艦娘百景   作:亜矢子

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田中巨摩という男 密談

 

 

 

時はふたたびン年前へと遡り。

間宮明石に巨摩の三人、さだめのであいのそのあとに。

 

 

 

***

 

 

 

その晩のこと。

大淀は遠距離通信を用いて、密かに田中中将と連絡を取っていた。

 

 

 中将の予想通り顔合わせはうまくいったようです。

 ご苦労だった。問題なし、と見てよいか。

 はい。しかし想定外のこともありました。

 ほう。続けろ。

 その。間宮さんと明石さんが…。

 なんだ。臆さず言ってよい。

 若返っていました。私の見立てではありますが。

 は?

 若返っていました。私の見立てではありますが。

 聞こえている。二度言う必要はない。

 失礼いたしました。

 若返るも何も、君らは歳をとらんだろう。要領を得ないな。

 肉体の不老と艤装の劣化は別、であります。

 では、経年劣化していた艤装が蘇ったと?

 おそらく。

 なんなんだそれは。くわしく。

 お・そ・ら・く、ですけどねェェェ(# ゚Д゚)ムキー!!!

 くやしく、ではない。くわしくだ。

 失礼いたしました。中将、滑舌悪いですね。

 大淀貴様…、まあ、いい。続けろ。

 件の三人が、というか巨摩君が二人との同居に同意した時です。

 ふむ。同意した時、とは具体的には?

 三人がひっしと抱き合い、巨摩君が二人に身も心も委ねた時です。

 なんといううらやま…

 はい?

 なんでもない。続けろ。

 その時お二人から高揚時のキラキラが大量に発せられまして。

 ふむふむ、それで。

 その際に艤装が顕現していたのですが。

 なるほど、高揚の際はよくあることだな。

 すでに蘇った状態でした。クレーンとか、デリックとか色々と。

 ふーむ。お前はどう感じた?

 黒光りして太くて固くて…。あれに組み敷かれたら私はっ!あふんっ!

 ……で? お前は、二人を、どう感じた?

 んんっ…、取り乱しました。武装云々ではない猛者の雰囲気を。

 だろう、な。

 非戦闘艦と侮っていました。全盛期のお二人があれ程とは。

 ふん、そうか。全盛期か。奴らはくぐった修羅場が違うからな。

 はい。

 その違いを感じ取れるだけお前はましだ。自分を誇れ。

 ありがとうございます。

 この件は極秘だ。いずれは露見しようが、それまでは口外無用。

 承知しました、中将。

 うむ…。

 …?

 …。おほん。

 中将?

 話は変わるが、な。巨摩を本土へ送って以来、な。

 はい。

 うちの間宮と明石がすっかりへそを曲げてしまって、な。

 はぁ。

 口をきいてくれないんだ。アイスも作ってくれない。

 ふーん。

 工廠妖精の士気もダダ下がりだ。あと、アイスな。

 へぇ。

 二人だけはあの子をいたく気に入っていたようで、な。

 なるへそ。

 どうしたらいいかな。間宮アイス、私だって食いたいんだ。

 …。

 アイス。食いたいだろ?アイス。さあどうする?

 死ねばいいんじゃないですか。

 なんだと?

 死ねばいいんじゃないですか。

 貴様ッ! に、二度も言うことないじゃないか!

 二度も言わせないでください。

 クッ…。な、何かよいご機嫌取りはないだろうか?なあ?

 ザー、ザザッ

 おい。大淀?

 ザー…

 おい。おいっ! 大淀? 切るな! 大淀ォォォオ!

 

 

 

 

 

 

 

 


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