Sisterhood(version51)   作:弱い男

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シリアスさん「最終回近くなったら、連絡をよこせ」

読者の皆さん「どうしてそれが分かる?」

シリアスさん「作者が速い間隔で投稿して、ドンパチ賑やかになったらだ」

読者の皆さん「ドンパチ賑やかって、どっかに乗り込む気満々じゃねぇか!?」

シリアスさん「残っているのは(作者の)シタイだけです」

読者の皆さん「モロ、ドンパチやってるじゃねぇか!?」

作者「いや、真面目に最終回近くなってきましたよ、旦那、奥様方」

読者の皆さん「まだ未婚じゃ、こらぁぁぁ!!!」

シリアスさん「あ、怒るとこ、そこなんだ」





#78

 私と、華那が出会ったのは、沙綾の家にパンを買いに行った時だったか?もうかなり前の気がしていたけれど、まだ一年も経ってねぇんだな……。ふと、そんな事を待っている間に思った。

 この一年。本当に濃い一年だったと思う。いや、まだ一年過ぎてねぇんだけどさ。中学時代まで引き籠ってた私が、バンドをしているだなんて、想像もできなかった。しかも多くの友人や、違うバンドの人とも繋がりを持つ事になってさ。

 

 去年の春には想像もできなかった。そのバンドの繋がり、友人がもう二度と会えなくなるって……。まあ、誰もそんな想像した事ないと思う。だから、皆……あの時――華那が亡くなったあの日――ラウンジで皆、泣いたんだ。悲しくて、辛くて、寂しくてさ……。

 

「次は私たちの番だね!!」

 

「はいはい。元気なのはいいけど、ミスんなよぉ?香澄」

 

 相変わらず、元気いっぱいな声ではしゃぐ香澄に釘を刺す。そのやり取りを見て、りみと沙綾が笑っていた。相変わらずなやり取り。正直、ここまで戻れたのは、華那の手紙のお陰だ。あれがなかったら、私達は前を向く事はできなった。ずっと、悲しんでいたと思う。時間が経てば、解決してくれたかもしれないけどな。でも、ここまで短期間で立ち直る事はできなかったはず。

 

 だからさ、私達の想い。華那に届くかはわからないけどさ……全力で演奏するから、見ていてくれよ。華那。一度点を見上げるように、私は目を瞑って上を向く。私なりに区切りつけるけどさ……どんなに時間が過ぎたって、華那。お前とは友達だからな。

 

「よぉし。いっちょ、やったるかぁ!」

 

「おお!有咲が珍しくやる気だ」

 

「有咲、何か悪いものでも食べた?……はっ!まさか、おっちゃん達の餌を――」

 

「珍しくは余計だ、香澄!あと、おたえ!誰が喰うか!!」

 

 人が気持ちを切り替えようって時に、どうしてこいつらはいつもこうなんだ!なあ、そう思うだろ?沙綾……って、沙綾。なんでそんな驚いた表情しているんだよ?まさかお前まで……。

 

「ごめん、有咲。あの有咲が声に出してまで言うって思ってなかったから……」

 

「沙綾……お前もか」

 

 と、膝から崩れ落ちる私。まさか、声に出したぐらいで驚かれるって、他の連中にどんな風に見られていたんだ、私?そんな疑問を抱いた私だったが、私達の番が近いので、聞くに聞けないまま、準備を進める。色々と思うところはあるが、気持ちを切り替えて演奏に集中だ。

 

「Poppin’Partyの皆さん、準備お願いします!」

 

 スタッフの人が私達を呼んだ。全員で顔を見合わせて、小さく頷き合う。もうここから先は言葉はいらない。全力で演奏するだけだ――

 

 

 

 おたえのギターソロ後の一瞬の静寂。その後に私は大きく息を吸って、ピックの持っている右手を会場へ向けて

 

「この手を離さない!!」

 

 その私の言葉と共に歓声が上がる。歌っている途中で、歌詞に出てくる少女が華那と友希那先輩と重なった。夢が破れた――友希那先輩と一緒にスタジアムでライブするって夢の事。新しい夢――きっと、友希那先輩ならもう先を見ているのだと思ったから。

 じゃなければ、こうやって追悼ライブするって、覚悟を決められなかったと思う。やっぱり、友希那先輩は強いなぁ……。そう思いつつ、私なりに華那への想いを歌に乗せる。

 

 華那がいなければ、沙綾はまたドラムを叩く事は無かっただろうし、私達が沙綾の苦しみを知る事はできなかった。その後も、色んな事をしたよね?一緒にお泊り会だったり、ライブだったり、海行ったり――

