読者の皆さん「いや、安静にしろよ!?」
シリアスさん「最高で39℃あったらしいよ?」
読者の皆さん「作者、寝ろぉ!?」
作者「あの……文章おかしかったらごめんなさい」
ついにやってきたFWF本選。私達Roseliaは、メイン会場と比べれば小さい会場で演奏する事になった。それでも、今まで演奏してきた会場に比べれば、どこよりも大きい会場だ。
今日のFWFには、Poppin’PartyとAfterglowが見に来てくれている。紗夜は日菜を呼んだと言っていたわね。
「ついに来たわね……」
「だねぇ……緊張すると思っていたけど……思い描いていた場所に立つ前って、落ち着いているもんなんだ」
「今井さんもですか」
私の呟くような声に、リサと紗夜がそう答えた。さすがに、今日という日を迎えられた事。私達の悲願であり、夢への一歩目を踏み出す場所とも言えるこのFWF。前から目指していたステージに立つというのに、リサが言ったように、私も緊張という緊張はしていなかった。これからなのだと、期待感。そんな感情の方が強い。
小さく息を吐いて、まだ観客の入っていない会場をステージ脇から見る。ここに、大勢の観客が入るのね。……大丈夫よ。
リハーサルを終えてから控室に戻る私達。その通路の最中に考える。今日のステージはお父さんが立ちたかったステージでもあり、華那が辿り着けなくなってしまったステージ……。いえ、違うわ。ここは
それは、過去との決別――いえ、過去に囚われずに進まなくちゃいけない。今日ここで、私達は新たなる一歩を踏み出す。そう……だからこそ――
「皆聞いて頂戴」
「どうしたの友希那?」
「友希那さん?」
「?」
「なにか……ありましたか……?」
私の真剣な表情にそれぞれが、それぞれの反応を示してくれた。演奏前だけれども、皆、冷静でいるみたいで安心したわ。私は皆の顔を見ながら口を開いた。
「今日、ここで、私達は新たなる一歩を踏み出す事になるわ。これから先の道は、私たち自身で道を切り拓いて歩いて行かないといけないわ。その道は……普通じゃ考えられないほど困難な道になるわ。それは確かなはずよ」
私の言葉に、全員が真剣に聞いてくれている。本当、メンバーに恵まれたわ。だから華那。これから先の事は、私達で歩いていくわ。貴女が作ってくれたRoseliaという土台を大切にしつつ……。
「……私達は『未来』へ歩いていく。そして
「えっ!?ゆ、友希那さん!でも、『LOUDER』は友希那さんにとって――ううん。あこ達にとって大切な楽曲ですよ!?」
私の言葉に驚きを隠せないあこ。紗夜もリサも驚いた表情を浮かべていた。そうよね。急にこんなことを言い出せばだれだって驚くわ。でも、確かにあこの言う通りね。だからこそ、このライブで最後にするのよ。あこ。
「……大切だから……これから先を歩むのに……『これまで』を歌っている……『LOUDER』を歌い続ける……必要はないって事ですか?」
燐子が私の真意を汲み取ってくれた。ただ、必要ないって言い方は間違いよ。
「きっと……これから先、何年か十数年かは分からないけれど、『LOUDER』を歌いたいと思える時がやってくると思うわ。ただ、それまでに私達が……いえ、私が歩んできた『これまで』に真摯に向き合って、『今なら、あの時よりもっと想いを込めて歌えるわ』となれば……『LOUDER』を歌うわ」
「……友希那。ひとついいかな?」
私の説明に黙り込む皆だったけれど、リサだけは真剣な表情で私にそう聞いてきたので、いいわよと応えると
「華那の事……忘れるって訳じゃないんだよね?」
リサの言葉に、あこと燐子が息を吞むのがはっきりと見えた。リサの言いたい事は分かるわ。『これまで』という言葉の中に、華那の事が含まれていると思われても仕方ないわ。でもね……
「リサ……確かに『LOUDER』をRoseliaで演奏するかしないか悩んでいた時。父さんと華那が私の背中を押してくれたわ。今日をもって『LOUDER』を演奏しない事は、燐子が言った通り『これまで』を歌っているから。だからと言って、華那の事を忘れるなんて事はないわ。華那だってRoseliaの一員なのよ?今までも、これからも……。それを忘れては嫌よ、リサ」
「あ……そ、そうだよね!よかったぁ……。急に『LOUDER』今日で演奏しないって言いだすもんだから、華那の事も忘れて前に進むんじゃないかって思っちゃったよ」
私の言葉に、安堵の息を吐くリサ。まったく。華那は私達Roseliaのメンバーなのよ?ギターだってステージに置いているのだから、忘れるわけないじゃない。大切な妹の事を忘れる姉がどこにいるのよ。ねえ、紗夜?
