戦姫転生ゼロフォギア   作:真紅林檎

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GX編第二十三話、前回のあらすじは?
「父親と会うことを決心した響さん」
「そしてイグナイトがキャロルによって仕組まれたものと判断した」
「キャロルはエルフナインを通してS.O.N.Gの情報を会得していたが、エルフナインを弦十郎さん達が許した」
「れいあとの戦いの中でくりすと未来がいぐないとの起動に成功したぞ」
「そして作者のオリジナル曲と共にレイアさんを倒しました」
はいOK、それじゃあGX編第二十三話、どうぞ!


決戦の朝

レイアの妹による一撃は船内に大きな衝撃を与え、壁に固定されていた装置が衝撃で外れ近くにいた友里目掛けて落ちてきた。

 

「危ない!!」

 

その様子を見ていたエルフナインは友里を助けるために飛び込む一方、両断された潜水艇のブリッジが切り離されると同時に潜水艇が爆発を起こす。

 

それと同時にブリッジからミサイルが飛び出し、その中からイグナイト状態のクリスと未来が飛び出す。

 

二人はレイアの妹を視界に入れると、クリスは巨大なロングボウを構え弓を引き絞り、未来は周りに展開したビットから放たれた光線を一点に集め巨大なエネルギーを溜めていた。

 

ARTHEMIS SPIRAL

 

明光

 

二人が放った一撃はレイアの妹に迫り、その胴体を貫き、レイアの妹は爆発に飲み込まれた。

 

「S.O.N.Gの本部が・・・!」

 

「連中は、何もかもを纏めてぶっ飛ばすつもりで・・・」

 

司令室内では、先程の衝撃によってエルフナイン以外の職員達が気絶する中、友里が先に目覚めた。

 

『エルフナインちゃん!しっかり!』

 

「・・・っ!エルフナインちゃん!」

 

友里の視界に写ったのは、自身を庇いそのわき腹から血を流すエルフナインとエルフナインに呼びかけるフィーネの姿だった。

 

「僕は・・・誰に操られたんじゃなく・・・っ」

 

エルフナインはそう呟き眼を閉じる。

 

「エルフナインちゃん!!」

 

エルフナインが眼を閉じると同時に切歌と調が司令室にやって来る。

 

「大丈夫デスか!?」

 

『二人共!急いで医療班を呼んできて!』

 

「わ、分かった!」

 

フィーネに頼まれ、二人は急いで医療班を呼びに向かった。

 

「眼を開けて、エルフナインちゃん!エルフナインちゃん!!」

 

 

 

一方で響は父親の洸の待つレストランにやって来る。

 

「「・・・・・・」」

 

二人は対面して座るが、その間からは言葉が一言も飛び交っていなかった。

 

「・・・・・・」

 

真は響の警護と同時に二人の様子を確認するため、二人のいる席から離れた場所から見ていた。

 

響と洸が沈黙する中、響は真の言葉を思い出す。

 

『・・・響、へいきへっちゃら、だろ?』

 

響はその言葉を思い出し、勇気を込めて口を開く。

 

「・・・あのね、お父さん」

 

「っ!・・・どうした?」

 

響の言葉に洸は少し驚きつつも、響の言葉に耳を傾ける。

 

「・・・本当に、お母さんとやり直すつもり?」

 

響はそう言って自身の携帯を取り出し、一通のメールを父親に見せる。

 

『響、久しぶりだな。実はお父さん母さんとやり直しにここまで来たんだ。そのことで話がしたいから明日会えないだろうか?』

 

洸はその文面を見て真剣な表情で響と向かい合う。

 

「・・・ああ、本当だ」

 

「っ!・・・そうなんだ」

 

そして再び沈黙が走ると、今度は洸の方から口を開いた。

 

「・・・響、本当にすまなかった、あの時家族から逃げてしまって、本当にすまない」

 

そう言って洸は響に対し頭を下げる。

 

