Sisterhood(version51) 作:弱い男
読者の皆さん「それは!?」
シリアスさん「情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ、選挙への意欲、小説への感想と評価!そして何よりも ―― 速 さ が 足 り な い !!」(ここまで二秒)
読者の皆さん「イチブどころかゼンブにツッコみたいけど、速さは、作者の投稿ペースなんじゃ……」
シリアスさん「……」
読者の皆さん「……」
シリアスさん「それは秘密です(右人差し指を口に当てて左右に振りながら)」
読者の皆さん「キャラ変わった!?」
作者「(投票意欲と感想、評価以外)全部足りてないのはわかっとる……(´Д⊂グスン」
華那の追悼ライブまで一週間を切った日曜日。今日は全体を通してのリハ――華那風に言えばゲネプロね――が行われていた。私達、Roseliaはトリを務める事になっているので、今は他のバンドの様子を見ていた。コーラスワークで会場を盛り上げるKolor’sが今、歌っている。歌っている曲は確か――
「『neverending』……」
切ないバラード楽曲。決して終わらないという意味のタイトルの歌。だけれども、どこか悲しみや遠い日の思い出を歌ったような、そんな歌に聞こえた。その次に歌ったのは……『sprinter』ね。改めて、バンド形式ではなく、コーラスワークでやっている三人の実力を、私は認めていた。偉そうに言っているけれども、それだけ素晴らしい歌声を披露していた。
「流石、華那が仲良くなるだけのユニットね」
小さく呟きつつ、三人のコーラスワークを聴き続ける。先ほどまで、ハロー、ハッピーワールド!が演奏をしていた。ハロー、ハッピーワールド!にも、華那からの手紙が届いていたらしく、私に感謝しに来たのには困惑したわね。私が書いた訳じゃないのに、私に言われてもね……。
ハロー、ハッピーワールド!は、明るい楽曲で攻めてきたわね。前を向きましょう!――と、弦巻さんを中心としたハロー、ハッピーワールド!の想いをぶつけるかのように。
「それも……一つの華那への想いの伝え方ね」
「だねぇ……しかし、まさかアフグロもカバーしてくるとは思わなかったけどねぇ」
と、私の隣でColor’sのコーラスワークを聴いていたリサが、私の呟きに頷きながら、今回の追悼ライブでトップバッターを務める事になったAfterglowの演奏について口を開いた。
リサの言う通り、Afterglowですら、華那が聴いていたアーティストの楽曲をカバーしてきたのだ。誰も強制なんてしていない。ただ、皆が皆、それぞれのバンドで、華那への想いを表現してきただけよ。そう言えばリサ、聞かなかったのだけれども――
「リサ……スペシャルバンドに出たかったんじゃないかしら?」
「……うん。そういう友希那だって出たかったんでしょ?」
私の問いに、少し黙っていたリサだったけれども、参加できないという事実に、悔しさを隠さずに伝えてきた。ええ……できるなら、参加したかったわよ。でも――
「個人の前に、私はRoseliaのボーカリストよ。Roseliaとして、最高のパフォーマンスを見せたいのよ」
華那が私の為に、色々な場所に行って引き合わせて結成したRoselia。そのRoseliaとして、華那が「大丈夫だね」って言える演奏をする。それが、今の私にできる事だから。
「そっか……なら、アタシも最高の演奏をしてみせるよ、友希那」
「ええ……期待しているわ」
私の言葉に、笑みを浮かべて答えてくれたリサ。私はその言葉に頷きながらそう答えて、今も行われているゲネプロの様子に集中するのだった。私達にとって、華那との本当の別れになる時は、もう――目の前に迫ってきていた。
「よぉし!これで、今日のリハは終了だね!」
と、私達の演奏を終え、しばらくしてから、まりなさんが両手を何回か叩いて笑顔を浮かべて、今日の全体リハの終了を告げた。その後も、私達に「お疲れ。皆しっかり休むんだよ」と、優しい言葉を一人一人にかけて、スタッフと入念な打ち合わせを行っていた。
「まりなさん……目、赤かったね……」
「ええ……それと少し腫れているようにも見えたわ」
リサがベースを片付け終えてから、私の隣に立ってそう声をかけてきた。そう――まりなさんの目は、リサの言う通り少し赤くなっていて、先ほどまで泣いていたのではないか――と、誰もが気付くぐらいだった。ただ、気持ちは分からなくもない。
今回のゲネプロで各バンドが、それぞれのバンドの音で、華那への想いをぶつけてきた。その音をリハだから、観客席で見ていたまりなさんが、その各バンドの想いで泣くのも仕方ない事ね……。
そういえば、紗夜……?
