読者の皆さん「こっちもだよ!!」
シリアスさん「いや、そこまで怒らないでくださいよ。毒見の皆さん」
読者の皆さん「読者だよ!!」
シリアスさん「あ、ごめんなさい。土管の皆さん」
読者の皆さん「読者だよ!!」
作者「児〇だよじゃねカ……」
「ありがとう。Roseliaです」
二曲目が終わり、MCを入れる。次の楽曲についての前に、今回のライブに参加してくれたバンドへの感謝。また、スタッフの皆さん。そして……こうやって集まってくれた会場の皆へと感謝を述べる。
その間に、あこと燐子が水分補給を。リサは私のMCを、目を瞑って聞いていた。紗夜は自分のギターをスタッフに預けて、スペシャルバンドでも使用した華那のギターに交換していた。
「私の提案から始まったこのライブ企画。まさか、こんな大きな会場でやる事になるだなんて、思いもしなかったわ」
「だねぇ……。CiRCLEの会場を使うってイメージだったからね」
「ですね」
と、私の言葉に同意するように、MCに入ってくるリサと紗夜。ここまでは一応、打ち合わせ通り。今回は、少しだけMCを入れていこう――と、全員で話し合ったから。あまり喋りたくはないのだけれどね。ライブなのだから、音楽で勝負しないと……。でも、今日は想いを届ける日。言葉にしなくちゃいけない。じゃないと届かないから――
「今日、参加したバンド。集まってくれた皆……それぞれが想う所があって来てくれたのだと思う。私達も、演奏するからには、情けないところを見せるわけにはいかない。安心していなさい――と、想いを込めて演奏しているわ。ただ……」
一度、そこで私が話しを区切ると、会場が小さくざわついた。「ただ」何なのか――そんな疑問を抱いた人達の声だ。小さく息を吸って吐いてから、私は言葉を紡ぐ。
「今日で、華那の事については一区切りするけれども……これからも、華那は“六人目のRoselia”として、私達、Roseliaの中で生き続ける。
歌声を失って、ギターで私の隣に立とうと努力して、なんとかしようとしたけれど、今の状況じゃ無理と判断した華那。受験とか、将来の事を考える大変な時期だったのに、私の為に自分の時間を潰してまで、バンドメンバーを集めるのに奔走してくれた。
もう……もう二度と一緒に音楽を奏でる事はできないし、一緒に歩く事はできないけれど――
「心から華那へ感謝を。それと……これからも、私達は一緒だという想いを込めて歌うわ。『TINY DROPS』」
私が次に歌う楽曲のタイトルを言うと、会場から拍手が起きた。その数秒後に燐子がピアノを奏でる。この曲は、一番サビまではピアノとヴォーカルだけの演奏。静まり返る会場の中に、私の歌声と燐子の演奏するメロディだけが響く。
「空中に 舞いあがる 波しぶき きらめいて」
華那と一緒にいた時の景色が思い浮かぶ。オーケストラの中心で、一緒にライブをした時の景色。私が、華那にきつい言葉を投げてしまった時の景色。私の為に、声が出なくなってもいいという覚悟でポピパの皆とライブをしている景色――
「海に溶けてゆくしずく あなたは今どこ」
華那……貴女は今、空でどんな景色を見ているのかしら?華那がいない景色……まだ慣れないわ。朝起きたら、料理を作っていそうな……そんな気がしてしまうわ。
「会えないのは つらいけれど
それは変えられないこと」
でも、もう変えられない。華那がいなくなったという現実は……。だから、私は貴女にこの言葉を届けたい。
「かけがえのない あなたに言いたい
心から ありがとう」
私の隣にいてくれて、私の事をいつも心配してくれて、私を愛してくれて……なによりも、私を信じてくれてありがとう。だから、華那……旅を終えて生まれ落ちる前の場所に戻った
でも、華那の事よ。向こうにいる、大勢の伝説と言われるようなアーティストと一緒に音楽をしているはずよ。それこそ、孫が来たって形で、大勢の人から頭を撫でてもらいながら――
「たゆたう海へ……」
演奏が終わっても、拍手も歓声も起きなかった。静寂。その言葉が、会場を包み込んでいた。ええ、大丈夫。これは
「新曲です……聴いてください『軌跡』」
目を瞑り、小さく息を吐いて、燐子の奏でる旋律にタイミングを合わせて歌い始める。
「靴紐が解ければ
結び直すように」
別れはいずれやってくる。それは変えられない。その中で、私達は自分の道を歩んで、前に進む。
