悪役令嬢ってなんだよ(哲学)   作:センセンシャル!!

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設定供養がてら思いついてしまったので初投稿です。
※今回は戦闘描写がある関係でやや残酷な表現があります。ご注意ください。

2020/02/22 小ネタから本編に昇格


何故か悪役令嬢テンプレになってる魔王討伐に当たるもの編
RTA


 血で血を洗う不毛な戦争を止めるRTA、はぁじまぁるよぉ~。

 

 早速継承スタートです。

 開始国は日本。家属性は地を選択。自由属性は水を選択します。性別は入力のしやすさを考慮して「ほも」でいいでしょう。

 性別がほもとなったことで跡継ぎ候補から外れ、後々自由行動が可能となります(重要)

 

 

 

 さて、体が成長して魔法の力が発達するまで時間がかかるので、その間に本RTAについて説明します。

 本RTAでは、この世界で1000年近く続いている「異種族」と呼ばれる存在との間で起きている戦争を、できるだけ早く無血調停することを目指します。

 先駆者兄貴姉貴たち(自分自身)に従って、タイマースタートは継承開始、「魔王」が調停にサインをしたところでタイマーストップとします。

 ルールは、戦闘において異種族を殺害しないこと。以上。それ以外はなんでもありです。ん? 今なんでもするって言ったよね……。

 

 開始国について。開始国である日本は、魔法の技術において中堅程度ですが、伝統国家と比べて以下のようなメリットがあります。

 1.貴族が護国の存在として名実ともに機能しているため、貴族に生まれても自由行動がとりやすい。

 2.上記の理由により、専門的な訓練を受けて魔法の力を伸ばしやすい。

 3.日本語を使えるので解説が楽。

 逆にデメリットとしては、

 1.島国であるため移動が手間である。

 2.物資が尽きやすいので、残物資に気を配る必要がある。

 こんなところでしょうか。伝統国家と比べると潤沢な物資による無双プレイはしにくいですが、本RTAでは関係ないので問題ありません。

 なお、魔法技術世界一位のイギリスですが、本RTAでは論外です。なぜなら、もっとも異種族を殺しているのがイギリス人であるため、イギリスを選択した時点で無血調停が不可能になるからです(3敗)

 

 次、異種族についての説明。通常人類は彼らを「異種族」と呼んでいますが、異種族もまた人類です。

 彼らは、魔法の影響が強い環境で何代にも渡って生活を続けた結果、体が土地の魔法に適応し、独自の進化を遂げています。そのせいで見た目が通常人類とかけ離れたものになってしまいました。

 この見た目の違いが原因で通常人類から迫害を受け、1000年ほど前に「魔王」と我々が呼んでいる統括者が出現したことにより、彼らは我々に反撃を始めました。これが1000年間続く「種族間戦争」の始まりです。

 種族間戦争が始まってからも「どうせすぐに鎮圧されるだろう」とタカをくくって、100年は通常人類同士の戦争も行われていました。

 が、魔法に適応進化した異種族の力は、通常人類をはるかにしのぎます。当時はまだ今で言う貴族が存在しなかったこともあって、我々は劣勢を強いられ続けることになりました。

 あかんこれじゃ人類は滅びるゥ!ということで、種族間戦争開始きっかり100年で、通常人類間の戦争はなくなりました。そんな余裕なくなっちゃったんですね。

 だいぶ数の減ってしまった通常人類同士で共同防衛ラインを引いたり、魔法戦闘特化存在、つまり貴族を生み出して何とか制圧を目指しましたが、達成できないままズルズルと1000年もの間戦争が続いてしまっています。

 

 「そんな世界情勢で無血調停なんて無理なんじゃ」と思われるかもしれませんが、ちゃんと策はあるのでごあんしんください。

 

 

 

 属性選択について。まずこの世界の魔法には、基本属性として火、水、風、地。それぞれの派生属性として雷、音、光、闇の8種類が存在します。

 厳密には「未解明属性」とか呼ばれる専門機関で研究をしているような未知の属性も存在しますが、どうせ個人では扱いきれないので省略します。

 まず基本属性ですが、地属性を除きほぼ誰でも扱えます。得意属性でないと上位の魔法の習得が難しいというのはありますが、基本魔法なら本当に誰でも使えます。できなかったらそれはよっぽど下手な人です。

 地属性のみ少々特殊で、全属性の中で唯一「付与」という性質を持っています。逆に言えば、地属性は付与のみでしか使えません。このため、基本魔法の~球というものが存在しません。

 目に見える形でない、しかも性質が大きく異なる属性のせいで、得意属性が地属性でもなければ使用ができないものになっています。使えたらそれはきっとチートでしょう。

 私が最初に得意属性として地を選択したのは、この付与が今後の生存能力に大きく関わってくるためです。これは後々解説します。

 自由属性として選択した水ですが、あまり知られていないのですが、水属性の最上位に「肉体再生」という唯一の回復魔法があるためです。

 生物の体はほとんどが水であるので、極めればある程度の再生は可能である、という理屈です。が、大抵の人はここまでたどり着けませんし、たどり着けるような人はその前に派生属性に進んでしまいます。