 

 まだ色んな事を、ポピパの皆と華那とでしたかった。でも、華那はもう空に行ってしまって、きっと――ううん。また、走り始めたばかりだと思う。あっちで、新しい目標を立てているはずなんだ。でも、華那の事だから、間違いなく私たちの事を心配してくれているはず。だから、私は走り始めたばかりの(華那)に歌うんだ。私達なら大丈夫--って。

 

 ただね、華那……。ずっと、華那を含めた皆で楽しむ日常が続くって、信じてたんだ。でも、華那はもういないし、今までと同じような日常にはならないんだ。だって、華那がいないから……。だから、何度も叫ぶように言うよ。ありがとうとさよならを――

 

 華那が残した手紙に書いてあった言葉……「皆は未来に向かって走らなきゃいけない」。きっと、この先も、何かある度に華那の事、思い出す。でもね……私、華那との約束、守るから。だからね、今の音、きちんと聴いていて。ポピパの想いをぶつけているから!

 

「ありがとうございます。Poppin’Partyです!!」

 

 一曲目から三曲目まで立て続けに演奏してきた私達。三曲目は「(ほむら)」だったからか、ちらほらと泣いている人も見えた。

 

「今回のライブ。皆が色んな想いを抱いて参加してくれています。もちろん、来てくれている皆もそうだと思います。だから、その中で私達なりに精一杯、全力で、想いを込めて演奏します!それが、今の私達にできる精いっぱいの事だと思うんです」

 

 前を向いて歩くってのは、なんだか華那の事を忘れそうで怖かった。でも、どんなに想っても、祈っても、空に手を伸ばしても、華那が戻ってくる訳じゃない。そんなの分かりきった事。だから、悲しむのは終わり。今日は楽しく!でも、華那への想いを込めて歌うって決めたんだ!!

 

「今日のライブに向けて、私達なりに楽曲を作ってきました。聴いてください!『切ないSandglass』!!」

 

 色んな人の想いを想像して作り上げた楽曲。瞬く間に季節は巡り巡って、次の季節がやってくる。華那と出会ったのは春だったよね。その春に、ポピパを組んだ後に涙した。色んな声で一時、私は歌えなくなった。怖くて……。でも、その涙を、恐怖を越えて歌えるようになった。

夏に友希那先輩――Roseliaの事を思って歌ったあのライブ。秋に、オーケストライブで華那の演奏力の凄さに改めて触れて、冬にまた元気になって――って、願った。

 でも、それは叶わなくて、私達の願いは、まるで砂時計の砂のように零れ落ちていった。その輝きはいつまでもキラキラしている。だって、華那の想いや行動してきた事は、私達の心の中に残っているんだもん。ずーっと、ずーっと煌めいているんだよ。

 

 でもね……切ないよ。苦しいよ、華那。だからね、眩しいぐらい輝いている未来に向けて私たちは走るけれど……いつか華那のいる場所に辿り着いたら……いっぱいお話ししようね。

 

「ありがとうございます。次で、私達の演奏は最後です」

 

 そう、私が言うと、残念そうな声が上がる。その反応が嬉しくて、小さく笑う。会場に来てくれた皆は、悲しんでいるってわけじゃない。ライブを、音楽を楽しんでくれているんだ!

 

「次の楽曲は、華那が大好きだったアーティストの楽曲です。全力で演奏します!聞いてください。『ピルグリム』」

 

 私の言葉の後に、沙綾がカウントを三回とってからドラムを叩いて、イントロに入る。おたえと私のギターをハモらせるように演奏していく。

 ピルグリムの意味は巡礼者。巡礼するかのように、私達はこれから何度も季節を迎える。もうすぐ春がやってきて、幾千の花びらが風で舞い踊る季節になる。それと同時にこのライブも、戻ってこない時になる。それで、また巡り巡って、ポピパの皆や華那。他のバンドの皆と出会った季節になる。

 

 それで、あっという間に色々なものが過ぎ去って行く。それで、巡り巡って、華那()が消えた季節がやってくる。その時、私はどんな言葉を皆に伝えられるだろう?傷つけるような言葉を吐き出してしまうかもしれない。

 

 そんな時を繰り返して、また季節は巡る。ポピパの皆でライブをするってのは、本当に楽しい。今も、こんな悲しい歌詞を歌っているのに、歌えている事が、演奏できている事が、音楽が楽しいって思えているんだ!だから、皆で作り上げてきたものを絶対に(こわ)したくない――

