オリジナル兵器
○揚陸支援駆逐艦しらね改
しらね型駆逐艦1番艦しらねを、島嶼奪還作戦において強力な対地攻撃を行えるように改造した駆逐艦で、2番目の54口径127mm砲とアスロック8連装発射機を撤去する代わりに、75式自走155mm榴弾砲から流用した52口径155㎜榴弾砲を搭載している。なお、本来であればいずも型の就役によって2015年に除籍されるはずだが、日本が転移するという緊急事態であるために就役の期間が伸ばされている。なお、2番艦のくらまは改造されていない。
新規キャラクター
○水谷海将(空母いぶき)
○茂木重直大佐(オリキャラ)
フェン王国の戦い後、総理は記者会見を開いていた。
「国民の皆さん、フェン王国救援部隊は死傷者を出さずに任務を達成しました。しかし、まだ安心は出来ません。これは一時的に皇国軍を退けたに過ぎず、再び攻めてくるでしょう。そこで、再び攻めてくることを防ぐため、攻勢に出ることといたしました。そして、現在皇国によって占領下におかれ、前線基地となっている旧アルタラス王国を植民地支配から解放します」
会場の人々はどよめく。激しくカメラのフラッシュが焚かれ、パソコンのキーボードの音が響いた。
2週間後
クワ・トイネ公国のマイハークにアルタラス解放作戦に参加する日本軍の部隊が集結していた。今回の作戦において、海軍第2艦隊を基幹に揚陸支援艦や揚陸艦を加えた艦隊、水陸機動団、第7師団の機械化歩兵連隊や戦車隊が参加する統合任務部隊が結成されている。
マイハーク駐屯地
駐屯地の会議室には長机が置かれ、任務部隊の司令官や各部隊の指揮官が着席していた。
「これより、翌日に行う作戦の最終確認を行う」
そう言うのは、統合任務部隊司令官を務める海軍の水谷海将だ。
「本作戦の目的は、現地の抵抗組織の支援であり、沿岸部に展開して皇国の駐留部隊を引き付けることにある」
「作戦の第1段階では、わが第二艦隊隷下の第六戦隊が海上警備艦隊やワイバーン部隊と交戦、海上優勢と航空優勢を確保します」
「第2段階では、我々水陸機動団はAAV7を投入して東部の砂浜から上陸を行い、その際は隷下のヘリコプター部隊や海軍の支援を受けます」
「揚陸支援駆逐艦〈しらね〉艦長の茂木であります。本艦は搭載しているドローンと連携し、沿岸部に展開してくるであろう敵部隊や設置されている砲台等の施設、停泊中の艦隊を攻撃します」
しらねの艦長の名は茂木重直。明治維新まで存続した武家の末裔であり、強面であるために怖がられているが、本当は優しいらしい。
「第7師団長の大内田です。水陸機動団による制圧の完了後、我々はLCACを利用して上陸し、展開します」
「そして、これ以降は沿岸部の基地及びワイバーン用滑走路の制圧のみに留め、現地の抵抗組織の動きを待つこととするが、戦況によっては直接的な援護も必要となるだろう。なお、今回はムー国から観戦武官が訪れることを留意しておくように。以上だ」
「司令官に敬礼!」
司令官の水谷は退室した。
作戦当日 アルタラス島南東部沖
陸海統合任務部隊は、第二艦隊の第六戦隊を前衛に、艦隊旗艦を含む第二戦隊と揚陸部隊を後衛へ配置して旧アルタラス王国の沿岸部へと進んでいた。
第六戦隊旗艦 ミサイル巡洋艦きりしま
「対空レーダーに正面から向かってくる2つの反応あり。フェン王国でのデータと照合したところ、ワイバーンロードであることを確認。哨戒部隊と思われます」
「そうか。対空戦闘用意」
艦長は、静かに対空戦闘を告げる。
「対空戦闘用意!」
艦内に鐘を鳴らすような音が響く。
「目標、ワイバーンロード2騎。主砲攻撃始め」
「撃ち方始め!」
正面の目標へ向けて前甲板の127㎜砲が2発発砲し、数秒後に遠くがピカッと光った。
そして、レーダーからは2つの光点が消えた。
「これ以降も警戒を厳となせ」
ワイバーン基地
「何?哨戒騎の反応が消えただと?」
「はい」
「どうやら、軍祭でワイバーンを叩き落とした日本のお出ましのようだな。海軍基地に伝えろ。我々はワイバーンロードを発進させて日本の部隊を先行して叩くぞ。出し惜しみは無しだ」
「了解」
揚力発生のために魔石が埋め込まれた滑走路から次々とワイバーンが飛び出していき、基地の魔力探知レーダーには20個の光点が現れた。
「地上よりワイバーン20騎上がりました!」
「来たか。第六戦隊の各艦にも対空戦闘を通達、データリンクも開始」
「了解」
第六戦隊には、きりしま以下3隻の駆逐艦、1隻のフリゲートが所属している。
「敵航空部隊が海上に出た後、攻撃を開始せよ」
フリゲートを除いた4隻のVLSからSM-2が4発ずつ垂直発射され、過半数のワイバーンを叩き落とした。さらに、生き残りに対してはフリゲートと駆逐艦が発展型シースパローを発射して対応した。
アルタラス島軍港
「全艦隊、出港せよ!敵はワイバーンを落としたとはいえ所詮は蛮族だ、存分に暴れるがいい」