 今は戦争中ですので、単体では攻撃力の低い属性である水を使い続けるよりは、全属性屈指の破壊力を持つ音属性の方が重宝されるという背景があります。やっぱり戦争ってクソだわ。

 地の付与と水の回復で生存能力を極限まで高めるのが、この属性選択の理由です。

 

 派生属性に関しても解説しておきます。派生属性は、基本属性をある程度まで高めることで習得のできる、言わば上位属性です。属性学者に言わせれば、属性に上位と下位は存在しないため、派生属性と呼ばれています。

 派生属性の扱いは基本属性よりも難しい。性質がピーキーで、強力だけど使用できる状況が限られる。これだけ覚えておけば大丈夫でしょう。

 たとえば、先ほど水の派生として音を覚えると言いましたが、音属性が最も得意とするのは不可視の振動波による広域物理破壊です。敵味方無差別に殺傷する、使いどころを間違えれば自爆となるようなものです。

 その代わり、単独殲滅能力は極めて高いので、戦争のような状況では重宝される。そんな属性です。

 イギリスが異種族に蛇蝎のごとく嫌われる原因がまさに音属性にあり、死兵を使って敵地のど真ん中に音属性貴族を投入し、敵味方もろとも全滅させる戦法がよくとられています。滅びれろ(直球)

 なお、本RTAでは闇属性以外の派生属性は関係ありません。無血調停RTAだからね、しかたないね。

 

 

 

 解説しているうちに体が成長して、魔法も一通りそろいました。そろそろ前線に出動します。

 実戦に勝る経験はないという言葉の通り、訓練と実戦では魔法行使能力の成長率が大きく変わります。これが、開始国に日本を選択した理由です。イギリスやフランスだと、この年齢では後方待機となってしまいます。

 本攻略はRTAなので、できる限り短い時間で魔法の力を育てる必要があります。そうでなくても、年齢が上がりすぎると成長率が減少するため、最終決戦での勝利が不可能となってしまいます。

 また、早いうちに前線に出ることで、それだけ敵味方双方の被害を減らし、無血調停の確率を上げることができます(重要)

 そんなわけで、太平洋沖にある異種族との戦場にやってきたのだ。うわ^~、地獄みたい(震え)

 

 通常人類側の海上拠点となっている大型船の中は野戦病院然としていて、手や足の欠けた負傷兵がそこかしこでうめいている。これが戦争の前線の実態なんだよなぁ……(落涙)

 私の水魔法がもっと成長していれば、ある程度彼らの治療もできるのですが、残念ながら後方での訓練ではそこまで成長できません。ここは涙を呑んで、少しでも早く戦闘を終わらせ被害を減らすしかありません。

 というわけでおつきの人の制止を振り切って外へ。海面を水魔法で凍らせ、今まさに異種族とドンパチやっている場に立ちます。

 小型船の上でガチガチの鎧に身を固め、大型の杖を構えた兵士さんたちが翼の生えた人型に向けて火や風の魔法を撃っていますが、彼らは全く堪えた様子がありません。彼らがまとう闇色の衣に阻まれてしまっています。

 

 ここで、闇属性について解説しておきます。

 地の派生属性である闇ですが、通常人類側で使える人は本当にごくわずかです。そもそもの地属性を使える人が少ないんだから、当然ですね。

 闇属性というのは、いわば外側に展開する地属性のようなもので、干渉力場となる闇を発生させることができます。これの非常に厄介なところは、生半可な威力では突破することができないことです。

 まず闇という実体のないものであるため、硬度は存在しません。衝撃性の破壊は無力化され、純粋な力学ベクトルで突破する必要があります。

 そして、闇がそもそも派生属性であるという点。そこまでの力量を持つ者ならば、他属性の障壁だって相応の硬さで展開することができます。前述の柔らかさと合わせて、基本属性に対しては無敵の障壁となります。

 さらに絶望的なのが、異種族はこの闇属性をデフォルト装備しているということ。どういう理屈なのかわかりませんが、異種族は基本属性全種+闇に対して、必ず適性を持っています。

 これが、絶対数において通常人類と比べるべくもないほど少ないはずの異種族が、我々と対等に渡り合っている最大の理由です。自力が違いすぎる上に生存能力も段違いなのです。

 一応、突破する方法がないわけではありません。派生属性なら、多少の減衰はあるものの、攻撃を届かせることが可能です。雑兵でも数百人の力を合わせれば、かすり傷を負わせる程度はできるでしょう。

 

 今現在戦っている兵士さんたちも、自分たちの身を犠牲にしながら一矢報いています。異種族側もやられまいと飛行で回避し、上空から氷の槍を降らせています。

 正義も悪もありません。ここにあるのは、「生きたい」という意志のぶつかり合いのみです。

 

 

 

 だから私は、双方の「生きたい」をかなえるべく、戦場に割って入った。

 

 

 

 

 

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 満身創痍になりながら、ここより先に侵攻はさせぬと、体を張って命を削り魔法を行使する兵士たち。

