Sisterhood(version51)   作:弱い男

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シリアスさん「(約二十日間)待たせたな!!(滅茶苦茶渋い声で」

作者「あ、今回(シリアスさんの)出番少なめですよー(無いとは言っていない)」

シリアスさん「なん・・・だと・・・」


 


#61

「……は……この……うーん……違う?」

 

 土曜日の午前中。天気も良く、体調も良かったので、病院の中庭で私は用紙に詩を書いていた。ギターを弾こうと思ったのだけれど、入院生活し始めてから全く弾けてなかったのと、運動らしい運動もしてないから、ギターを持つだけで精一杯だった。

 まあ、投薬治療で食事取れない時も多々あるから、体力も筋力も落ちるのは明白だよね。本当なら作曲に挑戦してみたかったのだけれど、それは病気に勝ってからのお楽しみって事で。まあ、スマホアプリとか駆使すれば、出来なくもないだろうけれど、やっぱり実際にメロディをギター弾いて作曲したいと思うが強いし、正直に言って楽器を持たずに作曲するのは私には無理。

 

 そう考えるとプロの作曲家の方や、ネットに楽曲投稿している方々のセンスって凄いな。私には到底たどり着けない領域だよ。そんなことを思いながら、詩を考える。思い浮かんだ言葉をただ羅列しているだけのような気がするけれどね。

 

「あら?華那じゃない!なにをしているのかしら!」

 

「こころちょっと待ってー……って、華那じゃん。こんなところにいて大丈夫?」

 

 と、聞き覚えのある元気な声と、その人物を追いかけてきたであろう少し疲れの色が声に乗っている声が聞こえた。

 

「あらあら、弦巻さんと美咲さん。こんにちは。たまには外に出ないと、逆に体に悪いって先生に言われているんですよ」

 

 と、答えながら、弦巻さんの格好を二度見した。到底、病院に合わないハロハピのライブ衣装だったから。視線で美咲さんに問うと、すっごい疲れた表情を浮かべていたので全てを察してしまった。いや、本当にお疲れ様です。

 それで、今日は病院でなにかやるのですか?と、弦巻さんに問うと、満面の笑顔を浮かべた弦巻さんはライブをやるという。なんでも、入院している人達が少しでも笑顔になってもらいたいという事で、定期的にライブをやっているそうだ。凄い行動力……。黒服さん達も大変だぁ……。

 

 でも、入院している私より小さい子達は喜ぶと思う。ずっと、病室や私のようなちょっと年の離れた人と話すぐらいしか入院中できない。それに……治療中はみんな辛い思いしているから。昨日まで元気だった子が、翌日亡くなったって聞いた時は、この世の残酷な現実を突きつけられたような……そんな錯覚すらした。

 特に私がいる病棟は小児がんの子達が集まっている。私の場合、小児がんの分類に入らないのかな?詳しい分類はよく分からないや。ただ、白血病、脳腫瘍、リンパ腫が小児がんの六割近くを占めているらしい。何故か仲良くなってしまった黒瀬看護師長からの話しだから、間違いない……はず。うん。

 

 

閑話休題(それはともかく)

 

 

「なら、準備しないといけないのでは?」

 

「あ!そうね!美咲行きましょう!」

 

「はいはい。じゃ、華那。暇だったら見に来てね」

 

 クルッと体を回転させて、来た道を戻っていく弦巻さん。それを見て呆れた表情を浮かべる美咲さん。でも、その表情はどこか嬉しそうだったのは本人の為にも言わないでおこう。

 さて、私も見に行こうかなって立ち上がろうとしたら、今度は千聖さんがやってきた。しかもサングラス着用して。いや、病院にサングラスしてきたら逆に目立つのでは?そんな疑問を抱いているだなんて知らない千聖さんは、私の所まで優雅に歩いてきて

 

「華那ちゃん……なんで病室にいないのかしら?」

 

 と、来て早々、私、怒ってますオーラ全開の千聖さん。ナンデ!?ナンデ、チサトサンオコッテイルノ!?

