PS極振りが友達と最強ギルドを作りたいと思います。 作:五月時雨
おぉ!ミィの相棒かっこいい!かわいい!
―――あれ?そう言えば第二回イベントの海皇で手に入る卵って……
この時―――
『矢木に電流走る』あるいは
『圧倒的・・・・!閃き・・・・・・・ッ!』
って言うのが、1月にあった。
思えば、これがPS特化を始めた一番最初かも。
加速したゲーム内。
プレイヤーの立ち入ることのできない空間。
そこではゲームを運営する者たちが不具合が出ないようにそれぞれイベントを管理していた。
そんな時、悲鳴にも似た叫び声が上がる。
「あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"っ!!
【海皇】が殺られた!」
一人?のぬいぐるみが叫ぶ。
その声に、部屋にいた全員が反応した。
「は?【海皇】?流石に無理だろ」
「あぁ。【銀翼】と同等の殺傷能力、胴体にしかダメージの入らない鬼畜仕様、百人のプレイヤーがいても物量で押し潰せる魚群、回復スキル、おまけに時間経過でAGIの下がり続ける海水。他にも見えない魔法や煙幕なんかの嫌がらせスキルから超火力スキルを積んだんだぞ?」
「強いて言えば防御力が比較的低めでスキルの数も【銀翼】に及ばない。だがそれはHPでカバーしてるし、まず近づくのが無理、触手がえげつなすぎてドン引きしたんだぞ?」
「これで勝てるプレイヤーいるのかって思ったから、弱体化のギミック仕込んだのに……」
口々に、それはない、不可能だと淡い期待を込める。しかし同時にそれは、不可能を可能にしてしまった少女を知っているだけに、段々と尻窄みになる。
「……誰だ?誰にやられた?」
「今、映像をだします……」
一人?のぬいぐるみが機械をいじると、一つのモニターに映像が流れる。
青い海を巨大なイカが回遊する。
相対するのは、白銀の戦乙女と赤の魔法使いの二人組である。
予想していただけに、これにはもう、彼等はため息しか出なかった。
「まぁ……だろうな。ツキヨはダメだ。不可能って言葉がアイツの辞書には載ってない」
「だが、ミィくらいは落とせたんだろ?」
「まぁ、ツキヨに比べれば普通だしな……」
「カリスマはあるけどな」
せめて、片方くらいは落とせてくれと願う中、戦闘が始まった。
「あーっそうか!ミィの機動力はAGIじゃなくてINT……【フレアアクセル】に依存してるもんな。AGIが下がったところで、ある程度は大丈夫なのか!」
「それにしても判断が的確だな…【聖流絶渦】も最高のタイミングで使ってやがる」
触手も魚も、鉄壁の渦潮を超えることができない。その中では二人が何やら話し合いをしており、渦潮が消えると同時にツキヨが海皇に突っ込んだ。
よしっ!これならミィは落ちる!と喜んだ運営。しかし直後の戦闘でその評価は大きく覆る。
「……前言撤回だ。ミィもやばい」
「なんで万はいる魚群の魔法を全部認識できてんの?なんでそんな中でツキヨのサポートも完璧にできてんの?なんで【遅延】にもセットする余裕があるんだよ!?」
「想定外だったな……全魔法使いプレイヤー中で最高峰の火力にばかり目が行ってたが、このサポート能力はツキヨの出鱈目さに匹敵するぞおい……」
「スキルじゃないんだろ?なんでこの二人はプレイヤースキルが人間の範疇にないんだよ!!」
効率よく海皇のHPを減らしていく二人。
もう【アクアエウロギア】の水中呼吸は仕方ないと割り切って、その様子を見つめると。
「おまっ、ミィここで【魔力炉】かよ!」
「持ってなかったってことは、今取得したみたいだな……うわ、フレデリカも真っ青な弾幕になってる」
「火力と弾幕を両立されたら勝ち目なくなるだろ……」
着実にHPを減らされ、遂に、海皇が最終段階に入ると、運営は嬉しそうに叫んだ。
「よし!よし良いぞ海皇!そのパワーアップで二人纏めて吹き飛ばせ!」
「HP回復すれば無限ループで二人に勝ち目はないんだ!やれ、海皇!」
段々と、海皇を応援する流れに変わっていく。
しかし、現実は無情だ。
数々の魔法と即席のシェルターで防ぎきった二人に、新たな力が目覚めてしまった。
『ここで【
全員が発狂した。
「た、確かにお前らならいつか取るだろうとは思ってたけどな!思ってたけどな!?」
「近接最強と魔法最強が混ざったらただの悪夢だろうが!」
「取得条件、見直すべきでしたね……」
「あぁ……確か、同じ『
同じレアスキルは【属魔の極者】
対を成すスキルは【炎帝】と【水君】
