PS極振りが友達と最強ギルドを作りたいと思います。 作:五月時雨
速度特化も30話を超えて、我が作品ながらびっくりです。絶対エタると思ってました。
こっちのアンケート拮抗してますね……三つ巴してます。
つい先日、落第騎士の新刊を買いました。
感想は多々ありますが、一つ挙げるなら『ようやく英雄譚
理由は18巻を最後まで読めば分かります。
学園編よりも攻めた描写が多く、想像するだけで具合が悪くなりました。アニメやった学園編は、まだ平和でしたね……。
私も読者の想像力を掻き立てられるくらいの文章力が欲しいです。(切実)
そして今回はミィパート。ツキヨも出るっちゃ出るけど、久しぶりにミィメイン回です。最近ちょこちょこ出てた“あれやそれや”回収。
滝壺から続いた横穴は、すぐに上方向へと続いており、水面から顔を出すと普通の洞窟になった。どうやら、滝壺から入ることのできるだけの洞窟ダンジョンらしい。
「中は普通のダンジョンだね……水中戦は懲り懲りだから、むしろ助かるけど」
「だね……もうあんなのと戦いたくない」
言いつつも、中を進む。もう直接通話をする必要もないし、片手を塞ぐ意味もないため、手は離した。
薄暗い洞窟の中は、それほど強いモンスターはいなかった。もちろんダンジョンなだけあって地上よりは強い。
しかし、ツキヨの【ウィークネス】は弱点を見抜き、剣技は正確にそこを貫くし、ミィの火力の前では、敵の強さは誤差でしかなかった。
さして強くもないモンスターばかりで呆気にとられながらも、二人は二十分程度でボス部屋に辿り着いた。
「なんか、拍子抜け……」
「弱いよね……ボスも強くなかったり?メダルも期待できそうにないなぁ……」
一応、それでもボスなのでステータスを確認し直し、準備が整った所で扉を押し開く。
瞬間。
ボス部屋の中から渓谷以上の濃霧が発生し、一瞬にして辺りを覆い尽くす。
「ツキヨ!いる!?」
ミィの問いかけに対する反応はなく、まさか即強制戦闘に加え、濃霧による視界不良、分断まで仕込むとは。
「くっ!きゃっ!?あぁっ!」
ツキヨの焦ったような声とともに、ガキンガキンと鍔迫り合いのような音も聞こえてくる。
あのツキヨがピンチ?と、思いの外冷静にミィは音のする方に近づいていく。すると目の前に現れたのは、真っ黒な穴だった。
覗き込んでも中は見えない。おそらく、強制転移。どんだけ仕込んでるの運営……と辟易するが、今は状況を確認することが先決だと、ミィは意を決して飛び込んだ。
その先に広がっていた光景は。
体から赤いエフェクトを散らすツキヨと。
そして漆黒の鎧に全身を包み、黒い光を放つ大剣を構えた騎士だった。
「っ!【炎帝】!」
ツキヨがダメージを受けたところを見たことがないので焦ったミィは、トドメを刺そうとする黒騎士を引き離す為に魔法を放つ。
間一髪で間に合い、黒騎士を引かせたミィは、ツキヨの元に駆け寄ると無事か確認。
すぐに【聖命の水】で回復したツキヨを見て、ミィは急速に頭が冴えていくのを感じた。
それは、明確な違和感。
「……ツキヨがヘマなんて珍しいね、本当に」
「あはは……ごめん」
【炎帝】は不意打ちに近かったためかなりダメージを与えることができた。
「ま、後は私がやるからゆっくり回復してなよ」
「ごめん、そうさせてもらうね」
悔しそうに
「
地面から吹き出す炎と二つの大火球による連続攻撃をしかける。
黒騎士はミィに突進するように前進して【噴火】を躱すと、そのまま黒い光を纏う大剣を横薙に振るって火球を斬り裂いた。
「ごめん、
パチンッと指を鳴らすミィ。
「私も、昨日知ったんだけどさ。【遅延】スキルってスキル熟練度が設定されてたんだ」
ツキヨの【最速】が、内部熟練度を上げることで、いつか空気も斬れるようになるように。
ミィの【遅延】も、前日のクラーケン戦で熟練度を満たした。スキルの解説にも無く、熟練度のメーターは無いし、スキルレベルとして明確に【Ⅰ】から【Ⅹ】と決まっている訳でもないから知らなかった、新しい領域。
「と言っても、強くなるわけじゃない。ただ『【遅延】の解除式が自由設定できる』っていうだけ。……でも、結構効くでしょ?」
何故指を鳴らすのを解除式としたのか、それは発動の手間が減ったのもあるが、一番は格好いいからに他ならない。
そして黒騎士に興味を失って、ミィはどうでも良さげに最後の忠告をした。