 

「……ふふっ。冗談はさておき、今日は調子がいいみたいね。安心したわ」

 

「え……千聖さん?」

 

 怒ったオーラはどこへやら。右手で口を隠して笑う千里さんに困惑するしかない私。恐る恐る千聖さんに問うと、「ちょっと遊んでみたかっただけよ」との回答が返ってきた。いや、あの、本当に心臓に悪いんで、辞めて欲しいなぁ……なんて思ってみたりしちゃったりして……。というか、流石は女優。千聖さんの演技に完全に騙されました。それで、今日はどうしたんですか?お仕事は?

 

「今日は午後から撮影の仕事があるだけよ。だから午前中は華那ちゃんの様子を見に来たって訳」

 

 隣、座るわよと言って、私の隣に座る千聖さんは、私が持っていた用紙を見ながら

 

「華那ちゃん。何をしていたの?」

 

「ちょっと詩を書いていました」

 

 千聖さんが不思議そうに聞いてきたので、私は隠す事なく答える。だって、隠し事したら、すぐさまお説教コースに行くわけだから、それだけは避けないといけない。で、私が詩を書いている理由。本を読んだり勉強したり、治療したり……そういう入院生活だけじゃなくて、何か挑戦してみようと考えた。

 本当なら、作曲をしようと考えたのだけれど、ギターを弾きながら音を確かめつつ作曲をしたい私。でも、病室でやるには他の入院中の方々に迷惑になってしまう。かといってスマホのアプリでちまちまやるのは性に合わないあ。ギターを中庭に持ってこようにも、体力も筋力も落ちているのは自覚しているので却下。というか、途中でダウンする姿が簡単に想像できるのは泣けてくる。

 

「――と、言う訳で、なんとなくなんですけど、作詞やってみようと思った訳です」

 

「なんというか……華那ちゃんらしいわね」

 

 そう言いながら小さく笑う千聖さん。むう。そんなにおかしな事ですかね?これでも、一応(似非)ギタリストですよ?少し頬を膨らませて抗議の声を上げる。

 

「はいはい、そんな表情しても華那ちゃんの場合、ただ可愛いだけだからね」

 

「ひゃにゅ!?」

 

 千聖さんに膨らませた頬を両手で引っ張られた。しかもその感触を楽しむように千聖さんは上下左右に引っ張る。痛い!痛いですって!

 

「あら、華那ちゃん。きちんとケアしているように見えないのに、肌スベスベね。嫉妬しちゃうわね」

 

ほうゆうことでひゅか(どういうことですか)!?」

 

「フフフ、なにを言っているか分からないわよ、華那ちゃん」

 

 と、楽しそうな千聖さんは、そのまま十分ぐらい私の頬で他遊んだのでした。うう。頬痛い。でも、よく考えると、こういうやり取りは入院してからしばらくしてなかったなと思った。まあ、ベッドに横になっていた時間も長かったから仕方ないよね。うん。

 

「そうそう。今日、華那ちゃんにプレゼント持ってきたのよ」

 

 と、唐突に思い出した千聖さんは、持っていたカバンから何かを探して取り出して、私に渡してきた。千聖さんが私に渡したのは一枚の色紙。私に表が見えないようにしていたけれど……なんだろう?首を傾げつつ、表面にして私は驚いた。え、え?嘘……嘘ですよね?

 

「ふふ……華那ちゃんがファンだって聞いていたから、この間、音楽番組の収録でご一緒させて頂いた時に事情説明したら、サインしてくれたのよ」

 

 と、驚きを隠せず、視線を何度も千聖さんと色紙の間を往復させていると、悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべながら千聖さんが説明してくれた。

 色紙に書かれていたのは、私が好きなアーティストさんのサイン。しかも、私宛へと「いつか会場で、ギタリスト華那ちゃんと会える日を楽しみしています!」って言葉と本人の写真つき。あの……千聖さん。

 

「なに、華那ちゃん?」

 

「ありがとう……ございます……」

 

 色紙を抱きしめるように持って、千聖さんに頭を下げて言う。本当に感謝してもしきれない。きっと、私のために無茶をしてくれたのだと思う。本当にありがとうございます。

 

