私は闇夜を駆ける。どうして、なんで、そんな言葉達が頭の中で反響し続けている気がした。肺が、心臓が締め付けられるような感覚。
目指すのは友のいる場所。...あぁ、なんで私は話してしまったんだ...。言葉に出来ない後悔が涌き出る。
「...?じいや、父上の姿が見えないのだが...」
いつもより静かな夜。少し変に思い、屋敷の中を歩いてみる。...すると、父上の姿が見えなかった。こんな夜更けにどこへ...?疑問に思った私はじいやを見つけ、その事を聞いてみた。
「...おお、藍様。御主人は里の若いのと共に、外へ出ておりますよ。なぁに、すぐに帰るでしょう...」
「...?こんな時間に何処へ...」
疑問はそのままだった。...一体何をしに里の外なんかへ?そんな事を考えながら、ふと窓の外へ目をやる。...今日は新月のようだった。
「...?」
すると、外から誰かの話し声が聞こえた。どうやら屋敷の守衛が駄弁っているようだ。
「...それにしても、まさか里の近くに居たなんてなぁ...考えただけでもゾッとするよ...」
「...あの災いの白狐がなぁ...とっくにの垂れ死んでるモンだと思ってたが...」
「まぁ、#-/*.:様達が退治に行ったなら安心だよ」
「ま、そうだな」
...は?
私は立ち尽くしていた。今の...話っ、て...ハ、ハク...なのか...?白狐と聞こえた。はっきりと、そして...災い、とも。...なんで...そんな、ハクはそんなんじゃ......は?退治...?父、上?...いや、待て。ハクの...ことなのか?...ほんとに...でも...
気づいたら私は屋敷を抜け出し走っていた
「...っはぁ...はぁ...」
息を切らして走る。...なんでハクが......私のせいだ。私が、ハクのことを話してしまったから...初めて出来た友達を、誰かに自慢したかったから...。
「...頼む、間に合ってくれ...!」
「っはぁ...はぁ...ハク...?」
私は友のいる洞穴まで着いた。...そこにはハクの姿は無かった...あるのは、血の跡だけだった。暗くて見えづらいがかなりの出血だろう。...血痕は森の中へと続いている。
...ほんとに、ハクのことだったのか...。持っていた淡い希望は砕かれ、災いの白狐が自分の友のことであると、事実だけが残された。
「...行かなきゃ...」
私は血の跡を追う。数人の足跡があるのも分かった。...父上、どうして...
「...?」
森を進んでいる最中、ふと、血の臭いが濃くなったのを感じた。...この先は、開けた場所があったはず...私は走る。
「...あれは?」
見えたのは一つの影、どこか見覚えがある。声を掛け、すぐに駆け寄る。
「父...う、ぇ...?」
そこには...
禍々しいほど黒い妖狐が立っていた
藍視点の過去話でした。それでは、また読んで頂ければ幸いです