PS極振りが友達と最強ギルドを作りたいと思います。 作:五月時雨
やっぱメイプルがクロムと出会ったように、ツキヨも誰かしら出会わないとね
「おぉ!私が昨日一日ログインできなかっただけで、随分とかっこよくなったねぇミィさんや?」
「えへへ……良いでしょ、これ!」
一日開けた土曜日。ツキヨが朝からログインすると、ミィの姿は見違えるほど変わっていた。
黒いファーの着いた真紅のマントに、それに合わせたような赤を基調とした衣服。白いショートブーツに白と赤のアームカバー。更にルビーのような宝石がついた
見事に赤で統一された、炎の魔法使いだった。
「しかもねぇー、ツキヨには教えてあげる!」
それから始まったのは、昨日どんなことがあって、どんな経緯で、どんなスキルを手に入れたのか。
まるで新しい玩具を買ってもらった子どものように、ニコニコとウキウキとしながら話すミィ。
そんなミィを眺め、ツキヨはといえば
(うちの子が可愛い……)
なんか、目覚めかけていた。
ミィが可愛いのだ。今までで一番笑顔で、ずっと楽しそうなミィが可愛いのだ。ゴブリン王との戦いではっちゃけたミィとか見てみたいとか。愛でたいとか可愛いとか撫でたいとか可愛いとかとかとか。
「ちょっ、いきなり何ツキヨ?」
「ハッ!ミィが可愛くて、つい」
つい、で本当に撫でてしまった。
が、それで一度話が途切れると、今度は装備そのものの話になった。
「私の装備、ユニークシリーズって言うんだって。なんでも、1ダンジョンに一つだけ。初挑戦でソロ討伐した時の特別報酬で、プレイヤーにあったステータス、スキルが手に入ることがあるみたい。しかも他人には譲渡できないから、PKされても装備は落ちない」
「へぇ?」
「しかもね、ツキヨ。ちょーっと顔を近づけて」
「?良いけど…まだあるの?」
そういうや、街中なため周囲にはバレないように、ミィは自身の装備のスキル欄を見せてきた。
―――
『火焔のマント』
【INT +20】【VIT +8】【破壊不可】
―――
「ちょっ、これ…!」
「うん、ユニークシリーズは絶対に壊れない」
「プレイヤーメイドの装備とか要らなくなるね」
耐久値を気にしての戦闘をしなくて良くなるのは、ユニークシリーズならではだろう。
どんな装備でも、その殆どが耐久値が設定してある。表に出回っている情報の中で耐久値の設定が無いと分かっているのは、初期装備だけだ。
そんな中でユニークシリーズは異彩を放つ。ツキヨのような前衛なら、武器の損耗、大盾などの
「これは…装備ステータスはなるべく隠蔽しないとね……?」
「分かってるよ。ネットゲーマーの嫉妬は怖いからねー」
あっけらかんと宣うミィに、ちょっとした意地悪をしたくなったツキヨ。
「ちなみに今、私も先を越されたことに嫉妬してるって言ったら?」
「えー?ツキヨもどこかダンジョンをアタックすればいいと思うよ?ツキヨが本気を出せば多分今の私でも勝てないし、大抵のことはなんとかなるでしょ」
「流石に全体攻撃は避けきれないかな…」
これである。
ツキヨの生まれ持っての才能は、彼女の回避能力、攻撃能力に大きく影響している。この才能がなければ、『全ての攻撃を弱点に当てる』なんて芸当は不可能だろう。
「私もミィみたいに、未発見のダンジョンとか踏破したいなー」
「欲張りめ」
「「………あはは!」」
そんなこんなあって、現状を説明したミィは、まだスキルの確認をしていないことを告げる。
「私まだ【炎帝】の確認してないんだ」
「あれ?そうなんだ?」
「その…さ、最初はツキヨとやりたかったの!悪い!?」
「うちの子が可愛くて辛い」
頬を薄っすらと赤くしながら、恥ずかしそうにツンデレるミィに、ツキヨが壊れた。
「うぅ…ほら!早く行くよ!」
しまいにはツキヨの手を引き、強引に街の外に向かっていくミィだった。
(ミィ、相当嬉しかったんだろうなぁ……)
ログインしてから終始笑顔のミィに、ツキヨはそんなことを思いつつ。
「ひ、引っ張らなくてもちゃんと歩くから!というかミィの方が【AGI】低いんだからねぇ!?」
――――――
ミィめ…いきなり引っ張るからバランス崩しそうになったよ全く。まぁ私の反射速度のお陰で立て直したけどさ。
「レアスキルだから、人のいない森の奥の方がいいんじゃない?」
「だね。じゃあ競争しようよ競争!どっちが先に着くかさ」
ミィは【AGI】が低めになっている。それは、機動力は【フレアアクセル】で十分にカバーできるからなのだが。
「ミィさ、【フレアアクセル】を使った上で、この前私に負けたよね?」
「ふふん!一昨日までの私とは一味違うのを見せてあげる」
あぁ…なるほど。【炎帝】なんてスキルなだけあって、【火魔法】の強化も含んでるのかな?
