中央暦1639年3月29日午後 某平原
青々と広がる平原を飛ぶ一機のヘリ*1その機内でヴァディム機長はため息と共に愚痴を溢す。
「何にもなし、何にも、なーんにも」
「まぁまぁ平和なことは良いことじゃないですか」
そう窘めるのは横に座る副操縦士のラダニュー
「そう言ってもよーほんとに平和だったら俺たちゃジャパンの基地でプレステしてたんだぜ?どうせならパパッとロウリアが侵攻してパパッと片付けてパパッと帰れないもんかねぇ」
「そんな簡単にはいかないで「ギムコントロールよりバゲット3へ。応答求む。」
ラダニューの言葉を遮るように聞こえる管制官の声
その声に含まれる少々の焦りを感じ二人の緊張が高まる。
「こちらバゲット3。現在第34哨戒区を飛行中感度良好、オーバー」
「ギムコントロール了解。偵察ドローンが第36哨戒区で中規模の騎行部隊を発見した。バゲット3は直ちに接敵、これを無力化せよ。オーバー」
「バゲット3了解。アウト」
そうヴァディムは通信を終えるとラダニューの方を向きこう口を開く。
「案外簡単に行くかもしれないぜ?」
ギムより東とある名もなきエルフの村、その広場で楽しそうに間食を食べる兄妹が一組...
「おにいちゃん!」
そう呼びかけるのは妹のアーシャ、まだまだ甘えたい盛りだけどもあいにく母は病気で亡くなり父は軍へ取られてしまった。
俺は父に託された言葉を胸にアーシャを守る決意を新たにする。
「なんだい?」
「小鳥さん!ほら、あそこの木に!」
妹の指さす方にはこの時期によく見るスズメがチュンチュンと鳴いている。
あっジャム零してる、拭いてあげないと...
そんないつもどうりの日常。
だけどそれは一瞬で崩れ去った。
村の見張り櫓の鐘が鳴り周囲の人たちの顔色が悪くなる。
「ロウリア軍が攻めてきたぞ!騎馬だ!」
そんな!ギムはもう陥落したのか!お父さんは!
そんな俺や皆の顔を見て不安になったアーシャが裾を掴む。
「おにいちゃん...」
「大丈夫。すぐに良くなるさ」
そうは言ったものの特に策も思いつかない。
そこに一人の青年...ブラウンさんが駆けてくる。
「パルン!ロウリア軍に捕まる前に速くアーシャを連れて逃げろ!」
「ブラウンさんは?!」
「俺らはあいつらをここで食い止める!」
「そんな...」
「しっかり逃げるんだぞ!じゃあな!」
ブラウンさんは親指を立て走っていく。
クソッ!俺に力があれば...
そう思いつつアーシャの手を引き逃げ、村の出口に差し掛かった頃、馬蹄の音が聞こえ始める。
「もうダメだ・・・おしまいだぁ・・・」
そう周囲の人が悲観する。
そのときだった、彼らがやって来たのは
「ギリギリ間に合ったみたいだな」
そう話すヴァディムの目が写し出しているのは大慌てで逃げ出そうとする大多数の村人、村まであと一歩の騎馬隊、村に残りゲリラ的に防衛をしようとする少数の若者だった。
「そうですね、一丁派手にやりますか」
「ったりめーだ」
そうヴァディムは言うと機を村の上空に浮かせドロイドを四機投下する。
10mもの高さから自由落下すれば普通の人間なら耐えられない、がしかし優れたアクチュエータを持つドロイドは難なく着地し短距離走者ですら追い付けないスピードで敵に向かう。
「じゃあ頼んだぞ」
「勿論です」
射撃手のラダニューが射撃ボタンに手をかける。
距離500m、外す訳がない。
轟音と共に機体左右のパイロンに装着されたバルカンと自動擲弾銃から吐き出される20mmゴム弾と催涙&無力化ガス弾。
三秒とたたずにゴム弾に馬から叩き落とされ壊滅的被害を受ける敵、しかし一部の幸運な者はは馬首を返し逃げ出そうとする。
「鎮圧対象ヲ捕捉、直チニ制圧シマス」
しかしいつの間にか周囲を囲むドロイドに目を付けられ
テーザー銃やスタンガンで狩られていく・・・
「バケット3よりギムコントロールへ、騎馬隊の無力化に成功、捕虜を輸送するための部隊を送ってくれ、オーバー」
「ギムコントロール了解、公国軍の騎馬隊を送る。部隊が届き次第哨戒を継続せよ、オーバー」
「バケット3了解、心配だからドロイドは残しておく、アウト」
始めの一発が撃たれてからヴァディムが司令部と交信するまでに分針には一周する暇すら与えられなかった。
ギャグ的文章の可否
-
ええやん(可)
-
ままええわ(どちらかといえば可)
-
ま、ええんとちゃう?(どちらでもない)
-
ちょっとね...(どちらかといえば非)
-
駄目です(非)