Sisterhood(version51)   作:弱い男

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シリアスさん「(速いペースで)続きを読みたかったら、俺達に協力(感想・評価)しろ。Okay?」

読者の皆さん「Okay!!(ズドン)」

シリアスさん「うわぁー!?」

作者「シリアスさんが死んだ!」

読者の皆さん「この人でなし!!」

釣り帰りにたまたま近くを通った、某槍ニキ「ノリいいな、おい!?」

とある妖精の国の女王「これが……汎人類史のボケとツッコミですか……毎回命を懸けるとは……かなり過激ですね」

槍ニキ「んな訳あるかぁ!!」

シリアスさん「三連休……更新無いと思ったか?」

読者の皆さん「なにっ!?シリアス、死んだはずじゃ……!?」

シリアスさん「残念だったな、トリックだよ」

作者「誰か10万ドル“ポンッ”ってくれねぇかなぁ……」

槍ニキ「お前ら、その作品のネタ、いい加減にしろ!?」

とある妖精の国の女王「作者……貴方は今すぐ、私が主役で救われる小説を書きなさい。これは命令です」

槍ニキ「お前もさりげなく脅すんじゃねぇよ!!」




もう、(前書きの長さとか)どうにでもなれ
( ˙꒳˙ )


#76

 開演が迫ってきている市民会館。千五百席あると聞いた大ホールは、()()()()()()()()()()。チケットが完売したという時点でも驚きだったのだけれども、当日のこの光景をステージ脇から見ると……本当に驚きしかないわね。

 

「すっご……まさか本当に全席埋まるなんて思ってもなかったよ」

 

「ですね……まさか私達の高校でも『チケット買いたい』という生徒がいるとは、思ってもいませんでしたよ……」

 

「うわっ!すっごい人!有咲、有咲!!ほら見てよ!!花咲(私達)の学校の子もいるよ!!」

 

「だぁぁぁぁぁ!!耳元で大きな声出すんじゃねぇぇぇぇ!!」

 

「と、言う有咲も大きな声を出しているのでした。マル」

 

「おたえちゃん。マルはいらないんじゃないかなぁ?」

 

「アハハ……皆、緊張の欠片もないね!」

 

 私の呟きに、いつの間にか隣に立っていたリサと紗夜が応えたかと思えば、ポピパの全員が和気あいあいと話し合っていた。この子達には緊張ってのは無いのかしらね?そんなこと思いつつ、ステージ脇から楽屋の方へと向かう。

 楽屋と言っても、人数が多いから一バンドで一部屋となっている。羽丘吹奏楽部の部員については部屋に入りきらないという事で、外にプレハブ小屋(暖房付き)を用意したとの事らしい。これは、ハロハピの弦巻さんの提案だ。

 

『人数が多くて、楽屋に入らない?なら、外に特設楽屋を作ればいいのよ!』

 

 との事らしい。きちんと会場の様子も見えるようにと、テレビまで用意する徹底ぶりに、私達は恐れおののいていた。あの時――吹奏楽部都のオーケストラライブをしていた華那の気持ちが少しわかった気がするわ……。やりすぎ……よ。

 

「しっかし、くじ運とはいえ、友希那は持ってるよねぇ。Roseliaが最後の演奏(トリ)になるんだもん」

 

「持っているのかしら?」

 

 リサの言葉に私は首を傾げた。確かに華那の姉である私がいるバンドではあるけれども、別に最初でも、中盤辺りでもよかった。だって、想いを込めて歌うのには変わりないもの。そう思いつつ、楽屋へと向かう途中。舞台袖の待機スペースに、今日の演奏メンバー全員が揃っていた。なにかあったのかしら?

