PS極振りが友達と最強ギルドを作りたいと思います。 作:五月時雨
55話辺りまでストック有るんだけど、それも尽きたらマジで終わる。
速度特化の方も減ってるからなぁ……
「おはようミィ。よく眠れた……とは言えなそうだね」
「ぁふ……っ、おはよ、
ツキヨからミィへ、ミィからツキヨへ見張りを交代し、二日目の朝を迎えた。ツキヨは
ミィは、中途半端に2回寝ているので、まだ眠そうだった。
欠伸を噛み殺し、ツキヨを言い間違えている。
ツキヨは自分用に濃い目の紅茶を淹れつつ、目覚ましに昨日、ミィから注文のあったカフェオレを手渡す。
「ミィは寝てたから見てないだろうけど、朝日がすっごい綺麗だったよ」
「ふぅ……んんっ、そうなんだぁ……」
まだ少しうとうとしているが、カフェオレをちびちびと飲んでぼーっとしている。
「夜、何もなくて良かったような……つまんなかったような……とにかく眠気との戦いだったよぉー……ふぁあ……」
「ふふっ……そうだね。まぁ、何も無くて良かった。朝ごはん食べれそう?」
「ん。軽いのでよろしくぅー……」
「了解」
目が半開きでフラフラしてる……と寝起きに目が覚めるまで時間のかかるミィを見て笑い、顔洗ってきたら?と言うと、ミィは何を血迷ったか海にダイブした。
「わぷっ!?ちょっ!つ、月夜、助けっ……」
「……ぷっ、あははっ!ミィ何してるの?あはははっ!」
「笑ってないで助けっふわぁ!?」
「そこ浅瀬だし。モンスターも居ないから大丈夫だよー?」
冷たさに一気に目が冷めたミィが、冷静になって海から上がった頃には、朝食は完成していた。
「………助けてくれても良いのにぃ」
「手が離せなかったからね。ミィの朝ごはんが焦げてもいいなら、別だったけど」
「ずるい!それすっごいずるい!」
ジト目で苦言を呈するならば、ツキヨも相応の手段を用いただけである。
目覚めにはお味噌汁が定番だが、お味噌汁より塩辛い海にダイブしたのだから必要ないだろうと、軽めにフレンチトーストとスープである。
「そう言えば、ツキヨはあんまり睡眠時間取れてないけど……食べたら少し寝る?」
「うーん……問題ないかな。前に徹夜試した時から慣らしたし。あ、そうそう。昨日の夜、暇すぎて散歩してたら、偶然メダルを三枚見つけたよ」
「うそっ?凄い!夜にしか見つからないのとかあるのかな?あと、今夜は私が先に見張りするね」
「ふふっ、ありがとう。時間限定っていうのは、あるかもしれないね」
『散歩(という名目でプレイヤーキル)してたら』の中身がごっそり抜け落ちているが、ツキヨに言うつもりはない。
あれから少しずつ慣らしたツキヨは、
「朝からいきなり祠に行くより、森で体を動かして、万全にしてから行こうか」
「だね。ただの宝箱部屋なら良いけど、超強いモンスターが相手だったら笑えないし」
「階段を百段近く下ったからね……宝箱だけのつまんないダンジョンだったら泣けるよ」
「百段って、百メートル以上地下ってこと?」
「海底かもね?」
「うわぁ……それはそれで見たいような、見たくないような」
「見るだけなら、見てみたいね」
「モンスターがいないのを祈ってるよ」
そうして朝食を食べ終えた二人は、テントなんかの荷物をインベントリに仕舞って森に入った。
いつものツキヨが前衛、ミィが後衛のスタイルである。
「モンスターはいるけど、そんなに強くないね」
「ツキヨの【気配察知】が低かったら、もっと奇襲されたかもしれないけどね」
二人が強すぎる、ということもある。
ツキヨの高い火力と制圧力に白兵戦の強さ。
そこに、魔法使いプレイヤー最高峰の火力を持つミィが援護するのだ。
大抵のモンスターは雑魚でしかない。
「準備運動を兼ねて森に入ったけど、これなら問題ないんじゃない?」
「むしろ、準備運動にすらならないのが問題だね……」
