PS極振りが友達と最強ギルドを作りたいと思います。 作:五月時雨
今月投稿したら、暫くストック貯めるために失踪するかもしれない。
一応、そうならないようには頑張ります。
ミィに話しをして、昨日の時点で今日明日の活動をウォーレンさんたちに頼んだ日の放課後。
ログインした私は、昨日連絡を入れた生産職の【炎帝ノ国】メンバー数人と対面していた。
場所はミィとよく来る喫茶店とはまた違う所だが、大通りから裏道に入った所にある隠れ喫茶。
ミィと行く方は紅茶が美味しく、ここはコーヒーが美味しい。紅茶派の私も時々は足を運ぶ場所。ミィはコーヒーが飲めないから来ない。
「さて。連絡したのが昨日だったのに、今日はよく来てくれたわね」
「いえ。元々今日はログインしていましたし、予定と言ってもスキル上げに素材を使い潰すくらいしか無かったので」
「それに、こんな雰囲気のいい喫茶店が街の中に合ったとは知らなかったですからね」
「俺はそれだけでも満足だわ」
口々にそうやって返事をくれるため、不満ではないことが分かって少し安心した。
「ここのコーヒーはかなり美味しいから、私も偶に通うのよ。ゲーム内なら金銭的にも痛くなく、カフェインの過剰摂取にもならないし」
「ははっ、そりゃ確かに」
ここにはミィ派もいるが、それは比較的最近加入したプレイヤーで、私を怖がる人はいない。
怖い存在とは思われているだろうが、今は演技こそ継続しているが適度に緩めている。
「……なんというか、ツキヨさんってもっと怖い人だと思ってました」
「実際レベル上げは容赦ないけどな」
不本意な言葉が聞こえた気がするので、あえて乗っかろう。
不敵な笑みを浮かべて、心底楽しそうにっと。
「ふふっ……演技という訳ではないわ。あれはあれで楽しいもの」
「……ドSサブリーダー…」
「聞こえてるわよニール」
「ひゃっ……」
凄みを効かせて軽く睨むと、緑の長髪を首の後ろで纏めた彫金系プレイヤーのニールが小さく身体を縮こませた。
コーヒーを飲んで少し間を取る。ふぅ…紅茶にはない苦味が冷静さを取り戻してくれた。紅茶は紅茶で香りでリラックスできるから大好きだけど。
「冗談よ。楽しいのは本当だけれど、息抜きもしている。それだけのことよ」
それだけ言って、物凄ーく優雅さを意識してもう一口だけコーヒーを飲む。うむうむ美味しい。
それに合わせるように、先程まで僅かに張り詰めていた空気が弛緩し、五人の雰囲気が和らぐ。
取り敢えず全員の注文が届いたので、昨日の新規参入者から受け取った素材を渡し、バンダナの依頼をする。今日はそれが本題じゃないし。それだけならいつでも渡せるし。
今日はログインしていない生産職のメンバーはあと三人。今日は五人いるけど、装備を作るには【裁縫】や【彫金】を持つこの八人だけが頼りになる。本当に早く進めなくては。
「さて、時間は有限。早速始めましょうか」
「確か、【炎帝ノ国】の装備のことですよね?」
「その通りよ。【炎帝ノ国】全体の戦力の底上げのために、ステータスにも力を入れた統一装備。
第一回イベントが重なったから先送りにしていたけれど、第二回イベントにはデザインを統一した装備で挑みたいというのがミィと私の考え」
それが、昨日ミィと話したこと。個人の戦力が足りない?なら底上げしよう。何で?装備で!という単純なお話だ。それに
「またそれだけじゃないわ。
装備を整え、全体の戦力の上げることで二層攻略の速度が大幅に上げられる。二層に上がるにはダンジョンボスを倒す必要があるけれど、それへの勝率も上がる」
「確かに戦力を上げるっていうのは大事ですね」
「でもそれ、二層に上がってからじゃ無理なんですか?」
「バカお前。いつ第二回イベントが来るか分かんねぇんだぞ?時間的に厳しくなる可能性もある。装備作成はそんな短時間じゃねぇんだからな」
「あっ……だからサブリーダーもこんな早く俺たちに持ちかけたってこと、ですか?」
私から一方的じゃなく、生産職のプレイヤー同士でも話が進んでいく。ちゃんと今この話題を持ってきた理由を理解してくれたようだ。
「えぇ。私は生産職ではないからどの程度時間がかかるのか予想ができない。あなた達五人と、明日話す三人。計八人を中心に装備作成を勧めてもらうことになるわ。その時にかかる日数の最長と最短を教えてちょうだい」
最短でどれだけかかるか。だがそれは彼ら彼女らの時間を使い潰してできるものだ。当然後半になるほどクオリティは落ちる可能性がある。逆に最長でもクオリティは保持できてもイベントに間に合わない。
