内容を少し変更しました(2022/3/15)
○艦隊の編成について
1個艦隊=2個戦隊
・1個戦隊内訳
母艦1隻、ミサイル防空艦1隻、汎用駆逐艦2隻、フリゲート1隻。もしくはミサイル防空艦1隻、汎用駆逐艦3隻、フリゲート1隻。
Ⅰ
皇都エストシラント
「アディオ様、日本国からの返答が来ました」
アディオに白色の封筒が渡される。
「蛮族にしては上質な紙だな。日本国を征服する・・もしくは屈服させれば皇国でもこの品質の紙が作れるぞ。それで、内容は・・・」
彼は封筒をナイフで開封し、書類を見た。
「これは・・・なっ!要求を拒否するだと・・・ふざけるな!蛮族が逆らうなどあってはならん!」
そう怒鳴ると、紙を破ってベランダから川に投げ捨てた。
「皇国軍最高司令官を呼べ!攻めてくる軍を殲滅し、日本国を征服するのだ!」
こうして、皇国は戦争に突入した。しかし、アディオが見落としていたことがある。それは、書類に書いてある降伏の合図。激しい怒りからか内容をそこまで見ておらず、捨ててしまったのだ。
もう、後戻りは出来ない・・・
「アディオは戦争を決意したか・・・皇国が傷つくことは確定だろう。とはいってもクーデターを起こすには、そこまでしないといかん。国を変えることには痛みが伴う・・・か。はぁ・・」
カイオスはため息をついた。
Ⅱ
ニシノミヤコ沖
軽空母いぶきは第1艦隊と共に行動していた。いぶきの隣にはヘリ空母いずもが航行し、周囲ではミサイル巡洋艦こんごうとミサイル駆逐艦はたかぜ、汎用駆逐艦5隻、いしかり型フリゲート*12隻が輪形陣で警戒している。
いぶきの艦長である元国防空軍パイロットの秋津は、赤いカバーの掛かった席に座っていた。
「淵上大佐、今作戦は海軍航空集団初の実戦だ。航空隊の面々には相手が侵略者とはいえ、国のために戦う戦士である相手に敬意を払うとともに油断しないように言っておいてくれ」
「了解しました」
いぶき航空隊司令の淵上は、秋津に敬礼すると格納庫へと向かった。
「艦長、早期警戒機から入電。敵別動隊20隻を補足したとのことです」
「分かった。すぐにハリアーを上げてくれ」
すぐに命令が飛んでパイロットや整備士が慌ただしく動きまわり、ハリアーⅡプラスの準備を行う。
機体は飛行甲板に運ばれ、配置に着く。
「アルバトロス・リーダーよりブリッジへ、機体に異常無し。発進許可を求む」
「航空隊司令の淵上だ。相手は侵略者ではあるが、国のために戦う戦士であることには変わりない。敬意を払い、決して油断するな。発進を許可する」
「了解、発進する」
2発の93式空対艦誘導弾を抱いたハリアーⅡプラスは、エンジンノズルを水平にしたまま左舷側を滑走し始め、燃料消費抑制のために左舷側甲板先端に設置されたスキージャンプ台に差し掛かったタイミングでノズルを下方に下げ始めて、台を通過して飛び立つ。機体が少し降下したことで生まれた揚力のおかげで墜落することはない。
残りの9機も1機ずつ甲板に上げられて飛び立ち、編隊を組んで目標の方向へと機首を向けた。
「アルバトロス・リーダーより各機。レーダーにワイバーンが12体映っているが、無視しろ。我々の目標はあくまでも艦艇だ。さすがに国防空軍の連中から獲物を奪うわけにはいかない。敵艦の位置はすでにリンクされている。各機、目標振り分けに従って対艦誘導弾を発射せよ」
「「アルバトロス隊、FOX1!」」
計20発の93式空対艦誘導弾は皇国海軍の竜母艦隊へと突き進んでいった。
ニシノミヤコ沖合い約30kmの海上
第3文明圏内では敵は殆どいないとされる竜母艦隊は、護衛のフィシャヌス級戦列艦等を伴って沖合いに出ていた。その中でも一際目立つのは、両方の舷側が黒くなっている80m級装甲竜母ミール。
“装甲”と付いているように対魔弾鉄鋼式装甲を装備しており、ミールは竜母の中で初めてそれを装備した艦である。それにより、竜母の被害軽減に成功していた。元々全ての戦列艦が対魔弾鉄鋼式装甲を装備していた上に、竜母まで装甲の装備を開始している。そう、皇国海軍は名実共に第三文明圏内(では)最強の海軍となったのだ。
「素晴らしい艦隊ではないか、竜騎士長!」
分遣隊司令アルモスは、横に立っている竜騎士長に話しかけた。
「はい!大国だからこそ持っている高い造船技術によって建造されたこれらの竜母。文明国では保有不可能な上位種ワイバーンロード。そして、高い攻撃力と防御力を持つ魔導戦列艦。その3つを保有する皇国艦隊は、確かに第三文明圏最高の艦隊でしょう」
「その通り!第三文明圏内に敵は無いのだ。最近、日本とかいう極東の蛮族が宣戦布告してきたが、列強に勝つことは不可能。陸上戦力を送り込む前に、最強の皇国海軍を相手取る必要があるからな。制空権も制海権も取れない時点で詰みなのだよ」
その時だった。前方を航行する30門級フリゲート艦がムー国製のサイレンを鳴らし、魔信を入れてきた。
「前方より、謎の飛行物体多数!警戒せよ!