「華那ちゃん……いいのよ。私が好きでやった事だから。それに……華那ちゃんの喜ぶ姿が見たかったの」

 

 と、言いながら私を抱きしめて頭を撫でてくれる千聖さん。しばらくその姿勢でいたけれど、千聖さんが仕事の時間が近づいてきたみたいで、そろそろ現場に行く時間との事らしい。本当に、忙しい中、ありがとうございます。もう一度頭を下げる。

 

「いいのよ。華那ちゃんの笑みが見れればそれで十分」

 

「千聖さん……」

 

「あ、それと。その色紙の人にもこの前の演奏会の映像渡してから書いてもらったのよ。『いつか会ってみたい!』って言っていたわよ」

 

「千聖さん!?」

 

 なんで、千聖さんが演奏会の映像を持っていたんですか!?そう問い詰めるも、千聖さんは「また来るわ」と言って逃げるように行ってしまった。千聖さんを見送ってから、私はもう一度、色紙に目を落とす。

 いつか会場で――ってのは、きっと私と一緒にステージに立ちたいって事……だよね?嬉しくもあるけれど、不安もある。私に残された時間は少ない。きっと、この願いは叶わない。そんな気がする。でも……でも、私は諦めない。

 

「願いよかなえ いつの日か

 そうなるように生きてゆけ

 僕は僕に 君は君に

 拝みたおして 笑えりゃいい」

 

 小さな声で歌う。不安を無理やり消し去るように。それと、この色紙にサインを書いてくれたアーティストさんの隣で、ギターを弾ける日が来るのを願って……。

 

「華那。ここにいたのね」

 

「あ、姉さん」

 

 しばらく歌っていたら、今度は姉さんがやってきた。練習は無いの?って、私の隣に座る姉さんに問うと、今日は午後かららしい。

 

「で、華那。どうして歌っていたのかしら?」

 

 と、今にも怒鳴り散らす五秒前ってぐらいの表情の姉さん。いや、私。喉痛めてから全く歌っていなかったわけじゃないヨネ!?鼻歌交じりに歌っていた事はあるじゃない!?そんな事を思いつつ、姉さんに今し方、千聖さんが見舞いに来てくれて、あの人からのサインと言葉が書かれた色紙をもらった事を話す。

 あ、勿論、()()()って言うと、姉さんは()()()()()さんの方を思い浮かべると思ったから、違うアーティストさんである事は伝えたよ。で、その人から、いつか会場で――って書かれていたから、願いを込めて歌っていただけだと説明する。って、なんでこんなに必死になって説明しているんだろう、私……。

 

「そうなのね……今度、白鷲さんに私の方からもお礼言っておくわ」

 

「うん。お願い、姉さん」

 

 と、私の髪を撫でるように触る姉さん。久々に、姉さんに撫でられているような気がする。そんな事を思っていたら、姉さんが急にスマホとイヤホンを取り出して、私に渡してきた。どしたの?

 

「この間、美竹さんと言い合いになって、今度対バンするのだけれど、その時に演奏する新曲を聴いて欲しいのよ」

 

 なるほど……って、なんで言い争いから対バンに発展するんですかねぇ!?疑問を抱きつつ、私はイヤホンをして姉さんに曲を流すようにお願いする。イントロが流れた瞬間、鳥肌が立った。今までのRoseliaにない曲調。シンセとピアノ、ドラムのバスから入る曲。そしてギターのバッキング。徐々に盛り上がってきて、コーラスが入る。すごい。一気に曲に引き込まれる。

 え、二番はラップから!?しかも、メンバー全員っぽいし!?な、なにこれ!?今までのRoseliaから、さらに進化してる。……姉さん、約束守ってくれているんだ。私が癌治療を終えた時に、先に行って「ついてきなさい」って、道標(みちしるべ)になるように――

 

 イヤホンを外して、息を吐く。姉さんは黙って私の様子を見ていたけれど、少し不安そうだった。だいじょぶだよ。そんな不安な表情しないで。

 

