東方姫秋葉 〜 Recapture season lit with gold and red! 作:さわたり
逆だっていいじゃないですか
「報告ありがとうございました。ご苦労様です」
私を前に、四季様は静かに言う。私は彼女へと頭を下げ、その言葉を受け取った。そんな私へ、彼女は続ける。
「門番であるあなたを…急に出張なんてさせてしまって申し訳ないです。家が近いからと」
「あーいえ。むしろ家の近くなので、感覚としてはリモートワークですし」
「そうですか。妖怪の山のコミュニティに一番理解のある職員が貴女だったもので…。重ねて申し訳ないですが、このまま調査をお願いします」
「了解致しました」
四季様が私の報告書を読みながら告げる。返事をする私を前に、報告書へサインと是非曲直庁のスタンプをして話を続けた。
「結局のところ、異変を起こしているのはこの二人ですね?」
「はい。昨日のうちに数名が接触したようですが、いずれも協力、戦えた為に満足、敗北、勝利にもかかわらず放置」
「博麗の巫女はまだ動く気配はないが、霧雨魔理沙が何かを調査し始めた、と」
「はい。それが現在確認できた限りのことです」
「…では、巫女に発破をかけましょうか。ついでに力試しをしてもいいかもしれません」
それが私の役目か。与えられた仕事を果たすべく、私は是非曲直庁を後にした。
ひとまず自宅で準備をして、私は博麗神社へ向かうことに。今私が飛ぶのは九天の滝。滝の上の見晴らしの良いところが自宅なのだ。
「あら、庭渡さん」
「こんにちはー!」
「これはこれは、静葉さんに穣子さん」
私へと元気そうに手を振る二人。秋が持っていかれたにもかかわらず、元気なものである。心配だ。
「今回の首謀者である西山様に負けてしまわれたとお聞きします」
「そうなのよねぇ。だからリベンジしてもいいんだけど…」
「一応私はコレから霊夢さんに異変であることを伝えるつもりですが」
「ならよかったかも!」
笑って答えてくれる穣子さん。応援してくれるのはありがたいと言うものだ。私はその場を去ることにした。だが、背中に静葉さんの声がかかる。
「待った。私達はあんたを倒さなきゃいけないのよ」
予想外の言葉である。そう言われたからには止まるほかなない。ゆっくり橋の上へと着地し、彼女の話の続きを聞いた。
「その、えっと……そう、巫女を呼ぶにふさわしいか試してあげるのよ」
「試練なら私の仕事なんですがねぇ」
この人、言っていることがはちゃめちゃである。何やら目的があるのだろうか。だがそれを問い詰めるのは私の仕事ではない。ゆっくり飛び立ち、私は構えた。
「やぁ!!」
私のキックを、静葉さんがキックで受け止めた。押し切ったのは私だったが、穣子さんのラリアットは避けきれない。正面からくらってしまった。
「とりゃりゃー!!」
さらに米弾。私はタフなタイプではない。あまり食らっては負けてしまうと言うものだ。だから、優位を取らねばならない!
「やっ!!」
やはり近接に持ち込むのが早そうだ。静葉さん穣子さん、両方へのバランスの良い攻撃が必要になってくる。結構神経を使うぞ。
「だあ!」
「…!」
不意を突かれ、弾幕の展開を許してしまった。私も弾幕を放って対抗するが、これでは近づけないし有利に持ち込むなど完全に不可能である。私はスペルカードを取り出した。
風符「飛び渡りの試練」
風をまとっての突進だ。風が相手の弾幕をかき消してくれるので、簡単に一気に接近できる。そのまま二人をぶっ飛ばし、さらに私も光弾で追撃した。
「こうなれば…」
「いけっお姉ちゃん!」
静葉さんが上空に撃ち放った弾たちが、それこそ落ち葉のように私の上から降り注ぐ。避けづらい攻撃を出してくれるものだ。仕方ないが防御する他ない。
「いてて…」
「どりゃーー!」
ガードしても食らうものは食らう。そんなところに、穣子さんのタックルが襲い来る。それをキックで受け止め、そのまま蹴り飛ばした。
「あいててて…」
「何がしたいかは分かりませんが…これで終わりにさせていただきます!」
私は二人を前に、スペルカードを空へと掲げた。
光符「見渡しの試練」
「はっ!」
針型の光弾を飛ばす。防御体勢を取る二人だが、それは得策ではない。ぶつかった瞬間、光弾が弾幕となって弾け飛び、連続で二人の体力を削った。
「おりゃ!」
そして、フラフラする二人を前に回し蹴りを叩き込みフィニッシュ。フラフラしながら、穣子さんは白旗をあげた。対し、静葉さんは笑っている。
「ありがとうね」
「お礼を言われる筋合いはないですけどねー」
