サバイバル・ガンマンをやっていたモブたちがシャンフロ内で当時の話をする的な話です。
鯖癌、各鯖の詳しい情報で足りてない部分は、少々想像で設定を書いてます。
それでもだいぶイベントリア見て考えたので、大丈夫かと思いますが……。
しかしやはり、二次創作なのでお許しいただけると幸いです。
自分でも鯖癌での話を書くのは無理だとわかってたので、ちょっと変わり種にしました。
これで許してもらえるかちょっと不安……。
オリジナルのキャラを動かすならβ民かなと思いましたので。
↓はキャラの紹介です。
少し人数がいてごちゃついてるので、↓を軽く見ておくと少しわかりやすいかもです。
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非公式クラン【βの集会所】
シャンフロ内で、名前だけのクランを勝手に作って勝手に集まってる孤島出身者たち。
サバイバル・ガンマンで、β鯖からゲームを始めた人間が集まったのでつけれられた名前。
他のクランに所属しててもいいし、どこで何をしててもいい。
たまに集まって思い出話や情報交換しようという集まり。
メンバー
クランオーナー
イージスさん――さん、まででユーザーネーム。
全鯖を定期的に回り、漂い続けた生粋のβ民、シャンフロでも変わらずどこかに留まることなく彷徨い続けてる。
今作の基本的な語り手。ツッコミ寄り。
鯖癌時の名前はイージス。
錬金屋GOLD――現在午後十字軍に所属する元β民。
鯖癌以外ではどこかに留まることも多かったので、シャンフロでも普通にクランに所属している。ただ、どちらかと言えば鯖癌時代の仲間の方が大事なので十字軍より優先しがち。
ちょい乱雑な話し方。
鯖癌時の名前はアル・バイタァ。
321――イージスさんのリアルでの知り合い。
大学時代に鯖癌に誘われ、イージスよりがっつりハマった元β民。
何だかんだでイージスと一緒にいたいと思ってるので、気が付けば同じ会社に勤めてた。
唯一敬語使う子で、人とは違う呼び方をしたがる。
鯖癌時の名前も321。
モチフワせんべい――錬金屋GOLDのリア友のβ民。
基本的に仲裁役に回ったりする、おっとりした性格だが、性癖は若干嗜虐的なところがある、ストレスが溜まるとそれが如実に表れる。
やんわりした話し方で、全員を君付けで呼ぶ。
鯖癌時の名前はクロード
やすた――他のメンバーとリアルでの知り合いではなく、シャンフロ内で偶然出会った元β民。
基本無口。ほぼほぼ喋らないが、たまに話すとずっとしゃべってたりする。
若干天然が入ってるのかわざとなのか、突拍子もないことを突然したりする。性癖は広く浅く時々深く……深いときはほんとに深い。
鯖癌時の名前は安井。
ある日のシャンフロ。
野良でパーティを組んだ時、たまたまPKとそのフィールドの厄介な大型モンスターと出くわした。
まあ、ついてないな、面倒くさいな、とは思った。
PK達もモンスターは面倒と思ったのか、MPKの要領で俺たちに大型モンスターを押し付けて、少し離れた場所で見学する始末だ。
実際、野良で組んでた他の奴はほとんどやられてしまい、俺ともう一人だけでこの場を凌いでいた。
とはいえ、さして焦りはない。
この程度のモンスターならビビる必要なんてない。
正直、痛くも痒くもないゲームで何にビビればいいのかと。
大型モンスターをたまたま生き残った相手と協力し、討伐してから俺たちは、そのままの勢いでPK達に切りかかった。
PK達も間髪入れずに攻めてくるとは思ってなかったのか、元々大した技術はなかったのか、サクッと倒し終えて、ドロップを確認する。
……しかし。
「孤島に比べれば、神ゲーとされるシャンフロと言えどちょっと生ぬるいな……」
おっと、思わず本音が出てしまった。
まあ、もしかしたらこの先に進んで行ったらとんでもないモンスターの数々に出会うのかもしれないが、今の所楽なものだ。
「おい、今なんつった」
しまった。
小さく呟いたつもりだったが、今の言葉が生き残ったもう一人に聞こえてしまったみたいだ。
「ああ、すまん。侮辱とかじゃないんだ。ちょっとスリルが……や、ちょっとイキっただけと思ってくれ」