森の木々に景色を遮られ、どこをどの程度進んでいるのかが分からなくなるが、所詮は準備運動。波の音が聞こえる範囲に留めて探索を続ける。
決して無理をせず、できるだけ余裕を残しての探索。
だからこそ、【気配察知】の範囲外から近づいてくる小さな人影に気付くことができた。
「止まって、ミィ。……誰か来る」
「プレイヤー?」
「だと思う」
まだ範囲外にいるため、仕方なくツキヨは、【遠見】で視認することにした。
「【遠見】……うわ、最悪」
「え?」
「即戦闘の可能性あり。急いで準備して」
ツキヨが知る限り、単体戦力としても集団戦力としても最高峰。
迷彩柄の装備を身に着けたAGI特化の短剣使いで、ゲーム内最速と名高い【神速】の二つ名を欲しいままにする、暗殺者のようなプレイヤー。
ミィのような単発火力ではなく、魔法使いとしてもう一つの要素。『連射』や『弾幕』といった切り口でトッププレイヤーの一角に立つ少女。
力こそパワーを地で行く脳筋。巨大な斧を振り回し、単騎で戦端を破壊する巨漢。単純にして明快だからこそ、あらゆる状況で高い地力を発揮する威丈夫。
「……ペイン、ドレッド、フレデリカ、ドラグ。
普通に不利だね……」
「うっそぉ。ないないないない……」
「泣き言を言ってる場合じゃないよ」
一人ひとりと戦えば、ミィだってペインと戦えるだけのポテンシャルは持っている。ツキヨは言わずもがな。
けれど、相手は四人。単純計算で倍の人数がいて、全員がトッププレイヤー。
「できるだけ、戦闘は避けるよ。流石にあの四人の相手はしたくない」
「この後に祠行かなきゃなんだし、消耗は避けないとね」
「向こうも……ドレッドが気付いてるね。逃げるのは無理、か」
暗殺者であり、索敵なども行っているであろうドレッドと目があった気がしたツキヨ。
というか、【遠見】越しに思いっきり視線が重なっている。どんな察知能力か。
「前回一位としては、逃げ隠れは嫌だなぁ……」
「えぇ……戦わないんじゃないの?」
「戦うつもりはないよ。向こうの出方にもよるけどね」
そうして互いに真っ直ぐに進んでいき、顔が見える程度まで近づくと、相手方の四人は様々な表情をしていた。
「やぁ、前回イベントぶりだね。ツキヨ」
ものすっごい笑顔で嬉しそうなペイン。
「うぇー……マジで【比翼】と【炎帝】かよ。だりー……」
心底ウンザリした様子のドレッド。
「いやー。私としては、同じ魔法使いの【炎帝】が気になるかなー?」
ミィに興味を示すフレデリカ。
ミィ、若干後退る。
「モンスターは雑魚ばかりだからな!こいつは骨のある相手だ」
ペインと同じくらい楽しそうなドラグ。
今ツキヨたちが一番会いたくない面子。
特に好戦的なのが三人いるのが面倒くさい。
「……悪いけれど、こちらに戦うつもりはないわ。面倒だし」
「お、やっぱり?別に戦う必要ねえんだし、俺も正直乗り気じゃないんだが……」
唯一、戦う意志が弱いドレッドが、ツキヨの言葉に若干の同意を示すものの。
「仲間が乗り気だし、運が無かったと思ってくれや」
二本の短剣を抜きつつ、交戦の意思を示した。
ツキヨの後ろでは、ミィが杖を構えている。
既に演技に入り、油断はしてないようだ。
内心では戦いたくなさそうだが。
この中で唯一得物を構えていないツキヨが、ひどく浮いて見える。
「……ペイン。
それは、ともすれば傲慢にも思える物言い。お前如きが、仲間といるだけで勝てるとでも思っているのかと。思い上がりも甚だしいと。
「ははっ、そうかな?この一ヶ月あまり、俺も強くなったんだが?」
「奇遇ね。それは私も同じ」
「無論、私もな。だが、それでも私達に戦う意志がないのは、今ここにいるのが、ダンジョン攻略の準備運動だからだ。無駄な消耗は避けたい」