 

「あ、友希那さん。実は――」

 

「今日の出演者全員で円陣組みましょ!その方が絶対楽しいわ!!」

 

「……って事でして……」

 

 美竹さんが説明しようとした途端、割り込むように元気よく発言をしてきたのは弦巻さんだった。今回のライブも収録するらしく、カメラが何台も設置されていた。……本当、弦巻さんの行動力というか、財力?には驚かされるわね……。

 

「吹奏楽部は人数多すぎるから、私と副部長のゆかりの二人だけの参加でよろしく!」

 

「ミカ、あんたはもうちょっと、お(しと)やかにして」

 

「みぎゃ!?」

 

 と、遠目から見ていた私でも分かように、植松さんの隣に立っていた明石さんが植松さんの頭を殴っていた。それを見た皆が笑い声を上げていた。……追悼ライブとはいえ、悲しんでいたら華那も心配でこっちに来てしまうわね。そういう意味では、良い状況……と言えるのかしら?

 

「それで……掛け声は?」

 

「あ!それなら、去年の夏に華那と一緒に円陣組んだ時にやったやつあります!!」

 

 と、挙手をして声を上げたのは戸山さんだった。その隣にいた市ヶ谷さんが頭を抱えていたのは、CiRCLEを利用している私達にとっては見慣れた光景ね。市ケ谷さんの気苦労は今後も絶えなさそうね……。

 

「――――って、感じです!!」

 

「華那らしいね」

 

「とってもすてきだわ!」

 

「アクション……。行動をしようって華那ちゃん言い聞かせてたのかな」

 

「かもね……私達も頑張ろう。若菜、香織!」

 

「うん!」

 

 戸山さんの説明に、それぞれが反応を示していたけれど、どれも好意的な感情だった。そういう私も、華那らしくて小さく笑っていた。本当、あの子は……。あの時、私の為に歌った。間違いなく、自分自身に言い聞かせるように最後につけたのだろう。

 華那が最後に付け加えた言葉。アクション……確かに、あの時。華那は行動を示したわ。私に想いを届ける為に、自分の喉がどうなってもいい――と、決死の覚悟で行動をした。なら次は、私の番だ。いなくなってしまった華那への想い。このライブで全部ぶつけて見せるわ。

 

「じゃあ、友希那先輩!音頭お願いしまーす!!」

 

そんな私の想いを知らない戸山さんが、元気よく私に話しを振ってきた。戸山さん……もう少し話し合うような形で……ああ、もう分かったわ。全員、真剣な表情で私を見ないで頂戴。やるわ。やればいいのよね?

 

「「ゆ、友希那先輩(さん)がノリツッコミを……!?」」

 

「蘭、あこ……驚くとこそこか?」

 

「ともちん……モカちゃんも驚きを隠せないのですよ?」

 

 私の発言に驚く美竹さんとあこの二人。あこ……後で説教。

 

「なぜそこで説教なんですかー!!??」

 

 私の発言に、本気で泣きそうな勢いのあこを見て、みんなが笑ったところで円陣を組む。私は小さく息を吐いてから

 

「今日のライブ……皆が想っている事。その全てを出して頂戴。それが、私達が出来る唯一の事だから……行くわよ……せーの!」

 

「「「「「「「「一・二・三・四・五・六・七、アクション!!」」」」」」」」

 

 全員が手を重ねる事は出来なかったので、肩を組んで声を出すだけ。それでもみんなの想いは一つになっていると信じている。ふと、耳に会場からの声が聞こえてきた。?……なにやら盛り上がっているようだけれど、なにかあったのかしら?

 

「あー……なんか、アタシ達の円陣の声……聞こえてたみたいだねぇ……」

 

「みたい……です……ね……。まだ……開演時間じゃ……ないですけど……凄い盛り上がり……です」

 

そ……うなのね。私自身、そこまで声を出したつもりはなかったのだけれど、この人数となれば、大きな声にまとまる――のかしら?ねえ、紗夜?