とりあえずこの場合謝るのが正解かと思ったが、相手の答えは俺の予想だにしない言葉だった。
「…………お前も孤島出身か? 鯖はどこだ」
「は? ………………え、同郷? …………っと、
「マジかよ……! お前もβ民か!!」
「え……お前も?」
これが始まりだった。
俺とそいつ――錬金屋GOLDはそのまま思い出話に花を咲かせ、どうせなら知り合いの孤島出身をシャンフロに誘おうぜ、ということになった。
で、当然といえば当然、俺もGOLDもサービスが終了したゲーム内の知り合いで、未だに関わりがある人物なんてのは、全員同じ鯖出身――β民だった。
数は俺たちも合わせて四人。
その後、偶然にもまたシャンフロ内で出会った孤島出身、しかもまたもβ民を加えた五人が集まった。
一度は、せっかくだからそのままクランでも作るかという話も出たが、俺たちβ民同士がクランに留まってるのもおかしな話だということになり、勝手に非公式クラン――βの集会場を設立した。
ちなみにオーナーは俺。非公式だけど。
何でかクラン設立しようとした奴は辞退したので流れで俺になった。
別にいいけどさ。
まあ、クランと言っても全員好き勝手にシャンフロを楽しみ、たまに集まって話そうって感じだ。
で、今回は三回目の集会だ。
「どもー」
「おう、遅かったな。お前が一番最後だぞモチフワせんべい」
「モフせんでいいって」
「なんか意味変わって聞こえない? それ」
「はいはい、とりあえず全員集まったからクランオーナーであるわたくし、イージスさんから議題を。それで……最近、どうだ?」
「子供との接し方のわからない父親か」
「だって正直議題も思いつかないし特に報告することもないからさ……
「ちゃんづけやめてくださいって、そうですね……あ、最近他にも孤島出身に出会いました」
「おお! やすたさんみたいに、やっぱ意外と鯖癌経験者いるよな……まああれに全ての情熱つぎ込んで引退した人も少なくはないだろうけど」
「それで321くん、どんな人なの?」
「聞いて驚いてください。なんと
「バイバアル!? 有名人じゃん!! シャンフロに来てたんか!」
「あ、有名人で言うなら、直接は聞いてないけど多分うちのクランにもいる」
「え。錬金屋くんのとこって、確かヤベーとこじゃない?」
「社畜の巣窟ではあるけどヤベーって言うな」
錬金屋GOLDのクラン自体、午後十字軍という有名どころだ。
「あれ、うちのってことは夜勤さんってクラン所属してるんですか? βなのに」
「まあ元々いくつかゲームやった中でも、さすらうのは鯖癌だけだったからな。つか前にクラン作る話しだしたのも俺からだったろ? 後わざわざ夜勤に変換しなおすな」
連勤夜勤……まあ、あのクランって割とそういう人間集まりやすいって聞くし。
「まあまあ、で有名人って?」
「ん、さっきも言ったが確認はしてないから多分だが……アトバードさんだな」
「
「面白いのは今のネームがヤシロバードなところだな」
「アト……ヤシロ……あ、継いだんだ……」
ほんとあのクランそんな名前ばっかだな。
「でもバイバアルには会いてぇな。俺とかオンライン最後の時はφに殴り込みかけてたから思い入れ深いわ。どのあたりいんの? ミッチー」
「ミッチー……まあいいです。結構先にいるみたいですよ。なんか隠しジョブの関係みたいですけど……というか会ったと言ってもほんの少ししか話せませんでしたし。あ、シャンフロではサバイバアルみたいです」
「なら行くのはキツイか……」
「午後十字軍なら大丈夫じゃないん?」
「今は別用で旧大陸の海辺を離れられないんだよ」
「あー……例の?」
「そうそう、それそれ」
一応、ただの雑談集会ではなく、情報交換の場でもあるので、通常では聞けない話なんかも結構聞ける。
非公式のクランではあるが、全員何故かこのクランを優先してくれるし。
GOLDだって、本来は十字軍から口止めされてるユニークモンスターの情報をここでは話してくれるし、他の皆も仕入れた情報は割とこの場で共有している。
それはさておき、今ちょっと面白い話題出たな。
「なあなあ、今GOLDがちょろっと話してたけど、鯖癌オンライン最後の時ってどこで何してた? 俺たちβだからどっかに留まる事はしなかったけど、よく行ってた場所くらいはあるだろ? ちなみに俺は
