PS極振りが友達と最強ギルドを作りたいと思います。   作:五月時雨

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 過去最短話
 本当は今話から【炎帝ノ国】としてのイベント後半を始めるつもりだったんですが、それだと今話が一万字超えそうだったんで区切りました。
 興が乗らなかったし、気紛れssを書きたい衝動に駆られて執筆時間取れなかった。

 


PS特化と合流

 

 翌朝。

 夜のうちに廃村を出て進み続けたツキヨとミィは、途中仮眠を挟みつつ、朝には広大な平原を進んでいた。

 

「晴れてるねぇ……」

「風が涼しい……」

 

 朝の澄んだ冷たい空気の中、散歩の様にゆっくりと歩いていく。

 空にはイグニスが飛び、足物では真火水がとてとてとついて来る。

 モンスターであっても、朝のなんとも言えない清涼感は好ましいらしい。

 

「集合地点は?」

「あと数時間って所かな?このペースでも昼前には着くと思うよ」

「何にもない平原っていうのは、少し気が滅入るけどね」

「そんなこと無いよ?ほらあそこ」

 

 指差す方向には、ラプトルのような小型恐竜を、更に小型にしたようなモンスター。サイズはゴブリンと同じくらいで、ツキヨ達の腰程しかないが、紛れもなく恐竜だった。しかし頭に小さく可憐な花を生やしているが……。

 

「おぉっ恐竜だ!子どもかな!?」

「子どものモンスターは真火水たちしか見たことないけど……多分あれで通常サイズだよ」

 

 少し大きめで、手足が細長いイグアナのようにも見えるそれは、ツキヨとミィの声に反応して襲いかかってくる。合わせてタンポポに似た花がふりふりと動く。かつてないシュールさだった。

 瞬間、ピィィィィイイイ……という甲高い鳴き声がラプトル(小)から放たれると、平原の向こうから土煙が迫ってきた。

 

「……ねぇ、ツキヨ」

「……ラプトル(小) は なかま を よんだ」

「ふざけてないで倒すよ!?」

 

 遠くの群れは後でいいとして、まずは先鋒のラプトル。小さな体躯に似合わない大きな鉤爪で、『シャァァアア!!』と襲いかかってくる。

 

「ほいっ【炎槍】」

 

 ミィの背後から炎の槍が出現し、一直線にラプトル目掛けて飛翔。あっさりと突き刺さってそのまま貫通。ラプトルは直後に粒子に変わったが、ひらりと花が地面に落ちた。

 

「……ドロップ?」

「にしては、妙だね」

 

 考察してもいいが、今はモンスターが迫ってきているので、考えるのは後にする。

 モンスターの群れは円上に広がり包囲しようとするが、ツキヨはミィを促して現場を離脱。数が異様に多いので、、少しでも有利になるように移動するのだ。

 そうして走り抜け、身の丈はある長草を抜けた先には、体長1メートル強の爬虫類。先鋒より一回りは大きいラプトル系のモンスターがいた。

 頭から色とりどりの花をひらひらと咲かせて。

 

「……かわいい」

「……流行りなの?」

 

 ミィが思わずほっこり。モンスターの体躯さえ見なければ、きれいなお花畑である。

 ツキヨはシリアスブレイカーなモンスターに字止を向けつつ、思わずありえない言葉を呟いた。

 

 対するラプトル達は、先鋒ラプトルと同様に『花なんて知らんわぁぁ!!』と言いたげな形相で獰猛に迫りくる。臨戦態勢だ。花はゆらゆら、ふりふりしているが……。

 

「シャァァアア!!」

 

 ラプトルが、花に注目して立ち尽くす二人に飛びかかる。咄嗟にツキヨはミィを抱き上げ。

 

「【跳躍】!【鉄砲水】!」

 

 【跳躍】でラプトルの頭上スレスレを通り抜けると、そのまま試しに【鉄砲水】で頭とチューリップを撃ち抜いてみた。

 ズバッ!という音と共に、チューリップが四散する。

 ラプトルは一瞬ビクンと痙攣したかと思うと、着地に失敗してもんどり打った。シーンと辺りが静寂に包まれる。思わず、他のラプトルも動きを止めていた。

 

「……生きてる、よね?」

「消えてないし……生きてはいるけど」

 

 ツキヨの見立てどおり、ピクピク痙攣した後にラプトルはムクっと起き上がり、辺りを見渡し始めた。そして見つける、地面に落ちたチューリップ。

 ラプトルは機敏な動きで歩み寄ると、親の敵と言わんばかりにチューリップを踏みつけ始めた。

 