 

「そこで、私に話を振らないでください、友希那さん」

 

 と、右手を額に当て、どこか疲れた様子の紗夜。……確かに、今のは私が悪かったわね。ごめんなさい。紗夜。無茶な事を言ったわね。

 

「いえ……でも、安心しました。そんなに気負ってはいないようですね。友希那さん」

 

「そう……ね。自然体に近いかもしれないわね」

 

 紗夜の言葉に私は少し考えてから、そう答えた。ある程度の緊張はしている。それでも、今日のライブは私達、Roseliaの――いえ。華那と関わりのあったバンドが、それぞれの想いをぶつけるためのライブ。なら、私達がするのは一つでしょ?

 

「ええ、そうですね」

 

「ですね!あこも、全力で想いぶつけます!」

 

「わ、私も……全力で演奏します」

 

「うん。友希那……やろう」

 

 全員がそれぞれ思うところがあったのだと思う。私の問いに答えたみんなの表情が真剣だった。貴女達……ええ。それでこそRoseliaよ。ただ――

 

「そういう言い方すると、いつもは全力ではないように聞こえるわね……」

 

 と、ポツリと呟いた私の言葉に、私以外のメンバー全員が慌てて否定するのだった。分かっているわよ。全員、本気で演奏している事ぐらい。だから安心しなさい。そう言いながら楽屋へ戻る。

 

 まもなく追悼ライブが開演する――

 

 

 

 

 

 

 華那追悼ライブがついに開演した。トップバッターとして、あたし達アフグロはステージに立っていた。ステージ上にはあたしたちの楽器と、華那が使っていた青色のギターがギタースタンドに置かれていて、その横には、華那が着ていたRoseliaとお揃いの衣装も飾られていた。

 ステージの前には幕が下りていて、一曲目のモカのギター演奏と、つぐのキーボード演奏に合わせて、幕が上がるという演出になっている。

 

「……行くよ。みんな」

 

 私の小さな声に、皆がそれぞれ反応を示して、楽器を手に持つ。少し緊張はしている。でも、いつものライブに比べると、すごい緊張――というほどではなかった。きっと、あたし自身、華那への想いをぶつけるために歌うって、決めているからだと思う。

 

 そんなことを考えつつ、一度目を閉じて息を吐く。華那……向こうで苦笑いしてるかもしれない。これだけの大きなライブになってるから。でも……これがあたし達の、皆の華那への想いなんだ。だから……今日は絶対に、そっちに届けるよ。あたし達の想い()を――

 

 会場が暗くなる。それと同時にモカとつぐの演奏が始まる。今日の一曲目は、華那が尊敬していたアーティストの楽曲「ARIGATO」だ。一曲目としては、全体的に激しくはない楽曲ではあるけれど、大サビの部分は激しくなる楽曲。

 モカとつぐだけの演奏が終わり、モカのギターの音色だけになり、巴のツーカウントから演奏が始まる。それと同時に幕が上がり、歓声が上がった。大丈夫。あたし達はあたし達の演奏をするだけ。

 華那の事を想うと、心が痛くて切なくなる時がある。でも――今、あたし達は、ぐっと足に力込めて、前に進むしかないんだ。きっと、それを続けていけば、今のあたし達には想像もできない光景が待ってるはずだから。

 ただ、今、この時間。想うのは華那の事だけ。それだけ。何度も何度も、華那へ「ありがとう」と歌詞に想いを込める。たとえたどり着いた終わりに、誰もいなくて、星々が消え去ったとしても――

 

 歌い終え、一瞬の静寂。そのあとすぐに歓声が上がる。一度、礼をしてから、アタシ達は次の楽曲へ入る。次の楽曲はアタシ達の楽曲を連続で演奏していく。そして、あっという間に最後の楽曲となった。最後の楽曲の前に、今回のライブで初めてMCを入れた。

 

「こんにちは。Afterglowです。一曲目から今まで一気に駆けてきましたが、アタシ達なりの、華那への想いを込めて演奏させてもらった……もらいました。……次が最後の曲です。華那が最後にアタシ達に『いつも通りを大切に』と残してくれた言葉が、想いが詰まった曲です。聴いてください。『Scarlet Sky』。」