「なるほど。確かにダンジョンには、できるだけベストな状態で挑みたいのは分かる」
意外にも、心底嬉しそうなペインも冷静ではあったらしい。
ちゃんと説明すれば分かってくれる――
「だが、断るよ」
―――はずも無かった。
「
「……約束?」
はて、と。ペインと何かしら約束などしただろうか。ペインと直接会ったのも、言葉を交わしたのも前回イベントが初めてで、それ以降も現在まで一度も会わなかったのだ。
だとすると、ツキヨとペインが約束を交わしたのは前回イベントの中でという事になる。が、ツキヨにその記憶はない。
「忘れたとは言わせない。見せてもらうぞ、ツキヨ。君の【烈の極】を」
「あっ―――」
思いだした。
次にあった時は、前回イベントでペインが見せた【迅の極・天照】に並ぶ奥義。
【烈の極】を見せると言った。言ってしまった。で、でも流石にこんな場所で出会うとは思わなかったし、今は状況が違う。
「ツキヨ……お前な……」
「こんな場所で、こんなに早く出会すとは思わないでしょう?正直、ここで披露っていうのはつまらないわ」
いや、こんな人気のない森の中でお披露目とかどーよ?そっちは決闘のラストなのに、こっちは誰もいないとかないない、と。呆れ返ったように首をふるツキヨ。
(やめてよ【最速】をプレイヤースキルでできるようになってから我流【烈の極】が変化しちゃってまだ調整終わってないんだよ!やめて?やめよう?そうしよう?)
めっちゃテンパってた。
【烈の極・天津風】自体は、ツキヨは既にできるようになっていた。けれど、【最速】の体技をプレイヤースキルで習得できてからその在り方が変化し、ちょっと……えげつない進化をしている。
調整が終わっていないというのはそのためだ。
「お互いメダルは持ってるのだから、ここで戦うことの益は少ないはずよ」
「あって困るものじゃないさ。それに、フレデリカは持ってないからね」
どうやっても平行線。
ツキヨは相手に引いてほしく、ペインは今にも突っ込んできそうだ。
となると、どれだけツキヨが言葉を尽くし、説得を試みても無意味。内心で『この、戦闘民族がっ!』と罵りながら、深いため息をついて剣を抜きた。
「……ツキヨの相手は俺とドレッド、ドラグでやるぞ」
「あ?過剰だろ」
「ちょっとー私の負担が増えるんだけどー?」
「それほどの相手だよ、ツキヨは」
十メートル以上ある彼我の距離でありながら、四人は警戒心剥き出しで話す。それは、ミィの魔法が届くのを知っていることもあるが、何より、ツキヨが持つ剣の本質を知っているから。
「ツキヨ……どうするの?」
「フレデリカだけを落とす。
金のメダルっていう
いつの間にか隣に並んだミィが小声で声を掛け、こちらでも作戦会議。
フレデリカ以外の三人は金のメダルを持っているため、万が一倒しメダルを手に入れれば、取り返すために余計に攻めてくる。だが、フレデリカならば金のメダルがないため、仲間を迎えに行くように仕向けることができる。
それがツキヨとミィの限度。
「でも、その前に恣意行為だけはする。それで引かないなら……だね」
「……ねぇツキヨ。私嫌な予感がするんだけど……気のせい?」
………
「何か言ってよ……」
「さて、そちらの作戦会議は済んだでしょう?」
「そちらも、済んだようだね」
ミィの言葉を無視して、戦況は進む。
「もう一度だけ聞くわ。引く気はないのね?」
「ツキヨに勝てるとは、今でも判断できちゃいない。だが――」
続く言葉は、獰猛な笑みと共に。
「我流とはいえ、我が旭日一心流を使う者にいつまでも負けるわけには行かないんでな」
それが、開戦の合図だった。
てわけで今回は短め。
面白そうな出来事は連続して起きる。
しかも偶発的に。
さぁて、変化しちゃった【天津風】って、一体どこの何なんでしょうね(白目)