この小説は基本的にアダム視点で進みますが、今日はレン視点から始まります。
それにしても戦闘シーンが書けないのですが、どうしましょう(汗)
グリムが襲撃してくるかもしれない、危ないからと父さまに言われて、ぼくと母さまは多くの人と一緒に避難することになった。
バスに乗り込みながら、ぼくは父さまに言われた言葉を思い出す。
(動かないことは時に最悪の行動になる。だからこれからは動いてお前がみんなを助けるんだ!)
その時のことを思い出すと、ぼくはさっき助けられなかった女の子のことが気になった。彼女は避難できたのだろうか?
バスの中を見渡して彼女を探すが見つからない。
彼女はもう片方のバスに乗ってるのかもと一瞬考えたが、ひょっとしたら彼女は村に取り残されたのでは?と思い始める。
彼女をいじめてた男の子たちは、彼女のことを捨てられたって言ってた。
もし彼女には父さまや母さまがいなかったら?
彼女を守ってくれる人はどこにもいない!
「ライ!どうしたの!?」
勇気を出せ、ライ・レン!ぼくが彼女を助けないと彼女は死んでしまうかもしれない!
バスを飛び出す。母さまや周りの人が戻ってくるように叫ぶが、今戻るわけにはいかない。
ぼくは彼女を一度見捨ててしまった。これ以上見捨てることはできない!
「ライ!止まれ!」
無我夢中で走っていたぼくは、誰かに肩を押さえられて強制的に止められる。
思わず振り向くと、そこには赤い髪に片目に眼帯をしたぼくより少し大きい男の子がいた。
頭にはツノらしきものもあり見た目がとても怖かった。
だからといって立ち止まるわけにはいかない、ぼくは勇気を振り絞って彼に離すように言おうとするが、その前に男の子は話しかけてきた。
「女の子を助けたいんだろ?俺も協力する」
☆☆☆
レンを背に乗せ、彼にノーラをどこで見かけたか教えてもらいながら村を走る。
「あ、ありがとうございます」
「礼は要らない。それよりもキミの力も借りることになるかもしれない」
僕の言葉にレンは動揺とそれ以上の期待を返す。
「ぼくの力...?ぼくになにかできることがあるんですか!?」
...そうか、確かレンは襲撃の途中でセンブランスに目覚めたんだったか。
それはまずいかもしれない、てっきり既に使えるものだと思い込んでた。今の状態でグリムに捕捉されたらノーラの捜索どころの話ではない。
僕は彼にセンブランスに目覚めるように促す。
「そうだ。だが今のキミは力を持っていない、今身につけるんだ!」
「ど、どうやって?」
確か原作で彼はグリムによって崩壊するクロユリを見て悲しみ、そこでセンブランス発動まで至った筈。だったら今すぐ使えるようになっても不思議じゃない。
僕は彼のセンブランスを思い出しながら、それを発動できるように指示する。
「気持ちを落ち着けるんだ。深呼吸をして、余計な感情を捨てればできるばず...!」
「わ...わかった!」
そう言って彼は気持ちを落ち着けようとするが、センブランスは発動しない。
このままレンのセンブランスが無い状態で足を動かせばグリムに見つかる可能性は飛躍的に上がり、だからといって足を止めればノーラが間に合わない可能性が上がる。
村を覆う喧騒とグリムの咆哮は徐々に大きくなっており、それらがこの状況も併せより焦燥を掻き立てるが、レンを不安にさせないよう自ら心を落ち着かせる。
「ダメだ!上手くいかない!」
「大丈夫だ、キミならきっとできる。だからもう一回集中して、心を冷静に保つんだ」
このままもし、レンがセンブランスを身につけられなかったら?センブランスはあのシンダーだってすぐには身につけられない技術だ。原作では発動できたからと言って今できるとは限らないし、なによりこの状況は既に原作とは大きく乖離している。
だとしても今更止まることはできない。とにかく冷静になればセンブランスが無くてもグリムに発見される可能性は下がる。
もしこの状況でグリムに相対すれば..今更だが覚悟はしとかないといけないな。
「この辺です!確かこの辺りにいたはず!」
「じゃあこの辺りを探すぞ。彼女は恐らく身を隠しているはずだ」
建物の下や裏手の方などを重点的に探すが早々には見つからない。確か原作では水路の方にいなかったかとそっちの方に足を向ける。しかしその時上から羽ばたく音が聞こえた。
「グリムが来たっ!隠れろ!」
「う、うん」
レンを建物の下に隠し、自らも隠れる。
「いいか、グリムは俺達の不安や怒りを感知して襲って来る。だから何があっても冷静でいるんだ!自分の心をコントロールしろ」
そう言ってレンに教えながら、ネヴァーモアが過ぎ去るのを待つ。いつ襲われてもいいように構えていたが、幸いヤツはこちらへは見向きもせず水路の方へ向かう。
どうにかレンは間に合ったかと思って、彼の方を見るが特にセンブランスを発動したような雰囲気は無い。それどころか彼は動揺した様子で、グリムの向かった方を食い入る様に見つめている。
グリムはこちらなんて最初から眼中に無いようだった。それはあそこに隠れている人がいるからではないのか?