 

 私の短いMCに対して、歓声と拍手が上がる。その後に、巴のカウントから演奏が始まる。アタシ達の「いつも通り」を表した大切な楽曲。華那は空に溶けてしまった。いつか、アタシ達も華那のいる空に行く時が来る。

 

「繋がるからこの空で

 離れてもいつでも

 あたしたちの居場所で――」

 

 そう。離れていてもアタシ達と華那は繋がっているんだ。華那がアタシ達を見守ってくれている。なら、アタシ達はアタシ達で「いつも通り」を大切にしなきゃいけない。たとえ、色んな事が起きて変化していったとしても――

 歌っている途中。涙が出そうになる。でも、今泣いたら、華那が心配してしまう。大丈夫だよ、華那。ただ、感情が抑えられないだけだから。そっちで、きちんとあたしたちの音聴いていて――

 

「叫ぶ想いは赤い夕焼けに――」

 

 全てを込めて、最後は本当に叫ぶように歌い上げた。ちらりとモカ達を見れば、目元に涙が浮かんでいるように見えた。皆……我慢してたんだ。泣きそうになったのがアタシだけでない事に安堵すると同時に、華那への想いも一緒だった事が嬉しく思った。

短い期間の付き合いだったけれど、皆がアタシと同じ思いだった事に――

 

「ありがとうございました。Afterglowでした」

 

 演奏を終えて、アタシ達は一礼をしてステージから退場する。その際、今までのライブで聞いた事も、見た事もないぐらいの拍手と歓声が起きていた。よかった。アタシ達の音、きちんと伝わったんだと思えた瞬間だった。

 

「ひっぐ……巴ぇぇぇ」

 

「ひ、ひまり、気持ちはわかるが落ち着け!?」

 

「ひっぐ……華那ちゃん……」

 

「あらら……つぐちんもだぁ……ともちん後ヨロシクー」

 

「あ、こら、モカ!あたしに丸投げすんな!?」

 

 と、ステージ脇に隠れた瞬間。演奏中に隠していた感情が爆発したのか、ひまりとつぐが泣き出してしまった。巴がおたおたしている姿を見て、アタシは小さく笑ってしまった。ただ、モカ。

 

「なぁに、らん~?」

 

「モカも泣いたっていいんだよ」

 

 そう言って、モカの頭をアタシの胸にうずめさせる。いつものモカなら冗談を言いつつ、アタシから離れるだろうけれど、今日は体を震わせて小さく泣いていた。うん。頑張ったよ、モカ。でも、モカはまだ出番あるんだから、まだ華那への想いきちんと伝えなきゃね。

 

「う……ん」

 

 弱々しい声だったけれど、きちんと頷くモカ。大丈夫そうだと、アタシは判断して、それ以上の言葉はかけることはせずに、モカが落ち着くまでその体勢でいたのだった。それを見た日菜先輩や吹奏楽部の先輩たちに揶揄(からか)われるのを知らずに――

 

 

 

 

 アフグロの演奏……凄い。凄すぎる。まだ演奏は続いているけれど、正直に言ってしまえば圧倒された。二番手が私達のようなコーラスワークユニットでいいのかって、舞台袖で不安になった。その不安が若菜ちゃんと香織ちゃんにも伝わってしまっているのか、二人とも私に話しかけてくる気配はなかった。

 そんな私達、Kolor’s(カラーズ)の中で不安が流れている時だった。ある人が声をかけてきたのは――

 

「織田さん、正井さん、窪田さん。今いいかしら」

 

「あ……華那ちゃんのお姉さん……」

 

「ゆ、友希那さん!?」

 

「友希那先輩!?」

 

 そう。急に声をかけてきたのは、華那ちゃんのお姉さんである湊友希那さん。こう見ると……本当姉妹だったんだなぁって思うぐらい似ていた。そ、それでどうかしました?