「お父さん・・・?」

 

響はいきなり父親が頭を下げたことに驚く。

 

「本当はすぐにでも戻るべきだった、けど怖かったんだ。家族に否定されるんじゃないかってそう考えたら足がすくんで動けなかった」

 

父親の言葉を響はしっかりと耳を傾けていた。

 

「この前の海水浴場でも恐怖のあまり子供達すら避難させず自分だけ逃げて、本当に自分が情けないと思った、そしてあの時お前と出会った」

 

その一言で響はコンビニで再会した時を思い出す。

 

「響と出会って、そして響が走り去った時、俺は一歩も動けなかった、家族に再開した喜びよりも、否定された恐怖で動けなかった・・・」

 

洸はばつがわるそうに水をすする。

 

「その後、俺が町を歩いていたらお前の知り合いと出会ったんだ」

 

「えっ?」

 

父親の言葉に響は驚く。

 

「俺は少しでも今の響のことが聞きたくて、その人に話しかけ、このレストランで話してたんだ・・・そしてその人に家族と復縁しに来たって言ったら、こっぴどく怒られたんだ、その時響達がどんな目を受けていたのか知らないくせして復縁しに来たなんて抜かすなってさ」

 

「っ・・・真さん」

 

響はその言葉を聞いて、父親が誰と会ったのか理解した。

 

それもそのはず、あの時洸と会ったのは響を除いて未来と真だけだった、そしてその二人の中でそんな口調で話すのは真だけだった。

 

「本当その人の言う通りだった、家族を見捨てて、自分だけ逃げて、それなのに復縁しに来たなんて、虫が良すぎるなって」

 

「お父さん・・・」

 

「虫が良すぎる話だっていうのは俺が一番わかってる・・・だけど、俺はもう逃げたくない、今度こそ家族を守るって決めたんだ、そしてなけなしの勇気を振り絞って響にメールを送ったんだ」

 

洸はそう言って、コップの水を飲みほした。

 

「・・・別に響が答えを言わなくていいさ、ただ俺は決意を言いにお前を呼んだんだ、話を聞いてくれてありがとうな、響」

 

「・・・」

 

そんな二人の様子を真は遠巻きで見ていた。

 

「・・・ようやっと一歩踏み出せたな、後は響次第だな」

 

真がそう呟く中、窓の外で風船が空に浮かぶ様子が見られた。

 

その風船は次第に空へと浮かんでいると、突然空にひびが走り、空が砕けた。

 

『っ!?』

 

「なんなんだ!?」

 

洸がその様子を見て驚く中、砕けた空から巨大な建造物が下りてきた。

 

「空が・・・割れる!?」

 

空中の穴は大きくなり、そこから建造部全体が町の上空に現れる。

 

それは巨大な城、これこそがキャロル達の居城『チフォージュ・シャトー』そのものだった。

 

 

 

シャトー内では、キャロルが手に入れたネフィリムの腕を媒介とし、錬金術によってシャトーを操作していた。

 

「ワールドデストラクターシステムをセットアップ、シャトーの全機能をオートドライブモードに固定」

 

キャロルはシャトーの設定を完了させ、装置からネフィリムの腕を離した。

 

「うまく行ったようだな、ネフィリムの腕を媒介としシャトーを操作、分の悪い賭けだと思ったがどうやら神は俺に微笑んだようだな」

 

キャロルは操作に成功したことに喜ぶ。

 

「オートスコアラーによって呪われた旋律は全て揃った、これで世界はばらばらに噛み砕かれる・・・!」

 

キャロルはそう呟くと、父親の言葉を思い出す。

 

『キャロル。生きて・・・もっと世界を知るんだ』

 

「分かってるって!だから世界をバラバラにするの、解剖して分析すれば万象の全てを理解できるわ!」

 

そう叫ぶキャロルの瞳は、もはや狂人のそれに近かった。

 

「「・・・・・・」」

 