まさか...!
「あっ!あっちに女の子がいるっ!」
☆☆☆
この世界は私にばかり嫌なことをする。父さんも母さんもどこかへといなくなった。
私を助けてくれる親切な人がいつか現れることを毎日夢に願っていたけれど、その夢も最近はただの時間の無駄だってことに気づいた。
他の子には困ってたら助けてくれる人がいるのに。
私をいじめた子達も、それを見ていた子にだって父さんがいた。
だけど私にはそんな人はいない。私の帰りを待つ人はいないし、帰る場所もない。毎日のご飯だって食べられるかは分からない。
今日は一日中みんな忙しそうにしていて、そうやって私だけを残して世界が回っている気がして、取り残されたことが悲しくてみんなが憎くて、みんなみんな滅んじゃえばいいのにって思ってた。
そう思ってたのがいけなかったのかもしれない。
「グリムが出たぞ!」
「ハンターは!?守ってくれるんじゃなかったの!?」
「駄目だ!ハンターも頼りにならないって、市長ももう逃げたらしいぞ!」
「だったら避難した人達は!?彼らに合流すれば...」
「それが出発してしまった!俺達は置いてかれたんだ!とにかく避難所に集まるしかない!」
そう話す人達の会話が聞こえて、とにかく彼らについて行こうとしたが、私の足ではみるみる離されていき、周りには誰も居なくなった。
不安になって近くに隠れる。周りの人達はみんな避難したのか?もしかして怪物に殺されたのか?もしそうだったら私も...
とにかく怖くなってその場で震える。怪物の声や誰かの叫び声が村中に響いていて、怪物がこの近くにいるのか、もしくはここに迫ってきてるのかも分からなかった。
あぁ、私はここで死ぬのか。いつだって世界は私を助けてくれなかった、このまま誰にも知られず、誰の記憶にも残らずに私は死んでいく。
ほら、怪物が私を見つけた。空を飛んでいた怪物は私の近くに降りてきて、そのまま真っ直ぐに私の方に向かってくる。
私は目を閉じて殺されるのを待つ。あぁ神様、もし次があるとすれば私を助けてくれる人がいる世界がいいな。
思ってた痛みは来なくて、恐る恐る目を開けるとそこに怪物はいなくて、怪物の代わりに私と同じくらいの、昼に見かけた子供がいたのだった。
「きみを助けに来た。大丈夫?立てる?」
☆☆☆
ノーラをレンに任せて、ネヴァーモアに奇襲を仕掛ける。ヤツにとってはノーラしか眼中に無かった様で、一気にヤツの首を斬りつけることができたが、センブランスによる強化のない僕の腕力ではトドメを刺すに至らず、空へと逃げてしまった。
咄嗟に追いかけようとするが、今は2人を連れて逃げることが先だと判断する。
「2人とも着いて来い!グリムが来る前に急げ!」
そう2人を急かすが、僕以上に小さい(ブレイクと同じ歳ならまだ7歳だ)2人がそう素早く行動できるわけもなく、1人だけならともかく2人を背負うのは流石に不可能で、モタモタしている内に仲間を呼んだネヴァーモアによって囲まれてしまう。
「ど、どうしよう!?」
「う、うわあぁぁん!」
ノーラが泣き出しレンも泣き出す寸前で絶望的としか思えない状況で僕は覚悟を決める。
(ボクじゃ2人を助けられない。力を貸してくれ、アダム!)
