ぺらり、と、紙と紙の擦れる音だけが広く薄暗いこの空間に響いている。蔵書ならではのインクの匂いが鼻を突く。...へぇ、コレで幕引きなのか。案外簡単に終わらせるなぁ...ま、一冊で完結してるのは読みやすいし悪く無かったかな。
私は興味を惹かれた小説を読み終え、本を閉じる。
「...あら、もう読み終わったの...?」
「はい、さほど長くは無かったので。面白かったですよ」
「...そう、それは良かったわ...」
そう言うと、パチュリーは本を読みながら、右手の人差し指を立てる。淡い光が一瞬見えた気がする...。すると私の手に持っていた本も同じ様に光り始め、ひとりでに何処かへ飛んでいってしまった。...魔法って凄いなぁ、ホント。
ここは紅魔館にある図書館だ。紅魔館の方たちとは異変の事後処理のときに知り合い、今では時々このように本を読みに来たりするような仲だ。...いやぁ、まさか弾幕ごっこ一つで館が半壊してるとは思わなかった...ほぼ瓦礫の山だったもんなぁ。
「...そろそろお茶でも出そうかしら...こぁ」
「は~い、お待ちくださ~い...」
パチュリーが呼び掛けると、少し遠くから声と小さな羽音が聞こえてくる。
「お呼びですか?パチュリー様」
「紅茶...でいいかしら...?」
「...あ、えーと...はい、構いませんよ」
「...そう。...淹れてきて頂戴」
「分かりました。最近、ちょっとイイ茶葉入ったんですよ」
パチュリーに突然問われ、少し返答が遅れてしまった。いつも日本茶だしたまにはね...。こぁ、と呼ばれて来たのは小悪魔さん。パチュリーの使い魔らしい。パタパタと羽を鳴らしてお茶を淹れに飛んでいってしまった。
「すみませんね、本を読ませてもらったうえにこんな...」
「構わないのよ...客人をもてなすのは最低限の礼儀だもの」
「...今度、菓子折り持ってきますね」
「そう、楽しみにしてるわね...」
そんな風にしばらく話していると突然、図書館の扉がバァンッ、と大きな音を立てて開かれた。...私以外にお客さんかな?
この図書館は話を通せば誰でも利用可能だ。しかし貸し出しはしておらず、あくまでここで読んでいく場合に限るが。
「...そっちから入ってくるなんて珍しいわね...」
「うっせ、そういう気分なんだよ」
そこには、箒の先に大きな袋を引っ掛けた魔理沙がいた。...袋からは、本が幾つか顔を出している。
「あら、死ぬまで借りるんじゃなかったの...?明日はお葬式かしらね...」
「勝手に殺すな勝手に...って白、お前も来てたのか」
この前雨宿りで魔理沙の家にお邪魔した時、掃除をすることになったのだが、その時に見覚えのある本がわんさかあった。パチュリーから魔理沙についての話を聞いた事があったので、かなりしつこく返すように言ったておいたが...どうやら聞き入れてくれたようだ。それに、あんなに本があると片付けても片付けてもキリがない。
「あ、返しに来たんですね、本。...ところで、また散らかしたりしてないですよね...」
「えっ、や、あー...あはは」
「...また行きますね」
「ぐぅ...」
まぁ、本が返ってくるのは良いことだ。この前も小悪魔さんが、蔵書の整理が滞るだのいつも窓を割って入ってくるだの言っていたので、これで一安心だろう。
「あー!」
急に後ろから声が聞こえた。振り返るとティーセットを載せたカートを押す小悪魔さんが
「魔理沙さん!また、本を盗みにきたんですか!?今度はそんなにたくさん!!」
小悪魔さんが指差すのは大量に本の入った袋。...あー、そうなっちゃうか...。
「いや待て小悪魔、これは「もう!今日こそは盗らせませんからね!!スペルカード三!被弾三です!!」だー!なんだよ?!」
...迷い家でこのやり取り見た気がする...。二人はそのまま飛び上がり私達の上空で弾幕を撃ち始めた。...私は取り残されたカートを持ってくる。
「...お茶にしましょうか、お砂糖は?」
「...そうね、二つお願いしようかしら...」
私も三つくらい入れようか...
気持ち長めになりました。もうちょっと書けると良いんですがね...。そんな訳で紅魔館メンバーとも交流。ちなみに小悪魔は後で、黒コゲになって本の山に頭を突っ込んで目を回してたそうな...それでは、また読んで頂ければ幸いです