あとの2つは言わずもがなだ。
だから、この二人ならいつかは取れるだろうと半ば諦めていた強力なスキル。
だが、何もそんな最
そして、最後の瞬間。二人で【殺刃】を振り下ろしてクラーケンは爆散し、映像が終了した。
「い、いや。よく考えたら、ツキヨは最初から【殺刃】が使えたからな……」
「あぁ。使わなかったのはステータス減少が痛いからだな」
「それを使わせて、ミィも弱体化させて、ここまで追い詰めた海皇を、むしろ称賛するべきだな」
「だ、だがこれって【鳥】と【狼】持っていかれますよ!?」
「もう……良いだろ。ある意味では、収まるべき所に収まったと思うぞ」
「ヤバいことにはヤバいが、折角作り出したのに使われないのは、それはそれで悲しいからな」
「あぁ。【殺刃】を使用すると獲得メダル減るようにしてて良かった……これで二人にメダルスキルをもっと取られたらどうなったか……」
「【殺刃】を使った場合メダル300枚から減るから、弱体化して一度だけ復活するんだよな?」
「ん?ああ。今回は、ツキヨ達に三枚、復活後は二枚の配当だな。当然弱体化したら、スキルもモンスターの卵は出ないが」
流石に落ち着いて、いや若干無理にでも話題を変えて、冷静さを取り戻そうとする。
が。
「だぁぁぁああぁ!!嘘だろ【銀翼】もやられた!」
「そっちもか!」
そちらは、黒い鎧と青い装備の少女。
奇しくも先程の白と赤の少女と対を成す二色。
「ありえねー……ヤバイのの中で殊更ヤバい【海皇】と【銀翼】倒すとかもう何なんだよ……」
「おい、手の空いてるやつはメダルスキルのチェック入れ直せ!変な使い方が出来そうなスキルがあるか再確認だ!」
「「了解です!」」
「…………もう、あの四人がラスボスで良いかもしれん……」
「特にツキヨとメイプルな……」
「ああ……かもな」
その声には、疲れが色濃く出ていた。
特に最近、プレイヤースキルでやらかした何処ぞの白銀の影響で対応に追われ、徹夜続きの
当然、この出来事を彼女たちが知ることはないのだった。
―――
「か、勝った……」
「す……ごい疲れたぁ……寝たいぃ」
汚れた海が浄化され、魚たちもいなくなり、水中を差す太陽の光が、二人の勝利を祝福する。
AGI低下のデバフも消えて、普通に動けるようになったを
そして、勝った二人の目の前に深い青色の魔方陣が現れた。
「あ、あれ?報酬は?宝箱は!?」
何も見当たらず、ただ魔方陣があるだけ。
不思議に思った二人は、泳いで探索する、が。
「イカの触手が三本、とイカスミが入った瓶が二本……だけ」
一メートルほどの大きさがある瓶に、黒いスミが入っている。
隈なく探してもメダルも見つからず。
「仕方ない。魔方陣乗ろっか」
「これで終わりとか悲しすぎるけど……仕方ないね」
海から出れると思っていた二人は、と転移先も水中だったことに予想できなかった。
「ま、まだ続くの!?」
「ん……ん?あ、ミィ、息できる。それに【最速】のシステムアシストが切れてる」
「え?本当だ……ってことは……」
「うん、戦闘不可能な安全エリア」
「良かったぁ……」
問題なく呼吸でき、苦しくもならない。
「不思議な場所だね……」
「安全なのもあるけど、なんか落ち着く」
「二人して弱体化してるから丁度いいね」
ツキヨの言うとおり、不思議な場所だった。
二人が黙ると、泡の音だけが断続的に聞こえる青い海。
海の底にいるようで、それでいて水面に近いような。
疲れた体を休めるにはもってこいで、落ち着く青に支配されたその空間には、珊瑚に包まれるようにして青い宝箱がおいてあった。
「開けるよ」
中に入っていたのは、メダルが三枚と巻物が四つ。そして。
ミィがメダルを仕舞い込んで、ツキヨがスキルの巻物を手に取った。
「スキル名は?」
「【太古ノ海】と【神代ノ海】。それぞれ2つずつだね。水系スキルを持ってると取得できて……前者は、敵のAGIを下げる海を生み出すってさ」
「うわ……【神代ノ海】は?」
クラーケンとの戦いの再現である。
その証拠に、【AGI 10%減】の能力だった。
「多分、このエリアがモチーフなんだろうね……半径十メートル圏内にいる味方プレイヤーの攻撃に水属性の付加と、水中呼吸の可能。」
「ツキヨの【アクアエウロギア】の上位互換?」
「だね」
上位互換と言うが、【水陣】と【アクアエウロギア】を合わせたようなスキルと言えた。
「あー……やっぱり【比翼連理】でごまかした【水君】じゃだめか……」
「私は問題なく取得できるから、使いどころがあったら渡すよ」