気がつくと周囲にいたはずのグリムやレン達は消え、その代わりに仮面を着けた自分が目の前にいた。
「誰かを助けるためにはオレは要らなかったんじゃなかったのか?」
(今は2人のためにお前の力が必要だ!)
「2人、か。このままだとオマエ自身も死ぬことになる。この状況で自分より他人を優先する理由なんてあるわけないだろう」
(僕なんかより2人がよっぽど重要なんだ!それは彼らが)
「原作出てくるから、とでも言うつもりか?」
(っ!)
「...いつだってそうだ。お前は原作に出てくる人が大事で、悪役であるオレ達はそうじゃない。だからオレ達が死のうがどうだっていいんだろう?」
(...そういうわけじゃない!)
「オマエが言ってるのはそういうことだ。もしオマエはこれが原作とやらに出てこない人の危機だったならオレの力なんて頼ってなかった!オマエは人を助けるって言いながらその程度の覚悟しか持ってない」
「人間への憎悪をオレという人格として纏めて捨てて、そうして行き着いたのは他人の為に戦う意志でもファウナスと人間の友好の為に戦う覚悟でもなかった!」
「ただ原作とやらを滞りなく進ませる、オマエのその程度の為にオレは捨てられたのか...?」
(ち、違う!僕はアダムが自分勝手に力を使うか不安で...)
「オマエも同じだ!自分勝手にオレを封じて、自分勝手にオレに力を使わせようとしている!」
そうだな...僕も同じだ。
アダムが悪役で人を殺したがってたからって、僕が彼を殺してたんだ。
(僕もお前と一緒だった。他人には耳触りの良い言葉を弄して、その力を自分のために使う。まさに悪役ってヤツだ)
「...そうだ、だからオレを認めろ。そうすれば力を貸してやる」
「それならっ!」
「なんだ?」
「それなら認める代わりに、お前が人間に手を出さないことを誓え!そうしなければ許さない!」
「...なんだと?散々自分勝手にしといて、オレが勝手にするのは許さないと?それを言う権利がお前にはあるのか?」
「確かにそんな権利無いかもな」
「...だけど僕は悪役だ。悪役が言うことは理不尽で勝手だからな」
「...くく、オマエが悪役か。ならオレはオマエに脅される哀れな被害者ってところだな」
「お前は僕の共犯者だ。僕は別に悪い人間まで殺すなとは言わない。僕がお前の言うことを聞いてお前を受け入れて、お前も僕の言うことを聞いて僕を受け入れる。互いに利益があるだろう?」
「その減らず口をオマエのお仲間にも見せたらどうだ?」
「...これからはお前の仲間にもなる」
「......ふん、良いだろう。その条件で受け入れてやる。だが忘れるなよ、オレの持つ人間への憎しみを!奴らへの復讐心を!」
(...そうだな、これからはお前みたいなヤツが生まれないように改革していかないとな)
「おい、2人ともここから離れろ」
子供達は恐怖心から動こうにも動けない様だった。アダムはレンに目を配ると、周囲のネヴァーモアに対して構えながら話す。
「ここからは俺はお前達を守ってやれない。だからお前が守れ。その為の方法は散々伝えた筈だ」
「俺とお前どちらかがしくじった時点で、全滅だ。絶対に成功させろ」
その時一体のネヴァーモアが襲い掛かってくる。アダムはそれを刀の鞘で受け流すと、すれ違い様に背後を斬る。
それが引き金となって次々とネヴァーモアはアダムへと襲い掛かっていく。
それを見たレンは全神経を集中させて、心を落ち着けようとする。その時彼の頭には今日一日で教わったことを思い出していた。
(ここからは俺はお前達を守ってやれない。だからお前が守れ)
(気持ちを落ち着けるんだ。深呼吸をして、余計な感情を捨てればできるばず...!)
(ライ、動かないことは時に最悪な行動にもなる。だから動くんだ。これからは私がいないときはお前がみんなを助けるんだ)
(はい、父さま!)