 生き残るため、自分たちを害する存在を駆逐するために、圧倒的な魔法の力を行使し続ける翼人たち。

 

 その間に割って入ったのは、海面を凍らせてそこに立つ、場違いなほどに幼い、7つか8つほどの子供だった。

 

「なっ、子供!? なぜこんな場所に!」

「待て! ただの子供ではない、あれは「貴族」だ!」

 

 人の身ではありえぬほどの魔法の力の発露。それが示すのは、子供が敵対者と同格の、「護国の魔法使い」であるという事実だった。

 その事実を認識し、劣勢であった兵士たちに湧きあがった感情は歓喜――などではなく、ふがいなさであった。

 確かにあの子供は、兵士たちよりもよほど強いだろう。だが、子供である。本来ならばこんな前線に立つべきではなく、平和な地で未来を紡ぐはずの、若すぎる命だ。

 彼らが死地に立つことを決意したのは、そういった命を守るためだ。だというのに、逆に守られようとしている。これにふがいなさを感じず、何が兵士か。

 子供は――貴族は、それを知ってか知らずか、平坦な口調で彼らに告げる。

 

「あとはボクが引き受けます。あなた方は、拠点に戻って治療を受けてください」

「……感謝します、貴族殿。どうか、ご武運を……」

 

 指揮官と思しき壮年の男性は、貴族に最敬礼をし、邪魔にならぬよう撤退の指示を出す。まだ余力のある風魔法の使い手が魔法を行使し、船は戦場から遠く離れていった。

 兵士たちが戦場からいなくなったことで、上空で警戒をしてきた翼人たちが下りてくる。貴族の作り出した氷の足場の上に乗り、対話を試みた。

 

「……ヒけ。ワタシたち、コドモ、シなせない」

 

 兵士たちとの長い戦いのうちにこちらの言葉を学習したのか、異種族は片言の日本語で貴族を説得した。

 貴族の子供は、悲しげに首を横に振った。

 

「ここでボクが引いたら、あなたたちは彼らを追撃する。そんなことはさせられません」

「ヤツら、ナカマ、シなせた。ミのがす、ダメ」

「あなたたちの怒りはもっともだと思います。だけど、彼らもそれは同じなんだ。だから……両方とも、ボクが止めます」

 

 貴族の子供は構えを取り、決して引かないという姿勢を見せた。説得を試みた翼人の代表は……悲しげな眼で幼い戦士を見た。

 

「……なるベク、シなせない。イタい、ガマンする」

 

 そして彼もまた臨戦態勢となる。魔法の発動体となる翼を光らせ、再び宙を舞う。闇色の衣が彼らを守る。

 戦いが始まった。先手を取ったのは、やはり異種族の側。空から氷の礫を降らせる。殺傷力を落とすためか、それは先ほどまでの槍ではなかった。

 貴族は、それを回避する……ことはなかった。まともに喰らい、霰のように降り注ぐ氷の礫を身に受ける。

 やはり子供であったか、と悲しげにその攻撃を見ていた翼人は――次の瞬間、驚きに目を見開くこととなる。

 

「ダッ!」

「な、ニ!?」

 

 子供に降り注いでいた氷の塊が、突如としてこちらに「反射」してきたのだ。予想外の出来事に、しかしそれらは闇の衣に阻まれ届かなかった。

 異種族は、理解する。

 

「グラニアか!」

 

 それは、彼らの言葉で地属性使いを意味する言葉。あの子供は、地の魔法を使って、自分自身に「反射付与」を行ったのだ。

 氷の礫が弾き飛ばされたあとに現れた子供は、無傷。「頑強付与」も行っていた証拠だ。

 それだけにとどまらない。

 

「たああああっ!」

「ここまデ、トドくかっ!」

 

 氷の足場を蹴り、跳躍で彼らの高度まで飛ぶ。さらには空中で氷の足場を生成し、自由自在に動き回り、白兵戦までも行う。

 子供とは思えない、とてつもない水と地の魔法行使技術。ここまでのことができるのは、魔法に長けた種族である彼らの中にもいなかった。

 ――そしておそらく、この子供は彼らの弱点を理解していた。即ち、魔法には長けていても、近接戦闘が得意というわけではないこと。

 闇属性は、衝撃性の破壊や遠距離からの魔法にはめっぽう強い。しかし、「運動性付与」をされた腕や足を止めることまでは、さすがにできない。

 仲間が近いため、他の翼人も迂闊に攻撃できず、一方的な攻防は続いた。

 

「えいやっ!」

「グッ、こノっ!」

 

 ここに至り、翼人は考えを改める。目の前の幼子はただの子供などではない。――先ほどの敵をはるかに超える、化け物であると。

 殺さねば、こちらが殺される。必死で拍打を避け、翼をはためかせて大きく距離を取る。

 

「テカゲン、デキない!」

「……っ!」

 