一応まだ解除していないので試してみたものの、やはり取得できなかったミィ。
ツキヨは【アクアエウロギア】で自分と味方に水中呼吸を付与できるので、ミィも使う必要がある時には【比翼連理】で渡せばいい。
そして最後に、宝箱に入っていたそれに目を向ける。
「あとは、これだよね……」
「卵、ねぇ……」
大きさも色も違う二つの卵。
ちゃんと硬質の殻を持つ鳥類のそれであり、明らかにクラーケンのものではない。
「これ、持って帰れるんだね」
「うん、インベントリにしまうかって表示が出たし……どっちがいい?」
その質問に、ミィが笑う。こんなの、考えるまでもない。
だって、その卵の色は。
「ねぇツキヨ。私がNWOを通して貫きたいものってなーんだ?」
「質問に質問で返して悪いけど、この世界で私達それぞれを表す色って、なーんだ?」
燃えるような赤と、透き通る白銀だったから。
二人は迷わず、自分のイメージカラーを選び取った。
―――
【モンスターの卵】
温めると孵化する。
―――
「情報すくなっ!」
「少ないね……でも、もしかしてこれって、テイムできるかもよ?」
「テイム……仲間にするってこと?」
「そそ。このゲーム、サモナーとかテイマーいないし。クラーケン強かったから、特別報酬?」
「なら、メダルが少なくても仕方ないか……うん、温めてみよっか」
「だね!」
宝箱の中身を確認し終えると、二人は全身の力を抜き、水中を当てもなく漂った。
近くに魔方陣が三つあるが、そんなのどうでも良い。もう、二人は限界だった。
「あ~……疲れたぁぁぁ……っ!」
「だね……スキルのデメリットのせいで、体が重いし……」
「水中なの助かる……漂ってればいいから……」
ミィはMPが普段の四分の一にまで減り、ツキヨはそれに加えて全ステータスが半日は戻らない。
だから、こんな提案をした。
「ツキヨぉー……今日はもう、ここで休まない?」
「賛、成……外に出てもミィは魔法使えず、私は体が重い……ゆっくりしよっかぁ……」
「ツキヨのデメリット、明日の朝には切れるでしょぉー?ここならぁ…安全だしー」
「今が……あぁ、もうお昼過ぎだね。夜中にはデメリット消えるから、また明日、大急ぎで探索しよっか……」
「おー……とりあえず、ご飯食べたい……ツキヨぉ……お願ーい」
「りょーかーい……」
物凄い、ダラけることにした。
「あ、【魔力炉・負荷起動】のデメリット、あと十時間だってぇ……これなら、明日はちゃんとやれる……」
「そ、……良かったぁ……」
二人を包み込む静かな海は、今までで最も心地よい寝床だった。
海皇で手に入るのは鳥と狼。出た卵は赤と白。
さて、原作勢ならもう分かるな?原作6冊ほど早いけど、超前倒しで例の相棒が出勤だよぉー!
『思い入れ』の最後の理由はこれですね。私がPS特化を書き始めた二つ目の理由。
エーデルワイスの疑問が一つ。
ミィの相棒と海皇報酬を繋げちゃったのが一つ。この2つを最も表せたのが海皇戦だったから、個人的な思い入れが強かったです。
さて、そんな海皇戦ですが、原作じゃ弱体後しかまともに語られなかったし、拙作での本来の海皇でも示しましょうか。
まずHP。これは【銀翼】の三倍ほどですね。
代わりに防御力が【銀翼】の半分程度で、ダメージはそこそこ通ります。
また水中ということで、ツキヨたちは楽に対処しましたが、本来なら時間制限がありました。【潜水】限界という鬼畜仕様。勝てるわけない。
攻撃について。
・触手による面制圧。弱体化してない拙作では亜音速。
・不可視の設置型爆発魔法。一度の展開数は
・HP回復。十分で8割まで回復できる。回復途中でダメージを与えられるほど回復量低下。
・重突進。多重防壁を紙屑のように突き破る。
・万の魚。AGI低下、高威力魔法、高速突進の3つの攻撃をランダム使用。弱体化してないから群れの大きさが桁違い。
捌ききれるミィがおかしい。
とまぁ、弱体化後との変更点はこんな感じ。あとは原作通りです。墨も勿論吐いた。全体的なステータスが相当高くなってます。
また報酬のスキルですが、原作で『ボスが弱体化し、報酬も一部変化していた』とあったので、思い切って大幅変更。ツキヨの強化に繋がるようにしました。
運営、流石に絶対に相手を殺せる【殺刃】を使用した時は、デメリットを付けていました。メダルが半数になって、モンスターは弱体化して一度だけ復活。やったね。これでメイプルたちもメダル確保できるよ!
4日に速度特化。5日に次話を投稿します!