雨上がりの空、木々に未だ残る雨の雫が太陽の光を受けて虹色に輝きを放つ。私はいつもより少し軽い足取りで帰り道を歩いていた。
『...また...』
最近になって、また増えた尻尾が揺れる。その言葉をあいつから聞けただけで嬉しくなってしまっている。
思えば出会いは...十年は前か。にわか雨に降られて逃げ込んだ洞穴...あの時は驚いた。誰かの声が聞こえ見てみると私と同じく、まだ幼かったハクがいたのだ。
...私に出来た、初めての友達だった
私は独りだった
産まれながらに人の姿をした妖狐だった
両親には将来を期待された
両親は私がいつか九尾になれると言った
私が言葉を話せるようになると修行が始まった
辛いこともあったけど父と母のために頑張った
両親は色々なものを与えてくれた
両親は盲目だった
何も見えていなかった
私のほんとに欲しいものがなにか
見ようともしなかった
...私は...私は
独りだった
全てが嫌になった。お友達がほしい、皆と遊びたい、こんな生活嫌だ...
「独りは...寂しいよ...」
私は家を飛び出した。明け方でまだ両親が寝ている間にどこかへ行ってしまいたかった。
まだ霧のかかる森の中をがむしゃらに走った。あそこから、離れたかった。父と母は私のことを見てくれない。私は二人にとって、都合のいいお人形だった。
いつの間にか私は、樹の根本に座り込んでいた。少し寒い...。
私はどうして周りの子たちと違うんだろう...いつもそう考えていた。幼子でありながら、人の姿をした妖狐だったから?初めは嬉しかった。けれど、それも最初だけ...私は気付いた。独りだった。
それでも、私は頑張れば誰かが私のことを見てくれる。そう思って修行をしていた。でも、いつまで経っても何も変わらなかった。
「...みんなと同じが良かったなぁ...」
まだ暗い森に、弱々しい声が虚しく響く。...いらないよ、こんなの。
少女は瞼を下ろした
「...んぅ?」
額に何か、冷たいものが触れるのを感じ目が覚める。...そっか、走り回って寝ちゃったのか。ふと空を見上げる。
ぽつり、ぽつり、と雨が降ってきた。季節は冬、このままずぶ濡れになってしまうと風邪をひくはめになってしまう。
「...雨宿り、しなきゃ...」
次第に強まる雨脚に少し焦りながら、私はどこか雨を凌げる場所を探した。
しばらくしてから洞穴を見つけた。...ここなら大丈夫だろう。
私は昔を思い返し、あの日の雨に感謝をする。
私は雨が好きだ。なんというか、うまく言えないけれど心が落ち着く。...まあ、尻尾の手入れが大変だけれど...。
それにさ...
友達に会えるから
過去話でした、はい。...タグにシリアスって入れとこうかな、流石に。...そういえば平行して書いてる小説もありますので、時間があればそちらも読んでみてください。それでは、また読んで頂ければ幸いです