「あぁそうだ。そこ、
突如、【炎槍】が直撃して動きを止めてしまった黒騎士の足元に、赤い魔法陣が出現。
それはつい先程躱したものと同じ。
「ツキヨに倣って、私も取ったんだよねぇ……【魔法隠蔽】を、さ」
大火力の炎が地面から立ち上り、黒騎士を焼き尽くす。ただの一度も反撃の手を許さず、ミィは黒騎士を一蹴した。
「倒したね!」
「こんなのに寝首をかかれるとか、
「だからごめんって……」
本当に、ツキヨらしくない。
ツキヨになりきれていない偽物を内心で嘆息。
「まぁいいや。本題に行こう」
「本題?」
本当に、ツキヨならありえないのだ。
あの黒く染まった海の中で、絶死の飽和攻撃を避けきったツキヨが。
HPに全くステータスポイントを振っていないツキヨが。
防御力が0のツキヨが。
「剣戟の嵐程度避けきれないのは、ツキヨらしくないよ。それに一撃で死ぬHPなのに、何で生きてるの?防御力が0なのに。
……何より」
負けず嫌いのツキヨが。
誰より信頼する親友が。
「常に私を守ろうとするツキヨが、簡単に下がるわけ無いじゃん。
“白々しいんだよ。分かりやすい”
そう笑って断言するミィに、返答は不気味な笑い声だった。
口元が大きく歪み、半月を描く。
「あは。あははっ、あはははは!【水君】!」
「【炎帝】!……だから、分かりやすいんだよ」
白けた瞳で偽ツキヨを射抜き、杖を構える。
「本物より全体的にステータスが強いのかな?じゃなきゃ【水君】で私の【炎帝】を相殺なんてできないもんね?」
「【飛翼刃】!」
左右の翼が開かれ、空間全体を斬り刻むようにミィを近づけさせない。しかし、その全てをミィは冷静な瞳で見切り、躱し続ける。
「それの扱いも下手だね?本人より鋭さがない。精密性に欠ける。直線的で読みやすい」
何より、ミィは
「ツキヨはプレイヤースキルで【最速】を修得してる。だから、【飛翼刃】で思考操作される刀身もまた、剣を振るように加速を廃して動体視力を置き去りにできる」
“でも、アナタにはそれがない”
と心底つまらなそうに呟いた。
どんなに遠距離から攻撃できるのだとしても、本物のように縦横無尽、予測不可能な動きはできていない。本物のように鋭くない。本物よりも隙だらけ。
「こんなもの。本人を間近で見てる人なら簡単に避けられる。【爆炎】!」
「くっ!……ふふっ、あはは!【水君】!」
「またそれ?」
本人よりも、確かに速いし、水の刃も大きい。
攻撃力は本人の比ではないだろう。
けれど。
「甘いんだよね」
パチンッと指を鳴らして、【飛翼刃】を躱しながら用意した数十の【ファイアボール】を浮かべる。
両側から迫る【水君】を軽くバックステップで躱すと、そのまま【ファイアボール】の雨を降らす。
―――偽ツキヨは、【白翼の双刃】で繭のように自身を包み込み、身を守っていた。
この程度、本物なら確実に当たる魔法だけを躱すか、跳ね返してくるのに。
「ほら、隙ができた」
その瞬間を、ミィは逃さない。【フレアアクセル】で懐に飛び込むと、【炎帝】や【噴火】、【爆炎】に【蒼炎】と炎を連続して叩き込む。
「【最速】!」
しかし、偽ツキヨは間一髪のところでAGIを上げ、後退してしまった。
体感した感じ、やはりツキヨ本人よりもステータスは高い。スキルも、知らないものがある。
事実ツキヨの周りには常に小さな水球が多数漂い、それが変化することで【水君】を作り出しているし、水球は地面から浮かび上がるように次々生まれている。恐らく、【水魔法】の弾切れは無いと思っていい。
それに加え、AGIも相当高い。【最速】の恩恵もあってミィの動体視力を完全に置き去りにされているし、魔法だけでは倒すに至らない。
それでも。
「本人の最大の武器が無いとか、再現度が足りないね、運営」
ツキヨを近接最強足らしめる、最大の武器。それが、運営には再現できていない。
ミィはその事に呆れと共に溜め息をすると、しかし気を取り直すように呟いた。
「………まぁいいや。本当は、もしもツキヨと戦った時の為にって思ってたし、
“偽物でも、ツキヨに変わりはないよね”
そう言って、ミィは左手を背中に回した。
「クラーケンと戦う時も
それは、どこにでもある普通の短剣。
事実、ミィはこれを二層のNPC武器屋で買った。一応耐久性が高く、一番高価なやつだが。
いつも左手の装備枠は、短剣だった。