「そこで私に振りますか?友希那さん?……まあ、妹の日菜の事は
「ふふ……それでこそ紗夜よ。私とは違う選択をしただけあるわ」
「違う……選択ですか?」
「?……どーゆーことですか?」
小さく笑いながら言った私の言葉に、首を傾げる燐子とあこ。まあ、分からなくても仕方ないわね。これは、私と紗夜にしか分からない事なのだから。
簡単に言えば、紗夜は「日菜を拒絶した過去と共に未来へ歩く」で、私は「過去の事は置いて、前を向いて歩く」よ。それが私と紗夜が違う選択をしたという話に繋がるのよ。
「ええ……友希那さんの言う通りです。よく分かりましたね」
驚きを隠せない紗夜に、私は周りが見えるようになった事を伝える。これも、貴女達のお陰よとも伝えると、なぜか全員が驚いた表情を浮かべて固まってしまった。なんでよ。
「い、いえ……その……友希那さんがそんな事を口に出すとは思ってもいなかったので……」
「うんうん。どうしたの友希那。あっ、なにか悪いものでも食べた!?」
「リサ……それはちょっとどういう意味かしら?」
私の両肩に手を置いて、真面目に心配している様子のリサに、私は呆れた口調でそう言うのだった。そんないつもと変わらない雰囲気だったけれど、刻一刻と本番の時間は迫って来ていた――
「Roseliaの皆さん。準備お願いします!」
「はい……行くわよ皆」
「はい!」
「うん、行こう友希那」
ついに私達の番がやってきた。ここにきて緊張感が私の中で生まれてきたけれども、それを表に出すことはしない。これはきっといい意味での緊張感だから。ステージ脇へと移動して、前のバンドの演奏が聴こえたけれども、今は自分達に集中ね。
「ここから、私達の頂点を目指す旅が始まるわ……。覚悟はいい?」
円陣を作り、全員の右手を重ね合った後。私はそう全員に問う。今更だけれども、再確認ね。
「本当今更だなぁ、友希那は。うん。覚悟はできてるよ」
「ええ、私もできていますよ」
「あこもです!」
「私も……できて……ます……!」
全員がお互いを見て頷き合う。大丈夫ね。そう呟いてから、いつもの掛け声をやってからステージへと向かう。暗転しているステージ。全員が自分の立ち位置で準備を始める。私はマイクスタンドの前に立ち、静かにその時を待つ。ただ、思っていた以上に緊張している自分がいた。
きちんと歌えるだろうか?想い……歌が楽しいという感情を乗せて歌えるだろうか?この歌声、演奏が華那に届くだろうか?色んな想いが緊張となって私の中で冷静になろうとする感情とせめぎ合っていた。情けないわね……ここまで来たって言うのに。
そんな時だった。ふと、背中に誰かが私に寄りかかっているような感覚に襲われたのは。振り返ろうと私がしたら
『ダメ。姉さん、演奏が始まるまで前を向いていて。もうすぐ始まるんだから、私の方を向いちゃダメだよ』
「か……な?」
そう。華那の声が私に聞こえた。振り返りたいけれど、華那にそう言われてしまえば、振り向きたくても振り向けない。前を向いたまま華那にどうしてと問う。
『アハハ……ちょっと我が儘言って、この瞬間。このライブだけ来させてもらったんだ。向こうで仲良くなった人達も背中押してくれて……ね。姉さん達と最初で、最後の「Roselia」として演奏しに来たんだ』
迷惑だった?と、逆に聞いてくる華那に、そんな事ないわと応える。だって……もう二度と華那と一緒に演奏できる日が来る事は無いと思っていたのよ?こんな奇跡……信じられないかもしれないし、もしかしたら……私の願望が聞かせている幻聴かもしれないじゃない。
『むう……幻なんかじゃないよ。演奏始まったら、姉さんの隣でギター弾きまくってあげるんだから!きちんとみていてよね!姉さん……歌えそう?』
頬を膨らませて抗議している姿が思い浮かび、笑いかけたけれど、華那の真剣な声に私は小さく頷いた。もう大丈夫よ。妹が心配してきてくれたのだから、情けない姿は見せられないわ。それに……
『それに?』
華那と演奏できるのが嬉しいわ。華那の方こそ、私達についてこられるかしら?