 ここで殺す。殺意を込めて、巨大な風の刃を作り上げた。それを幼姿の化け物に向けて振り下ろす。

 やはり頑強付与がされているらしく、化け物を切断するには至らない。が、風の圧力で軽い体は吹き飛ばされ、海面に大きな水柱を立てた。

 はたして、これで倒せたのだろうか。翼人にはとてもそうは思えなかった。荒くなった息を整え、化け物が姿を見せるのを待ち、構えた。

 

 

 

 化け物は、彼らの想像を超えて、化け物だった。

 

「……ギラニア、ダと……バカな……」

 

 闇属性使い。彼らと同じ、干渉力場による、圧倒的な防御の衣。姿を見せた化け物が身に纏っていたのは、紛れもなく彼らと同じ、闇の衣だった。

 

「覚えさせていただきました。これで、条件は対等です」

「……っ、アりえん!」

 

 化け物は言う。自分たちと戦って、この魔法を覚えたと。今の戦いの中で、今まで使えなかった高度な魔法を、習得したと。

 正真正銘の化け物は、通常人類に化け物と恐れられる彼らにとってすら、理解の及ばぬ恐怖の対象となった。

 

「先ほどの言葉をお返しします。引いてください。ボクは、あなたたちを追いません」

「……シンじない。おマエたち、ナカマ、シなせる」

「ボクはこの無益な争いを止めたいんです。どうか……お願いします」

 

 化け物は……貴族の子供は、戦いの最中だというのに、頭を下げた。それが礼を示すジェスチャーであるというのは、異種族の文化でも同様だった。

 この子供は理解が及ばない。だが、今は信じるしかないし……信じたいという気持ちも、生まれた。

 

「……ワかった。ワタシたち、ヒく。おマエ、ヤツらとチガう、シンじる」

「ありがとうございます。あなたの冷静な決断に、感謝を。……いつか必ず、すべての争いを、止めてみせます」

 

 大それたことを言う子供だ。……だが、その言葉には幾年月も重ねたような決意があった。

 だから彼らは、子供の言葉を信じ、背を向けて撤退を始めた。

 

 

 

 彼らが拠点とする島への帰還までの間、敵からの攻撃は、一切なかった。

 

 

 

 

 

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 くぅ~疲れました! これにて初戦完了です! ビール、ビール!(まだ飲めない)

 いやーキツかったっすね今日は! ……ほんとキツかったゾ(白目)

 飛んでる相手を白兵戦で相手するとかバカなんじゃないですかね。特に最後の巨大真空刃、なんなんあれあれなんあれなん!?

 とはいえ、さすが実戦だけあって収穫はありました。闇属性習得です。いいゾ~これ。

 一応、チャートでも闇属性は異種族との戦闘で覚えることになってましたが、それはもっとずっと後のことでした。そもそも今回はまだ本格的に戦う予定ではありませんでした。

 肉体スペック確認のための初戦で、どうして本気のバトルをする必要なんかあるんですか(ド正論)

 直前に野戦病院を見てSAN値が下がった状態で戦場に飛び出してしまったのが敗因でした。チルドレン特有のオリチャー、+1145141919点。

 

 異種族は人類であると言いましたが、魔法の力と姿以外に、通常人類とは異なる点が一つあります。それは、「本来は非常に大人しい」ということです。

 種族間戦争以前に、通常人類の上位種ともいえる異種族が迫害されてしまったのは、彼らが大人しいということも大きいです。相手を傷つけないために、抵抗しなかったんですね。

 なので、まだ子供である私が前線に出ても、そうそう危険な攻撃を受けることはない……と思っていたのですが、なんか死にかけました。どういうことなの……。

 まあ、最終的には向こうのリーダーっぽい人の信用を得られたので、結果オーライです。

 

 得意属性が地でなければこうはいきませんでした。

 まず闇属性の防御を抜く方法が、基本属性単独では地以外にありません。また、異種族の弱点である白兵戦を制するのに、身体強化系を付与できる地属性は非常に向いていると言えます。

 さらに派生属性として闇を覚えられるので、これにより今後の防御力が格段に上昇し安定度が増します。

 だから最初に選択する属性を地にする必要があったんですね。

 

 

 

 さて、初戦闘でガバチャーをかました私ですが、帰還後思わぬアクシデントが待っていました。無茶をしたことを知った父が、私に外出禁止を言い渡してしまいました。

 ……あああああああああもうやだあああああああ!(デスボイス)

 これは痛すぎます。幼少期に前線に出られるというのが日本選択のメリットなのに、ガバでそもそも外に出られなくなってしまいました。当然通常の訓練も禁止です。

 しかもお父様、このまま私に婚約者をあてがい、逃げられなくする心算のようです。許して……許して……。

 ……仕方ありません。オリチャーのガバはオリチャーでカバーします。予定よりも5年ほど早いですが、ここでほもカミングアウト。勘当されてお屋敷を出ます。

 これで再び自由行動がとれるようになりますが、後ろ盾はなくなってしまいました。一応、生活資金は持たされているので、すぐに詰むということはありません。

 しかしこのままでは前線に出ることはおろか、戦闘訓練すらままなりません。まずは補給線を確保し、前線出動のための後ろ盾を得なければなりません。

 一体……どうすれば……いいんでしょう……。

 

