ロリンチちゃんの依代になった   作:シナない

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召喚時は第4特異点後を想定してましたが、グランが活躍しそうな場面が全然なかったんで、一気に飛ばしてバビロニアで藤丸に命捧げて死んでもらいます(無慈悲)

書きたいことだけ書いてるのは許して…



そういう儚いサーヴァントが好きです。シャルロットとか、異聞帯のアルテミスとか







火に焼べる

「あ…あの光……」

 

「フォーウ!」

 

第7特異点、バビロニア。藤丸立香は人類の終わりを目の当たりにしている。

 

ケイオスタイドに侵食されたウルクの街。そしてそのケイオスタイドに立つは人類悪が一神、創造神ティアマト。

 

藤丸立香は己のサーヴァントのマシュ、そしてギルガメッシュ王と共にジグラットの上で死にゆく街を見ていた。

 

ティアマトの目が徐に赤く光る。藤丸立香は直感的にそれが己に向けられた攻撃だと理解した。

 

 

 

 

「…あ……私、死んだ……」

 

 

 

 

 

 

────いや、死ななかった。

────咄嗟に、立香の前に小さい子が躍り出た。

 

 

────こんな出来損ないでも、優しい優しい私のマスターをかっこよく助けても、いいよね?

 

 

 

「…やるではないか、薪よ。貴様が行かなかったら我が庇おうと思っていたが、いらぬ気遣いだったか」

 

「げほっ……かふっ……ま、まぁねぇ……」

 

 

「…え?」

 

「にしても、ティアマトめ。狙撃とは小癪な…」

 

「…グラン、さん?」

 

ふらり、と私は(・・)倒れそうになり、藤丸立香、私のマスターは駆け寄って、私を受け止めてくれた。

 

 

「…っ! グランッ!な、何で!カ、カルデアに居る筈じゃ……」

 

「…え、へへ……はぁ……実は……ずっ、と、着いて、来てた……げほっげほ…」

 

 

私は未来を知っている。しかし、それが原作知識という形で、しかも曖昧にしか覚えていなかったという大きな欠点があった。

思い出したタイミングも遅かったから、Cチームの魔術師としての私の身体は起源覚醒の衝撃で燃え尽きていた。

 

原作知識はあるけど、第2部までやってたし、第7特異点を詳細に思い出せるわけがないんだけどね。

 

 

 

 

 

 

─これは私の出した結論だが、この世界はゲームではなく、Fate/GrandOrderというゲームによく似た世界だ。

 

  ─星に夢を

 

─目を閉じると、瞼の裏にはみんなの顔が直ぐに写った。

─マスターの嬉しそうな笑顔、マシュのやさしい微笑み、ダ・ヴィンチが面白いお話を得意げに喋って、ロマニが「ないしょだよ?」ってこっそりお菓子をくれた。

─カルデア職員も、サーヴァントも、みんな私の知らない表情を、感情を持っていた。

 

 

それは、スマホ越しには一生見えなかった美しいモノだった。

 

 

 

 

─だから…だから!守りたいって、初めて思った!

 

  ─命の薪

 

 

 

 

 

 

 

「─礼装起動(プラグ・セット)!応急手当っ!」

 

「グランさんっ!グランさんっ!!目を開けてください!!」

 

私は目を開けて、マスターとマシュの必死な顔を見つめた。

 

「…立香にマシュ、少し黙れ。そやつの遺言だ」

 

「そんなっ…」

 

「…ねぇ、マス、ター……」

 

 

 ─宝具開帳

 

 

「…私、は……楽し、かった、よ……………あぁ、とても、楽しかった、とも……」

 

 

 万能なりや知の薪よ(ケンドリング・オーバーホール)

 

 

自分の身体を、霊基を火に()べる。

燃え盛る炎は、霊基を代償に膨大な魔力を作り出す。

 

『薪』の起源は、原初の生贄・文化文明の基盤・炎の産まれる所を意味する。単純な話、自分を燃やすことで魔力を獲得する。

 

 

「…君に、出会えて…本当、に…良かった……」

 

 

─ああ、少し、残念だなぁ…

 

─もっと君たちと、お話したかったなぁ…

 

 

宝具を応用する。仮にも万能の身体だし、なんとかなるだろう。

右腕の小手から大量に疑似霊子によるナノマシンを放出する。そして、そのナノマシンを全て圧縮、結晶化し、一つの炎を閉じ込めたような結晶体を作り出す。

 

 

「……だからっ……そんな、に…泣かない、でっ……!」

 

 

─マスターもマシュも、私なんかの為に泣いてくれている。

─…そっか、私でも、あなたの大切な人に、なれたのかな

 

 

「…大丈、夫……君たち、は…これから……あらゆる困難、を…乗り、越える………」

 

 

「私、なんか、を………大切、に、して、くれて……あり、が、と………………」

 

 

 

 

 

ごうごう、めらめら、と霊基が燃え尽きていく音が聞こえる。生み出した魔力は全て結晶に詰め込んだ。あの結晶を砕けば、マスターの魔力どころかサーヴァントの魔力すらも全快するはず。

 

 

 

大丈夫。マスターならきっと、大丈夫だから。さあ、前を向いて。

君はこれから、英雄になるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、気付けば、煌々と火のオーロラを見せない(・・・・)薪ストーブの前に、腰を降ろしている彼女(・・)の後ろに立っていた。

 

薪ストーブの中には、もう殆ど灰と化した燃え滓が僅かに赤く光っている。

 

 

「……君は、すごく、頑張ったよ…」

 

そう、一人で呟いていたから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、彼女に声を掛けた。

 

 

「………隣、いいかい?」

 

 

「……! あぁ…………ああ、いいとも。…君のお話、聞かせてくれたまえ」

 

 

 

 

 

 

 

 









これにて一旦終わりの形とします。


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