「そうよー、姉さんってばいきなり戦うだなんて言うんだもの。私も付き合うけどさー」
「いいえ、意味なく戦うわけないじゃない。私達が負けたおかげで、霊夢に『秋姉妹なら倒しておきました』って言えるじゃない」
少し考えて、理解した。確かに、霊夢のことだしとりあえず秋姉妹を倒すなんて言いかねない。
「霊夢と戦うのは流石に嫌だもの。じゃ、行ってらっしゃい」
にっこりとした笑顔で、彼女は私を見送った。結構食えない方のようだ。
「霊夢さーん」
「あー?こんなあっつい日によく来たわねあんた…。地獄のとこの門番だっけ」
「よく覚えててくださいました」
ぐでーんと身を投げ出し、パタパタと団扇を動かす。日光を遮る
「で、あんたが来たからには遊びに来たってことじゃなさそうね」
「単刀直入に言いましょう。これは単なる残暑ではありません」
「異変ってわけ?」
そう言ったかと思うと、霊夢はのっそり立ち上がった。まだだるそうではあるが、その視線は真剣なものになっている。
「とりあえずあの秋神姉妹でもぶっ飛ばして来るわよ」
「それなら私が倒しておきました」
驚いた。まさか本当に彼女達の言っていた通りになるとは。彼女達のおかげでめんどくさい脱線をさせずにすみそうだ。
「なーんだ。じゃあ何すりゃいいのよ」
「倒していただきたい相手は…私を倒したらお教えしましょう」
「あんたのことだし…畜生界の時みたいに腕試しってわけね。いいじゃない、乗ってあげるわ!」
「おりゃあ!!」
早速お札を投げて来る霊夢さん。さらに突撃しながらお祓い棒での攻撃まで混ぜ込んむ。やはりキレというものが違う。
「…であ!!」
だがどうも、前に比べて動きが鈍い。というかだるそうだ。まあ確かに、彼女にとって秋がない事は一大事ということでもない。暑さも相まってだるそうだ。
「たぁっ!」
「よっこいしょ」
私のキックを軽くいなし、陰陽玉をぶつける。本調子でなさげでもかなり恐ろしい威力をしている。
「くっ…」
「てい!」
お互い弾幕戦に。彼女の放った光弾が私のものとぶつかり、その一瞬の隙間に私が蹴り込む。予想外の攻撃だったようで、結構しっかりダメージが入った。
「いってて…」
正直押している事実は面白くない。彼女が状態として不十分ということだ。私が全力でぶつかりなおかつ彼女が勝つのが理想的なのだが。
「何よ、なんかあんた手ぇ抜いてない?」
「こちらのセリフです」
「正直めんどくさいのよねぇ」
このままではダメだ。切り替えよう。彼女を倒して喜ぶぐらいのメンタリティでやらねば。私はスペルカードを持ち出し、宣言した。
炎符「火跨ぎの試練」
「だあああああ!!!!!」」
わけは一気に降下し、そのまま地面にチョップを叩き込む。瞬間、炎が立ち昇り、柱のようにばんばんと燃え上がる。
「んの暑い日に…!あだだ!!」
一気に叩き込まれ、怯む霊夢さん。私も大技を使っただけあって疲弊がある。すぐには追撃できない。
「たっ!」
霊夢さんもすぐに体勢を立てなおし、針を投げてくるではないか。ブーツが厚底で助かった。キックで簡単に弾き返せる。
「やっ!!」
「ハァ!」
私が繰り出したキックを避け、続けて霊夢さんはサマーソルトを繰り出した。とっさにガードするものの、かなりの痛手だ。
「…ったく!」
さらに、超巨大な陰陽玉を作り出し、蹴り出してくる。これ以上食らってもいられない。どうにかかわした私は、大技を使うことにした。
「こけっ!!」
「うっさ!」
耳を塞いだ霊夢さん。そして一気に接近し、連続キック。さらにハイキックで上方へと勝ち上げた。
彼女へと背を向け、私はゆっくり手を伸ばす。
「あうっ!!!」
決めは超高圧水流である。一気に洗い流され、技が終わることには、びしょ濡れの霊夢さんが座り込んでいた。あれっ、勝ってしまった。
「あー負けよもう。はぁ」
「…どうしましょう。そんな予定ではなかったのですが」
「だいいちこんな暑いからダメなのよね」
「なるほど。…あ、私の家涼しいですよ!」
「え、ほんと!?」
一気に目を輝かせる霊夢さん。この程度で動いてくれるならまあよかろう。彼女を連れて我が家へ向かうことにした。
「待ってよ久侘歌。あいつ…見慣れない顔ね」
「ええ、まさに竜田姫様です」
驚いた。まさか竜田姫様が人里にいるとは。特に変装などはせず、ぼーっと座っている。
「…貴女は」
「ん?おっと、君は確か冥界の…庭渡君だっけ?」
「ご存知でしたか。いかにも、庭渡久侘歌です」
「して、庭渡女史は何をするつもりだい?」
「貴女の力を見ておきましょう。場所を変えます」