 

 

 やったぜ。捨てる神あれば拾う神あり、と言いますか。オリチャーのおかげで何とかなりました。

 私が撤退戦を手伝った部隊の隊長さんが、事情を話したら手伝うことを約束してくれました。さらには、時間はかかるけど協力的な貴族にも話を通してくれることに。

 これで当面の問題は解決しました。早速闇属性の熟練度を上げる訓練です。高度1000mからの無装備ダイビングを繰り返します。

 見ている隊長さんや隊員さんたちは止めてきますが、戦争終結の大義名分を掲げて黙らせます。あーい、きゃーん、ふらーい! バァン!(地面が大破)

 実をいうと、地属性を使えば1000mからの落下ぐらいなら耐えられます。しかし、無傷というわけにはいきません。闇属性訓練の補助として使ってはいますが、最初のうちは生傷が絶えません。

 これが、闇属性を完全に扱いこなせるようになれば、無傷どころかノータイムで次の行動に移れます。高度3000mでも同じことでしょう。試していないので確証はありませんが。

 そのぐらい闇属性の防御力というのは高く、これを使えるだけで生存力が段違いであることがわかります。同時に、異種族の絶望的な防御力の高さがわかるでしょう。

 

 異種族を殲滅する、という目的ならば、闇以外の派生属性の方が向いていると言えます。いかに闇属性と言えど、派生属性のピーキーな特性すべてをシャットアウトするわけにはいきません。

 しかし無血調停RTAという条件になると、闇以上に向いている属性はありません。大半の異種族は闇以外の派生属性を扱えませんので、ほぼ対等な条件にもっていくことができます。

 そこに基本属性の中で唯一闇を突破できる地を合わせ、彼らの弱点の白兵戦を磨くことで、加減のきく範囲で有利な交渉を進めることができます。保険に水を極めて回復魔法を覚えれば盤石です。

 これが私の考案した「闇に喰われろ! 白兵泥沼戦法」です。地と水と闇なだけに(激ウマギャグ)

 一応、派生属性の中ではまだ加減のきく雷属性や、エイム力を高めて光属性を使用する方法なんかも試してみましたが、上手くいきませんでした(過去数敗)

 どうしても攻撃力が高くなりすぎて、事故が発生しちゃうんですよね。一度でも相手を殺傷してしまえば、無血調停RTAは失敗です。

 なので、この得意属性の組み合わせが、多分一番安定すると思います。

 

 訓練を終了したら、忘れずに栄養補給をして就寝します。これを忘れるとどんどん成長率が落ちるため、大ロスとなります。気を付けましょう。

 

 

 

 

 

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 隊員寮の一室で死んだように眠る、元貴族の子供。それを見て壮年の男性――軍曹は、悲痛に顔をゆがめた。

 ――なぜ、あんな幼い子供が、自分の身をなげうってまで戦わねばならないのか。自分たちの戦いとは、一体なんだったのか。

 もちろん、彼にはわかっている。あれはただの子供ではない。対異種族のために生み出された、魔法戦闘特化存在「貴族」の末裔。ある意味では、「人為的に生み出された異種族」であることを。

 

 異種族とは、魔法環境に適応進化した人類である。ならば環境を整え、そこで子を成せば、通常人類でも異種族に匹敵する魔法の力を持つ者が生まれるのではないか。

 そのような考えの下、試行錯誤を重ね、「戦うために生み出された者」の末裔。それが貴族である。

 

 これは、軍に入れば誰もが教えられることだ。これを知らずに戦場に出てしまえば、異種族との圧倒的な力の差の前に絶望し、犬死してしまうのだから。

 異種族から人類を守ろうという決意を抱き、そのために軍に入った新人たちは、この残酷な真実にまず絶望する。そして、自分たちは貴族が異種族と戦うための踏み台であることを理解する。

 それでもなお決意を折らずに戦い続けているのが、現役の兵士であり、軍曹のような人物である。

 いまだ彼の決意は折れず、先の死地より生還してなお、戦う意志を捨てていない。

 だが……あの子供の並外れた意志と、尋常ならざる決意は、悲壮と言わざるを得ないものだった。

 

 ――この戦争を、止めたい。人類を、異種族を、悲しみの連鎖から解き放ちたい。

 

 これまでに、そんな英雄がいなかったわけではない。

 かつて、雷の力を自在に操る男がいたらしい。その男は異種族を必要以上に傷つけずに無力化することに成功し……あるとき、失敗した。そして異種族の怒りを買い、殺された。

 また、百発百中の光魔法を使う女がいたらしい。女は、異種族の急所を避けて狙い撃ち……後ろにいた異種族の頭を撃ち抜いてしまった。絶望した女は、自らの頭を撃ち抜いて死んだ。