しかし、マントで常に隠していたし、絶対に使うまいとも思っていた。
「けど、良いよね?久しぶりに、偽物とは言えツキヨと戦うんだから」
そう言って短剣をクルクルと弄ぶミィの顔は、笑っていた。杖を仕舞い、短剣一本になったミィは、余裕の笑みを崩さない。
「あはっ、【最速】!」
「クールタイム無視してるねぇ……」
剣には剣で応えるのか、ツキヨがミィの眼前に音もなく現れると、両の剣で視認不可の斬撃を放つ。
「けど、見えなくたって関係ないんだよね、これがさ」
ミィは冷静さを崩さずに短剣でいなすと、力任せに偽ツキヨを吹き飛ばした。
その後も何度も、何度も何度も何度も何度も加速を廃して斬撃を放つ偽ツキヨだが、ついには右手を口に当てて小さく欠伸しながら受け止められる。勿論、左手に携えた短剣一本で。
「悪いけど、速いのも見えないのも、
偽ツキヨは本人と違って、【最速】に振り回されている。基本的には直進しかできていないのは、一目瞭然だった。
だから、踏み込みさえ逃さなければ、後はタイミングを合わせて短剣を持っていくだけで良い。
子どもに言い聞かせるように朗々と種明かしをするミィに、偽ツキヨは大きく距離を取った。
「魔法は互角。【最速】も対応されたとなれば」
勢いよく地を蹴って、最速の一撃を見舞う。
「【フラッシング・ペレトレイター】!」
【刺突剣】最上位スキル。
クラーケンのHPも一撃で一割弱持っていった高速突進攻撃で来ると思っていた。
その姿を見たミィはあからさまに落胆。
ツキヨが得意とする、【武器防御】スキル。その、最高難易度で最強を発動する。
「【パーフェクションパリィ】!」
「がっ……っ!?」
「はぁ……来るスキル、タイミング、速さが分かってるなら、後は発動のタイミングを合わせるだけだし、私にもこれくらいできるんだよ」
当たる寸前に発動し、偽ツキヨの攻撃を無に帰した。スタンを喰らい、地に倒れ伏す偽ツキヨに、ミィはしかし、何もしない。
向けるのは、期待はずれだったという呆れ。
あるいは、哀れみすら感じていた。
本当のツキヨなら、もっと強い。速い。何よりも、上手い。
残念すぎた贋作に、ミィは声をかけた。
「確かに、ステータスは高いよ。スキルも、本人よりも数段上。だけど決定的に足りないよ……」
ツキヨとは、一度も全力で戦ったことが無い。
正確に言えば、まだツキヨがVR慣れしていなかった頃に、剣を交えたことはある。
だがそれは、別のゲームだし、本領を発揮した全力とは言えない。
だから、戦ってみたかった。
ツキヨの努力は知っているから。
ツキヨの強さを、誰より見てきたから。
ツキヨの隣に、並び立ちたいから。
その為に、【天津風】を磨いた隣で、自分は別の道を磨いた。
「でも、やっぱり偽物は偽物だね。ツキヨの最大の強さを、一ミリも再現できてない」
ツキヨの最大の武器。《
でも、それが偽物にはない。
「だから、怖くない」
ツキヨの強さの根幹が。
支えているものが、そこにはないから。
「本当の実力は発揮できてないアナタじゃ、本物に遠く及ばない。
ツキヨをコピーするなら、最初にプレイヤースキルをコピーするべきだったね」
一番大切なものが欠けているアナタは、ツキヨの偽物であることすら烏滸がましい。
冷静どころか冷徹さを孕んだ瞳で、偽物ではツキヨに及ばないと告げる。
「……ねぇ、そろそろ立ってよ。早く本物のツキヨには逢いたいけどさ。偽物には相応の末路を用意したいんだ。もうすぐスタンも切れるでしょ?」
この時、ミィは静かに怒っていた。
この程度の親友のコピーを作ったことに。
周りが聞けば、『どんだけ親友が好きなんだ』と呆れられるかもしれない。でも、この程度の残念贋作如きでツキヨを再現したと吐かす運営に、小さく腹が立っていた。
それはもう、最初から。
「いい加減さぁ……ツキヨらしさが欠片も無いんだよ、
言っておくけど、ツキヨにダメージ負わせていいのは私だけなの!ツキヨに勝つのは私!ツキヨに並び立つのも!ツキヨを超えるのも!ツキヨを支えるのも!全部私!」
……まぁ、何となく意味不明な叫びを上げているミィだが、何が言いたいかと言えば。
「偽物だからって私以外に負けてんじゃない!」
そんな、ふざけた理由だった。
ツキヨが傷つけられることに我慢ならない、ツキヨが大好きなミィらしい理由。
要は、
『弱いツキヨなんてツキヨじゃない!!』
である。ふざけてる。