 

「ええ。ちょっと気になる事があって声をかけたの」

 

「気になる事……ですか?」

 

 友希那さんの言葉に私達三人は顔を見合わせて首を傾げる。その様子を見ていた友希那さんは、腕を組んで私達三人を順々に見る。その視線が鋭いって事は無く、どこか心配している――そんな慈愛に満ちたって言い方が正しいか分からないけど、そんな優し気な目だった。

 

「Afterglowの迫力ある演奏に委縮(いしゅく)しているように見えたわ。……貴女達、そんな姿を華那に見せるつもり?」

 

「あ……」

 

「それは……」

 

「……」

 

 友希那さんの言葉に、私はそうだったと気付かされた。香織ちゃんは何か言おうとしたけれど、うまく言葉が出てこないみたい。若菜ちゃんは何か思うところがあったのか、黙っている。

 

 そうだ。今の姿を華那ちゃんが見たら、心配しちゃうに決まってる。あの時……無理やりFWFのステージに立たせられて、歌わされた見ず知らずの私の事を思って怒って、プロデュースしていた、あの女性――名前忘れたけど――に対して、あの小さな体で向かっていこうとしてくれた。

 

 沙綾ちゃんと友希那さんに止められていたけれど、あの時、私は本当に嬉しかったんだ。だって、いきなり連れてこられて、予選通過出来なかったのはお前のせいだ――って、言われていたから。

 本当なら歌いたくなかったのに、無理矢理つれてきたのはそっちでしょって、言いたかった。だから、華那ちゃんの行動は本当に嬉しかったんだ。見ず知らずの人の為に怒ってくれている事に……。

 

 その華那ちゃんに対して、私は何も返せないままだ。だから、沙綾ちゃん達の話しがあった時。すぐに私達も歌わせてほしいってお願いしたんだ。華那ちゃんへの感謝を込めて歌うために――

 

「不安になるのは分かるわ。確かにAfterglowの演奏は素晴らしいものよ。それは私も思っているわ。でも、AfterglowはAfterglow。貴女達は他の誰でもない、Kolor’sよ。貴女達三人にしかできないコーラスワークの素晴らしさ……思いっきり見せて頂戴」

 

 と、最後は儚げな笑みを浮かべて私達を鼓舞してくれた友希那さん。私は二人を見ると、二人もさっきまでの不安気な表情ではなく、やる気に満ちた表情になっていた。私達三人はお互いに頷きあって

 

「友希那さん……ありがとうございます。私達なりの全力……出してきます!」

 

「ええ。期待しているわ」

 

 私の決意に友希那さんは、柔らかい笑みを浮かべてそう言うと去って行ってしまった。ありがとうございます。友希那さん。妹の華那ちゃんを亡くして、自分が辛い時期なのに、私たちを励ましてくださって……。

 

「よし!若菜ちゃん、香織ちゃん!最高のコーラスしよう!!」

 

「おー由紀ちゃんが本気だー。なら若菜も本気でやっちゃうよー」

 

「うん、頑張ろう!!」

 

 三人で手を重ね合い、いつもの掛け声をしてAfterglowと交代するようにステージへと向かう。華那ちゃん見ていて。華那ちゃんへの感謝の想いを込めて、私たち歌うから――

 

 Afterglowの演奏の興奮が冷めやらぬ会場。私達三人はいつも通りのポジションについて、スタッフさんに合図を送る。それと同時に歌い始める。一曲目は「blaze」だ。テンポの速い曲で、三人のコーラスワークが試される楽曲のひとつ。

 大丈夫。三人でたくさん練習したんだもん。どんな歌声になろうと、必死に、正確に、それに想いを込めれば――ほら。Afterglowには及ばないかもしれないけど、歌い終えた後の歓声は、華那ちゃんと一緒にやったライブの時と同等ぐらいの物だった。

 

 その勢いのまま、私達は歌声と想いを重ね合わせる。私達の記憶の中にいる華那ちゃんは……いつでも笑ってる。いつか……ううん。もう数ヵ月でもしたら、華那ちゃんの事を思い出すのすら「懐かしい」って感情になってしまうんだろうな。

