「え~っと、これで誕生日迎えたのは響と未来と・・・」
「翼と、今日であたしだな」
「今回から私とマリア姉さんたちも一緒に祝いますね!」
いや~・・・内容考えるの大変だった。
「それ言っちゃう?」
それに少ししたらまた誕生日回だからな、張り切らないと。
「そうだな、というわけで今回はあたしの誕生日回だ、どうぞ!」
7月28日、真達はとある場所にいた。
「よし、では早速行動を開始するぞ!」
『いや待って待って待って待って!!?』
すぐに行動しようとする翼を真達が制止する。
「どうした?急に呼び止めて」
「いや翼!?まずはなぜいきなり俺たちがこんな山奥にいるのかを教えてくれ!?」
そう、真達がいるのはいつもの街ではなく、とある山奥だった。
事の始まりは昨日のとある一言から始まった。
昨日、みんなで話しているときに、ふと奏が雑誌を見てこんな言葉を呟いた。
「へぇ・・・こんな花があるんだな」
近くにいた真が奏の読んでいる雑誌を見ると、そこにはいろんな花が載っており、その中で奏は『オシロイバナ』という花を見ていた。
「オシロイバナか・・・、奏と同じ誕生日の誕生花なのか」
「ああ、一度見てみたいな」
「けど、この辺りの花屋じゃ見たことないな」
「ああ、見た感じこの山の奥に生えているみたいなんだ」
「山奥か・・・探すの大変そうだな」
「だな」
これが昨日の会話、そしてこの会話を聞いていた女性がいた。
「・・・・・・」
翼だった。そして次の日、真達が目を覚ますと何故か山奥にいたのだった。
「・・・というわけだ、運搬には緒川さんに手伝ってもらったぞ」
「ありがとう!全く分からねえな!?」
「今、朝の四時だぞ!?朝早くどころか寝ている間に山奥に運び込むって倫理的にどうなんだよ先輩!?」
「何を言うか、奏が見てみたいと言ってたんだ。そして今日は奏の誕生日でもある。なれば叶えてやるのが友の務めだろう」
「駄目だわこの剣、天羽奏の事となると手が付けられないわ!?」
あまりの状況に真とクリスとマリアはツッコミまくっていた。
「おい!響達からもなんとか言ってくれ!」
真は響達にも協力を頼むように言うが・・・。
「いいですね翼さん!奏さんのために頑張りましょう!ねっ未来!」
「うん、任せて!」
「私たちも手伝うデース!」
「うん、私もその花見てみたい」
「私もです、頑張って探しましょう!」
「お前らぁ!!?」
響、未来、切歌、調、セレナはやる気全開だった。
「恩に着る、では早速向かうぞ!」
『おおー!』
真のツッコミを無視し、翼たちは出発していった。
「・・・なんか、すまないな。あたしのせいで」
「・・・いや、もう諦めよう。ああなったあいつらは止められない」
「これ、あたしらもなのか?」
「そうね、あの子達だけじゃ不安だから・・・」
ツッコミ組はため息をつきながらも翼たちの後を追いかけた。
「あったかー?」
「いえ、まだでーす!」
「こっちにもないデス!」
探索開始から約数時間、みんなは草木を分け目的の花を探すが、それらしい花は見つからない。
「この辺りにはなさそうね、じゃあ別の場所を探しましょうか」
皆がオシロイバナを探す中、真は翼に語り掛ける。
「なあ翼、いくら奏の誕生日とはいえここまでするか?」
「ああ、奏には前に私の誕生日を仕切ってくれたからな」
「・・・それだけで?」
確かに前に、翼の誕生日を仕切っちたのは奏だった。
だがそれだけでと訝しげると、翼は更に答えてくれた。
「それに、奏はかつて押しつぶされそうだった私を救ってくれた・・・私はその恩返しがしたいんだ」
翼の言葉で真は理解した。
かつて翼は家柄のことで大きな重圧を感じていた、だがそれを払ってくれたのが奏だった。
翼はその恩返しをしたいためにこのようなことをしたのだと真は感じ取った。
「・・・そうか、ならきちんと見つけないとな」
「ああ・・・うぉ!?」
そう言って二人は再び捜索に移ろうとすると、翼は足元の石に引っ掛かり転ぶ。
「翼!?大丈夫か!?」
「あ、ああ・・・んっ?」
翼は起き上がろうとすると、ふと視界に何かが見えた。
「あれは・・・!」
翼はそれを見ると、すぐにその方向へと走っていった。
「あっおい翼!」
翼が走り出し、みんなも慌てて追いかける。
そして森を抜けると広い場所に出て、そこには大量のオシロイバナが咲き乱れていた。
「うわぁ!いっぱい咲いてますよ!」
「ああ、壮観だな」
「はい!とっても綺麗です!」
皆がその光景に感動していると、奏が翼に近づいた。
「奏?」
「ありがとな、翼。あたしのために」
「・・・ええ、どういたしまして」
翼はそう言うと、奏の方に振り向く。
「奏、ハッピーバースデー」
「おう、ありがとな!」
今日のこの光景は、奏と翼にとって忘れられない景色となるだろう。
さて後書きの時間だ。
「まあ今回は翼が暴走してたな」
俺の勝手な考えだけど、あの子奏がらみだと暴走しそうだったからこんな話にしました。
「ちげぇねえ、それであたしの誕生花はオシロイバナなんだな」
ああ、と言ってもこの花って奏にぴったりじゃないんだよな。
「どうしてですか?」
オシロイバナの花言葉は『臆病』『内気』『恋を疑う』で奏っぽくないんだよな。
「確かに・・・けど、別にいいんじゃないか?気持ちが籠っていれば」
「そうだな、そのおかげで最高の景色を見てたわけだし」
「はい、だから安心してください」
そうだな、じゃあそろそろ〆るか。
「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」
そして~~。
『ハッピーバースディ、奏!』