「じゃあミィがどれだけ強くなったか見せてもらうよ?」
言いながら、足元の小石を拾う。よくあるスタートの合図だ。
真上に軽く石を投げ、重力に従って落下する。
………今日は、ミィに合わせるか。
私が石が地面についたと認識した時、ミィは
だから石ではなく、ミィに合わせる。
ミィの口が開き、【フレアアクセル】の魔法を発現させる瞬間、私も地を蹴った。
「【フレアアクセル】!」
「ふっ!」
瞬間。
ズシャァァァアアア………とでも効果音が付きそうなヘッドスライディングを決めた友人。
「…………は?」
いや訳が分からない。ミィ、なに【フレアアクセル】を初めて使った時みたいなアホ可愛い挙動してるわけ。あの時も初めてはヘッドスライディングしたよね?何、焼き増し?……あ、でも移動距離が倍以上に伸びてる。ってことは加速力が相当上がってるんだ。
なんて考えてたら、ミィが恥ずかしさでプルプルしだした。可愛い。
「うぅ…どぅしてこんなことにぃ……」
顔を赤くして半泣きになってる。可愛い。
「ミ、ミィ……?」
「…今のは失敗じゃなくて…【炎帝】の効果が高すぎて今までの制御ができなかっただけだからね」
「ほらほら泣きやんでー?大丈夫大丈夫」
「………うぇぇぇええ…ツキヨぉぉ……」
あぁ、ついにガチ泣き……可愛い。
結構人いるもんね?変なものを見る目向けてきたけど、大丈夫。顔覚えたから通知にあった第一回イベントで報復しよう?
「ほーら、一ヶ月後の第一回イベントで周りの人焼き尽くして報復しよう?そうすれば大丈夫」
「すん……ひうっ……ツキヨがさらっと怖い。……けど、そうする…」
あ、周りの人が思いっきり顔逸らした。良かったね、レア装備見られないように店売りのフーデットケープかぶってて。顔見られてないから一方的な報復ができるよ。
「そろそろ泣きやんで、森に行こ?」
街中とは逆に、今度は私が手を引いて。
見た目は強くて凛々しいのにとっても可愛い親友を慰めながら、森に向かって歩き出した。
――――――
一ヶ月後に第一回イベントが開催されるという通知が来た。詳しい内容は時期が迫ったら追って通知されるそうだが、
その点で言えば、ミィはレベリングに専念すればいいと思えるレアスキルにレア装備を手に入れた。
森の中でツキヨに見せながら確認したそれは、元々高かった火力を更に押し上げ、現実なら自然破壊というか森林火災レベルの攻撃だった。
ミィとパーティを組んでいるツキヨに直接的なダメージはないが、森林火災が起きれば間接的にダメージを受ける。流石に避けきれないのでミィに自重してもらった。
(ミィ、強いなぁ……)
NWO内でおそらくトップクラスになるだろう殲滅力。それを目の当たりにして、ツキヨも強くなりたいと願う。
「ミィはなんかもう、トッププレイヤーの一角って感じだね」
「えへへ…。あとはできるだけレベルを上げて、イベントに備えるつもり」
「そっか。これは私も負けてらんないなー!」
「いやツキヨには今でも勝てる気がしないよ…」
ツキヨとしては、生まれつきの反射速度はどうしようもないものである。しかし、それでも躱しきれない広範囲の殲滅力をミィは持っている。
だから、ツキヨも本気でイベントまで取り組むことにした。
「装備とスキル、それにレベル。私は足りないものだらけだからね」
「………装備資金集め、手伝おうか?私はレベリングしかしないし」
ツキヨがこれからやることに、ミィは検討が付いたのだろう。装備資金を集め、レベルを上げ、レアスキルを取ってミィに追いつく。どれも一筋縄ではいかないことだらけ。それを感じ取って、ミィは手伝うと言ったのだが、それはツキヨのプライドが許さない。
「いーや、ミィは一人で見つけたんだから、私も一人でやってみたいな。パーティ組んでるけど、ソロ攻略っていうのも楽しみたい」
ログイン初日からパーティを組んでるので、たまには別々にやるのも良いだろうとツキヨは言う。
「それに、完成した装備を見せて、ミィを驚かせたいからねっ?」
「そういうことなら、分かった。………でーも!あんまり遅いと勝手に手伝っちゃうからね?」
ツキヨの意思を汲んで、ミィはしばらくソロでやることに了承した。が、時間がかかるなら勝手に手伝うと約束を取り付ける。
「あはは!なら、急いで強くならなきゃ」
――――――
ミィと別れた後、一度街に戻った私は、先程までいた西の森と逆方向。東の樹海を中心にレベル上げをしていた。
