東方紫式録   作:微 不利袖

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気付けばもう3月ですね、時の流れって早いものだなぁ...。そんなこんなで18話です。今日も今日とて日常回、それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


18話 湿気と尻尾

 

「お、お帰り白、遅かったな。雨、大丈夫だったか?」

 

「ん、ただいま。一応雨宿りしてたからね、びしょ濡れにはなってないよ...あ」

 

 

玄関を入ると、藍が出迎えてくれた。どうやら昼食が済んだようで両手に食器を携えている。一言二言喋っていると、危惧していたことを思い出した。

 

 

「洗濯物は「ちゃんと取り込んだよ、少々ギリギリだったけどな」...ありがと、藍」

 

 

今朝早くに干していた布団達はどうやら無事らしい、朝は日がでていたのになぁ...。もう6月とは言えお空も多少不機嫌らしい。

 

私は履き物を脱ぎ、食卓へ向かう。少し遅いがお昼にしようか。今日は藍の当番だし、のんびり食べよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼食を終えた私は縁側に座って、一人雨の降る空を眺めている。庭先には早くも紫陽花がうっすらと紫色を帯びて佇んでいる。...あの日も、こんな雨だったかな。

 

物思いに耽っていると、廊下の軋む音が雨音に混じって耳に入ってくる。目をやると、藍がそこに立っていた。

 

 

「隣、良いか?」

 

「ん、勿論」

 

 

藍は湯呑み二つとお茶菓子の乗った盆を置き、私の隣に腰を降ろした。どうやら家事も一段落ついたらしい。湯呑みを受け取り一口、...ふぅ。

 

 

「.,.今日、紫様は?」

 

「幽々子様に会いに冥界へ行ったよ、夜になる前には帰るそうだ」

 

「...そう」

 

「白は、何か考え事か?...悩みなら聞くぞ」

 

「...そんな風に見えた?」

 

 

コクリ、と藍は頷く。

 

 

「ずっと上の空というか...雨の日はいつもそうじゃないか?」

 

「...私ね、雨、好きなんだ」

 

 

あの日もこんな雨の日だったから。と、心の中で続ける

 

 

「...私も好きだな、雨。なんというか、うまく言えないけれど...心が落ち着く」

 

 

まぁ、尻尾の手入れが大変だがな...と藍は言う。...どれ、と私は立ち上がる。

 

 

「ん、どうかしたか?白」

 

「なに、同僚の労いも兼ねて一つ尻尾の毛繕いでも、と思って」

 

 

私は藍の後ろに座り込み、懐から櫛を取り出す。もふもふと柔らかい尻尾の感触を楽しみながらスイーッ、とといていく。

 

 

「ちょ、別に自分でやるから...」

 

「いいよ。私も楽しくてやってるから、藍はゆっくりしてて」

 

 

順番待ちの尻尾たちがパタパタと動いている。...口ではそう言うが、まんざらでもないらしい。

 

 

「む、...まぁ、そこまで言うなら...」

 

「はいはい、素直でよろしい」

 

 

今日は簡単に折れたなぁ...なんて思いながら毛繕いを続ける。...それにしても、凄いなぁ尻尾。流石は金毛九尾の大妖怪様、立派なことで。

 

 

「少し、羨ましいよ...」

 

「...そうか?」

 

 

私も妖狐ではあるが、尻尾は持っていない。...いや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自ら捨てた

 

 

 

 




まだしばらく日常回です。...まだお話に出てない方とかとも会わせていこうかな。それでは、また読んで頂ければ幸いです
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