 戦争を止めようとした者は尽く失敗し、仲間を殺された恨みの連鎖で戦争は続いた。軍曹もまた、いつしか鎖に縛られていた。

 そんな世界において、あの子の理想は目を奪われるほど眩くて……同時に理想論でしかなかった。

 一人の力では、戦争は止まらない。みんなが争う手を止めない限り、戦いはなくならない。そして戦場では……足を止めた者から死んでいく。

 もし一人の力で戦争を止められたとしたら。それはもはや、人ではなく神。あるいは、それこそ魔法そのものだろう。

 

 そしてあの子は、自らを魔法そのものに昇華すると言わんばかりの、常人には理解し得ない努力を繰り返していた。

 あるときは、地属性の運動性付与と水魔法で作り出した足場を使って高度1000mまで上り、自由落下の衝撃を闇魔法で受け止めた。

 またあるときは、水深2000mの深海まで生身で潜り、致死レベルの水圧を魔法で凌いだ。

 常人ならば何千回死んでも足りないような過酷な訓練を、あの子は繰り返す。そして今、あどけない寝顔を見せている。

 

 協力を約束したのは、その決意に胸を打たれたからではない。恩人が、理念故に勘当されてしまったことを気の毒に思ったからだ。

 家を追い出されるにはあまりに幼い。大人の助けがなければ、すぐに死んでしまうような子供だと思ったからだ。

 そんな軍曹の甘い考えは、元貴族の子供が繰り返す常軌を逸した訓練により、吹き飛ばされた。この子は本当に戦争を止めるつもりなのだと。

 そして気付く。自分たちの繰り返した戦いが――自分たちが縛られている鎖が、この幼い子供を苦しめることになっている。

 自分たちはなんと愚かなのだろう。それを理解しながら、やはり彼らは、戦争を止めることができないのだから。

 

 すべての希望を、こんな小さな子供に託すしかない自分が情けなくて。

 ……ならばせめて、この子が理想を実現できるように、少しでも力になろう。彼は、そう決意したのだ。

 

 あの子の様子を見守ってから部屋に戻ると、無線が鳴った。彼は、とうとう来たかと、急いで無線を取った。

 

「私だ! ……そうか、取り次いでくれたか! 感謝するぞ、友よ!」

 

 ――それは、あの子に心強い味方が加わるという一報だった。

 

 

 

 

 

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 やったぜ。勘当から1ヶ月足らずで、貴族の協力者ゲットだ。

 軍曹さんは昔から軍にいるそうなので、上層部に知り合いがいるのではないか。そう期待して待ってたんですが、予想が的中して一安心です。

 実は軍曹さんの同期だという海将さんに同行して、隊員寮に貴族がやってきました。「志筑」という家の当主だそうで、猛獣を思わせる目つきをしたイケメンです。ああこわい……やばい……。

 ともあれ、協力をしてくれるなら誰でも構いません。彼を納得させるため、構想一晩のプレゼンを行います。頭脳労働なんて訓練の後でいいんだ上等だろ(脳筋)

 私の適当極まりないプレゼンで説得するのは難しいだろうし、行動で示せばそれでいいやと考えていたのですが……まさかの二つ返事で協力を約束してくれました。意外と早く落ちたなぁ……(嬉しい誤算)

 ここまでうまくことが運ぶと、後々屑運でガバるんじゃないかと少々不安になりますが、既に大ガバをした後なので誤差だよ誤差。

 

 というわけで早速再び最前線へ。ご当主様も私のやり方が気になるらしく、ついてきました。

 今回は海ではなく島の上での戦闘。異種族は、角の生えた犬みたいな姿をした、モフモフパラダイスです。ああ^~たまらねえぜ。

 志筑家ご当主さんは後ろに控えてもらって、前に出る。優しい異種族さんたちは、「子供を傷つけることは~」と言って手を止め……あれ? なんで普通に攻撃してくるの?

 「話は聞いている」? 「我々を止められるか見定めさせてもらう」? ちょっと、この間の翼人さん何やってくれてんの!?

 ……一旦落ち着きましょう。今回の目的は、最前線に出て戦闘経験を積み、死傷者を出させず、貴族家のご当主のお眼鏡にかなうこと。戦うこと自体は問題ないですね。

 むしろ、これはチャンスなのでは? こちらには「闇に喰われろ! 白兵泥沼戦法」があるので安定して戦えますし、万一負けてもこの様子なら命はとられないでしょう。安全に経験値を確保できてうま味です。

 そうと決まれば、1vs1での勝負を提案。属性の関係で対多数は不向きなので、こっちの方がより勝率を確保できます。せっかくやるんだったら、勝った方がうま味も多めです。

 はたして、どうなるか……乗ってくれました! 向こうから一人、リーダー格の人が前に出てきました。これにて勝利確定です、お疲れ様でした。

 というわけで、あとは消化試合。イクゾー! デッデッデデデデ、カーン、デデデデ!

 

 

 

 

 

 はい、ダメでした。誰だよ勝利確定とか言ったやつは! 出てこいよ! ぶっ○してやるよ俺が!