レンのオーラが2人を包む。今までの2人の恐怖心や絶望感は消え去り、その心は凪のような穏やかなものになる。
「GYA?」
2人を襲おうとしていたネヴァーモア達は動いていない筈の2人を見失う、見失った彼らは2人を探すが一向に見つからない。
仕方なく残った少年に襲い掛かろうと彼の方を向くが、そこに彼はいなかった。
「GYA?」
仲間によって既に殺されたかと残念に思ったが、よく考えるとそれにしてはおかしい。少年の気配が消えただけでなく、仲間達も消えたのである。
不審に思って上を見上げると、そこには赤い光があった。その光は徐々に自分達の方へと落ちて来る。彼らは結局それが何かも分からずに最期を迎えた。
アダムは襲い掛かってくるネヴァーモアを受け止めながら、反撃によって沈めていく。
(僕のことながらショックだな。ここまで強さに違いが出てくるとは)
(別に強さに違いがあるわけじゃない。オマエの刃には殺意が篭っていない。殺意の無い攻撃では、あるものに劣るのも不思議では無い)
(ハイハイ、どうせ僕1人じゃ人も1人殺せないチキンですよーだ)
堪らず一体のネヴァーモアが空へと逃げ出そうとするが、先程のように逃がして応援を呼ばれるわけにはいかない。
「逃すか!」
斬って消滅する前のグリムを足場にして高く飛び上がる。
そのまま空を飛ぶネヴァーモアの背中に着地しグリムが振り落とそうとするのを掴まり、そのまま首を斬り落とした。
頭を失って消滅したグリムから手を離したアダムはそのまま空中を落下する。
(このまま落ちたらヤバくない?)
(安心しろ、センブランスを使う)
(え...?まさか今まで使ってなかったのか!す、すげー。まるでナメック星に来た時の悟空じゃん)
(変なことを言う暇があったら集中しろ!)
アダムは赤い光を発しながら、そのまま地上にいたグリムに向けて落下、彼のセンブランスによる衝撃でグリムは全滅した。
僕は暫く警戒して後続のグリムが来ないのを確認すると、刀を納めてレンとノーラの方に向かう。
「大丈夫か?」
「はい!ありがとうございます!」
「女の子の方も大丈夫か?」
「...うん」
2人の怪我が無いことを確認すると、2人に顔を合わせて話をする。
「俺はアダム・トーラス。2人は?」
「僕の名前はライ・レンです。この子は..」
「ノーラ」
「レンとノーラか、分かってるだろうがここも今みたいにグリムが来るかもしれない。レン、さっきの力はあとどれくらい使える?」
「まだまだ使える、と思うけど...」
原作のことを思い出すと、彼は自分とノーラをグリムから村が滅ぶまで守り切った。恐らくだが、ここに自分が入ったとしてもすぐにオーラが切れるとは思えない。
「だったらレンを中心に手を繋いで行こう。レンのセンブランスだったらグリムに補足されない筈だ」
「センブランス?」
「その力のことだ。急ごう」
2人と一緒に村の外へ向かいながら、もう1人と心の中で話す。
(それにしてもこのままミストラルへと戻るつもりか?どんだけかかると思ってるんだ)
(しょうがないさ。原作で2人がどう保護されたのかは分からないが、このままグリムから隠れるよりかは逃げる方が楽なのは確かだ)
(そうだとしても1人で2人も面倒見れるのか?恐らく途中で野宿することになるぞ)
(それなら、僕たちは1人じゃないだろ?)
(はぁ?オレにガキの面倒を見ろと?)
(大丈夫だって、2人とも良い子だし。それにブレイクの友達になるんだぞ。ここでカッコよくしてれば、ブレイクの株も上がるに違いない!)
もしブレイクが2人と会った時に僕の話が出れば、頼りになってカッコいい自慢の兄が2人を助けたとしてさらに僕のことを誇らしく思うだろう!
というか、今ここで自然とブレイクの話をして友達になれたら、すんなりとブレイクのビーコン入学まで進むかもしんないな。
それは僕にとってかなり都合が良い。正直に言って、僕の行動が原作に縛られてるのはブレイクの為と言っても過言ではないところがあるからな。
原作の悲劇を変えたいのなら、今すぐヴェイルまで行ってオズピンに未来の話をすれば良い。
何故そうしないかっていうと、他の人はともかくブレイクやチームRWBYにまで影響が及ぶかもしれないからだ、あとシンダー。
(お前だってブレイクの前では良い格好したいだろ?)
なんせお前は将来ブレイクのストーカーになるからな!ワハハ!
(はぁ、受け入れたのは早計だったかもな)
気がついてるかもしれませんが、戦闘シーンでは出来るだけ三人称視点で書くようにしてます。もし見辛いとかあれば、ぜひ感想を下さい。
そうでなくとも感想はいつでも募集してますが。