沙綾達にかかる負担を考えると、申し訳なく思う。だって、私が病気になったせいで、皆を不安にさせてしまっているのだから。でも、だいじょぶ。もし、()()()()()()()()()()()()私は――最後の瞬間はわかないけれど――その時まで諦めないで闘う。その気持ちは絶対変わらない。だって、また沙綾や姉さん達と一緒にステージに立って演奏したいから。

 しばらく私の腕の中で泣いていた紗綾だったけれど、落ち着いたようで、私の腕から抜け出して涙を拭って

 

「ごめん……華那」

 

「ううん。だいじょぶだよ。今度、私が不安になったら沙綾支えてくれればいいから」

 

 小さく呟くような声の沙綾に、私は笑みを浮かべながら首を左右に振ってからそう言った。沙綾は泣いた後の残る顔で笑みを浮かべて

 

「分かったよ。辛かったらしっかり言ってよ?」

 

 と、今度は私の頭を撫でる沙綾。うん。その時はキチンと聞いてもらうからね?そう言って二人で約束する。その後、そろそろ沙綾が来ない事を、香澄ちゃん辺りが不審に思っている頃だろうからそろそろ行った方がいいという話しになって、沙綾は何度か私の方を振り返りながら香澄ちゃん達の所へ向かっていった。

 私は沙綾を最後まで見送ってから、ギターを見る。だいじょぶ。せっかくお父さんが買ってくれたギターなんだ。一回だけお披露目して、終わりになんてさせてたまるものですか。そう決意を新たに、昼食の時間まで中庭でギターを練習するのだった。

 

 

 午後。流石にずっと中庭でギターの練習するのもどうかと思い、病室で音楽を聴きながら小説を読んでいた。聴いている音楽は勿論私の好きなアーティストの音楽。しばらく小説を読んでいたら、突然イヤホンを外された。え、誰?と思って顔を上げるとそこには

 

「ノックしたのに、返事無いから入って来てみれば……相変わらずだね、華那」

 

「やっほーかなちーん。元気そうで、モカちゃん安心た~」

 

「華那!大丈夫なのか!?」

 

「華那ちゃん!大丈夫?何か欲しい物とかある!?」

 

「華那ちゃん、無理してない?本当に大丈夫なの?」

 

 ええい。落ち着きたまえ君達。と、今読んでいた小説のヒロインが言いそうな言葉を投げかけようと思ったけれど、私には無理でした。というか、午後はアフグロ全員集合ですか。そうですか。私は今のところだいじょぶだよ。

 

「今の所って……」

 

「おー、よゆーですなぁーかなちん」

 

「華那、嘘は言ってないよな?」

 

「華那ちゃん。正直に言って」

 

「えと……私もそうだけど、皆ここ病室だからね……」

 

 呆れた表情を浮かべる蘭ちゃんに、笑みを浮かべて茶化すモカちゃん。そして、疑いの眼差しを向ける巴ちゃんにひまりちゃん。そして、やっと病室という事に気付いてくれたアフグロのまとめ役で、よくつぐっちゃう(モカちゃん語)つぐみちゃんが皆を宥めていた。

 というか、一学期の頃につぐみちゃんが病院に運ばれた時に、大騒ぎして看護師長?さんに怒られた五人がまた騒ぐって……これ出入り禁止になるんじゃないかな。なんて呟いたら、皆の動きが止まった。あ、流石にそこまで考えていなかったんだ。

 

「みんな……ちょっと静かにしよう」

 

「さんせー」

 

「だな……」

 

「うん……」

 

「あ、あはは……はぁ……」

 

 つぐみちゃん、本当お疲れ様。それで、みんな見舞いに来てくれて本当ありがとうね。正直、そこまで大騒ぎするような病状じゃないから安心して。

 

「華那の言葉を信じられないから、みんな心配してきてるって自覚して」

 

「蘭ちゃん、なんで!?」

 

 おかしいぞ!?私は先生が言った通りの事を伝えただけなのに、信じられないってどういう事ですか!?

 

「倒れる前日になんて言っていたか覚えてる?」

 

「……その節は大変申し訳ございませんでした」

 

 腕を組んで、ジト目で私を見ながら言う蘭ちゃんの言葉に、私は反論する事が出来ず、ただ頭を下げて謝るのだった。その後は、クラスメイト達の状況を聞いた私は頭を抱えるしかなかった。

 だって、全員でお見舞いに行こうとして、上条先生と丸田先生に止めらるという事態に発展しているだなんて誰が思う?いや、それだけ心配してくれるのはありがたい事なんだけど、もう少し皆冷静になろうよ……。

 そもそも、全員で押し掛けた場合、看護師長さん(黒瀬さん)に止められるのは目に見えている。というか、看護師長さんとも仲良くなってしまった私。というか、小児科病棟(高校生でも小児科になるんだって!)の看護師さん達全員と仲良くなってしまった。

 なんで、そんなに甘やかしにかかるんですかね……。暇だからって、私に愚痴言いに来るの止めましょうね?黒瀬看護師長が口悪いとか、もう少し言い方あるよねとか、私が伝えないとは限らないでしょうに……。

 

「蘭ちゃん……無理を承知でお願いが……」

 

「無理」

 

「断るの早っ!?」

 

 私のお願いを聞く前に拒絶の意思を伝えてくる蘭ちゃん。そ、そんな。蘭ちゃんに頼めないとなると、誰に頼めばいいの……。他にクラスで、頼めるのって言ったら……。委員長の新井さんしかいないけど、あの子も暴走するからなぁ……。