その様子を静かに見ていた紫苑と桃恵にキャロルから話しかけた。

 

「思えば、お前達のお陰で此処までうまくいった、二人には礼を言おう」

 

「・・・いや、礼など不要じゃ。うちらはきゃろるに命を救われた身、なればこの身できゃろるの望みを叶える事こそがお主への感謝の証じゃ」

 

「うん・・・キャロルちゃんは私たちを助けてくれた、だから今度は私たちがキャロルちゃんを助けたいの」

 

「そうか・・・俺と同じく親を殺され世界を恨んでいたと思っていたが、まあいいだろう。だが俺は、必ず世界を分解して父からの命題を解き明かして見せる!」

 

キャロルの叫びに、紫苑は自身達の親のことを思い出す。

 

(父からの命題・・・)

 

その胸の内を二人は口にしなかった。

 

 

 

レストランにて、真は急いで響と合流した。

 

「響!」

 

「真さん!?どうしてここに!」

 

「話は後だ、今は・・・!」

 

そんな時、響の通信機と真のライズフォンに連絡が入った。

 

「はい、こちら真と響!」

 

『二人とも!通信回復を確認!』

 

『手短に伝えるぞ、周到に仕組まれていたキャロルの計画が、最後の段階に行ったようだ』

 

「なんだって!?」

 

『敵の攻撃で、エルフナイン君が負傷、応急処置を施したが危険な状態だ』

 

そんな中、通信機越しからエルフナインの弱弱しい声が聞こえてきた。

 

『僕は平気です・・・だから、ここにいさせてください・・・!』

 

「エルフナインちゃん・・・!」

 

『俺たちは現在、東京に急行中、装者と仮面ライダーが合流次第迎撃任務に当たってもらう、それまでは』

 

「避難誘導にあたり被害の拡大を押さえればいいんだろ」

 

空に浮かぶシャトーを見て、洸は驚いていた。

 

「なんなんだ・・・あれは!?」

 

「ここは危険です、俺たちと一緒に安全な場所に避難するぞ」

 

 

 

「・・・ぐっ!?」

 

シャトー内では、キャロルがすべての準備を終える直前、再びキャロルに拒絶反応が起きる。

 

「きゃろる!?」

 

「キャロルちゃん!?」

 

二人は慌ててキャロルに駆け寄る。

 

「問題ない・・・立ち止まれるものか、計画の障害は、例外なく排除するのだ」

 

そういって錬金術に映し出されたのは、響と真、そして響の父親の三人だった。

 

「とにかく、安全な場所まで避難させるぞ、みんなが来るまで一人でも多く誘導させないと」

 

「分かってます、お父さんも急いで・・・!」

 

「ほう・・・そいつがお前の父親か」

 

突如聞こえてきたキャロルの声に二人は驚く。

 

「二人とも!空から人が!」

 

洸の言葉に二人が空を見上げると、そこに立っていたのはキャロルと紫苑と桃恵の三人だった。

 

「キャロルちゃん・・・!」

 

「紫苑・・・桃恵・・・!」

 

「終焉の手始めに、お前達の悲鳴を聞きたいと、馴染まぬ体がせかすのでな」

 

三人の登場に二人は限界まで警戒した。




さて後書きの時間だ。
「ようやっと一歩踏み出せたな、洸さん」
「はい、この調子でお二人が仲良くなれたらいいですね」
「だな・・・だけど今はそれどころじゃなさそうだな」
「うむ、ついにきゃろるの計画も最終段階に入った」
「はい、それを邪魔するなら容赦はしません」
「二人も本気って訳か・・・」
「・・・そうじゃのう」
「「「?」」」
「・・・とにかく、勝つのはうちらじゃ!」
「・・・いいや、必ず俺たちが勝って世界を守ってやるさ!」
おーおー互いにやる気十分だな、さてGX編もついに終盤、果たして勝つのは錬金術士か、歌姫か。それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

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