 

 本当に、私達Kolor’sと華那ちゃんの付き合いは他のバンドと比べれば、圧倒的に短いよ。でも、想いは……一緒だよ。優しくて、人の事を心配してくれる華那ちゃんの事を想うこの気持ちは……誰にも負けない――

 

 途中MCを入れて、私達三人の紹介をさせてもらったけれど、観客の皆さんの反応は凄い物だった。バンドばっかりの中に、バンド形式じゃない私達がいるのに、温かく受け入れてくれた。本当……華那ちゃんの周りは優しい人達ばっかりだね。

 

「次が私達、最後の楽曲です。聴いてください『アレルヤ』」

 

 そう言って、私はお辞儀をする。それと同時に拍手が起きる。こんなの、華那ちゃんといっしょにライブした時以来。驚きと感動が私の心の中で入り混じる中、しっかりと歌い上げる。

 この楽曲をラストにしたのには理由がある。楽曲の中に出てくる歌詞で「笑っていく」「未来へいく」というのがあるのだけれど、いつか会うだろう華那ちゃんが心配しないようにと、言い聞かせるように。それでいて、華那ちゃんに「私達、やりきったよ」って胸を張れるように。そんな想いを込めて、私達は歌い上げた。

 

 歌が終わった瞬間、さっきまでの歓声とは比べ物にならないほどの、歓声と拍手が私達を包み込んだ。華那ちゃん。見ててくれたかな?そんな想いが、ふと私の頭を過った。

 

「ありがとうございました!Kolor’sでした!」

 

 最後に挨拶をして、三人で礼をして次のバンドと入れ替えの為に舞台袖へと移動している時に

 

「また来てね!」

 

「よかったよー!!」

 

「今度はこっちから、見に行くからねー!!」

 

 って、多くの観客の声が聞こえた。本当……私達のようなカバー(コピー?)楽曲のコーラスでも、想いが伝わったんだ。そう思えた瞬間だった。歌い終えて、裏に入った瞬間、我慢してきた感情が出てしまって、三人で抱き合うようにして泣いた。

 近くにいた女性のスタッフさん達も、私達の想いが分かるからか、タオルと飲み物を用意してくれて、私達が落ち着くまで背中をさすってくれた。

 

「華那ちゃんに……想い届いたかな?」

 

「届いたよ……絶対」

 

「私も……そう思う。届いてなかったら、怒り行くんだからー」

 

 と、最後はいつものおちゃらけた口調で言う若菜。さっきまで泣いていたのに……本当、気遣いするの上手なんだから。しばらくして、落ち着いたところで、つきっきりで私達が落ち着くのを待っていてくれたスタッフさんにお礼を言ってから、私達は邪魔にならない所で、ライブを見る。

 

 まだ、華那ちゃんの追悼ライブは始まったばかり。皆、それぞれの想いを、音と一緒に奏でていた――

 




セットリスト

アフグロ
1.ARIGATO(from B'z)
2.MEMORIA(from 藍井エイル)
3.True color
4.That Is How I Roll!
5.Scarlet Sky

Kolor's
1.blaze(from kalafina 以下同じの為、省略)
2.neverending
3.sprinter
4.輝く空の静寂には
5.アレルヤ


ちなみにですが、バンドリ外の楽曲はアンケート結果を基に、こういう形に致しました。
ただ、今後になるのですが……一曲だけ、一曲だけ、やらせてください。いいじゃないですか。ねえ!?(某ロックユニットのボーカル風に

また、歌詞は出て来てませんが、ARIGATOとアレルヤも歌詞使用楽曲情報に入力してあります。
ご了承願います。

ライブシーンでバンドリ外の楽曲を

  • タイトルだけにすべき
  • 歌詞もやっちまえ
  • 除外すべき
  • 猫猫ばっか言いやがって、犬も可愛いだろ!
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