「うん。凄い良い曲。Roseliaらしくもあり、新しいRoseliaを表現していると私は思うよ。というか、聴いた瞬間、鳥肌立ったぐらいだもん」

 

「そう……なら、この曲を対バンで演奏するわ」

 

 姉さんは少し安心したような口調で私にそう言う。Roseliaの中では最高の仕上がりだと思っていたのだろう。でも、客観的に聴いた感想も欲しかった……そんなところかな?きっと、私があまりよくないって言ったら、どこが悪かったか聞きたかったのだと思う。

 本当……姉さん達は自分達の足で行動(Action)を起こしている。もし……私がいなくなってもだいじょぶだよね……?万が一の事が頭を過った。でも、それを表に出さないように努めて、姉さんと話しを続ける。

 

「でも、二番をラップ調にするって思い切ったアレンジにしたね」

 

「そうかしら?華那の好きなアーティストだって、そういう曲あるじゃない」

 

「え……あ、ZEROにザ・ルーズ。煌めく人とFOREVER MINE!」

      

 あと全英歌詞ラップの曲B・U・Mと、初期の方にもう一曲あったと思うけど、タイトル思い出せない!LOVING……なんだっけ?

 

「相変わらず、スラスラ出てくるわね……」

 

 と、私がタイトルを思い出そうとしている横で、少し呆れた様子の姉さん。いやいや、呆れないでよ。姉さんだって、ロックならイントロで何の曲か分かるじゃない。それと一緒だよ。そう言うと、姉さんも納得してくれた様子で

 

「まあ、そう言う訳よ。今まで通りだと、私達は頂点に立てない。新しい何かを取り入れていく必要もあるわ。もちろん、今まで積み重ねてきた事も継続して――よ」

 

真剣な表情で、空を見上げながら私に説明してくれる姉さん。新しい事を取り入れつつ、今までの積み重ねか……。ふふ……姉さん、変わったね。そう私は笑いながら姉さんに言う

 

「そうかしら?」

 

「そうだよ。もちろん、良い意味で――だよ」

 

 私の言葉に首を傾げる姉さん。だって、前までなら()()()()()()()()()()()()はずだもの。きっと、前までなら私にこうやって曲を聴かせて感想聴くだなんてしなかったはずだもの。そう言うと、姉さんは黙ってしまった。あれ?怒らせちゃったかな?

 

「いえ……確かにそうね。前までなら、華那に聴いてもらおうだなんて考えもしなかったわね。今まで曲が出来上がった時に、自分が納得しているかしていないかが重要だった。でも今は違う」

 

「うん。それは姉さんが本当の意味でR()o()s()e()l()i()a()()()()()()()()()()からだよ」

 

「そうならいいのだけれど……それはそうとして、そろそろ病室に戻るわよ、華那」

 

 そう言って立ち上がる姉さん。え、もうそんな時間?と、スマホを取り出して時間を確認すれば、そろそろお昼ごはんの時間が迫ってきていた。もうそんな時間なんだ。私も立ち上がろうとしたら、姉さんが右手を差し出してくれていた。もう。だいじょぶだって。心配性なんだから。そう言いつつ、姉さんの手を取って握る。

 

「華那。貴女、自分が無茶しすぎるって自覚はしているかしら?」

 

「……コメントは差し控えさせて頂きます」

 

 と、どこぞの政治家のような台詞を言って、目を逸らす。数秒後には二人して小さく笑う。姉さんと手を繋いで病室へ向かう時に、今度のライブの映像撮って、私に見せてくれるとの事らしい。そこまで気をつかわなくてもいいよと言ったのだけれど、どうやらまりなさんからの提案らしい。全く……公私混同もいいところだよ。と言いながらも、私の顔がにやけている自覚はあった。

 本当、多くの人に支えられているなと、入院してから強く思う。だから、最後まで(あらが)わないといけない。支えてくれている皆と、少しでも多く一緒に過ごしたい。

 

 でも、自覚はしている。私にはわずかな時間しか残ってないと――

 




某箇所、きっとセーフ……?いやセウト?
グレーだよなぁ……是非も無いヨネー

おや?シリアスさんの様子が?
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