この塩梅を調節して、素材集めも作成会議もする必要がある。
そう聞くと、五人は顔を突き合わせて相談を始めた。その間私はケーキでも食べてよう。ここは全額私が持つと言ったので、五人にも追加で好きに頼んでいいと言った。
そうして五分ほどの間があって、一人が代表して口を開いた。
「いくつか確認したいことがあります。良いですか?」
「どうぞ」
「まず、装備の種類は何を予定していますか?」
まぁ当然だよね。種類によって使う素材も量も全然違うし、大きな物ほど時間もかかる。
と言うことで、ここからは実物のデザインを見せたほうが良いだろう。
「少し待ちなさい。既に受け取ったデザイン案をいくつか見せるわ」
「あるんですか!?」
「えぇ。希望したくせに誰もデザイン案を出さないから、ミィと私で一部メンバーに依頼した物が数点」
本当はミィは関与せず、私の方で例の四人に書くように言ったのだが、言わなくてもいいか。
それをインベントリから取り出し、あれらの前に並べる。ってすごい食い入るように見てるね。さすが生産職。
「……なるほど。大まかにですが、前衛は所々に装甲のあるコート、後衛はローブですか。配色は紅白で縁起もいいと思いますね」
「なぜ、配色が逆になっているのがあるので?」
「要望が二通りあったからよ。ミィの炎に合わせた赤い装備と、私の白銀に合わせた白い装備。そのどちらもが要望にあったけれど別々に作るわけにもいかないでしょう」
「だからデザインを統一して、配色を逆にしたものというわけですか」
「基調を赤に縁取りに白と、白基調に縁取りが赤。デザインはシンプルに収めたわ」
指示したのはツキヨだが、そこから四人でブラッシュアップしていった結果だろう。コートもローブもデザインは統一した。アーマー部分も相方の色……つまり赤基調ならアーマーは白く、白基調なら赤で統一し、見事に調和していた。何より紅白カラーで縁起もいい。
色の割合は7:3でバランスを重視し、見栄えも良くしている。これ以上基調の色が多くなると派閥色が強くなり、少ないとそれぞれのイメージにあった装備という要望に応えられない。
「これ、私みたいな中立のプレイヤーはどうすれば……」
明確……と言うほどではないけど、基調がしっかりと別れてるから、調和路線なのは見て分かっても、どっちを選べばいいか分かんなくなるよね……。
「好きな方を選んでもらおうと思ってるわ。けれどこれが悩みどころなのよ。もう一セット、色の比率を同じにしたものをデザインして、完全中立装備を選べるようにした方がいいのか、又は裏地を白にするという方向でもいい。加工が手間になるなら中立はミィイメージの赤に統一してもらってもいいと思ってる。その辺りは、今度開く会議で纏めるつもりよ」
「分かりました」
中立の中学生くらいのプレイヤーであるリンに納得してもらった所で、一番端に置いておいた最後の装備デザインについて声をかけられた。
「この炎をバックにした白い双剣がデザインの……バッジ、ですか。これは?」
「装備の基調に左右されない、バンダナに変わる確認証よ。自分の装備を持っているものも多いので、装備品もあった方がいいでしょう。当然、ステータスも相応に拘るわ」
「あ、それが二つ目に聞きたかったことです。素材によってある程度ステータスは決まるんですけど、ステータスの最低値があれば、それによって素材も変わるので」
それは聞いたことがある。
ステータスが高ければ相応の素材が必要になる。ステータスによって素材が決まると言っていい。
「知ってるわ。上げるのはコートはSTRとVIT。ローブはINTとMP。最低でも全て+25。バッジは全員が使えるようHPとAGI。HPは+100以上。AGIは+20以上と言ったところよ」
コートは前衛向きで、弓使いにとっても命中のDEXより威力を上げるためにこの方が良いだろう。ローブはそのまま後衛特化。
バッジはHPが増えれば当然死ににくくなるし、AGIが上がれば移動速度が上がる。AGIはおまけ程度で、敏捷特化プレイヤーには使い勝手がいいだろう。HPが増えるのは単純に嬉しいし。
「二つのステータスを上げるなら、それなりに種類も量も必要ですね……」
「だが前衛後衛ともにバランスのいいステータスだろう。+25というのも、一つのステータス特化には劣るが十分だ」