 まさか相手も地属性を巧みに使うタイプだったとは……。リーチの差で攻撃を当てられず、敗北しました。ふざけんな!(声だけ迫真)

 これは、ちょっとチャートを見直す必要があるかもしれません。白兵戦のできる異種族は、完全に想定外でした。(予定が)狂う^~。

 モフモフさんたちは予想通りこっちの命はとらず、志筑家ご当主様に「連れ帰って治療してやれ」と言って去っていきました。

 彼らがいなくなってから、当主さんは倒れ伏した私の小さな体を抱え上げました。……これはもうダメかもわからんね。

 が、ここで予想外の反応。「諦めぬ姿勢が気に入った」と、私は志筑家のお屋敷で鍛えられることになりました。……ああん、なんで?

 

 

 

 戦闘を終えて志筑家へ向かう「継承者」と当主。疲れからか、不幸にも黒塗りの

 今回はここまでです。ご拝読ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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 志筑家当主は、己の自室で瞑想を行っていた。久方ぶりに感じた血の猛りを抑えるべく、深く呼吸を整えた。

 

 彼は幼い時分、血の気の多い子供だった。齢5つにして風の攻撃魔法を数多く習得し、6つにして初めて異種族を殺した。そのことに良心の呵責を感じることもなく、むしろもっと異種族を殺してやると息巻いた。

 10のとき、水の魔法を極め、音の魔法に触れた。その破壊力に心が震え、さらなる殺戮を求めて戦場に立った。

 そして15のとき――戦場にて、婚約者を殺された。心優しい娘であり、貴族でありながら異種族の死に心を痛め、己の身を心配してついてきてくれるような娘だった。

 彼は婚約者が殺されたとき……初めて己が、彼女を愛していたことに気付いた。そして、何もかもが手遅れだった。

 

 なぜ己は、彼女を守ろうとしなかったのか。

 

 守れたはずだ。あるいは、殺されるのは自分でよかったはずだ。それだけのことをしたという自覚が、彼にはある。

 それなのに己は、殺戮の歓喜に飲まれ、それを満たすだけのために前進し、彼女をないがしろにした。後悔など、許されるはずもない。

 

 以降、彼は戦場に立つことはなかった。それが貴族の責務を放棄することだとは理解しても……殺す気も、守る気も起きなかった。

 

 

 

 軍の海将から紹介があったのは、数日前のことだ。

 

 ――貴族の家から勘当されてでも戦争を止めようとしている子供がいる。

 

 何をバカな、と思った。戦争を止めるなど、できるわけがない。一人の手で簡単にできるのなら、1000年という長きに渡って争い続けていない。

 所詮は物を知らぬ子供の夢想。既に諦めた彼は、そのことに興味を持たなかった。

 切って捨てる。だが海将はしつこかった。どうか一度、話だけでも聞いてやってほしいと何度も食い下がる。

 あまりのしつこさに、最後には一度会ってやると約束し、それでしまいにしようと思っていた彼は――5年ぶりに、光を感じた気がした。

 

 

 

 それは確かに、どこにでもいそうな子供だった。

 

 だが、決して諦めぬという意志を秘めた瞳を持っていた。

 

 拙い計画説明。未成熟な手足を大げさに使って、体全体で表現しながら、その子供は己の考えを伝えた。子供じみていて、理想論だった。

 理想論でありながら、それを理解していながら、その瞳はあきらめない。だから彼は問うた。

 

「お前は何故、それを成したい」

「それを成すことが、ボクの存在理由だからです。それだけのために、ボクは生きています」

 

 衝撃を受けた。この子供は、かつての自分と同じであり……否、それ以上に「狂っていた」。自分の殺意などかすむほど、「狂った善意」を持っていた。

 その在り様があまりにも羨ましく、憎らしく、愛おしくて。気が付けば彼は、その子供に協力すると約束していた。

 向こうもあっさり承諾されてしまったことに混乱し目を白黒させていたが、一番困惑していたのは彼本人だっただろう。

 

 

 

 

 

 彼らはすぐに、戦争の最前線のとある島に赴いた。子供が、それを望んだのだ。

 そこで戦っていたのは、犬人型の異種族。当主が号令をかけると、戦っていた兵士たちは一斉に撤退し、彼らと異種族だけが残された。

 子供が前に出る。すると異種族は、驚くべき言葉を口にする。

 

「オマエが、アイツの言ってた、子ドモか」

「……ボクをご存じなんですか」

「ワレラと同じ、ギラニの魔法を、使うモノ。タタカイを止めると、聞いた」

「はい。ボクは、すべての戦争を止めに来ました」

「ワレラ、多く、仲間、コロされた。……止まる、カンタンではない」

 

 グルルと、まるで本物の獣のように異種族はうなる。リーダーの戦意に呼応するかのように、取り巻きも皆構えを取る。

 誰かが火球を放った。通常人類とは異なる、人を殺しうる威力の火球。それを皮切りに、数々の魔法の暴力が子供に襲いかかる。

 子供は――動かず、闇の衣で身を守った。異種族が当たり前に使っているのと同じ、闇属性の魔法だった。

 

「っ、待ってください! 話を聞いて……!」

「ダメだ! ワレラを止める、タタカえ!」

 

