蒼の反逆   作:街灯

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ライの誕生日記念ってことで長編とは関係のない番外編です。短めです。


TurnEX 誕生日

「誕生日はどうやって決めるものだろうか」

「…それは哲学的な問いかけか?」

 

 クラブハウスにて、ルルーシュとチェスの勝負の最中にライはそう問いかけた。

 

「ミレイさんが僕の誕生日を自分で選ぶようにってさ」

「会長らしいな」

 

 ライの誕生日は依然記憶の戻らないライに分かるはずもない。せめてもとミレイはライに自分の誕生日を決めるように催促したのだ。

 

「それで?候補はあるのか?」

「それがいざ自分の誕生日を決めるとなると何も思いつかないんだ」

「まあ、それが普通だろうな。俺も自分の誕生日について深く考えたことはない」

「ルルーシュは12月生まれだったね」

「ああ。俺の生まれた日は大雪だったそうだ」

 

 だからどうということはないが。とルルーシュは言葉を続ける。

 

「やはり誕生日には記録的な日がいいんじゃないか?」

「記録的な日か」

「ああ。その方が覚えやすいしな」

 

 しばしライは考え始める。自分の記録的な日とは?

 

「最近で言えば…男女逆転祭りか」

「却下だな」

「…うん、そうだね」

 

 男女逆転祭り。会長の気まぐれで起きたその出来事はライとルルーシュに大きな遺恨を残す結果となった。

 

「自分の誕生日にあんな思い出わざわざ思い出したくもない」

「全くその通りだ」

「二人とも似合っていたがな。もったいないことをしたな」

「C.C.冗談にも限度があるぞ」

 

 ライとルルーシュの会話に割って入ったのはルルーシュのベットで呑気にくつろいでいたC.C.だ。

 

「ただの素直な感想だ。何人かの生徒は真面目に惚れ込んでいたぞ?」

 

 C.C.の言葉に二人は思わず背筋が寒くなる。

 

「もうその話はいいだろう」

「それで?C.C.は誕生日に相応しい日を知っているのか?」

「そんなこと私が知るか。ただ、そういう時は始まりに帰ってみるものだ」

「初心わするべからず。か?」

「そんなとこだ」

 

 C.C.の言葉は適当なようで核心をついている。

 

「心あたりがあるのか?」

「ああ。僕が初めてこの学園に来た場所にいってみようと思う」

 

 ライがアッシュフォード学園に初めて来たその時、渡り廊下の隅で気絶した。

 

「そうか。誕生日が決まったら教えてくれ」

「もちろんだとも」

 

 そう言ってライはルルーシュの部屋を後にした。

 

────────────────────────

 

「さて、この場所で僕は気絶してたんだよな」

 

 ライは自分が見つかった渡り廊下に来て考え事をしていた。即ち、自分の誕生日に相応しい日はいつなのかを。

 

「こうして、ここに倒れていたんだ」

 

 ライは渡り廊下の茂みで横になる。見上げた空は綺麗な夕焼けが広がっていた。

 

「何してるの?」

 

 横たわるライの顔を覗き込んだのはカレンだった。

 

「自分の誕生日を考えてる」

「誕生日を?」

「ミレイさんが僕の誕生日を自分で決めろって」

「会長らしいわね」

 

 そう言って笑うカレンの顔をライは眺めていた。

 

「カレンはどんな日が誕生日に相応しいと思う?」

「誕生日に相応しい日といえば、やっぱり幸せな日じゃない?」

「幸せな日…」

「自分の誕生日ぐらい幸せであって欲しいもの」

 

 ライは自分にとっての幸せについて考え始める。そしてそれは、そう遠くないところにあることに気付いた。

 

「なんか、分かったかもしれない」

「え?」

「誕生日、決められそうだ」

「そう、それはよかった」

「ところでミレイさんがどこにいるか知らないか?」

「会長ならこの先の礼拝堂よ。さっきすれ違ったばっかり」

「ありがとう」

 

 そう言ってライはミレイの元へと歩みだす。その時のライの表情がやけに晴れやかで、カレンにはなんとなくそれが嬉しかった。

 

────────────────────────

 

「ミレイさん」

「あらライ。その様子だと誕生日決めたみたいね」

 

 礼拝堂でミレイとであったライはその表情から誕生日が決まったことを察知された。

 

「ええ。決めました」

「それで?いつにしたのかな。何ならこないだの男女逆転祭りの日とかでも私は驚かないけど」

 

 C.C.と同じことを言うミレイに苦笑いしつつ、ライは自身の誕生日を告げる。

 

「3月27日です」

「それって…」

「ええ。僕がこの学園で拾われた日です」

「私が言うのもなんだけど、折角ならもっと楽しい日にすればいいのに」

 

 ミレイがそういうのも無理はない。あの日のライはふらふらでこのアッシュフォード学園にたどり着いて気絶した。何があったのかはライの記憶が戻らない今も不明だが、ライの様子からしてあまり楽しそうでないことは明らかだった。

 

「いいえ。あの日から僕はこのアッシュフォード学園での生活をはじめ、その中でたくさんの幸せを貰いました」

 

 ライの言葉は嘘偽りない真摯な言葉だった。このアッシュフィード学園で記憶喪失だったライはまるで人形のようだった頃から大きく変化した。最近では記憶喪失の身元不明であることを除けば他の生徒となんら変色のない学園生活を送っている。

 

「あの日、僕はこの学園に、ミレイさんに拾われることで救われたんです」

 

 ライは心からの感謝を自身の自称保護者に伝える。

 

「だから、3月27日を僕の誕生日にしたいんです」

「そっか。うん、本人にそこまで言われちゃしょうがないわね」

 

 ミレイは自身への感謝を素直に語ったライに対して照れ笑いしながら答えた。

 

「じゃあ来年の3月27日はライの誕生日ね!盛大にやるわよー!」

「ええ楽しみです」

 

 二人はそうして笑いあった。その日が来るのが楽しみだと。どうか願わくば、記憶が戻っても自分の誕生日は3月27日だと言えますようにと。

 

 

続く

 

 

 

 

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