もしかしたら、その根底にあるのは小学校の頃からの付き合いで、ツキヨが
『今を否定したくない』という想い、なのかもしれない。
「ねぇ……偽物でも意地を見せてよ。コピーならコピーらしく、
その声に、偽物のツキヨが起き上がる。スタンが切れたのだ。両者の距離は一メートルと無く、剣を振れば届く距離。
そこから放つのは、ツキヨが持つスキルの中でも二刀で放つ最速の五連撃。
「……偽物だけど見せてあげる。あの頃よりも成長した私を。あの時はまだ未完成だったけど。
今なら、ツキヨの最強だって受け流してみせるからさ」
本物の最強は期待していない。けれど、せめて偽物が使える最強くらいは受け流せなければ、本物の土俵になんて立てない。
「【クロワ・デュ・スュド】!」
偽ツキヨから、南十字星の名を冠した五連撃スキルが二刀で放たれる。狙いは喉、心臓、両肺、丹田。人体急所5つが、左右の剣でそれぞれ狙われる。
合計十連撃。距離も近く、回避は不可能。貫通属性を孕み、防御を無視してくるためHPは容易く吹き飛ぶ。
そんな、絶望の前で。
「やっぱり、
ミィは更に一歩、踏み出した。
―――トスッ と。
決着は一瞬。
回避も許されない高速十連。
ミィは全てをその身に受けて、全くの無傷。
対する偽ツキヨは、胸元にミィの短剣の刀身全てを呑み込み、瞬間、HPが全損した。
「………『後の先』を取るために受け流しに刃を使うと、どうしても反撃が遅くなる。それは、相手の刃を流した分、自分の刃もまた、攻めの位置から遠ざかるから」
散りゆく偽ツキヨだった粒子に、ぽつりぽつりと語る。
「ツキヨの攻撃は速すぎて、受け流しに刃を使っても間に合わない。なら、どうするか。その答えが、これだよ」
刃を攻めの位置から動かさず、敵の凶刃を受け流せばいい。
「全てを感じ取ることで、僅かな体捌きだけで受け流す無双の構え。ツキヨが【天津風】を、【八岐大蛇】を目標としたように、私が身につけた剣術。その奥義」
―――綾辻一刀流最終奥義 《天衣無縫》
「昔は二刀【蛇咬】の瞬間八連撃しか流せなかったけど、今は二刀【八岐大蛇】も流してみせる。
………私が目指すのは
地面に転がるメダルを拾い、ミィは悠然と立ち去った。
タイトル別名『ミィの無双』
ミィ『モンスター程度に殺られるツキヨなんてツキヨじゃない!正体現せ!』
偽『んなばかな……』
ミィ『本物より高ステータス?プレイヤースキルを完全コピーしてから出直しなよ!』
だいたいこんな感じ。
ツキヨに勝つなら息をするように《天衣無縫》を使えなきゃ(白目
落第騎士の新刊読んでミィの強化の目処も立ったし、もうこの二人で良いんじゃないかな…。
ここでの【クロワ・デュ・スュド】はダンタリオンの劣化です。原作のは瞬間五連撃ですが、ここではそこまで速くない。あくまでも高速五連撃なので、余裕を持って対処できました。
さてアンケートですが、こちらも次話投稿を投票期限とします。
また要望として作中でちょくちょく触れていた、ミィとツキヨがやっていた昔のゲームについてを書いてほしいってのがありましたが、それは時期をみて閑話的に書く予定です。
ほら、原作でもメイプルとサリーが別ゲー触れてるでしょ?あんな感じで。
ので、アンケート内容は変わりません。
三つが拮抗してるんですが、速度特化で2つ書くのを考えると、こちらも二つが限界です。三つの中で一番低いのに投票した方、ごめんなさい。あと最初から切り捨てられた4つ目の人も。
19日に速度特化。20日に次話投稿します。
速度特化に乗じたss題材アンケート
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ツキヨとミィの百合展開
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ペインの告白が成功したら
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【炎帝ノ国】でのあれこれ(内政パート)
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速度特化のハクヨウと姉妹(ツキヨ視点)
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ssいらないから投稿頻度上げて!