あ、こっちに突っ込んで来・・・」
直後、そのフリゲート艦にミサイルが突っ込み、フリゲート艦は消滅した。
「なっ、何だ!」
アルモスが驚いている間にも、間髪入れずミサイルの雨は艦隊に降り注ぐ。
「フィシャヌス轟沈!」
最新式の主力艦であるフィシャヌス級のネームシップが、なす術も無く1発のミサイルによって対魔弾鉄鋼式装甲に穴を開けられ、炸裂した弾頭にバラバラにされてしまった。
「竜母ガナム、竜母マサーラ消滅!」
飛んでくるミサイルへの対抗手段を持たない艦隊は、ただただ被害を増やしていくだけだ。
「こんなの嘘だ・・嘘だ・・・嘘だ!!!!」
こんなことを今まで経験したことが無いアルモスは発狂し、ついには考えることを止めてしまった。
分遣隊旗艦ミールにも、ミサイルは飛んで来る。
「こっちに来たぞ!」
「もうダメだ!船を捨てろ!」
士官達はアルモスを無視して海へと飛び込む。置いていかれたアルモスと逃げ遅れた兵士は、艦と運命を共にした。
「敵艦隊の全滅を確認。これより帰投する」
対艦ミサイルを撃ち終えたアルバトロス隊は、ロデニウス大陸から飛行してきたF-15J改とすれ違う形でいぶきへと帰還した。
「艦隊が一瞬で・・・」
「嘘だろ・・・」
空に上がっていたために無事だったワイバーンロード中隊の面々は、一方的にやられている現状を見て驚きを隠せない。
「各騎へ告ぐ。母艦を喪失したため、ニシノミヤコへと着陸せよ」
部隊はニシノミヤコに針路をとる。が・・・
「鏃状の飛行物体、こちらに接近!警戒せよ!」
鏃のような飛行物体─2機のF-15J改は04式空対空誘導弾をワイバーンロードへと発射する。
「ウィザード01、FOX1」
「ウィザード02、FOX1」
反応したアクティブ・レーザー近接信管によって炸裂した弾頭は黒い花を咲かせ、巻き込まれたワイバーンロード8騎をズタズタに引き裂いた。F-15J改はワイバーン部隊の正面を横断、少し離れた所で反転して20㎜バルカン砲を放つ。
「「FOX3!!」」
海上に、バルカン砲の重低音が響く。
ニシノミヤコ沖約30kmでの初戦にて、日本国防軍は部隊の要であった竜母艦隊とその護衛艦、艦載騎を全て撃破した。
Ⅲ
皇国の侵略で滅亡したアルタラス王国の王女ルミエスは日本国外務省に呼び出され、霞ヶ浦に来ていた。
「私に何のご用件が?」
「外務省の柳田です。我が国と皇国の交渉が決裂し、戦争に突入したのはご存知で?」
「はい」
「そこで、日本国政府から提案があります。フェン王国のニシノミヤコを占拠する皇国軍を叩き出した後に、殿下を長としてアルタラス王国亡命政権を名乗っていただきたいのです。我が国は王国独立のための支援を最大限行う準備があります」
「本当にいいんですか?宰相のクーデター軍に乗っ取られているとはいえ、相手は列強ですよ?」
「日本国は負けるつもりは一切ありません。必ず、王国を解放します」
柳田の声に熱意がこもる。
「今すぐとは言いません。決めるのは日本国がフェン王国を救った後でも構わないので、頭の片隅に入れておいてください」
ルミエスとの会談は終了した。
日本国からの提案は、10割が善意だった訳ではない。それには、アルタラス王国の地理と施設、資源が関係していた。まず、王国はフィルアデス大陸に非常に近く、国内には列強のムーが建設した空港が1つ存在している。国防軍は対文明圏用の軍事拠点を、大陸に近いアルタラス王国の空港に築こうとしているのだ。
もう1つは、魔石鉱山の存在である。すでに鉱山は皇国の手に落ちており、軍事利用のために魔石は皇国に輸送されていた。どんなに強力な軍隊であっても、補給が途絶えれば戦うことは不可能となる。そのため、王国を解放することは補給を断つことに繋がると考えられていたのだ。
○いしかり型フリゲート
フランスのラファイエット級フリゲートを輸入した物。しかし、某国からの圧力で船体しか輸入できずに全ての装備が日本もしくはアメリカ製となっている。また、計画中の3900トン型駆逐艦の参考にもされている。
全長:124.2m
全幅:15.4m
最大速力:25kn
装備
・127㎜コンパット砲 1基
・MK29(8連装ミサイル発射機)1基
RIM-162 ESSM
・エリコンKD35㎜機関砲 2基
・90式SSM4連装発射筒 2基
・MK32短魚雷発射管 2基
・哨戒ヘリコプター 1機
同型艦
・いしかり
・ちくご