「でも、それが最低基準でいいなら、素材は集めやすい物でも十分だと思うよ?量は必要になるけど」
「元々100以上も作るんです。多少量が増える程度誤差の範囲でしょう」
「バッジには【彫金】いるよね。AGIを上げられる鉱石も採取は楽だよ」
むむ……また会議が始まった。こうなると私にはどうしようもないんだけど……。いや、その前に言っておかないといけない事が一つあるんだった。
「会議するのも良いけれど、その前に一つ」
「あ、すいません」
「なんですか?」
「まだこれはデザインとして提出された草案なので、今度開く会議で正式決定するのよ。確かにそれまでに最低限必要な素材は纏めておきたいけれど、制作期間がどれだけ必要なのか、最初にかけた問いを答えてちょうだい」
「そ、そうでしたね」
「すっかり忘れてました……」
「デザインが良かったから……つい」
デザイン原案を指示したのは私だから、なんとなく気分がいいから許すけど。元から怒ってはいないしね。
それから数分。顔を突き合わせて話し合う彼らを見ている。結果として答えを示されるまで、それほど時間はかからなかった。
「これが最低基準でいいなら、三週間って所ですね。俺たちは【高速作業】っていう生産スピードを上げるだけのスキルを持っていて、これは同じ作業の繰り返しをする時に速度が上がるので、かなり早く進められます。それにデザインが統一なら、二人ずつ分担して4種類制作してもいい。それなら一人あたり15個以下で終わります」
「加えて、コートやローブを15個作るだけなら、二週間程度しか掛かりません……ただ、バッジが未知数です。【彫金】でできるでしょうが、如何せん作ったことが無い。なので、念の為一週間。計三週間の時間があれば可能かと」
「それは……最短?」
驚くべき速さだったので、さすがに驚く。演技で隠しながら、最短か最長が問うた。
「コートやローブについては最長でも二週間を少し超える程度でできます。ただ、バッジは本当に未知数です。早く済めば全体で三週間。場合によっては一ヶ月かかるかもしれません」
……最悪、バッジそのものは目立たないから後回しでもいいか。
それだけなら素材集めに一週間かかっても十分にイベントに間に合わせることができる。
「バッジは最悪イベントに間に合わなくて構わないわ。確認証代わりなのだから、現状バンダナで事足りる。コートとローブが予想以上に早くて嬉しいくらいよ。それなら今週末に会議を開き、素材集めを来週から始めてもイベントに間に合わせることができる」
「バッジは本当に遅れても良いんですか?」
「えぇ。HPが増えることに喜ぶプレイヤーは多いでしょうが、一番作業が細かいバッジを全員分用意となると、あなた達の負担が大きくなる。それは避けるわ。バッジは第二回イベントが終わった後にでも少しずつ作ってくれれば良い」
バンダナの【MP+10】も私はかなり助かっている。バッジにAGI補正を入れたのなんて半分私の希望だし。だから、バッジは私とミィが協調姿勢を持ってるという意思表示でもある。ミィ派ツキヨ派中立と別れているのではなく、これだけは全員が平等になって装備する考えで行きたい。だからこそ、生産職の彼らには拘りを見せてもらおう。
「そちらから聞きたいことはまだある?」
「いえ。後は会議の時に他のみんなで詰めてもらえれば大丈夫です。ただ、あまりに突拍子もない意見は即刻否定しますよ?」
「構わないわ。リンがデザインを褒めてくれたのだし、コレ以上に良いデザインが出ない限り決まりでしょう。あまりに生産職を思いやらないステータスを希望するなら会議からも締め出すわ」
「そ、そんな私は……」
「いや、俺もこのデザインなら作りたいって思うぜ?リーダーのイメージもサブリーダーのイメージも壊さずにキレイに纏まってる」
「ステータスもこれ以上を求めると、時間的に不可能ですからね。制作資金も跳ね上がりますし」
っと、そうだ資金についても聞くつもりだったんだった。
「そうそう忘れていたわ。その資金は、どの程度かかるかしら?」
「バッジは第二回の後で良いんですよね?」
「えぇ。コートとローブ、それぞれ一つずつの資金よ。全員で素材集めをし、同額ずつ集めるわ。もちろんあなた達からも集めることになるけれど、装備作成で最も負担の大きい生産職から多くは貰わない。他のプレイヤーの半額にするわ」
「い、いいんですか?」
「別に俺たちは出しても…」
それは私が、そして訳を言えばミィだって許さないんだなー絶対に。
