夏休みはいつまでも   作:白い月

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妄想を出力する為に描き始めました。
その後の話が見たくて、自分なりの形を作るために。


プロローグ

あの夏、俺は冒険をした。どこに行くにもスーツケースを引いて行き、俺を引っ張って行った少女と一緒に海賊船を探した。そして最後に再開の約束をして別れたんだ。

 

…七つの海を越えて逢いに来る、だっけか。

あいつらしい言葉だな、と海の向こうに浮かぶ島を見て笑う。

 

"鳥白島"

数日あれば島全体隈なく歩けそうな大きさの島だ。去年、俺は亡くなった祖母の家に遺品整理の手伝いをしに行った。

結局、鏡子さん…母の妹だという、見た目がかなり若いあの人は倉庫の手伝いを全然させようとしなかった事を思い出す。

 

でも、そのおかげで島のみんな…うみちゃん、良一、天善、しろは、紬、蒼…そして鴎と仲良くなれた。

忘れられない夏になった、あの夏に瞼越しでも目を焼いた日差しの眩しさだけは…俺は忘れないだろうと思う。鴎と冒険した日々、そして海賊船を作った日々。

 

去年の夏に俺は鴎の夢を継ぎ、海賊船を完成させた。

ひげ猫団の旗を掲げて、例の洞窟の先の浜に。

あの絵本を読んだ人達の為にも、あの船は残し…あの洞窟は観光スポットになるだろうとのことだ。鴎のお母さんは、俺たちが完成させた後に島の人達と話し合い、絵本のモデルとなった場所として観光地化を進めるらしい。

 

船があの島に到着するまでの間、思い出が一気に蘇ってくる。

 

かつて、さしずめ俺は…と自分を比喩表現した事も思い出した。

いや、それは思い出さくていい。堕天使だとか、おばあちゃんの影響で酷いことになったのだ。

 

それはさておき、こうやって俺が再び島に来た理由は、みんなに顔を合わせるのもある…が、一番の理由は鴎に会えるかもと思ったからだ。

鴎が既に亡くなっていることはわかっている。でもあの夏の日々、たしかにそこに彼女はいたんだ。

最後に再開の約束をしたからこそ、また会えると信じて俺は島に向かうことを決めた。

 

 

『まもなく、鳥白島漁港に到着いたします。しばらく揺れますので、その場でお待ちください』

 

島に着いたフェリーから、観光目当ての人と住民の人が降りていく。俺もその流れに乗って港に降りた。

 

前回の失敗を糧に、バスに乗って加藤家に向かうところ…

「羽依里!」

裸の男が話しかけてきた。

 

「久しぶり、良一。というか、のみきに撃たれるぞ?」

 

「へっ、アイツは遅れてくるそうだからな!しばらくはパージしてても問題は…へぶっ」

水鉄砲とは比較にならない威力の水弾が良一の顔を射抜いた。

 

「やはり脱いでいたか。海水浴場以外での露出は控えろと何度行ったらわかるんだ…」

 

「待てのみき!お前〜遅れると言ってたじゃねーか!嘘だったのかよ?」

 

「嘘じゃない…が、予想より早く終わったのは事実だ。それよりも鷹原、久しぶりだな。元気にしていたか?」

 

「ああ、元気にしていた。この一年は風邪もひかなかったくらいだ。そっちは…元気にしてるようだな」

 

「この馬鹿は特にな。それはそうと、出迎えとは別に今回も歓迎会を夜にする予定だ。19時過ぎに食堂に来て欲しい。蒼やしろは、あと天善もいるぞ」

 

「しろはか、正直言って意外だな」

 

「ああ私も驚いた。何か思うところもあったのかもしれない」

 

と、のみきが言ったメンバーの中に紬が居ない事に気づく。

「のみき、紬は来ないのか?」

 

「紬は海外に帰ったらしく、もう島には居ない。鷹原によろしく伝えるように言われている。」

 

そうだった。アイツは確か、夏が終わると帰らなきゃいけないって言っていたな。…少し寂しい気もする。

 

