「...あら、さっきの妖精二人は?」
「ん...あっちで遊んでますよ」
ここは太陽の畑の真ん中、小さな家の外にあるバルコニー。運ばれてきたのは人数分のティーセットとお茶請け...足りない客人を気にしたのか、先程再会したばかりの家主はそう溢す
「そう...元気なのは良いことね」
「あはは...そうですね。この暑さであんなに元気なのは、妖精だからですかね?」
他愛ない話をしながら、目の前に置かれたティーカップへと注がれるのは...ハーブティー?ですかね。鼻腔をくすぐる爽やかな香りと、ボトルの中でカランと響く氷の崩れる音が、自然と私の喉を鳴らす
「ありがとうございます。これは...」
「ウチで採れたハーブよ、味は保証するわ」
作法などがあるかは知らないが、カップを口へと運ぶ。...ん、美味しいや。普段は余りこういったものは飲まないけれど、暑い日には良いかもしれない
ふと目線を変えると、花畑の脇で楽しそうに走り回る二人の姿...頭には其処らに生えていた向日葵を頭につけている。うん、楽しそうでなによりですね
「久しぶりね...ホントにいつ以来かしら」
「スペルカードルール制定前、ですかね?吸血鬼の件はお世話になりました」
「そう...まあ、退屈しのぎにはなったわ」
久々の再会に昔話をしながら、お茶請けを手に取る。これも手作りですかね?案外器用なんですね
「それで、殺り合いに来てくれたんでしょう?」
「あはは...変わりませんね、貴女は」
出来れば殺気は仕舞って欲しいですが...ホントに戦闘狂なのは変わりませんね、こわいこわい
「私と殺り合っても面白くないでしょう?」
「楽しいわよ?とっても」
「その辺の鬼とでも殴り合っててくださいよ...」
手に取ったお茶請けを口に放り込む...ん、果物の洋菓子ですね。甘さは控えめでお茶に合う...っと
「むぐむぐ...んくっ。ほら、面白くないでしょ」
お茶請けを頬張り、空いた右手で突如突き出された拳を止める。ぱしり、と軽く肌同士が触れる音...幽香さんの不敵な笑みは変わらない
「フフ...ホントに面白いわね、貴女は」
力を
「あー!お茶にお菓子!二人だけでずるーい!」
「わぁ、美味しそうですね...!」
「あら、ちゃんと皆の分もあるわよ?手、洗ってらっしゃい」
すると、遊んでいたお二人が戻ってくる。チルノさんは少しばかり服に泥が着いていて、わんぱくさを感じる
「分かったー!行こ、大ちゃん!」
「うん、チルノちゃん!」
「...」
素直に手を洗いに行くお二人の背中を見送る。まぁ、なんと言うか...
「夏、ですね...」
からん、と氷の崩れる音がした
ここまで読んでいただき感謝です。それでは、また