「χ……? え、鯖癌の最後ずっとかくれんぼの鬼してたの?」
「おうよ。最後の最後まで誰か見つけてやろうと必死になってたわ! で、ギリギリで一人見つけて歓喜に震えてた…………まあ見つけられた子泣きそうだったけど」
「うわーイージスさん鬼ですね……」
「文字通りな。で? 321ちゃんは?」
「ちゃん付けやめてって言ってるじゃないですか。明日覚えといてくださいね……。私はもちろん
「こわっ! ミッチーこわ!」
「いや、φに殴り込みかけてた夜勤さんには言われたくないです」
「錬金屋くんも321くんも同類だからね? 五十歩百歩だからね」
モチフワせんべいさんがやんわり窘める。
この人癒し系だな、やっぱり……。
「あー……321ちゃんは昔から戦闘狂だったっけ……確かよく傭兵で参戦してた気がするわ」
321は俺の職場の後輩で……というか大学の後輩でもあって俺が鯖癌誘ったんだが、俺よりもガッツリ廃人になった強者で戦闘狂だ。
とにかく乱戦の中大暴れするのが好きなヤベー奴で、就職先に後輩で入ってきたときは心底驚いたわ。
「ですね。εにもυにも両方雇われたことあります」
「あそこかなりガチで争ってたところなのに、321くんもよく行ったねぇ」
「モフせんさん、だから面白いんじゃないですか」
「戦闘狂はこれだから…………うん、そろそろツッコミ入れてもいいかな? やすたさんそろそろ喋ろうか」
まさか集まってから一言も話さないとは思ってなかったから、ツッコむタイミングを逃してた。
「! ――――」
「喋って! なんで口パクだけなの!?」
「いや流れで」
「そんな流れなかったでしょ!?」
俺がツッコミを入れると、まるで漫才でも見ているように周りが笑い出す。
「ふふっ……やすたさんほんと独特ですよね……」
「そこが面白いけどねぇ」
「いい人だしな。で、やすたはどこに行くのが多かった?」
「んー……まあ、一番行ったのも最後に行ったのも
「やすたさんも結構デンジャラスなとこ入り浸ってたんですね……」
「μっていうと……」
「サイレント・キル・幼女。μ‐skYのとこだ」
「あー……結構ハマったやつが多いと聞いた………色んな意味で」
「確かバイバアルもそんなこと言ってたわ。あれと戦ってから普通の幼女が何かわかんなくなって、女児アニメ見だしたって」
「迷走してますね……」
「ハマったらしいぞ」
「あちゃー」
まあ気持ちもわからなくもない。
意外と深く作り込まれてたりするから侮れないんだよな、あの手のアニメ……。
「それでやすたくんもそんな感じ?」
「あー……私はだいぶ拗れたハマり方をしてしまってね」
「「「「拗れた?」」」」
そう言ってやすたさんは照れ臭そうに頭を掻きつつ、話し出す。
「鯖癌って多少ボイチェンかかるでしょ。でμ‐skYってさ、幼女のアバターだったけど、マニッシュな感じの声から察するに、多分……声変わりの中間くらいの男子中学生だったと思うんだけどさ…………そんな子が猫なで声で囁くように子守唄を歌いながら解体してくるんだよね…………そりゃもう、そういう感じに堕ちてしまって」
「おぉう……」
「それは……」
「? どういう意味ですか?」
「んー……やすたさんは、男の娘的な意味でハマっちゃったんだね」
「? …………あ! あー…………」
「あれ以降、所謂エロゲと呼ばれる物のジャンルがほとんどそっち系になってしまったよ…………あ、だから最後の時もまたやってもらえないかとμ鯖にいたよ。会えなかったけどね」
……中々コアな話を聞いてしまった……。
いや、確かにその子守唄の噂は聞いたことがある。
結構短い期間しかやってなかったみたいだけど。
しかし……一時、爆発的にμ鯖に足を運ぶ奴らが多かったのは知ってるけど、そんな理由だったとは。
やっぱり孤島出身はどこか堕ちやすいな……。
とりあえず最後の一人に聞く。
「モチフワせんべいさんは?」
「僕? 僕はねぇ…………
「「「「――――――――」」」」
この時俺たち四人……やすたさんはどうかわからないから、少なくとも三人の気持ちは一つだった。
――一番ヤベーの最後に来た!!