「哀しみで 胸の中溺れそうならば
瞼閉じ迎えよう いつも変わらず
笑う貴方の瞳が ほらね…ただ綺麗で」
目を閉じれば、すぐ
「"ありがとう"
廻る地球 貴方と私は進む
握る手離れても
終わらない絆がある」
感謝。それを伝えたい。華那と一緒にいた日々。華那が私達にいつか追いついて、一緒にステージに立つ――一緒に立てる日が来る事を疑わずにいた。でも、それは保証がない日々という事を、今回の件で痛感した。大切な人がいなくなる……誰かと別れるという現実。
「ふと甦る あの姿
心はさざめき出す
辛くないのは 嘘だけど
きっと覚束ない言葉でも伝えたい…」
最初に作り上げたデモの時より数拍、伸ばして紗夜のギターソロに入った。今回のギターソロは、華那の尊敬するアーティストの楽曲、「ROOTS」のギターソロを私達なりにアレンジしたものになっている。切なくて、それでいて、力強いメロディ。紗夜の想いが、魂全てが込められた、今、演奏している紗夜の感情全てが込められたギターソロ。
涙が目に浮かぶ。華那にしてあげたかった事。華那が私にしてくれた事に対して、そのほとんどを返し切れていない事。色んな想いが込み上げてくる。でも、まだ泣かない。今は私達Roseliaのライブの途中なのだから――
ギターソロが終わり、一瞬だけ静寂が包まれる。マイクに息の音が入らないように気を付けながら私は歌う。大丈夫よ、華那。私達Roselia……いいえ。華那と関わった全ての人達と華那には、終わらない絆があるわ。
演奏が終わり、先程はなかった拍手と歓声が起きた。正直に言って驚いた。今、演奏した二曲の歌詞や曲調を考えると、ここでも静かになるんじゃないかって想定していたわ。この会場には、華那と知り合いは勿論、一方的に華那の事を知っているだけの人もいるだろう。
それでも、想いを重ねてライブを楽しむ……華那の事を想ってくれている。本当……貴女は私にとって、誇りよ。立派な妹だったわよ。
「ありがとう。新曲『軌跡』でした。次も華那が好きだったアーティストのカバーをさせてもらうわ。『深愛』」
短いMCではあるけれども、次の楽曲に入る。ピアノから入る楽曲三曲続いているけれども、次の楽曲は少しロックテイストにしてあるから、問題はない……はずよ。
歌っている途中で、華那とした約束を思い出す。「スタジアムでライブをする。いつか、あの賞を取る」という、聞いた人間が笑うだろう私達姉妹の夢物語。
約束したのに、私と華那は……本当に突然、行き先が違う道を行く事になった。私は……
胸を張って、良い姉だった――なんて言えないわ。ごめんなさい。今になってこの言葉を貴女に伝えたくなる。だから声に出して、言葉にするわ。想いだけじゃ届かないもの。
貴女を想う気持ちは、ずっと持ち続けるわ。この気持ちに終わりが来ない事を信じているわ……。
演奏が終わり、後二曲だけ演奏する事を伝えると、残念そうな声が上がる。多くのバンドが演奏して、それを聞いてくれている観客の皆にも疲労はあるはずなのに、まだライブを、音楽を聴いていたいと言ってくれるのは嬉しいものね。
「このRoseliaは、華那がこのメンバーと私を引き合わせてくれた事から始まったわ。今までのRoseliaも大切にしつつ、華那に新しい姿を見せられるよう頂点を目指すわ。『Neo-Aspect』!!」
華那が安心して、向こうで音楽ができるように……私達は新たな姿を見せなくてはいけない。頂点へ向けて、バンド全員が一つになって――
この先、悔しい事や悲しい出来事が、また私達を襲ってくる。その時、前を向けるように。バラバラになったとしても、また集まれるように扉を開けていられるように――
「音粒を一つずつ 抱きしめるように歌うの
存在 Stay alive…Stay alive…
瞬間 Stay alive…Stay alive…
強く感じたいよ 貴方たちを」
音楽を愛した華那へ歌うように。そして、Roseliaのメンバーを想いながら歌う。この曲は華那が夏に、自分の身を燃やすように、「ロストシンフォニー」歌ってくれなかったらできなかった曲。華那がいたから、華那は私達の中で生きていると歌う。
「Sing away!Sing away! 歌え!
Wo wo wow…
More!Sing away!Sing away!