 異種族からの魔法は絶えず子供に降り注いでいる。後方で待機する志筑家当主には来ない。彼らの目には、あの子供しか映っていなかった。

 やがて子供は、仕方なしと魔法のすべてを反射する。地属性の「反射付与」を、闇の衣に適用したのだ。

 なんたる技量、なんたる発想。彼は思わず目を見開いた。異種族も驚き、魔法の攻撃が止まる。

 

「わかりました。あなた方が、戦わないと止まれないということは。……代表を一人、選んでください。本気で戦います」

「……いいだろう。ワレが、ゆこう」

 

 先ほど子供と話をしていた犬人が前に出る。その体格差は、大人と子供というレベルの差ではなかった。

 

 そして、その体格差が、勝敗を決する致命的な差となった。

 

「やっ!」

「アマい!」

「っ!?」

 

 子供が運動性付与で踏み込んだ一瞬の一撃を、しかし犬人は確かに弾く。しなやかな拳打が、子供に襲いかかる。

 その動きは子供と同じ運動性付与の速さ……いや、速さだけなら子供の方が速かった。

 

「くっ!? ……ぅあっ!」

「どうした! かかってコい!」

「う、ぁぁっ……!!」

 

 だが、リーチが違いすぎる。子供の腕の長さは、犬人の半分以下しかない。魔法はわずかに子供の方が有利かもしれないが、体格の差があそこまであっては、地属性の付与頼りの攻撃を当てることはできない。

 いつのまにか子供は防戦一方になっていた。攻撃に転じることができず、相手の攻撃を裁くことで手一杯になり、そしてとうとう重い一撃をもらった。

 

「かはっ……!」

「……こんなモノか。この程度で、ワレラを止めることは、できない」

「まだっ……まだっ!」

 

 立ち上がろうとする子供。しかし、脳が揺さぶられてしまったのだろう。うまく立ち上がれず、膝から崩れ落ちてしまう。

 痛めつけられてもなお諦めない幼子の姿に、異種族は何を思ったのだろう。

 

「……止めたければ、もっとツヨくなれ。おい、そこのオマエ」

「……私か?」

「コイツ、つれてカエれ。ケガ、治してやれ」

 

 それだけ言うと、犬人の異種族たちは、悠然と去って行ってしまった。……こちらには一切手を出さずに。

 彼らにはわかっていただろう。自分が貴族であることを……過去に数多くの異種族を屠ってきたことを。だというのに、見逃された。

 その理由は、間違いなく、先ほどまで彼らと戦っていた一人の子供だった。この子を助けるために、自分は見逃されたのだ。

 志筑家当主は、歩み寄る。そして、子供の軽い体を抱き上げる。

 

「……なぜだ。なぜそうまでして、争いを止めようとする。悔しくはないのか。つらくはないのか」

「悔しい、ですよ。彼らを、止められなかったってことが。ボクの力不足が、争いを止められないことが、つらいですよ」

 

 ここに至ってなお、この子の意志は決して折れなかった。――狂っている。やはり、当主にはそうとしか思えなかった。

 

 

 

 だが、それがいい。

 

「……くくく、はははは。ふははははははは!!」

「え? あ、あの、志筑さん……?」

「いいな! お前は本当に、面白い! 気に入ったぞ、小娘! その諦めぬ狂気! いいだろう、お前の気がすむまで、私も地獄に付き合ってやろう!」

 

 子供――少女の体を抱き上げながら、愉快と言わんばかりに大回転する志筑家当主・テッシン。

 あまりの豹変っぷりに、さすがの少女――リラも、ひたすらに困惑した。

 

 

 

 

 

 志筑ナツメの曾々々祖父と曾々々祖母の、なれ初めである。




続くかは知りません(この話で大体オチてる)



Tips

基本属性
火・水・風・地の4属性のこと。前3つは使える人が多いが、地のみはレア属性。また、地属性のみ得意属性でなければ使用することができない(できる人が皆無とは言ってない)
基本属性をある程度習熟することが、それぞれ雷・音・光・闇の派生属性の習得条件となっている。

派生属性
雷・音・光・闇の4属性。基本属性より戦闘に特化した属性だが、汎用性はかなり落ちる。特に音属性。
やはり地の派生のみ他属性と毛色が違っており、異種族のデフォルト属性となっている。

未解明属性
上記8種類に分類しようのない不明属性。個人が使うようなものではなく、貴族家に置いてある特殊大型魔法発動媒体を通して使用される。
ちなみに発動媒体の材料である「流れ星」は未解明属性である。

家属性
貴族が血統的に受け継いでいる得意な基本属性。たとえば、志筑家の場合は代々風属性を引き継ぐ。
派生属性の習得に至るかは、個人の習熟次第である。

自由属性
人それぞれが持つ異なる得意属性。たとえばエリカの場合、家属性が風に対し、自由属性が火となっている。自由属性の方が家属性よりも得意な場合もある(エリカは火の方が得意)
貴族でない場合、持っているのは自由属性のみである。



登場人物

志筑テッシン→テッセン(キンセツジムリーダー)
リラ→(フロンティアブレーン)

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