絶対神の乱入
この世界の頂点には、
彼の権限は、創造神や対となる破壊神の及ぶところではなく、気に障るようなことがあれば、「宇宙そのもの」を片手で簡単に消せるほどの、恐ろしいものであった。
そんな全王
この、なんとも分かりやすい宮殿において、全王は日夜、退屈を消費していた。
「暇だね」
「だね」
宮殿内の中央。一面がガラス張りで出来た床の上で、仰向けに寝転がる二つの小さな影がある。
三頭身の、丸みを帯びた見た目。
ともすると可愛らしく見えるその者こそが、何を隠そう全王であった。
異なことに、世界の頂点に立つ全王は一人ではなく、二人いる。
これは、双子やそっくりさんというわけではない。
一方は、潔癖すぎる正義に酔いしれた愚か者がそもそもの原因となって消滅した「別の時間軸」から連れてこられた全王なのである。つまるところ同一人物というわけだ。
「ねぇ」
片方の……これは元の時間軸の全王が、別時間の全王へ向き直り、その丸っこい瞳に輝きを満たしながら話しかけた。
「なぁに」
「あのね。第四宇宙の界王神から聞いたんだけどね」
「うん」
「第四宇宙にはね、サイコロで運命を決めてる神がいるんだって」
「うわぁ、なにそれ。面白そう」
「でしょ? だからね、僕たちも混ぜてもらえるようにしてもらったの。でもね。それには駒もいるんだって」
「駒?」
「人間を一人、その世界にやらなくちゃいけないんだって」
「誰にしよう?」
「悟空にしよう!」
二人の全王が、別時間軸の己を除いて唯一の友達と呼べる人間の名を口にした時、
「ですが、全王様。件の神が支配する世界において、現段階の孫悟空を放り込んでも、あまり面白くはならないかと」
会話に割り込んでくる者が。
全王よりは背丈の高い、しかしそれでも少年のように小柄な男であった。
青白い肌をした男は、大神官。
全王の側近とも呼べる存在と同時に、十二の宇宙にそれぞれいる天使たちの父親。そして、全王というなんでもありを除けば世界最強の実力を持つ者だ。
二人の全王は、大神官の姿を認めると、
「えー」
「なんでー」
外見に違わず、子供のような抗議の声を上げる。
これを、穏やかな笑みを浮かべた大神官は、
「今の孫悟空は、破壊神より一歩劣るとはいえ、神々の領域に踏み込んだ力を持っています。そんな存在が一介の世界に踏み込めば、いとも簡単に流れを持って行ってしまうでしょう」
と告げる。
「それじゃ面白くないね」
「ね」
表情こそ変えぬが、どこか不満げに頷き合う全王。
すると大神官が、やはりにこやかな表情のまま、
「でしたら、
『ほどよい?』
重なる全王の声。
頷いた大神官は、
「聞けば、件の世界では特別な能力を使えこそすれ、回数に制限があるとか。ならばこちらも、まだ力のコントロールが未熟な時期の孫悟空を派遣なされてはいかがでしょう」
これを聞いた全王は、一にも二にもなく、
「そうしよう」
「やって、やって!」
と、はしゃぐ。
「承知しました。しばしお待ちを。ただいま、時の界王神から
そう告げた時、大神官は姿を消した。
二人の全王は顔を見合わせ、
「悟空、どうなるのかなぁ」
「かな、かなぁ」
かの友人が、異の世界でどのような活躍を果たすのか。そのことに胸を膨らませるのであった。
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