東方紫式録   作:微 不利袖

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お久しぶりです。それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


31話 お花畑とティータイム

 

 

「...あら、さっきの妖精二人は?」

 

「ん...あっちで遊んでますよ」

 

 

ここは太陽の畑の真ん中、小さな家の外にあるバルコニー。運ばれてきたのは人数分のティーセットとお茶請け...足りない客人を気にしたのか、先程再会したばかりの家主はそう溢す

 

 

「そう...元気なのは良いことね」

 

「あはは...そうですね。この暑さであんなに元気なのは、妖精だからですかね?」

 

 

他愛ない話をしながら、目の前に置かれたティーカップへと注がれるのは...ハーブティー?ですかね。鼻腔をくすぐる爽やかな香りと、ボトルの中でカランと響く氷の崩れる音が、自然と私の喉を鳴らす

 

 

「ありがとうございます。これは...」

 

「ウチで採れたハーブよ、味は保証するわ」

 

 

作法などがあるかは知らないが、カップを口へと運ぶ。...ん、美味しいや。普段は余りこういったものは飲まないけれど、暑い日には良いかもしれない

 

ふと目線を変えると、花畑の脇で楽しそうに走り回る二人の姿...頭には其処らに生えていた向日葵を頭につけている。うん、楽しそうでなによりですね

 

 

「久しぶりね...ホントにいつ以来かしら」

 

「スペルカードルール制定前、ですかね?吸血鬼の件はお世話になりました」

 

「そう...まあ、退屈しのぎにはなったわ」

 

 

久々の再会に昔話をしながら、お茶請けを手に取る。これも手作りですかね?案外器用なんですね

 

 

「それで、殺り合いに来てくれたんでしょう?」

 

「あはは...変わりませんね、貴女は」

 

 

出来れば殺気は仕舞って欲しいですが...ホントに戦闘狂なのは変わりませんね、こわいこわい

 

 

「私と殺り合っても面白くないでしょう?」

 

「楽しいわよ?とっても」

 

「その辺の鬼とでも殴り合っててくださいよ...」

 

 

手に取ったお茶請けを口に放り込む...ん、果物の洋菓子ですね。甘さは控えめでお茶に合う...っと

 

 

「むぐむぐ...んくっ。ほら、面白くないでしょ」

 

 

お茶請けを頬張り、空いた右手で突如突き出された拳を止める。ぱしり、と軽く肌同士が触れる音...幽香さんの不敵な笑みは変わらない

 

 

「フフ...ホントに面白いわね、貴女は」

 

 

力を能力(チカラ)で止められて尚、面白い...ですか。分かんないですね、ホント

 

 

「あー!お茶にお菓子!二人だけでずるーい!」

 

「わぁ、美味しそうですね...!」

 

「あら、ちゃんと皆の分もあるわよ?手、洗ってらっしゃい」

 

 

すると、遊んでいたお二人が戻ってくる。チルノさんは少しばかり服に泥が着いていて、わんぱくさを感じる

 

 

「分かったー!行こ、大ちゃん!」

 

「うん、チルノちゃん!」

 

「...」

 

 

素直に手を洗いに行くお二人の背中を見送る。まぁ、なんと言うか...

 

 

「夏、ですね...」

 

 

からん、と氷の崩れる音がした

 

 

 




ここまで読んでいただき感謝です。それでは、また

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