『!……任せて。姉さん達に負けない演奏して見せるから!』
顔を見る事はできないけれど、きっと満面の笑みを浮かべているのは容易に想像できた。華那……本当に貴女って妹は……。私の事を心配して来てくれた。それだけでも嬉しいのに、一緒に演奏できるだなんて夢のようよ。だから……行くわよ。
『うん!最高の演奏をしよっ!姉さん!』
私は一度下を向いて笑みを浮かべる。もう大丈夫。先程まであった不安や緊張感は全部どこかに消えたわ。想いを込めて……私達の音を……純粋な気持ちで、華那と一緒に最高の演奏をしてみせるわ――
ついにRoseliaのFWFでの演奏が始まった。最初は「LOUDER」から。楽曲的に、いきなり飛ばしていくんだなって思った矢先だった。私は友希那先輩の後ろに、
「沙綾?どうした?」
隣にいた有咲が私の異変に気付いたようで、声をかけてきた。私は涙を流しながら、友希那先輩達と同じ衣装を身にまとい、ギターを弾いている姿が見えるステージを指さしつつ
「華那……華那がステージに……立ってる……!」
「は……?そんな訳――」
「あっ!本当だ!華那だ!!」
「華那ちゃん!?」
「あ、本当だ。華那だ」
「……マジかよ……」
私の言葉に、皆がステージで友希那先輩の隣に立って、満面の笑みで演奏している華那の姿が見えていた。来たんだ……六人目のRoseliaとして。最初で最後のステージに……。
一緒に来ていた蘭達も、華那の姿が見えているようで、大きく騒ぐような真似はしていなかったけれど、驚いている様子だった。
ただ、蘭が「か、華那の幽霊!?」と怖がっていた声が聞こえたのは、本人の名誉のためにも黙っていよう。本人に言ったら、顔を赤くして否定しそうだしね。
演奏が始まると同時に、華那は友希那先輩の隣に立って、あのレスポールの青いギターでRoseliaと一緒に演奏をしていた。
「華那……思いっきり……楽しんで……」
涙を流しながら、本当に楽しそうに演奏する華那の姿を見て、私はそう呟いたのだった――
それ――違和感――に気付いたの、演奏直前でした。中央に位置する友希那さんの背中が見えていたのですが、気づいた時には、友希那さんと背中合わせで立つ、あの青いギターを肩にかけた華那さんの姿があったのですから――
慌てて、ドラムの前に立てているギターを確認する。黒と青の二本のギターは静かに鎮座していたから、あれは――その、ありえない光景に声が出そうになったのですが、華那さんが自分の右手の人差し指を口に当てて、静かにと私達に合図をしてきたので、名前を呼ぶのをぐっと堪えました。きっと――いいえ。間違いなく私達と一緒に演奏する為に来たのですね。なら……きちんとついてきてくださいね。練習してない楽曲だなんて言い訳は聞きたくありませんから。
私はそんな想いを込めて華那さんを見る。華那さんは最初驚いたような表情をしていましたけれど、満面の笑みを浮かべていました。まったく……貴女って子は……。普通なら、信じられない光景ですし、他の人に話したら、きっと私がおかしくなったのだろうと思われてしまうかもしれませんね。ですが……そうなってもいいです。だって、
私達の演奏が始まった。華那は私の隣に立って、ギターを弾いている。その音は、私達の演奏に綺麗に合わさっているように思えた。私自身も歌っていて楽しいと思えていた。いつ以来かしらね……。ここまで音楽を……歌を歌うのが好きと思えているのは。
『姉さん楽しんでる?』
LOUDERを終えた後、華那がそう聞いてきた。ええ。もちろんよ。華那は?
『私もだよ!さ、どんどん行こう、姉さん!』
子供がはしゃぐような感じで華那は次の楽曲へと意識を向けていた。本当……こんな瞬間が訪れるだなんて思ってもいなかった。これが幻だろうと奇跡だろうと、なんだっていい。感謝しかない。本当……ありがとう。華那と演奏できる時間を与えてくれて――
演奏中、華那は紗夜と背中合わせで演奏し、リサと向かい合って笑顔を浮かべて演奏して、燐子とあこに声をかけながら演奏していた。あこも燐子も最初は驚いた様子だったけれども、華那と演奏できるのが楽しいのか。満面の笑みを浮かべて演奏をしていた。
そんな楽しいと思える瞬間もあっという間に過ぎて、最後の三曲目。この曲は今回のFWFのために作った楽曲。華那……演奏できるの?