「いいえ。いずれバッジ作成もしてもらうとなると、しばらくの間あなた達の生産活動は【炎帝ノ国】関連が中心になる。コートとローブは期限を設ける以上負担は大きくなる。なら、資金と素材という点だけは、その多くを他のプレイヤーが背負うべきよ。これは、ミィも同じ意見をする」
緩めていた意識を戻し、いつも通りかそれ以上に真剣かつ冷静に告げると、私の意思が伝わったのか五人とも納得してくれた。
「では、およそどの程度の資金が必要なのか教えてちょうだい」
「……そうですね……このレベルの装備は、素材の種類も量もかなり使います。現在のトッププレイヤーが使う装備の型落ちくらいでしょうか」
「だな。一式揃えるなら250万。体装備は武器の次に比重が大きいから、大体50から60万ってところじゃないか?」
「グループ装備としては最高級だろ。これだけで相当な戦力アップになる」
「コートはアーマーの素材もいるから、少し資金上がるぜ。と言っても5万くらいだが」
「逆にローブは糸、毛皮系の比較的採取しやすいモンスター素材で作れるので、5万Gくらい安くなります、よね?」
……全体を統合すると、一着の平均は高くても60万Gで収められるっていうことか。人数の増加を見込んで、既に装備を持っている人を除外して、多めに見積もって凡そ120着。金額にすれば7200万G。
「そう、ありがとう。一人あたり100万G程度ずつでもお釣りが来るのね。助かるわ」
「いえいえ。私達は事実を言っただけですから。それに、低ステータスなら一式揃えられるに近い資金額ですから、かなり高いですよ」
「生産そのものに金がかかるからな。どうしても資金だけは必要なのがいてぇわ」
100人で割ったら一人720000G。生産職の金額を半分にし、全員でカバーしても100万に届かない。これなら素材集めと並行で資金集めすれば大丈夫だと思う。
全員分の装備となるとやっぱりそのくらいは必要なんだなぁ。でも普通のプレイをしても一ヶ月もしないで貯められる額でもある。
特にグループでよレベル上げで得た素材の大半を生産職メンバーに渡すか売り払うかしているから、全員かなり持ってる……と思う。私の個人資産なんて八桁見えてるし。
「これなら後は、残りの三人に同じ説明をするのと、作成会議で皆を黙らせるだけで済むわ」
「他の生産仲間への説明なら俺らでやっとくぜ?サブリーダーは会議の準備でもしてな」
「はい。見せてもらったデザイン、どれも気に入りましたから」
「だね。赤と白の比率を同じにしたデザインも作ろうぜ。ツキヨさん、中立デザインも作った方が良いかもとか言ってたが、それ俺らでデザインさせてくれないか?基本デザインは統一して、配色のみ変えるから」
「助かるわ。それなら全員が好きなタイプを選ぶことができる上に、間を取り持つデザインも必要でしょう。……けれど、その分あなた達の負担が増えるわよ?」
流石に三パターン6種類の装備をつくるのは大変だろうと聞いたのだが、帰ってきたのは笑顔だった。
「はっ!作るなら楽しんで作った方が良いものができる。ツキヨさんならリーダー派、サブリーダー派、中立の人数を把握してるだろ?それに全員とフレンド登録をしてるから、どのデザインにするか希望を取ってもいい。むしろその辺の調整はツキヨさんの負担だぜ?」
言ってくれる……。確かにミィ派ツキヨ派、中立の人数は把握してるからおよその数は分かる。どのデザインが良いかアンケートをフレンドメッセージで送れば、数の変更も容易だ。100人分のカウントが面倒なだけで。
「……良いわ。全員分の希望を取って、素材集めの期間内にまとめてあげる。素材集めが終わったら、残りの三人を含め、働いてもらうわよ」
『はい!』
そうして翌日の【炎帝ノ国】の活動は参加でき、ミィに話して統一装備作成会議を第二層実装の前日、土曜日の夜に開くことを連絡した。
アニメで出てる【炎帝ノ国】のデザイン統一した全身装備は、流石に100人超えちゃってるから時間的に厳しそう。
第二回イベントにも山場を一つ想定してるんですが、それまでは結構グダグダするかも。
あぁ、あとツキヨちゃんに新しいスキル考えてるんですけど、それの名前が思いつかない。
そろそろ、この容姿にしたフラグ回収しないといけないのにー……
って感じで少し行き詰まってて、更新頻度が落ちるかもしれません。
同時投稿で『現実の分まで仮想世界を走り回りたいと思います。』を投稿してます。