「あれー? 四人ともどうしたの?」
「いやどうしたのじゃねーよ! 俺お前とそこそこ長い付き合いだけど、初耳だぞ! λによく行ってたとか!」
そうだよね、リア友のGOLDが一番びっくりだね。
「言ってなかった?」
「そうだよ…………あ、ああ! 今分かった! お前、鯖癌の時のネームは普通だったのに、急にあの後から食べ物系のネームを選ぶようになったのって!」
「そうだね。今までゲームで付けた名前はほとんどレディが言ってた僕の感想から連想して付けた名前だね」
「知りたくなかった!!」
そりゃそうだ……。
頭を抱えるGOLDを半笑で見ていると、コソッと321ちゃんが話しかけてくる。
「あの……一応、確認なんですけど……λって、あのλ……ですよね」
「おう……プレイヤーは食材と言い切ったあのλだ」
「……私あそこだけは怖くてほとんど行ってないです」
「俺はたまに行ったけど、ほぼほぼ逃げ回ってた……」
サーバーλ。
λの貴婦人を筆頭とした上位階級の方々にその他プレイヤーそのものが食材となって提供される、島一つがレストランとかした狂気の鯖
「λは私も何度か行ったことはあるけど、上位階級にも当たりはずれがあった気がするなぁ」
「やすたさん冷静に何言ってるんですか」
淡々と懐かしいと言わんばかりに語りだす安田さんに思わず突っ込む。
でもモチフワせんべいさんには通じたみたいで。
「そうそう。淡々と食べる上位階級も多いけど、しっかりと感想を言ってくれる人も中にはいるんだよね。いや、その時点で意識があるわけじゃないけど、時たま血で書かれた木の板を渡されるんだけど、それに感想というかレビューが書いてあったり」
「あ……味の、レビューをされるんですか……」
321ちゃんひいちゃってんじゃん。
俺もさすがにちょっとアレだけど。
「とは言えλに留まってる漂流者でさえそれほどもらえたわけじゃないけどね」
「あのゲームにそこまでの味覚感知が備わってたとは思ってないけど……その、全部血の味なんじゃないの……?」
「基本はそうみたいだね。でも生存時間が長いほどどうも肉体の質も変わるみたいで、味がだいぶ違ったらしいよ? 人気があったのはやっぱり生存時間の長いほうかな」
「そ、そう…………」
確かに鯖癌は生存時間が長ければ髪や髭も伸びたし、身体に変化があってもおかしくはないけど……。
今さらながらちょっと鯖癌に関して考察したくなってくるのを自分で押さえていると、やすたさんはモチフワせんべいさんに同意するように声を上げる。
というかやすたさんほんとどこでも行くね!
俺も人のこと言えないけどさ!
「あーそうだったなぁ。で、確か貴婦人がそのあたりマメだった気がする」
「そうなんだよ! レディ・バグは本当にグルメでね。どうも生き延びた時間が長ければ長いほど彼女に気に入られることが多くてね! よく感想をもらってたよ」
「うぉお……」
「そ、そうなんですね……」
思ってたよりずっとコアだ……。
モチフワせんべいさん癒し系かと思ってけど、なんか深い闇を垣間見た気がする。
「というか、モチフワ……お前そんなにハマってたなら何でλに留まらなかったんだ?」
と、ちょっとショックから立ち直ったGOLDが聞く。
「ん? まあ、基本的に色々疲れた時のストレス解消として身を捧げに行ってたところあるし。それに…………さっきも言ったけど、長く生存してればその分おいしく食べてもらえるからね…………あの島に留まってたらほとんどすぐ出荷だからさ……」
「「「…………………………」」」
マジで闇が深い…………!
「ああなるほど」
やすたさん! なるほど、じゃないから!
よし、話を少しだけ変えよう!
「そういえばさ! あのツチノコさんているじゃん!」
「あ、いますね!」
「おう!」
俺の意図を察してか、二人がすぐ乗っかる。
「その……あの人、名前『サンラク』じゃん」
「? それがどうしたんですか?」
「あー……俺は言いたいことわかった」
「僕も」
「私もずっともしやって思ってた」
321ちゃんだけがピンと来ていない様子。
まあ、ほんとサイレント・キル・幼女の名前の方が知れ渡りすぎてるからな……。
「321ちゃん……μ‐skYのプレイヤーネームさ……『サンラク』なんだよね」
「えっ」
「まあ、μにあんまり立ち入らなければ、人づての情報だと名前までは知らないか」
「えっと……じゃあ、そのツチノコさんが、μ‐skYってことですか?」
「いやいや、たまたま同じ名前の可能性もあるからさ。それにほら、ゲームごとに名前を変える人も結構いるんだよ? 321ちゃんは鯖癌の時と同じ名前をシャンフロでも使ってるけど、俺含めた皆は違うし」
「あ、確かに……」
「でももしかしてって思う時もあるんだよね」