「……なにあれ?」

「私が知りたい……」

 

 一頻り踏みつけて満足したラプトルが、『ふぃ〜、いい仕事した!』とでも言いたげに『キュルル〜!』と鳴く。そして、ふと気が付いたようにツキヨの方へ顔を向けてビクッとする。

 そしてすぐに、『ひゃー!お助けー!』と言わんばかりに逃げていった。

 

「……なにいまの?」

「私も知りたい……」

 

 不思議な静寂が辺りを支配する。が、

 

「「「「シャァァアア!!」」」」

 

「そう言えば、まだいたね!?」

「取り敢えず、倒そっか」

「うん!」

 

 それから二人は、なんとなく花を狙って攻撃を始めた。ミィは【ファイアボール】で、ツキヨは剣でギリギリを斬り裂き、ラプトルには【体術】の【当て身】で少しの間気絶させる。

 

 

 

 

 数十体からなる群れは、数分で討伐?され。

 

「………やっぱり、こうなるんだ」

「ほんと、何なのこれ……」

 

 辺りには花を踏みつけた後、満足げに『キュルキュル』鳴くラプトルの光景が広がっていた。

 そして、ツキヨ達を見て逃げ出すまでがワンセット。本当になんだこれ。

 一先ずラプトルの群れは片付いたので、一時休憩しようとして。

 

「ミィ、また来た」

「またぁ……?」

 「ちょっと不味い。全周を囲むように来てる。数倍いるよ」

 

 うへぇ……と面倒という気持ちを隠そうとしないミィに、ツキヨが明らかにおかしいと指摘する。

 

「統率の取れたモンスターはいるし、通常モンスターとしては普通だけど、まるで考えなしの特攻一辺倒だと妙だね……もしかして」

「………寄生?」

「ミィもそう思う?」

 

 寄生なら、媒体は花だろう。異様すぎるもの。

 

「なら、本体を潰すしかないね」

「本体がいるエリアから外れるって手もあるよ?」

「このまま逃げ続けるのも面倒だし、方向が逆だった時だけ逃げるってのは?」

「良いね」

 

 真逆なら、流石に深追いは面倒すぎる。そのため、離脱優先の討伐をすることにした。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 離脱優先なので、ラプトルの討伐は最低限。【AGI】的にもツキヨとミィならば逃げ切ることができるため、囲まれたときだけ対処していた。

 

「このままじゃキリないんだけど!?」

「数が多すぎる……っ」

 

 これまでに対処したラプトルを見る限り、ラプトル達は本来ノンアクティブモンスター。

 プレイヤー側から襲わなければ、温厚なタイプのモンスターだ。今は操られているが、それを倒すのは忍びないと、二人して逃げ惑う。

 

「できればやりたくないんだけど……」

「多すぎるしね。一掃しよう」

 

 今二人を追いかけるラプトルは百。明らかに、今向かっている方角に()()()()()()()ように動いているのも鑑みて、この方角に本体がいると判断し、一掃することにした。

 

「【飛翼刃】!」

 

 ツキヨが【白翼の双刃】を最大伸長させて左右から中央へ。ハサミを閉じるように両サイドから斬り裂き。

 ミィがパチンッと指を鳴らして、百の【ファイアボール】が流星のごとく降り注ぎ、中央から蹂躙する。

 

 生き残ったのは、僅か数体。その程度なら逃げるか、すぐに仕留められると判断し―――

 

「【ホーリーランス】!」

 

 聞き覚えのある、温和な女性の声が響いた。

 続いて。

 

「【崩剣】!」

「【ダブルスラッシュ】!」

「【疾風突き】!」

 

 特徴的すぎる宙に浮く十の剣と、双剣使い、黄槍を構えたプレイヤーのスキルが輝く。

 

 

 

 

 

「よう、四日ぶりか?ツキヨ様よ?」

「………ウォーレン」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「進んでいたら、俺たちも大量のモンスターに追いかけられてな。討伐こそしたが、如何せん多すぎたため、撤退戦をしていたら、ミィ様の炎が見えたんでな。急ぎ駆けつけたって訳さ」

「よく分かったわね」

「アンタのスキルも見えたからな。何だありゃ?あんな長かったか?」

「私もまだまだ成長しているだけよ」

「うへぇ……」

 

 『まだ強くなるのかよ……』という視線を向けられるツキヨ。だが、情報共有は欠かさない。

 