「なんでしょうか?」
「さ~よ?どうしたの?」
「あ、今井さん。いえ、私が
と、バツの悪そうな表情を浮かべてそう答える紗夜。そう。今回のライブだけ、紗夜には
私の我が儘なのは分かっているし、ギターが変わるだけで、音が変わる。それはつまり……
私も、すぐに返事をしてくれるだなんて思っていなかったし、逆に断られるだろうと思っていたぐらいだ。最終的に、今回だけという約束で、紗夜は華那の黒いギターでライブに立つ事を決意してくれた。
華那の追悼ライブ。これは私達にとって、ある意味で区切りとなるライブだ。陰でRoseliaを支えてくれた華那への感謝。そして、これからの未来へ向けて決別ではなく、
「
「友希那さん……」
「友希那……」
紗夜とりリサの二人は、私の言葉にどこか思う所があったのか、真剣な表情で何か考えているように見えた。でも、そうやって真剣に考えてくれているって事は大丈夫そうね。紗夜。そこまで難しく考えなくていいわ。貴女らしく、華那への想いを演奏でぶつけてくれればいいわ。それだけで、十分なはずよ。
「……そう……ですね。私自身どこまで音に込められるか分かりませんが、必ず想いを届けましょう」
「だねぇ。アタシも今までの想い、全部出し切るよ」
「ふふ……その調子なら大丈夫そうね」
やる気に満ちた目をしている紗夜の言葉に触発されるように、リサも右手を握りしめて何度も頷きながらそう力強く宣言していた。華那……向こうで驚くかもしれないわね。でも、貴女を想っている人達がこれだけ多くいるって事。それだけ、貴女が紡いできた絆はそう簡単に崩れ去るような物じゃなかったのよ。それだけでも、私にとって貴女は自慢の妹よ。
『だからって、やりすぎだよ。姉さん』
もし華那が隣にいたら、そう苦笑いを浮かべながら言っていそうね。……大丈夫よ。私も前を見て、未来へ向けて歩んでいくわ。だから、今度のライブで……貴女への想い全部ぶつけるわ。
「ゆきなさーん!!一旦出ましょうよー!!今日の反省会しましょー!」
「ええ、分かっているわ。今向かうわ」
と、疲れているはずなのに元気よく手を左右に振りながら、あこがそう提案してきた。あれだけリハで叩いていたのに、どこにそれだけの体力が残っているのかしらね?不思議に思いつつ、私達はステージを後にするのだった。
「ねえ、みんな」
昨日のリハが終わって、次の日。朝の教室で、あたしは恐る恐る、クラスメイトに話しかけていた。華那のお陰で、少しは仲良くなれたけれども、いまはもう……あたしとクラスメイトを繋いでくれていた華那はいない。だから、あたしから話しかけるというのには勇気が必要だった。……ボッチ言うな。
「なになに?どったの蘭ちゃん?」
「山ちゃん、親し気に話してるけど、美竹さんとそんなに深い仲(意味深)じゃないでしょ!」
「あげしっ!?」
と、目の前で唐突に行われるコントに、あたしはどう反応していいか困ってしまった。そんなあたしをしり目に、どんどん人が集まってきた。いや、なんでこんなに集まってきたの?
「いやいや、美竹さんや。美竹さんから話しかけてきたのって、実は初めてなのじゃぞ?」
「あんたはなんちゅう口調になってるのよ!?」
「だから、みんな何事かって興味深々なわけです。と、三坂は忠告しておきます」
「あんた……三坂って名前じゃなかったよね?」
「さッ」
「口で目を逸らす音を言うんじゃないわよ!?」
「なんじゃ、なんじゃ?何事じゃ。朝からこの人だかりは」
と、カオスな状況になりつつある我がクラスに、呆れた表情を浮かべた尾田さんと、その尾田さんに首根っこを掴まれて、引き摺られるようにしてやってきた沖野さん。あ、また吐血したんだ……。
「ああ、そうなんじゃよ。全く。こいつがこれで病弱じゃないとか嘘じゃろ……」
あたしの呟きに、尾田さんが疲れた表情を浮かべながら答えつつ、あたしに結局、何が起きているのか説明を求めてきた。あ……そうだった。
「今度、ライブやるんだ……月命日過ぎちゃうんだけど、華那の追悼ライブって事で――」
「行く!!美竹さん!チケットまだある!?」
「あ、めぐちゃんズルい!!私も行く!!」
「ほう……追悼ライブか……いつやるのじゃ。わしも同行しよう」
「尾田院……って、何言わせるんですか!?ってか、ノッブ!エジプトにでも行くつもりですか!?」
「勝手に言ったのは、お主じゃろうて。沖の字よ」
「かんら、から、から!らいぶとは、また思い切った事を考えた物だ!僕も行くとしよう!」
「あんた、さっきまで三坂とか言ってなかった!?」
「こいつ、キャラがぶれてやがるー!!??」