魅せよう 新たな姿を」
これから先、いろいろな姿を見せるわ。その先にある頂点へ向けて――
「Neo-Aspect」を歌い終えて、すぐさま次の歌に入る。『PASSIONATE ANTHEM』だ。この曲は、華那が入院している時にできた楽曲で、一度もライブで聴かせる事が出来ずに終わった曲。最後に、華那に聴かせようと、ラストに持ってくるのにバンドメンバー全員の意見が一致した。
今後、曲を作っていけばいくほど、華那に聞かせる事ができない曲が増えていくわ。だからこそ、私達は華那に届くように、歌い続けるわ。新たな挑戦を重ねて、約束したあのステージへ立てるように。妥協はしない。譲る事もしないわ。
貴女から授かったこの「
「今日は本当に集まってくれて、ありがとう。間違いなく、皆の想いは華那に届いているわ……本当に、華那の為にありがとう。Roseliaでした」
演奏が終わり、私なりに感謝の言葉を紡いだ。大きな拍手が会場を包み込む。これで、追悼ライブも終わりね……。いろいろな感情がライブ中に生まれて、それを歌に乗せたけれど……。届いているわよね?華那――
「お疲れ!友希那!はい、飲料」
「リサも、お疲れさま。もう……飲料ぐらい自分で取れるわよ」
リサが、目元に涙をうっすらと浮かべながら、私にペットボトルを渡してきた。本当なら、泣きたいはずなのに無理して……。紗夜、あこ、燐子もお疲れ様。いい演奏だったわよ。
「友希那さんもお疲れ様です。ええ……華那さんのギターのお陰ですね。改めて思いましたけど……ここまで弾きやすい、ギターの音が昔から私達の音のように聴こえるとは思っていませんでした」
「あこ、全力で……叩きました。……華那さんが……華那さんが、あこをRoseliaの一員になれるように……フォローしてくれたから……」
「あこちゃん……」
紗夜は華那の使っていた、エピフォンの黒いギターを大切に整備しながらそう言い、あこは泣きながら想いを言葉にしていた。そのあこを優しく抱きしめている燐子の目にも、うっすらと涙が浮かんでいた。
本当……皆に愛されていたわね、華那。私は貴女のような人間にはなれないわね。きっと、貴女なら「ならなくていいよ!?」って、慌てた様子で言うでしょうね。その様子が、目に浮かぶわ。
そんな事を私が思っていると、会場の方が騒がしい声が聞こえてきた。なにかあったのかしら?そう思いながら、会場の方へと目を向けると、来てくれた人たち全員が残っていて、アンコールの大合唱が起きていた。
「……凄いわね」
「ですね……まさかアンコールの大合唱とは……思いもしませんでしたね」
「だねぇ……でも、どうする、友希那。アンコールって言われても、これだけバンド多いと――」
「そこはRoseliaの皆さんが行くべきです!!」
リサと紗夜と話し合っていたら、突然、戸山さんが話に入り込んできた。でも、貴女達だって今回のライブの参加バンドなのよ?それなのに、私達だけってのはどうなのか――
「あたしも……香澄の意見に賛成です。湊さん、演奏してください」
「私も賛成よ!!友希那達が行くべきよ!」
「私も、賛成だよ。友希那ちゃん達、Roseliaがアンコールにこたえるべきだよ」
戸山さんの言葉に呼応するかのように、美竹さんと弦巻さん、丸山さんが、私達、Roseliaがアンコールに行くべきだと言ってくれた。どうして――って、考える必要もないわね。
「はいはーあべしっ!?」
「ミカは黙ってろなさい」
元気よく、当たり前のように出てこようとした植松さんだったけれど、すぐさま明石さんに鉄拳制裁を喰らって、地面に潰されたカエルのように倒れた。相変わらず、凄い音させながら殴るのね……明石さん。
「あ、あの……今スゴイ音したんですけど!?」
と、丸山さんが顔を蒼くして、植松さんに駆け寄って、他のスタッフさんと一緒に介護をしていたけれど、明石さんは「いつもの事だからほっといていいです」と、言ってから、私達Roseliaに視線を向けて
「吹奏楽部もRoseliaがアンコールする事に、異議はない。逆にRoseliaだからこそやってほしいって意見も出てる。……それだけ、Roseliaの音に“想い”が込められていたって事。胸を張って、私達全員の代表として演奏してきて」
「そう……わかったわ。まりなさん。そういう訳だから、一曲だけRoseliaが演奏するわ」
と、話しには入ってこなかったけれど、ずっと話し合いの様子を見守ってくれていたまりなさんに、私はそう伝える。まりなさんは、満面の笑みを浮かべて
「オッケー!セットはそのままにしてあるから、五分後に演奏できるように他のスタッフに指示出すね!あ、演奏曲はどうするのかな?」