「わかった。とりあえず家に行って荷物を置くのと、鏡子さんに挨拶しに行ってくるよ」

 

「私達は用事があったり、歓迎会の準備があるから付いていけないな。ここで別れて、また後でだな。…ところで良一、いい加減死んだフリをやめて起きろ。

"ジャキ"

ハイドログラディエーター改を良一に向けて、のみきは狩人の目になる。

 

「おぉ、ハイドログラディエーター改も懐かしいな」

 

俺の言葉を聞いたのみきは此方を向いてニヤリと笑う。

「ふっ…それは去年の話だな。これはハイドログラディエーター改を更に改造したハイドログラディエーター改二だ!」

 

前聞いた時には、改造される度に名前が結構変わってた気がするんだが…今回はあまり変わってないな。

 

「あまいな。鷹原、今…あまり変わってないと思っただろう。このハイドログラディエーター改二はこれまで以上の出力と耐久性、そしてサイズと見た目を変えずにスペックを上げることが出来た傑作なんだ」

 

「まだ出力を上げるのか…」

前に撃たれた時の威力を思い出す。子供達にシャツを取られて裸だった為、水鉄砲にしては威力が高かった。それに確か射程もおかしかった気がする。

 

「当然だ。人は日々努力し、進歩するものだからな。」

 

「その努力…必要か?主に俺の被害も大きくなってる気がするんだが!」

 

「なら服を脱がなければ良い話だろうに」

 

そんな良一とのみきの二人の会話を見ていると、あの夏休みに戻ってきた気がする。まだ一年しか経っていないから当然のことだが。

去年の夏と変わらない暑さ、変わらない景色、変わらない蝉の声。何も変わっていないようで、少し変わっている。そんなものなのかもしれないな。

 

そうやって、考えに耽っていると二人の会話は落ち着いたようで、こっちを向いた。

 

 

「では鷹原、私はそろそろ行く。また後でな」

「俺もそろそろ行かねーとな。羽依里!今年もまた遊ぼうぜ!」

 

 

二人はそう言うと、役場の方へやや速く歩いていった。その様子を見るに結構忙しいみたいだな。俺の歓迎会以外にも何かあるのかもしれない。夜に聞いてみるとするか。

 

 

 

 

 

船を降りた港からバスに乗って、この島の反対側の街まで移動する。この島は港が2つあり、片方は島を移動する船が主に泊まる港。もう片方は、漁師の人たちが使っている港だ。港を中心に建物が建っていて、港の間にはバスが通っている。

 

俺は去年の夏に来た時はそれを知らず、暑い中を歩いて行くことになった。次の日以降はバイクでの移動が主だったので気にしてなかったが、この暑さの中で坂道をずっと歩くのは…正直辛い。去年バイクは加藤家に置かせて貰うことにしたので、家に着くまではバスにすることにした。

 

 

都市のバスとは少し違った雰囲気の中を揺られ、20分もしないうちに最寄りのバス停に着く。去年は一度もバスに乗る事はなかったので、新鮮な感じがした。

 

"ガラガラ〜"

加藤家の戸を開き、中に入る。鏡子さんからはチャイムを鳴らさなくていいと言われていた為、気にせず進む。

俺は懐かしい部屋を見ながら奥の倉庫の方を見に行くと、鏡子さんが何かの荷物を運び出しているところだった。

 

「鏡子さん、こんにちは」

声を掛けると此方に気づいたようで、笑顔を見せる。

 

「あら、羽依里くん。久しぶり!思っていたよりも早かったのね」

 

「1つ早く船に乗れたので」

「ところで、何を運んでるんですか?手伝いますよ」

 

「ううん、気にしないで。今のところ私一人でも問題は無いから」

「おばあちゃんの物が片付いてスペースが空いたから、そこにしばらく使わない私物を仕舞おうと思ってるの」

「羽依里くんは、気にしないで遊んできていいから」

 

 

 

鏡子さんは作業を続けるようだった。

俺は荷物を置いて、外に出ることにする。今は14時過ぎ、夜には時間がある。何処かで時間を潰して来なければ。

 