『だいじょぶ!しっかり練習してきたから、皆の足を引っ張らないように演奏するよ!』
ふふっ。何を言っているの。足を引っ張るような演奏してないじゃない。逆に、私達の音楽を更に上の段階に引き上げてくれているって自覚しなさい。まったく。相変わらず自分の評価が低いのはどうしようもないのかしらね?
『あ、アハハ……善処します……』
あの頃と変わらないやり取りに、小さく笑う私達。さあ行きわよ。華那。
『うん!』
先程と変わらない笑みを浮かべて、ギターを構える華那。ずっと、ずっとこの瞬間が続けばいいのにと、叶う事の無い事を思ってしまったのは、仕方のない事よね。
「導き続けてくれたもの達へ贈ろう
感謝と そして想いを…
私達が在る為の未来まで
振り返らず、迷わず、信じて
Shout to the top!」
華那。気付いているわよね?私達、Roseliaを導き続けてくれた人達の中に、華那だって入っていて、私達の未来……頂点へたどり着くその瞬間までずっと一緒よ。だからずっと貴女に届くように、叫ぶように、歌い続けるわ。
「強く、熱く、届けよ 果てまで
Louder!!!!! Louder!!!!!」
シャウトするように歌い終え、静寂が会場を支配したと思った直後、盛大な歓声と拍手が私達を包み込んだ。すごい。今までも色々な会場で拍手や歓声に包まれたことはあったけれども、見た事もない景色……。
本当、楽しい瞬間で、歌っている時に今までにないぐらい、純粋な気持ちで歌えた。今なら歌が好きだと心から言える。それに、バンドとしても、今までで最高の演奏ができたわ。本当に皆には感謝しかないわ。……ねえ、華那。
『なに、姉さん?』
「これからも……私は音楽を楽しんでいいのかしら?」
小さな声で問う。華那の歌声を奪って、それで何もできずに華那を見送る事しかできなかった私が、楽しいって感情で歌い続けてもいいのか不安だった。
『……もう、姉さん。前を見て』
「?」
華那に言われて、会場の方を見る。いまだ私達の演奏に対する会場の歓声と拍手は鳴りやんでいなかった。これは……
『姉さんが、「楽しい」って感情で歌った結果だよ。だからね……いいんだよ。私の事なんて気にしちゃダメだって。楽しい事は沢山していいんだから!』
「……ええ。そうね……ありがとう華那」
うっすらと涙を浮かべながら、笑み作って華那に伝える。その後、皆で挨拶をしてステージ脇へと移動して、皆と今の演奏が楽しかった事、やり切った事、歌う事がこれほど単純で、簡単だった事に気付けた事に感謝を伝えた。
長かった。ここまで来るのに本当に長かった。でも、リサが言ったようにこれからがもっと長いわ。だからこれから、もっといい演奏ができるようにやってきましょう。
その後、お父さんがやってきて、前より進化したいい演奏だったと褒めてくれた。それに私はこう返した。
「私は音楽が好き。世界中の誰よりも」
って。それを聞いたお父さんが、安心したかのような笑みを浮かべていたけれど、すぐにいつもの表情に戻って、その場から立ち去った。ただ小さく「華那も来てくれていたんだな」って、呟いていたのを私は聞き逃さなかった。
さて、そろそろ戻りましょう。皆、来てくれている子達と話したいでしょう?
「そうだね!……あれ?華那は?」
と、急にリサが、華那がいない事に気付いて周囲を見渡す。え、今さっきまで私の隣に――いないですって……?
「今さっきまでいたはずですよね?」
「今さっきまで……話し……聞いてて……笑みを浮かべて……いましたよ……!?」
「華那さん……まさか!?」
まさかあの子……最後の挨拶もせずに行くつもり!?焦りが出る。会場は広いし、華那がどこに行ったかだなんて――
「探すわよ!」
「ちょっと、友希那!?」
急に走り出した私に、慌てた様子のリサが何か言っていたようだけれど、今はその言葉で止まっている場合じゃない。せめて……せめて、最後の別れぐらいさせてくれたっていいじゃない!?