海上警備艦隊の指揮官ダーズは、旗艦である50門級戦列艦「ヒデル」から全艦20隻に命ずる。風神の涙と呼ばれる魔石によって起こされる風を帆が受け、全艦が次々と港から出港していった。
「リージャック中将!ワイバーンが全滅したことを受け、海軍の警備艦隊が勝手に出撃しました!」
陸軍のリージャック中将に報告が入る。
「まあ、好きにさせてやれ。奴らが不在になったところで、こちらには停泊中の艦隊20隻と沿岸部の砲台、塹壕に配置された銃兵、基地に存在する精鋭兵や地竜がいる。簡単に撃ち破れないだろう」
「では、全部隊に戦闘の準備をさせますか?」
副官が言う。
「いや、砲台と塹壕の兵士だけでよい。それに、日本の船がワイバーンを落とすことができようが、戦列艦に勝つことは不可能だ。50門級にすら負けるかもしれん。私はこれから昼寝をする、目を覚ましたときには敵が殲滅されているだろうな」
リージャックはそんなこと言うと自室に閉じ籠もり、自分を起こさせないために自らに忠誠を誓う2名の兵士を扉の外に配置した。
「データリンク及び目標の振り分け完了、各艦は右に回頭後に対艦誘導弾を発射せよ」
目標20隻に対して第六戦隊の各艦は、4発ずつの90式対艦誘導弾を発射する。
「ん?何だあれは?」
望遠鏡を覗いていたダーズは、水面スレスレを飛んでくる何かに気づく。しかし、それはもう手遅れであった。次の瞬間、ほぼ同時に20隻が破壊され、誰も己の死を悟ることなく散っていった。
「これが、日本の勝利の秘訣か・・・」
観戦武官としてムーから派遣された技術士官のマイラスは、艦隊旗艦いせの甲板に立っていた。
「あれらに対抗するには、人海戦術で押し切るくらいしか無いでしょうね」
共に派遣されていた戦術士官のラッサンは、戦術的な観点で分析する。
「ただ、あれらの誘導弾に加えて極めて精密な主砲による攻撃もあること、それを全ての艦が行えることを考えると、1隻に攻撃を当てるだけで、おびただしい数の犠牲者を出すことになるぞ」
彼らの脳裏には、対空ミサイルや主砲に撃ち落とされる複葉戦闘機マリン、対艦ミサイルに撃沈される主力艦の姿が浮かんでいた。
「ロウリアもパーパルディアも、とんでもない相手にケンカを売りましたね・・・ほんと、技術的にも戦術的にも勝ち目がないというのに・・・」
「無論、我々やミリシアル帝国、そして最近暴れまわっているグラ・バルカス帝国にとっても勝ち目はないだろうな。たぶん、古の魔法帝国でようやく互角かもしれない」
第二戦隊
「制海権及び制空権を確保しました」
司令官の水谷海将の元に報告が入る。
「作戦は第二段階に移行、揚陸部隊は前進せよ。本艦は揚陸部隊に随伴しつつ、水陸機動団の攻撃ヘリコプターの発艦準備を行う。また、しらねの茂木艦長にも連絡しろ」
「了解」
護衛として揚陸艦隊の正面に展開していた第二戦隊が一斉に左に回頭し、揚陸艦隊が前進する。その先頭には揚陸支援艦しらねの姿があった。しらねは、前甲板の2番目の54口径127mm砲とアスロック8連装発射機を撤去する代わりに、75式自走155mm榴弾砲から流用した52口径155㎜榴弾砲を搭載しており、対地攻撃能力は海軍一である。
「副長、艦内放送に繋いでくれ」
「了解」
そして、茂木艦長は話し始める。
「本艦の目的は、上陸時に障害となるものを排除することにある。ドローンによる偵察があるものの、少しでも敵を見落とせば味方部隊に大きな損害を与えてしまうことになる。決して、気を抜いてはいけない。以上だ」
「対地戦闘用意。偵察ドローンの発艦急げ」
後部のヘリコプター格納庫のシャッターが開き、ヘリコプターの形をした偵察と攻撃の誘導を行う無人機が引っ張り出される。そのまま、無人機は沿岸部の空へ飛び出していく。制空権は取ってあるため、ワイバーンに撃墜される心配はない。
「艦長、ドローンと砲塔の連携に異常無しです」
砲術長が報告する。
「よし、砲撃開始!」
数十秒のインターバルをおいて、ドン・・・ドン・・・ドン・・・と発砲音が鳴り響く。弧を描くように飛んでいった複数の榴弾は炸裂して広い範囲の砲台を破壊した。
「砲台の排除を確認。目標を変更します」
ドローンのカメラと誘導装置は、今度は軍港に停泊中の100門級戦列艦を始めとする艦隊20隻に向く。
「撃ち方始め!」
1発放つたびに1隻に砲弾が直撃し、船体に大穴を開けられて次々と沈没する。
脅威が排除されたため、在日米海軍からレンタルした強襲揚陸艦ワスプからは複数のAAV-7が発進して砂浜へと向かう。その上を、先行して同部隊のAH-1Wスーパーコブラが3機飛んでいき、塹壕に隠れていた兵士の多くを機関砲で排除、その間にAAV-7は全て上陸した。そして、生き残っていた少数の兵士から銃撃が飛んでくる。
「敵兵発砲!反撃する!」
40㎜自動擲弾銃を発砲し、一方的に敵兵は制圧された。
「総員降車、塹壕内を完全に制圧する」
塹壕内が完全に制圧されたのは10分後の出来事であり、降伏した者は1人のみであった。
「作戦は第三段階に移行する」