「あのラプトルは花を媒介に寄生されていることはわかるわね?」

「あぁ。尤も、運営のお巫山戯かもしれんが」

「花を落とした途端、ノンアクティブになった」

「確定だな。対処は?」

「殲滅」

「居場所の検討は?」

「一箇所」

「他に寄生媒体は?」

「無し。花のみよ」

「………なら良いや。ご指示をお願いするぜ。やっぱリーダーより、手足として動いた方が俺には向いてる」

「そう?」

 

 トントン拍子に進む会話。なされているのは、直径十メートル、高さ五メートルほどで【白翼の双刃】が結界を作り、高速回転することでラプトルなどのモンスターを一切合切斬り刻んでいるからだ。外は殺戮の嵐である。

 一時的に、かつ強引な方法で安全圏を作り出すのは、ツキヨの得意分野だ。

 一応この話し合いには、ツキヨとウォーレン以外の全員も参加しているのだが、二人でトントン拍子に進むものだから割り込む隙がない。

 

「んんっ、話は纏まったのか?」

「えぇ……ウォーレン」

「はいよ。……結論から言えば、放置すれば他の【炎帝ノ国】のメンバーが集まるのに支障をきたすため、対処は殲滅となります。敵の居所は、複数いる場合は一気に叩くために分散しようとも思いましたが、一箇所との事なので、我々のパーティーをミィ様達のパーティーに吸収合併し、確実に対処に当たります。またこの事から、ほぼ確実にダンジョンであると予想されますが、外に寄生モンスターを放つのを見ると、ボス部屋だけの小ダンジョンか、あるいは現在地周辺一体がダンジョンの一部と考えるべきでしょう。相手は植物系のモンスターで直接戦闘力は低い。しかし、寄生媒体が花であることから種、あるいは花粉を植え付けるなど予想されます。以上……満足か?」

「えぇ。ご苦労さま」

 

 やおら立ち上がり、ツキヨとの短い問答の結果を共有するウォーレン。

 その姿は堂々としており、完全に秘書だった。

 

「……あの会話で、それだけ話したのか?」

「え?えぇ」

「凄いですね」

「俺は情報を伝えられただけだが」

「……悪いわね。どうもウォーレンとの連絡が慣れていて、皆を考慮に入れていなかったわ」

「アンタの連絡は端的だからな。できればもう少し詳しく聞きたいが」

「その前に察するでしょうに」

「そうせざるを得ないんだっつの」

「情報共有が問題なくできているなら、詳細を話す話さないは些細なことよ。第一、私は【飛翼刃】の操作に思考を割いている」

 

 常時刀身を流動的に操作しているため、そちらに思考を優先する必要があり、端的な言葉になるのも仕方ないのだと言い包めたツキヨに呆れ顔のウォーレンだった。

 対するツキヨは満足げに微笑んでいる。

 まるで全てツキヨの掌の上で転がされているような錯覚をしたウォーレンだが、いつもの事と割りきった。

 

「正直、集合地点と現在地の距離はかなり広いわ。かなりの確率で、集合地点はモンスターの範囲から離れているでしょうね」

「だが……あれだけ追い回されて、しっぽを巻いて逃げるのは癪だな?」

「えぇ」

 

 襲い来る火の粉は払う。それも、徹底的に。

 それが【炎帝】様と、ツキヨの判断だった。

 

 

 




 
補足1
 今話のラプトルをどっかで見たことある人、間違いじゃありません。パクりました。お花綺麗よね、下の恐竜さえ見なければ。
 目的は、いきなり全体合流するよりも、まず『幹部候補』と合流したかったのと、例のあれをツキヨとミィでやりたかった。

その2
 原作でカナデやカスミに、メイプル達が『イベント内でパーティー組まない?』的なお誘いをしていたので、パーティーの再編成は可能って設定。
 なお、死に戻りしたら自動でパーティーから外れて、初期位置に戻ります。

その3
 ウォーレンさん完全に秘書化。
 演技のツキヨに付き合ってたら、こういう面でも飛躍的に成長中。素のツキヨは知らないが、サブリーダーとしての顔が演技だとは知ってるから、『自分もやろ〜』的なノリで楽しんでる。


 次回には寄生ラプトルを片付けて、【炎帝ノ国】として全体合流できるかな。
 PS特化は、()()()()()()みたいなものだし、早く第二回イベントを終わらせてギルド立ち上げないとね。
 序章で100話超えないのを祈るばかりです。

 28日に速度特化。29日に次話を。
 そして30日に気紛れss第一弾を、速度特化のssと同時投稿します!
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