玄関を出てすぐの所に置いてあるバイク、去年世話になった相棒に乗って宛てなく島を走る。

去年と変わらず、蝉の声が響き日の光が瞼を焼く。どこか懐かしく感じる風景もそのままであった。

 

 

 

 

 

 

「あら久しぶり。元気にしてるみたいね?」

 

行き先が思いつかず、取り敢えずいつもの駄菓子屋に行くことにした。蒼が眠そうにバイトをしており、今は客もいないようだ。

 

「おう、元気にやってる。そっちはどうだ?」

 

「こっちも元気にやってるわ。変わった事といえば、私のお姉ちゃん、藍が目を覚ました事くらいよ」

 

「蒼には姉が居たのか。目を覚ました…というと、ずっと病院で寝ていたのか」

 

「そ。藍は昔倒れてから意識が戻らなかったけど、去年に回復してね。今はリハビリ中よ」

 

そうか、知らなかったな。まぁ、知り合ったばかりのヤツに寝たきりの姉の事なんて話せないよな。

 

「で、なんでアンタはここに来たの?買い物?」

 

「暇で」

 

「いや、ここは溜まり場じゃないんだけど」

「そういえば、歓迎会は夜だったからそれまで暇ってわけね」

 

「そうそう、それで取り敢えずここに来たわけだ。せっかくだし、かき氷をくれ」

 

「それなら100万円よ」

 

ホイ100円

 

「99万9900円足りないわよ?」

 

「それ、よく飽きないな」

 

「まぁね、人によって返しが違うし、定番のネタだし。で、何を掛ける?」

 

「ブルーハワイ」

 

 

ガリガリガリガリ…

蒼がかき氷機を回す。その様子を見るに、以前とさほど変わっていないようだ。

そういえば、ここで初めて食べた時はうっかりぶっかけてしまって、その後掛け合いになってしまったんだっけ。

 

と、思い出していると終わったようで

「ほら、ブルーハワイいっちょあがり」

 

「ああ、ありがとう…」

ふと、ぶっかけてみようかという悪戯心が「ねぇ、何か企んでないかしら?」

 

じっとりとした目で此方を見ている。

もしや、顔に出ていたのか。

 

「い、いやナニモタクランデナイデス」

 

「何故カタコトなのよ…まぁ、いいわ。前みたいにぶっかけたら承知しないから」

 

「りょ、了解」

 

 

 

・・・・

かき氷を食べ終えて、駄菓子屋を出発した。正直、少し気まずかったのもある。

しばらくバイクで走っていると、海岸線沿いの道に出た。

海風が身体を撫でていく。

 

ふと、柵が抜けた部分を見かけた。

思わずバイクを止めて、その抜けたところを見てしまう。

 

そこは、鴎と初めて会った時に海に落ちた場所だ。

あの大きな鞄で止まらなくなった鴎が落ちて、何も考えずに海に飛び込んだ。

 

…泳げない事を忘れて逆に助けられてしまったが。

今でも水に苦手意識は残っていて、未だに泳げないのは治っていない。

 

『羽依里』

あの日、鴎に名前を呼ばれた事は鮮明に思い出せる。

忘れる事は出来ない。

ここから俺「羽依里」の夏休みが始まったんだ。

鴎と謎を解いて鍵を探し、学校に隠した宝箱「羽依里?」を開いて、宝の地図を見つけた。そこから海賊船を探しに行き「ねぇ羽依里聞いてる?」………この記憶しつこく思い出した過ぎじゃないか?

 

というより、やけに鮮明な声。まるで記憶じゃなく生で聞いてるような「おーい、鷹原羽依里さーん?」

 

声の方へ顔を向ける。

夜空のような黒い髪が腰まで伸びている。元気が伝わってくる黄色の瞳。深い藍色のケープとスカート。そして、むごっほ…

忘れるわけがない。彼女は久島鴎。

 

いなくなったはずなのだ。はずなのに…

 

「やっ、久しぶり!羽依里」

 

彼女はそこにいた。




勢いで書いた文章なので、後々修正していきます。
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