天真は起床して、日課の素振りを済ます。そして朝食を食べ稽古の時間まで瞑想するのであった。
それから少し時が経ち、
「師範!稽古の時間です!」
と大きな声を出しながら走ってくる少女がいた。名を龍虎雫という。
そして眼の前に、それもお互いの吐息がかかるほど目の前までその可愛らしい顔を近づけてきたのだ。
夜空に星を撒いたような、煌めく眼が印象的。
他人がこれを見たら恋人同士で、今にもキスするようにしか見えない。なお、この兄妹を知っている門下生だとしても師範たち門下生ならやりかねないと思われている。
雫は至近距離から、食い入るようにこちらを見つめていた。
(もう稽古の時間か)
天真は瞑想及び、稽古をすると周りが見えなくなる修行バカだったのだ。武の頂点に立ったにも関わらず、一切の妥協も許さず、ただ貪欲に高みを目指す。道場も多くの人を見れば自分も成長するのでは?という考えのもと開門した。門下生たちもその姿にあこがれて入門した者も多い。
雫は無視されていると思いさらに顔を近づける。そして
ペシッ
雫の中指が音を立てて天真の額にぶつかる。
「お兄ちゃん!時間ですよ!ほかの人も待ってます!まだ続けるようだともう一回デコピンしますよ」
これが毎日行われる日課でもある。
「毎回言うが、声をかけてくれればわかる」
天真はそう言ってはいるが、
「それで気付いてくれないからデコピンしてるんでしょ?!」
そうなのだ。天真は声掛けぐらいじゃ全く起きず、殺意を飛ばすか攻撃しない限り絶対気づかないのだ。しかし前者を行うと無意識化のカウンターを食らい病院送りにされるため、後者を行うしかないのだ。
そしてなぜ門下生をたくさん抱える師範でありながらも、雫が毎日来ているかというと、雫からの強い要望でもあるからだ。門下生が言うには
「私以外が起こそうとすると大変な目に合う」とのこと、しかし全員理解している。
雫が師範を呼びに行きたいだけなんだな~と。
その通りなのだが。
そして今日の稽古が始まる
他の道場とはくらべものにならないくらいのハードスケジュール。素振り・腕立て・クランチ1000回を3セット、ランニング計30KMこれほどのメニューを行っているのに門下生が減らないのが謎である。
それでも続けるのはやはり、強くなった実感があるからだろう。大会も、ここの門下生が常に上位をキープしている。一位は言わずもがなだが、、、観戦客には二位が実質優勝とまでいわれる始末である。
「「「「「ありがとうございました!」」」」」
そうして今日の稽古も終わり解散となる。時間は夜の九時を回ったところだった。
これが毎日行われる。
そして次の日
「俺は今日出かけなければならない。よって今日はいつものメニューが終わり次第自主練しててくれ」
この日は、天真に出かける用事があったのだ。隣町で行われる師範集会の為に、隣町まで向かうことになっていたのだ。
門下生が見送る中、天真が冗談交じりに言う
「ではいってくる。道場やぶりなんかにまけたりすんなよ」
(この道場に乗り込むバカはいねぇよ!!)
門下生の心が一心になった瞬間だった。
「お兄ちゃん!いってらっしゃい!」
雫が可愛らしく大きく手を振って見送る
天真は隣町を目指し歩みを進めるのであった。
師範集会も終わり天真は帰路についていた。
(今日な師範集会も爺たちの弟子自慢でおわったな)
そんなことを思って道場に向かっていた。
道場に近づくと、次第に鉄錆のような臭いが漂うようになってきた。なにかとてつもない不安感に駆られた天真は物凄いスピードで駆け抜けた。
道場に着き戸を開けるとそこには床一面を深紅の血で染め倒れ伏している門下生たちの姿があった。その中央に立つ人影のような姿が2つあった。
よく見ると体に痣のような線の入った男と雫だったのだ。そして同時にみてしまった。雫が拳で貫かれ地に倒れ伏す瞬間を、、、
頭に血が上り、青筋が浮かび上がる。しかし天真はあくまで冷静であった。呼吸を整え男に向かう。殺気と気配を絶ち、背後から蹴りをお見舞いする。道場の壁を破り男は吹き飛ばされていく。
(こいつ、硬い!)
天真はまるで、鋼鉄を蹴っている感覚に襲われた。しかしそんなことは気にも留めず、雫の元へ駆け寄る。
「雫!大丈夫か!雫ッ!!」
天真は雫に呼びかける。
「おに、、い、ちゃん?居るの?」
雫はとても小さな声でそう言った。
「あぁ、俺はここにいるぞ!」
「来て、、くれたん、だね。ごめん、、道場破られちゃった。守れなかった」
「な、なんで逃げなかった!!」
「ここがお兄ちゃんの帰る場所だから、、、」
「っ!」
天真は後悔した。なんで今日だったのかと。なんでもっと早く帰ってこれなかったのかと。
「ねぇ、おにいちゃん?」
「もうしゃべらないでくれ。」
天真は少しでも生きててほしいため会話を止めようとする。けれど雫は自分が生き続けることができないとわかっているため残された命を燃やし、しゃべり続ける。
「あれは人間じゃなくて鬼だよ。けど雫はおにいちゃんなら勝てるって信じてる」
「わかった。」
「雫はおにいちゃんのことが好きだった。他の人たちも、おにいちゃんの事がすきだった。だからおにいちゃんには、おにいちゃんだけには死んでほしくない。」
どんどん雫の声は小さくなっていく。
「、、だ、から、、、」
「勝って、、、天真」
そう言って雫は息を引き取った。
「わかった。お前らの意思は俺が引き継ぐ!!勝つぞ俺は!!!!!」
吹き飛ばした方向から鬼が帰ってくる。
「いい蹴りだった。」
そういって鬼はこちらへ向かってきていた。
(なんて回復速度だ。常人なら即死する威力だぞ!)
驚くのもそのはず、天真が放った蹴りの威力は大木ですらなぎ倒すほどの威力だったのだ。この鬼は、それを食らって尚、平然と帰ってきたのだ。
「なぜここを襲った?」
「強者が居ると知ったからだ。俺は弱者が嫌いだ。弱者を見みると虫唾が走る。来てみればどうだ!呼吸法を知らないのに技だけなら至高の領域に近い!」
(呼吸法?なんだそれは、、、)
天真が疑問に思ってる中、鬼は続ける。
「俺は心躍った!!楽しかった!特にあの娘は強かった!生まれて初めて女を食いたいと思った!!」
「見れば解る。おまえの強さが。その武術練り上げられている。もはや至高の領域だ。」
ここで少しの静寂が流れる。そして鬼が口を開いた
「鬼にならないか?」
「ならない。そして、名も知らない奴の提案も受けない」
天真はすぐさま否定する。
「そうか。なら名乗ろう。俺の名は猗窩座。もう一度言う、鬼にならないか?」
「俺は、我流龍虎剣術が師範、龍虎天真だ。俺は、貴様の名を知っても尚、否定する」
「そうか。では鬼にならないなら殺す。術式展開 破壊殺・羅針」
「我が剣術は龍と虎の化身なり!龍虎天真、押してまいる!!」
戦いの火蓋が切って落とされた。
結構長く書きました。お気に入りにしてくれた皆さんありがとうございます!戦い書くのにがてかも、、、次回猗窩座戦です!