「今のレベルが20。ゲーム内最高レベルは、確か42か…」
第一回イベントまでには、最高レベルは50近くまで上がると思う。最低でもレベル40は欲しい。
「まだしばらくポイントは振らなくて良いかな」
レベル12になった時の5ポイントだけMPに全振りし、今のステータスをキープしている。
―――
ツキヨ
Lv20 HP35/35 MP121/121〈+10〉
【STR 15】 【VIT 0】
【AGI 40〈+10〉】 【DEX 60〈+25〉】
【INT 15】
装備
頭 【空欄】 体 【空欄】
右手 【初心者の双剣】左手【初心者の双剣】
足 【空欄】 靴 【魔法の靴】
装備品【空欄】
【空欄】
【空欄】
ステータスポイント 25
スキル
【スラッシュ】【ダブルスラッシュ】【疾風斬り】
【ダウンブレイド】【パワースラッシュ】【スイッチアタック】
【ウォーターボール】【ウォーターウォール】【ウォーターブレイド】【鉄砲水】
【パリィ】【クロスガード】【リフレクトパリィ】【パーフェクションパリィ】
【状態異常攻撃Ⅲ】【連撃強化小】【精密性強化中】【体術Ⅲ】【MPカット小】【MP強化小】【MP回復速度強化Ⅲ】【双剣の心得Ⅳ】【連撃剣Ⅲ】【挑発】【精密機械】【魔法の心得Ⅲ】【水魔法Ⅳ】【跳躍Ⅱ】【武器防御Ⅳ】【耐久値上昇小】
―――
「スキルもそれなりに揃ったし……というかスキルの技多すぎてわけ分かんなくなるわね……」
こんなに多くても、実際に使うのなんて極一部なのに…。【武器防御】なんて殆ど【パーフェクションパリィ】で十分だ。【クロスガード】なんて使ったこともない。
「さて、スキルの確認はこのくらいにして、戦いますか」
今いる樹海は、適正レベル30の私にとっては格上しかいないエリア。でも今の適正レベルのエリアでは物足りないので、こちらに来た。
目を閉じて、深呼吸をする。
いつもの意識を切り替えるルーティーン。
別に、オンオフできるようになった訳じゃない。取り入れてしまう情報量を
だから意識を向ける対象にはいつも通りの反射速度を持っていると言えるし、意識の外側に追いやった対象に対しては、酷く鈍感になってしまった。
このルーティーンは、その意識を戻すもの。
捉える情報の全てを処理し、総てを解し、すべてに対応する。
「………来たわね」
飛び出してくるのは、西の森にもいた狼。ただし体格は二周りも大きく、力強く、速い。
噛みつきに来る牙の一本一本も、視線も。
私を捕らえんとする爪のタイミングも。
右で【パリィ】、魔法でトドメを刺すかな。
そんなことを考える余裕もある。
なのに
「危ない!」
ちょっ、私今攻撃弾こうとしてたんだけど!?
【パリィ】はもう発動してる。むしろ私に背を向けてるこの人を斬ってしまうだろう。
即座に【パリィ】をキャンセル。普通ならキャンセルすら間に合わず、この双剣使いの男の人を斬ってしまう。私の反射速度だからこそキャンセルが間に合う。
「邪魔よ」
割り込まれたのは釈然としないので、思わず口に出してしまった暴言。しかし撤回はしなくても良いだろう。事実、高い【AGI】を活かして男性のすぐ右をターンして前に出る。
狼との距離はほぼゼロ。
「【ダブルブレイド】」
狙うのは喉と突き出される右前足の関節。
スキルであるが故に多少動きに制限はかかるが、狙ってやれないことはない。
双剣は狙い違わずに狼の喉と関節を斬り裂き、ダメージエフェクトを散らしながら吹き飛ばす。
これら全てが、常人の反射速度を置き去りにした刹那の時間で行われた。
「え?……は!いや、今のは……はぁ!?」
「邪魔なんで、下がってもらって良いですか?」
「あ……は、はい」
数分後、狼はポリゴンとなって散っていった。
というわけでミィもユニークです。
とはいえデザインは原作ミィと同じです。
てかずっと装備変わらない人って皆ユニークなんじゃない?って思う。ペインもドレッドもフレデリカも変わんないし。
クロムですらトッププレイヤーって言われてるのに途中で装備変わるんだから、変えないのって壊れなくて優良装備だからじゃないかな?
ヴィトさんはオリキャラ。
双剣使いでそれなりの実力者だったりします。メイプルにとってのクロム的立ち位置を目指す。
感想、評価が貰えるとモチベーションに繋がって毎日投稿が継続できそう。
明日も投稿を予定してますが、明日から投稿時間を0時から1時に変更します。