 結局、蘭ちゃんでも止められる事はできないという事になった。いや、本当に全員で押し掛けてきたらどうしよう。色々と手を考えたけれど、最終的には看護師長の黒瀬さんに任せようという事になった。見事なまでの丸投げである。

 

「じゃあ華那。そろそろあたし達帰るから」

 

 その後は、他愛のない会話を皆でしていたけれど、もう蘭ちゃん達が帰る時間になったようだ。そっか。もう帰らないといけないんだね。

 

「うん。また来てね。あ、ただし、大きな声で騒ぐの無しだよ!」

 

「そういう華那ちゃんの方が大きな声出してるじゃん!」

 

「ひまり……お前も大概だぞ?」

 

 腕を組んであきれた表情の巴ちゃん。まあまあ。ひまりちゃんらしくていいじゃない。そう宥めてから、皆を見送る。先ほどまで騒がしいとまで行かないけれど、私以外の人の声が響いていた部屋が静まり返る。

 入院してから数日経ったけれど、やはりこういう静寂はまだ慣れない。だから、私は音楽を聴いてその静寂を誤魔化している。あ、今は「BRIGHT STREAM」が流れている。本当明るい曲調なのと、ピアのイントロからのオーケストラ。そして結構ロック調なのがお気に入り。

 今日は姉さん来ないみたいだね。仕方ないよね。姉さんもバンド活動の方もあるからね。それに……学校の授業だってあるのだから、しっかり予習復習しなきゃね。あ、今度、教科書とか持ってきてもらおう。授業に遅れるのは仕方ないにしても、ある程度予習はできるはずだから。

 

「華那」

 

「あ、姉さん」

 

 また、イヤホンをしていたので、姉さんがきていた事に気付かなかった。むう。イヤホンしない方がいいのかな。そんな事を考えつつ姉さんの表情を見て、私は姉さんの手を握る。

 

「華那?」

 

「姉さん……私の事が心配なのは分かる。分かるんだけど……お願いだから自分の体大切にして」

 

 今にも泣きそうな声で私は姉さんに訴えかける。だって、姉さんの顔はあまりにも憔悴しきっていて、今にも崩れ落ちてしまうのでは――って、不安になるぐらいだったのだから。

 

「……上手く誤魔化したつもりだったけれど、ダメな姉ね……私は」

 

「そんな事ないよ……私の方こそごめん。姉さんを心配させるような事になっちゃったから……」

 

 姉さんの手を握ったまま私は俯く。そうだ。私が倒れなければ、姉さんはこんな状態まで自分を追い込む――いや、違う。精神的に参る事は無かったはずなのだから……。

 

「華那……」

 

 姉さんが優しく私の頭を撫でてくれる。しばらくその状況が続いたけれど、私は顔を上げて、姉さんに抱き着いて

 

「姉さん。本当ごめんなさい……。姉さんが心配してくれるのは嬉しい。でも……私は姉さんが倒れるのは嫌だ。だから……だから……」

 

 そこから先、言葉にできなかった。姉さんが壊れていく姿や、憔悴しきった表情なんて見たくない。これは私の我が儘だ。分かってはいる。でもね、いつも凛々しくて、私が話しかけると、柔らかい笑みを浮かべてくれる姉さんでいて欲しい。分かっている。分かってはいるんだ。それが凄い我が儘だって事は。

 それに、姉さんに私のイメージを押し付けているって事も。それでも……私は姉さんに無理はしてほしくは無い。姉さんにはRoseliaがある。Roseliaに姉さんがいなければ、R()o()s()e()l()i()a()()()()()()()()()()()()()

 

「華那……ええ。気を付けるわ。だから、泣かないで」

 

「姉……さん……」

 

 姉さんが優しく私の背中をさすりながら、気を付けると言った。私は顔を上げて姉さんの表情を見る。その表情は今まで何回も見てきて、私が好きだと思う優しい笑みだった。ここ数日、無理に笑った表情だったから、不安だった。でも、ほんとうにだいじょぶなんだよね?

 

「ええ……大丈夫よ。ごめんなさい。華那にそんな事言わせてしまったわ……」

 

「ううん……姉さんは悪くない。悪くないから……私の我が儘が一番悪いの……姉さんの枷になるの分かっているのに……」

 

「華那……」

 

 姉さんの腕の中で泣きながら懺悔する。私のせいで姉さんが辛いのは分かっているのに、私は――

 

「いいのよ、華那。妹なのだから、姉に我が儘ぐらい言ったっていいのよ」

 

「姉さん……ごめんなさい。本当に……ごめんなさい」

 

 姉さんの腕の中で何度も謝る。その私を優しく受け入れてくれる姉さん。しばらくそのような状態でいたけれど、落ち着いた私は、姉さんから離れて右手で涙を拭ってから、姉さんと普通に会話をした。姉さんは今日、Roseliaでどんな練習したのかや、学校の状況を話してくれた。私は午前中にポピパの皆が来た事。そして、さっきまでアフグロの皆がいた事を話した。

 その後、姉さんが凄く心配していたけれど、私はだいじょぶだと言って、姉さんを家に帰らせたのだった。いや、下手すれば姉さん。泊まるとか言い出しかねなかったからね……。仕方ないよね。そう自分に言い聞かせつつ、三度(みたび)イヤホンをして、目を閉じるのだった。

 

 




病院で騒ぐのは絶対に止めましょう
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