と、まあ……相も変わらず元気いっぱいの我がクラスって感じだね。華那からの手紙以降。今まで通りって訳にはなかなかいかないけれど、こうやって少しずつ、笑いが増えてきた。皆、華那に心配かけないようにって、上辺だけでも頑張ってる。裏では泣いている子もいるのは、あたしですら知っている。
「一応、クラス全員分のチケット用意できてるんだけど……ただ、買ってもらう形になるんだけど……」
「はい!全員!委員長命令です。デートとか、部活とか、その他諸々の用事を全部キャンセルして、その日は全員で追悼ライブに行くよ!!」
あたしが全員分用意できているという発言に、すぐ反応してきたのはクラス委員長の新井さん(確か)だった。お、横暴すぎやしない?そんなあたしの言葉に対し
「いや、これは彼氏ほったらかしにしてでも行く必要があるんだよ、美竹さん!」
「おい、彼氏とデートだったやつ。彼氏もつれて来い!美竹さん達のチケット売上に貢献するんだ!!」
「いやいや……。そもそも論だけど……女子高で彼氏持ちとかいるの?」
「ここにおるぞ!」
「げぇー!?魏延!?」
「魏延ちゃう。馬岱や……」
「あれ?馬超じゃなかったっけ?」
「いいえ、それは趙雲です」
「え、郭嘉様?」
「程普とか地味だけど、渋いよねぇ」
「公孫瓚のことも……時々思い出してあげてください……」
「ええい!なぜ急に三国志談議に入ったのじゃ!?お主ら、日本人なら戦国時代の話しをせい!!特に信長中心でな!!」
「いえいえ、そこは幕末ですよ。新選組の話しをですね――」
「そこは古代ローマに決まっておろう!!そう、麗しのネロ・クラウディウスの時代のローマ!余が活躍した時代の!!余の独壇場のな!」
「おーい、またキャラぶれってんぞー(棒)」
「戯け、話すのであるならば王である我のことであろう、雑種どもが!」
「慢心王様は帰って、どうぞ!?ってか、声真似うまいな、おい!?」
あー……なんか変な方向に火がついた。しかし、本当に彼氏がいる子なんている――え、何人かいる?その分のチケットも用意できないか?……まりなさんに聞いてみるけど、チケット代用意できる?あ、できる?ならいいんだけど……。
「ちなみに、美竹さん。クラス全員入るって、ライブ会場そんなに大きいの?」
と、山ちゃんこと、山梨紗耶香さん……だったよね?が、会場について聞いてきた。確かに、他の人達の事も考えれば、クラス全員――三十五人近くが入って、まだ他の観客も入る会場ってなると、色々と問題が起きる可能性があるからね。
でも、会場に問題はない。だって――
「市民会館の大ホールをCiRCLE主催で借り切ったから、クラス全員入ってもまだ、余裕はあるよ」
「市民会館!?」
「み、美竹さん。本当に大丈夫なの?会場、埋まる?」
「埋まる?じゃないんだよ。私達で人を埋めるんだよ!!」
「その言い方だと、ちょっと事件の匂いが……」
「事件なら、京都のサイバー捜査班の主任さん呼ぶ?」
「いや、そこは探偵呼べ!?」
「最新ドラマから呼ぼうとすんな!?」
「そこはやっぱり特命係でしょ!」
「会場関係なくなってきたの……」
「デスネー……」
と、会場で大騒ぎのあたしのクラス。……華那。いつもこの勢い相手してたんだね。本当、大変だったと思う。うん。今はゆっくり休んで。
あたしが遠い目をしていると、先生が教室に入ってきたので、一旦この話題は打ち切りとなった。会場全部埋まるだなんて、演奏側のあたし達ですら思ってもいなかった。だって、華那の追悼ライブだけれど、華那が有名人とかすごい偉人だった訳じゃない。ただ、あたし達が、華那への想いをぶつけたいだけのステージ……。簡単に言ってしまえば、自己満足のステージなのだから。
でも、あたし達は当日まで思いもしなかった。会場が全部埋まる事になるだなんて――
三章のストーリー読んで改めて思ったんですよ……
ああ、友希那達も成長したなぁ――って……
それと同時に「あれ?華那いらなくね?」って――
※そこで改めて注意勧告です※
公式世界線とこの「Sisterhood」の世界線は別です
皆様、ご注意ください
シリアスさん「今更すぎんだろ!?」
読者の皆さん「作者に言われんでもわかっとる!!」
ライブシーンでバンドリ外の楽曲を
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タイトルだけにすべき
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歌詞もやっちまえ
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除外すべき
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猫猫ばっか言いやがって、犬も可愛いだろ!