「ああ、うちのクランはサンラクさんのいるクランと同盟関係にあるから情報はチラホラ流れて来るけど、なんというか、機動力みたいなのは確かにμ‐skYとかぶるところはあるんだよな…………といっても、マジでツチノコみたいな人だからほとんど情報流れてこないけど」
「私なんかは特に気になってるんだけどね」
「ああ……やすたさんはね」
「でも確かに気になりますね。会ってみたいです」
「そりゃ皆そうだろうけどさ。見れただけで運がいいって人もいる位で――――」
「ぴぃぃぃ!! サンラクサンなんで無意味に全力疾走したんですわ!?」
「いやなんとなく。こう広い道だと壁のシミになる心配もないし」
――え、今サンラクって……。
『えっ……μ‐skY?』
「へ?」
「いやーマジか!! サバイバアルとヤシロバード以外にこんなに元漂流者がいたとは!!」
「いや、俺たちも驚きっすわ。サンラクさんマジでμ‐skYだったなんて……」
俺たちがμ‐skYと呼んでから、そのまま少し話をすることに成功した。
まじかこれ。
これツチノコさん捜索スレに書き込んだら大騒ぎになるだろうな……。
というか、想像してたよりはるかにとっつきやすいというかフレンドリーだ。
なんかニコニコして楽しそう。
ツチノコなんて呼ばれてるし、気難しい性格なのかと。
とりあえず一通り自己紹介を終えたところで、俺たちは鯖癌関連の雑談をしつつ、
【どーする、なにきく?】
【やっぱりゆにーくかんれん、ではないですか?】
【いや、あまりじょうほうあつめは、よくない】
【みたかんじ、どうきょうがいてうれしそうだけど】
【ではやはり、みゅーによくいってた、わたしのでばんだね】
【【【【まかせた】】】】
「サンラク君、実は私、結構μに出入りしてたんだ」
「お、そう? うちは結構、暗殺者よりの集まりだったから肝試し感覚で来る奴いたんだよなぁ……もちろんお望みどおりにしてたけど。おたくもその口? えっと……やすた氏?」
「ん、まあ……そんなとこかな。流石に覚えてないとは思うけど、君には結構バラされた方なんだよね」
やすたさんはそう言って少し目を細める。
同時に空気が緊迫したものに少し変わる。
…………え、やすたさんマジ?
レッドネームではなかったと思ったけど……いや、対戦するモードはあった気が……。
サンラクさんもやすたさんの雰囲気を察し、ニコニコしていた笑みを、獰猛な笑みに変える。
「ほう……? その雪辱を晴らそうとか?」
「それはもちろん…………………………するわけないよね」
「だよねー」
一瞬にして緊迫した空気が霧散する。
なにいまのこわいんだけど。
「はは、懐かしいな今の空気! やすた氏マジでうちに結構足運んでたんだな。島での感じがよく出てた!」
「だろう?」
あ、そういう?
いや確かに、μはいつも大体緊迫した空気だったというか、気を抜くと死そのものだったから、さっきの空気がμっぽいって言われるとそうなんだけど、再現しなくてもよくない?
焦ったよ?
とりあえずだいぶ和んだみたいなので、そのまま鯖癌の話をしつつ、知りたい情報を仕入れてみよう。
直前までその手の話をしてたからだいぶ話しやすいしね。
「μ鯖と言えばさ、さっき話題になってたのが、子守唄――」
「…………………………」
「えっ」
俺何か言った?
空気がさっきのやすたさんみたいに緊迫しだしたんだけど。
サンラクさんのニコニコが消え去って無になったんだけど。
「え……っと……」
「あー、そうだ。俺そろそろ行かないとアレなんだ」
「え、あ……え?」
「他の孤島の話も沢山話せて楽しかった、うん。サバイバアルとヤシロバードだけだと話が偏ることもあるから、ほんとβ民と話せてよかったわ」
「え? え?」
「俺はそろそろ行くけど………………イージスさん氏」
「あ、はい……」
「今後俺の前で子守唄の話は、無しで。…………………次は無い」
「」
俺がそれに対して何か言う前に、サンラクさんはどこかに消えていった。
ファ、ファストトラベル?
『…………………………』
だいぶヤバ目に地雷を踏みぬいたらしい俺は冷や汗が止まらず、他のみんなも何と言ったらいいか悩んでいるといった感じ。
そんな中、やすたさんは何事もなかったかのように言う。
「あ、そういえばサンラク君が子守唄やめたのって、かなりガチでネチョられかけたからだって聞いた気がするなぁ。今はかなりの黒歴史なのかもね」
「やすたさん、出来ればもっと早く思い出してほしかったなぁぁぁぁぁぁっ!!」
ほんとはフレンド登録とかしたかった……。
次って言ってたけど、次会えることあるんだろうか……。
こんなこともあるかなと思いまして。
二次創作とはいえ、なるべく設定の付け足しはしないようにしましたが、λとかはやはりちょっと考えました。
二次創作ということで、お許しください。