 

「……ありがとうございました!!Poppin’Partyでした!!」

 

 最後の演奏も終えた私達は、全員でお辞儀をしてステージを後にする。ステージから舞台袖に入った瞬間。色んな感情が溢れてきて、私は涙を零した。それを見た、有咲が慌てた様子で、私の両肩に手を置いて

 

「お、おい!?香澄どうしたんだよ!?」

 

「ごめ……ん。我慢……できなく……て……」

 

 そう謝るので私はいっぱいいっぱいだった。演奏中も、何度も泣きそうになった。でも、楽しいって感情が上回っていて、笑顔で歌えていたと思う。そんなことを思っていたら、有咲がタオルを私の顔に当てて、抱きしめるように、顔を胸にうずめさせてくれた。

 

「大丈夫だ……香澄。お前の……私たちの想いは間違いなく、華那に届いてるから」

 

「うん……うん……!」

 

 有咲の腕の中で頷く。まだ、涙が流れているけれど、すぐに友希那先輩達、Roseliaの演奏が始まる。友希那先輩達がどんな演奏をするか見たい。有咲にもう大丈夫と言って、タオルで涙を(ぬぐ)う。りみりんも沙綾も、おたえも涙を浮かべていた。でも、みんなどこかやりきった、って感じに見えた。華那……私達、前に進むから、これからも見守っていてね――

 

 

 

 

 私達の後はRoseliaの演奏。一曲目から激しい楽曲である「LOUDER」からだった。一曲目に持ってくるとは思っていなかった。でも、友希那先輩達が「LOUDER」を一曲目に選んだ理由は、なんとなくだけれど……予想はできる。

 

「LOUDER」はもともと、友希那先輩と華那のお父さんの楽曲だったのは、華那が教えてくれた。その時の華那は本当に嬉しそうに、誇らしげに話してくれたっけ。でも、すぐに「自分は演奏できないんだけどね」って、寂しそうに笑っていたっけ……。

 

 歌詞は友希那先輩と華那のお父さんの事を歌っているらしいけれど、今はまるで華那に宛てた歌詞のように思えた。そう思うぐらい、友希那先輩の歌声には想いがこもっていた。それは今までの友希那先輩の歌い方とは、また違うように思った。そうだ……魂の底から()()()いるんだ。楽曲名の通りに――

 

「やっぱり、Roseliaの演奏凄いね」

 

「うん……今までも凄かったけれど、今日の演奏は今まで以上に凄い演奏になってる……」

 

 香澄がまだタオルで涙を拭いながら呟いたのに、同意するように私は頷きながらそう言った。今日の演奏。Roseliaのメンバー全員が、それぞれ想いを込めて、それでいて一つの方向に合わせているのだから、今まで以上の演奏になっているんだと思う。

 ねえ、華那。見えている?聴こえている?華那が必死になって、友希那先輩の為にって集めたRoselia……凄い演奏しているよ。華那が望んでいる演奏かどうかは分からないけどさ……今までのバンドが作った会場の雰囲気を、全部吹き飛ばすぐらいの演奏だよ。

 

「もっと……私も上手くならないといけないなぁ」

 

「だね。もっとギター練習しなきゃ」

 

「私もベース頑張らなきゃ」

 

「だな……私もキーボード頑張らねぇとな……」

 

「うんうん!みんなやる気あっていいね!!私ももっと上手くなりたい!」

 

 私が小さく呟いた程度の言葉に、皆がそれぞれの言葉で同意してくれた。あはは。聴こえない程度に呟いたつもりだったんだけどな。まあ、いっか。皆やる気と元気になってくれたから。

 私達がやる気になった間も、Roseliaの演奏は続いていて、今は「Determination Symphony」がちょうど終わったところだった。Roseliaは、華那が深く関わっていたって事もあって、演奏する楽曲はほかのバンドより二曲多い。ここからどんな楽曲をやるんだろう――

 




Poppin’Party
1.ティアドロップス
2.走り始めたばかりのキミに
3.炎(from LiSA)
4.切ないSandglass
5.ピルグリム(from B'z)



あまりにも、#78が長くなりすぎたので、ポピパとRoseliaパートで二分割しました。(十七分割ではない。シエル先輩……)ご了承ください。

ライブシーンでバンドリ外の楽曲を

  • タイトルだけにすべき
  • 歌詞もやっちまえ
  • 除外すべき
  • 猫猫ばっか言いやがって、犬も可愛いだろ!

使用楽曲コード:22355863,22355871,70274088,72413794

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