中央歴1639年3月27日
自衛隊の偵察機からロウリア軍出航の知らせを伝えられマイハーク港では公国艦隊出航準備に総力をあげていた、がしかし海軍司令部、その執務室で側近のブルーアイは若干のほほんとした様子のパンカーレから辞令を出受け取っていた。
「と、いうことだ。すまんが観戦武官として行ってくれんかね?」
「......一機ですよ?」
ブルーアイは不満げに言う、がしかし当の提督は肩を竦めてこう言った。
「なぁに、行けばわかるさ」
同お昼頃
「なんで司令部前の広場なんだ...」
指定された場所で故郷に残した両親に思いを馳せていたブルーアイはやがて奇妙な音が聞こえることに気づく。
「なんだ、この音は?」
一瞬羽虫が耳元で羽ばたいているのかと思った、が違う周囲を見渡すと東の空から一騎の箱に物体がやって来る。
(なんだあれは!)
そう思うが早いかその箱の腹が開き中から出てきた国連軍の者らしき人物が大声で彼を迎え入れる。
「クワトイネ公国海軍、さんですね!どうぞ、お乗りください!」
箱に乗ること十数分、急上昇するそれの中で彼は戦慄していた。
窓の外から見え、遠ざかっていくマイハークの街並み、感じる慣性、そのすべてがこの箱がワイバーンより速いことを物語っていた。
(イカンイカン情報収集しなければ...)
ブルーアイは気を取り直し隣にいる妙に小柄な女性に質問する。
「この...箱のような乗り物はなんですか?」
「箱...あぁ、これはCH-67と言う機体ですね。リフトファン...えぇっとプロペラっていう装置で空気を吹き出して浮いたり進んだりしていますね」
「空気を!そのようなことが可能なのですか!」
詰め寄るブルーアイに鷹揚とした様子で頷きつつ彼女はくつくつと笑いながら窓の外を指さす。
「その程度で驚いていたら母機についたら驚きますよ...ほら、あれ」
彼女の指さす先に浮かぶ巨体-後で聞くところでは『リョコウバト』というらしい-が見えるとブルーアイは「ヒエッ...」と腰を抜かしてしまった。
―『リョコウバト』機内
「いやはや面目ない」
パイロットの肩を借りCH-67から降りた彼は彼女...櫻間の案内で機長に会う。
「機長の沖です。よろしくお願いします。」
「クワトイネ公国第二海軍、ブルーアイです。此度の援軍、感謝しかありません」
「いえいえ、困った時はお互い様です。
では、早速ですが今回の迎撃の概要を説明します。
ロウリア海軍の船は現在、国境200km手前を航行中で船速は10ノット、あと8時間ほどでクワトイネ公国領海に入ります」
ブルーアイは緊張しゴクリとツバを飲み込む。
「国境手前で警告しますが引き返さない場合、これを当機の兵装で焼き払います」
あまりにもあっさりとした説明にブルーアイは驚き問う。
「そのようなことが可能なのですか?」
「可能です...がしかし機内から見て分かるかどうか...」
はっきりとした即答、そして心配にブルーアイは驚いた。彼らは勝てるかどうかではなくブルーアイが見えるかどうかの心配をしているのだ。
「それなら警告のヘリから観戦すればいいのでは?」
櫻間が提案し機長が賛同する。
「イイネ!」
そのようなノリでブルーアイはヘリに同乗することが決まった。
ノリを軽くしても...バレへんか
ギャグ的文章の可否
-
ええやん(可)
-
ままええわ(どちらかといえば可)
-
ま、ええんとちゃう?(どちらでもない)
-
ちょっとね...(どちらかといえば非)
-
駄目です(非)