焦る私。でも、どうしてかしらね。華那が行きそうな場所って、
「……」
冷たい風が吹いて、一人、立ち止まる。私がやってきたのは会場に隣接しいる、ビルの屋上。誰もいないはずで、本来なら扉に鍵がかかっているはずなのに、開いていた。偶然?いえ……これは――
「華那……」
そこには落下防止のフェンスの上に腰をかけて、私と同じ衣装で座っている華那がいた。空を見上げていた華那だったけれど、私に気付くと、小さく笑みを浮かべ
『よく分かったね、姉さん……それに、皆も来てくれたんだ』
「え?」
華那の言葉に振り返れば、そこには私のように息を切らせた、Roseliaの皆に、Poppin’Party、Afterglowのメンバー、そして日菜の全員が揃っていた。
『もう……黙って帰る予定だったのに……』
「華那!!」
その中から、山吹さんが私の隣に立って華那を見上げる。華那は微笑んだまま
『ごめんね、沙綾。辛いお願いしちゃって』
「ううん……ううん!大丈夫だよ。華那の……我儘……慣れてるから……!」
泣きながらそう華那に伝える山吹さん。華那は一瞬だけ困ったような表情を浮かべたけれど、すぐに笑みを浮かべて、フェンスの上から鳥が飛ぶように降りてきて、泣いている山吹さんを抱きしめた。
『ごめん……本当ごめんね……まだ色々と一緒にしたかったんだけど……』
「ううん……それ以上言わないで華那……。お別れが……本当に辛くなっちゃうから……私達のお別れは……笑顔でいよう?ね?」
そう言って、山吹さんは華那と額を合わせて、涙を流しながらも笑みを浮かべていた。その姿を見て、華那も笑顔を浮かべて、山吹さんと手を繋いでいた。本当……この二人は私と華那の間にある、姉妹の絆とはまた違う絆があるわね。それも今日で――
『姉さん……ごめんね。約束果たせなくて』
山吹さんから離れて、今度は私に近寄る華那。ええ……大丈夫よ。そっちこそ、気にしすぎて、向こうで膝抱えているのはなしよ?
『う゛……わ、分かっているよ。姉さん』
「本当かしら……あ、あと、華那」
『?』
苦笑いを浮かべながら言う華那に、私は少し呆れたような口調になってしまった。それと、私が華那に伝えようとしている事があった。華那は覚えているかしらね……。
「私も、リサも……シロツメクサの約束は忘れていないわよ」
『!……もう……こんな時に言わないでよ……もう少し一緒に喋っていたくなるじゃない』
私の言葉に驚いた表情を浮かべた華那だったけれど、右手で目元を拭っていた。私だって一緒にいたいわよ。でも……もう時間なんでしょ?
『……うん。……やっぱり姉さんには敵わないなぁ……。さっきから「時間だ」って急かされているんだ。ただ、他の人達が何とか宥めてくれているから、もう少しだけあるかな?』
俯いて話す華那。なんとなくだけれど、あっちの光景がイメージできた。あっちでも愛されキャラね……本当に。
「華那!」
『Roseliaのみんな。ポピパのみんな……アフグロのみんな。日菜先輩。今までありがとうございました。追悼ライブのみんなの想い……届いていました。だから……これからは――』
「ああ、こっちも元気でやるから!華那も元気でな!蘭の事はあたし達に任せろ!」
「ちょ、巴!?アタシの事、なんだと思ってるの!?華那……そんな泣きそうな表情で言わないで。こっちが不安になる」
「おー……蘭のデレが出たー」
「華那さん……向こうでも楽しくギターを弾くんですよ……貴女ともう弾けないのは寂しいわ……」
「華那さん!!あこを……あこをRoseliaのドラマーとして選んでくれて……本当にありがとうございました!!」
それぞれが涙を流しながら、それでも笑顔で華那に思いの丈を伝えていた。本当……愛されていたのよ。華那。自信を持ちなさい。
『うん!……あと、姉さん……』
華那の姿がどんどん薄くなっていく。ああ、もう時間がないのね。それで何かしら。
『私……姉さんの事、
そう涙を流しながら、満面の笑み浮かべて華那は言って消えてしまった。……バカ。過去形だなんて卑怯よ。私だって……私だって……
「今だって、大好きよ……華那――」
地面に膝をついて涙を流す私を、リサが後ろから抱きしめてくれた。これが本当に、華那とは最後のお別れ。急にやってきて、すぐ居なくなるだなんて……本当、ズルいわよ、華那。
その後、しばらく落ち着くまで、私達は屋上で泣き続けたのだった。ただ幸運にも、屋上に侵入した事は他の誰に知られる事は無く、こうして私達のFWFは閉幕したのだった――
これで、本編は終わりです。
あとは、
しばらく、お待ちください。
ワクチン接種の副反応でぶっ倒れているので……
ライブシーンでバンドリ外の楽曲を
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タイトルだけにすべき
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歌詞もやっちまえ
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除外すべき
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猫猫ばっか言いやがって、犬も可愛いだろ!