そうだ。一曲だけのアンコール……。何を演奏するかを話し合わないと。私としては、Roseliaとして初めての楽曲である
「あこ、ブラシャがいいです!」
「だねぇ。今回のライブで演奏してないし、アタシ達の大切な楽曲だし、良いと思うよ」
「ですね……わたしも……BLACK SHOUTが……いいです。大切な……楽曲の一つ……ですから……」
「ええ。私も賛成です」
あこの言葉に私以外の全員が賛同する。考える事は、皆一緒ね。小さく笑ってから、真剣な表情を全員に向け
「疲れていると思うけれど、アンコールだからって手を抜かないわ。全力で行くわよ」
私の言葉に、力強く全員が頷いて見せる。Roseliaだけでもう一度円陣を組み、いつもの声出しをしてステージへと向かう。華那、見ていなさい。貴女の集めたメンバーで……私達は必ず、約束の場所へ……頂点へ駆けあがって見せるわ――
「お疲れ様。友希那ちゃん」
ライブが終わって、観客がいなくなった会場。その観客席に一人でいたら、まりなさんがペットボトル片手に声をかけてくれた。いえ、まりなさんの方こそ、運営お疲れ様。
「ありがとう。友希那ちゃん達Roseliaは勿論だけど、参加してくれたバンド、吹奏楽部の皆の演奏、とっても良かったよ。華那ちゃんにきちんと、想いは届いたはずだよ」
「ええ……そうであって欲しいわ」
観客のいない会場。私とまりなさんは、さっきまで熱い演奏が行われていたステージを見ながら話す。まりなさんが気になった様子で「あれ?今日の反省会は?」と、聞いてきた。そうよね。いつもなら、ライブが終わればすぐに反省会をするのがRoseliaだ。でも今日は――
「私が我儘を言って、少し余韻を味わおうと思って……」
「――そっか。そういうのも、時として大切だよ。友希那ちゃん」
「ええ……」
にこにこと擬音が付きそうな笑みを浮かべるまりなさん。その言葉に、私は短くそう答えて、今も片付けが続いているステージを見ていた。しばらく沈黙が私とまりなさんの間に流れる。ただ、その沈黙は嫌なものではなく、ただ、お互いに何か思う事があって黙っていた。
「そういえば……華那ちゃんが保護して、CiRCLEで一時保護の形をとってるクロちゃんなんだけどね」
「にゃ……クロがどうかしたのかしら?」
唐突に口を開いたまりなさん。その言葉に危うく、にゃんちゃんと言いかけてしまったけれど、気付かれていない……わよね?まりなさんはステージを見ながら
「CiRCLEで飼うって事になったんだ。ただし、クロの住まいはラウンジ限定だけどね」
「そう……。CiRCLEなら安心ね。華那もホッとしているわね」
いざとなったら私が飼うと言おうかと思ったけれど、CiRCLEなら安心してクロも寝たり遊んだりする事ができるわね。でも、アレルギー持ちの子も出入りする可能性があるのに、よく決断できたわね。それをまりなさんに聞くと
「オーナーが『華那ちゃんが保護した猫なんだ。私達の手で育てていこう』って、泣きながら言い出しちゃって……。アレルギーの子対策として、ラウンジ限定にしたの。お休みの時や夜は、私かオーナーの家に連れていく、今の形を取る予定だよ」
そう。そんな事があったのね。クロも幸せ者ね。今度、チュールを持って行ってあげようかしらね。そんな話詩をした後。私とまりなさんは今日のライブについて話し合ったのだった。
今回のライブで、確かに一つの区切りはついたわ。でも……約束は果たされていないわ。FWF本戦に出場して、自分達――Roseliaの音楽を認めてもらう――という約束が――
Roselia
1.LOUDER
2.Determination Symphony
3.TINY DROPS(from B'z)
4.軌跡
5.深愛(from Nana Mizuki)
6.Neo-Aspect
7.PASSIONATE ANTHEM
アンコール
1.BLACK SHOUT
最終回じゃないんじゃ。
まだもうちょっと続くんじゃ。
ライブシーンでバンドリ外の楽曲を
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タイトルだけにすべき
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歌詞もやっちまえ
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除外すべき
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猫猫ばっか言いやがって、犬も可愛いだろ!