私がそう言うのに対し、彼女はかぶりを振る。そしてニヤリと笑ったかと思えば、いかにも悪役然とした表情になった。
「やだね!私は目立ちたがりなものでさ。それに…作物とか食料という点で私は人里を人質にとってるんだよ?」
言っていることが前と違う。秋姉妹の話を聞く限り、幻想郷へダメージを与えすぎないようにすると言っていたらしい。何を考えているのだ。
「あんた…!」
「いいでしょう。人々の安全を確保の上で、ですが」
「見物人はある程度残してよ?」
「いいでしょう」
「ちょっと久侘歌。場所を変えるんじゃないの?」
「鳥頭なので忘れました」
そう言っておくのが楽だ。あんなふうに言ってはいるが、竜田姫様は目的があるはずだ。目立ちたがりと言う顔はあまりにも冗談めかしたものだった。
「庭渡女史の好きな季節ってなんだい?」
「秋ですが」
「ならちょうどいい。秋のありがたみを噛み締めておくといい、見よ!私が顕現する日、今日この日が…幻想郷から秋が消える日である!」
なるほど、意図が読めてきた。だったらこちらもやることは分かっている。
「させはしない!私は地獄の門番だが…住まうのはこの幻想郷!お前が持っていけるほど…ここの秋は安くないぞ!」
「えっ、力試しじゃないの?」
「言いましたっけ?なんせ鳥頭なのでっ!」
私の口上を前に、にやーっと口角を上げる竜田姫様。戦いが始まる。
「てい!」
戦いが始まるや否や、竜田姫様は羽を震わせて突進を仕掛けてきた。私はキックで迎え撃とうとするものの、うまくかわされてしまった。
「やぁ!たっ!はいっ!」
立て続けのキックもかわされ続けてしまう。結構な高身長だが、その身のこなしはかなり軽い。トンボの羽に似合う動きをする。
「だあ!!」
「いでっ」
「ピヨっ!」
私の頭突きを食らい、ガクンと怯む竜田姫様。あまりに急な頭突きに、私の髪の中のヒヨコが声を上げる。小さい人形だが、スイッチで声を出すのだ。頭突きと同時にスイッチが入ったようだ。
「ぜあっ!!」
まあ謝るのもほどほどに、竜田姫様が態勢を立て直した瞬間に蹴りを叩きつけた。彼女もあまりタフなタイプではなさそうだ。食らっているダメージはそこそこ多いようである。
「くらえっ!」
反撃とばかりに、彼女はスペルカードを取り出して空へと掲げた。そして技を放つ。ナデシコの花の形の弾だ。防御してみるが、ガードをすり抜けて連続的にダメージが入ってくる。
「あいてて…」
光符「見渡しの試練」
こうなれば私もスペルカードを宣言するほかない。放った光を竜田姫は避けるが、弾けた光が彼女の背中を襲う。その隙に私が掴みかかり、至近距離で口を開く。
「コケーッ!!!」
その爆音に耳を塞ぐ竜田姫様。音だけで十分にダメージを与えられたようだ。今の隙にさらに攻め込もうとも思うが、彼女はすぐさまスペルカードを取り出した。
「へあっ!」
手を十字に組み、水色の光線を放った。だが、スピードこそあれど大した威力ではない。防御すればどうにかなるぐらいのものだ。
「…くらえっ!」
「!!」
その追撃のつもりか、彼女は羽をこすり合わせて凄まじい高音を放った。叫びも攻撃に使う私故にあまり痛くはないが、それでも怯んでしまう。そんな私に掴みかかり、腕と腰を掴んで地面へと投げてしまった。
「いてて…」
まさか地上へ叩き落とされるとは思っていなかったようで、見物人たちも驚きの表情であった。
「はぁー!!」
「…だあ!」
そんな私へと急降下キックを繰り出す竜田姫様。私はハイキックで彼女を迎え撃った。
「……見事な、お手前です」
「はーっはっはっは!!この幻想郷の秋は我ものだ!」
膝をついた私を見下ろし、高笑いをする彼女。人里の人間もガヤついているようだ。
「行きますよ霊夢さん」
「いいえ、ここで倒す!」
「十分なコンディションではないでしょう。立て直しますよ」
私の言葉に、渋々気味に霊夢さんはうなずいた。未だ竜田姫様の思惑通りだ。
・庭渡久侘歌というキャラクター
蹴り技メインなのはよくわかるかと思います。鶏ですしねぇ。
スピードパワー共に凄いんですが、、なかなか紙防御です。わかる人は『ナルガクルガ』で理解できると思います。
通常格闘攻撃はやはりキック。鶏ですから。
そして、多才な技を使っているのがよくわかると思います。火や水、風に光など、その派手さも特徴的ですね。中距離にもそれなりに強く、遠距離への対応もできる彼女は、防御力的にも短期決戦型と言えるでしょう。
ちなみに投げ技はあきつ戦の至近距離バインドボイスです。
今回も、ゲーム上で勝ってストーリー的には負けてる感じですね。